『ダークナイト』3部作、『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』と1作品ごとに大きな話題を呼び続けるクリストファー・ノーランの3年ぶりの監督最新作。
第三次世界大戦の危機を防ぐための極秘の任務に挑む“名もなき男”の姿を描くSFスパイアクション。
男に託された謎の言葉“TENET(テネット)”とは?
“時間の逆行”という未来からもたらされた能力の描写にも注目。
主演は『ブラック・クランズマン』のジョン・デヴィット・ワシントン。
共演には新たにバットマンを演じることになったロバート・パティンソン、ヒロインにはエリザベス・デビッキ。
また、ノーラン映画経験者のケネス・ブラナー、マイケル・ケインなどが名前を連ねました。
村松 健太郎
目次
『TENET テネット』作品情報
作品名 | TENET テネット |
公開日 | 2020年9月18日 |
上映時間 | 150分 |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | クリストファー・ノーラン |
出演者 | ジョン・デヴィッド・ワシントン ロバート・パティンソン エリザベス・デビッキ ケネス・ブラナー マイケル・ケイン アーロン・テイラー=ジョンソン |
音楽 | ルドウィグ・ゴランソン |
『TENET テネット』あらすじ【ネタバレなし】
満席の観客で賑わうオペラハウスでテロ事件が勃発、多数の人質を救出するために特殊部隊が館内に突入します。
突入部隊に紛れ込んだ“名もなき男”は混乱の中で、オペラ会場にいた仲間の救出に動きます。
仲間の救出を果たした男ですが、その後、身代わりとなって捕まってしまいます。
自決用の毒薬を飲んだ男ですが、薬は鎮痛剤にすり替えらえていました。
昏睡状態から目覚めた男は、そこであるミッションを命じられます。
それは未来からやって来た脅威と戦い、世界を救うというモノでした。
村松 健太郎
人や物が過去に移動できるようになっていたこの技術は“第三次世界大戦”を引き起こしかねない危険性をはらんでいました。
村松 健太郎
男は情報収集のため、相棒のニールと共にムンバイやロンドンなど世界各地を転々とし、アンドレイ・セイターというロシアの新興財閥の長に行き当たります。
セイターは表向きは天然ガスで巨万の富を築いたことになっていますが、裏では武器商人として暗躍していました。
男はセイターを未来と現在を繋ぐキーパーソンであると睨み、彼に近づくためにセイターの妻のキャットに接近しますが…。
『TENET テネット』キャスト
ジョン・デヴィッド・ワシントン / 役:名もなき男
- (劇中では)名前はもちろん国籍・所属も明かされない謎の多い男。
- ある、偽装テロ事件に特殊部隊の一員として潜入したことから、第三次世界大戦の危機を防ぐために謎のキーワード“TENET(テネット)”を巡るミッションに巻き込まれる。
村松 健太郎
ロバート・パティンソン / 役:ニール
- “名もなき男”の任務遂行を手助けする有能なエージェント。
- 男の相棒として世界各国を渡り歩く。
村松 健太郎
ケネス・ブラナー / 役:アンドレイー・セイター
- ロシアの新興財閥の長。
- 天然ガスで冨を築いたとされているが、裏の顔は武器商人。
- 未来と現在を繋ぐ役割を持つ謎の多き人物。
村松 健太郎
マイケル・ケイン / 役:マイケル・クロスビー卿
- ”名もなき男”にセイターの情報を与えて、援助する大物。
- イギリス情報部とも太いパイプを持つ。
村松 健太郎
エリザベス・デビッキ / 役:キャット
- セイターの妻で一児の母、イギリスの貴族階級の生まれで、美術品の鑑定士。
- セイターの秘密を知るものの彼から離れられない理由がある。
村松 健太郎
『TENET テネット』感想
あふれるスパイ映画愛
英国出身でアメリカとの二重国籍を持つクリストファー・ノーラン。
自らの映画原体験に『スター・ウォーズ』『ブレードランナー』を挙げています。
そして、これらの作品と並んで自身への大きな影響を与えた作品として『007』シリーズを挙げています。
村松 健太郎
村松 健太郎
『TENET テネット』はそんな『007』愛、スパイ映画愛が今までのノーラン作品の中で最も濃い作品と言えます。
主人公の“名もなき男”は特殊工作員であり、世界各国をまたにかけるスパイでもあります。
世界各国でロケが行われ、風光明媚なリゾート地や各国の都市の様子が描かれ、金塊や高価な絵画も登場します。
村松 健太郎
エリザベス・デビッキ演じるヒロインの立ち位置も、今までのノーランの映画のヒロインというよりは歴代の“ボンドガール”を想起させるキャラクターになっています。
ノーランの永遠のテーマ“時間”
村松 健太郎
デビュー作の『フォロウィング』とブレイク作となった『メメント』では彼はエピソードの時勢を意図的に入れ替えました。
『インセプション』では夢の階層ごとに時間の流れを変えて描きましたし、『インターステラー』でも地球と宇宙空間、ワームホールの先の星では時間の流れが大きく変わります。
『ダンケルク』では同じ事象を描きながら陸海空で時間の大枠を変えています。
村松 健太郎
自身が常に突き詰めてきた“時間”の在り方をダイレクトに描くという意味では、『TENET テネット』はクリストファー・ノーラン史上もっと挑戦的で野心的な作品といっていいと思います。
新しい”娯楽大作”の作り手
クリストファー・ノーランはかつて自分を育ててくれたSF映画、スパイ映画などのブロックバスター大作への思いが強い監督でもあり、消費される大衆娯楽の一環で終わらせたくないという使命感を持っています。
『ダークナイト』3部作でも、かつて、ティム・バートンとジョエル・シュマッカーが作り上げたゴシックとビザールなセンスに溢れた世界感の作品をリアルな犯罪映画として一新させました。
『インセプション』も古典的な泥棒ものを舞台を“人の夢の中”に設定したことで、斬新な映像作品に生まれ変わらせることに。
『インターステラー』でも曖昧になりがちな宇宙の仕組みを現役の物理学者を監修に招いて特殊相対性理論やワームホール理論を組み込み“リアル”を創り上げました。
『ダンケルク』では戦争映画を陸の一ヶ月、海の一日、空の一時間という風に場面ごとに時間の大枠を変えて描いて見せることで、今までになかった臨場感を与えてくれました。
そして『TENET テネット』では王道のスパイ映画的な展開に時間の逆行という能力を持ち込んで、またもや“見たことのない映画”を創り上げました。
各作品ごとに独自の理論を綿密に築き上げるクリストファー・ノーラン監督ですが、本作では時間の逆行の仕組みについて“未来からもたらされたモノ”というかなり力業・強引な設定を持ってきました。
村松 健太郎
どれがとは言いませんが“マクガフィン”(ミステリーにおけるキーアイテムである一方で、そのものについて明確な説明がされていないモノ)的な存在のアイテムもあります。
そういう意味でも、『TENET テネット』はクリストファー・ノーラン監督史上最大級の挑戦作品であり、野心的な実験作と言えると思います。
『TENET テネット』あらすじ・キャスト・感想まとめ
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以上、ここまで『TENET テネット』をご紹介しました。
村松 健太郎
日本ではクエンティン・タランティーノなどのようにどちらかというと映画ファン受けする監督ですが、世界的に見ればスティーヴン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンに匹敵する予算と製作規模を与えられている監督で、しかも大半がオリジナル脚本作品というから驚くばかりです。
2020年でまだ50歳という年齢を考えると今後のハリウッドの中心人物となっていくことは間違いないでしょう。
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