『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』あらすじ・ネタバレ感想!大人を拒んだ5人が“大人”の扉を開けるとき

『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:amazon.co.jp

誰しも生きていれば通り過ぎる、大人の階段を昇る瞬間。

八塩団地で育った5人が、ちょっとだけ“大人”になる物語。

ポイント
  • 見るときの自分の年齢によって感想が少し変わってくる作品
  • 前作『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』と二作で一つと脚本の河原雅彦が言うように両方見て完成する
  • 監督は『十二人の死にたい子どもたち』『人魚の眠る家』の堤幸彦が続投!

それではさっそく『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』をネタバレありでレビューしたいと思います。

『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』作品情報

作品名 ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY
公開日 2004年3月1日
上映時間 105分
監督 堤幸彦
脚本 河原雅彦
出演者 大野智
櫻井翔
相葉雅紀
二宮和也
松本潤
山崎一
櫻井淳子
井ノ原快彦
秋山菜津子
音楽 杉本哲哉

※前作『ピカ☆ンチ』を復習したい方はこちら!

『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』あらすじ・ネタバレ感想!嵐の5人がバカな青春を謳歌する!

【ネタバレ】『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』あらすじ・感想

八塩団地の五人の、いま

東京にあるマンモス団地、八塩団地。

ここに住み、中学からの腐れ縁で結ばれた5人が高校最後の原宿詣でに行くところから物語は始まりました。

さまざまな不安を抱え、青春を全うし、それぞれの未来へと歩き出してから3年の月日が経っていました。

八塩一、運の悪い男・ハル(大野智)

外に出ればさまざまな不運に巡り会ってしまう…主に女性に弱いのでちょっと甘い言葉をかけられただけで簡単に騙されてしまう男子。

高校卒業後に就職したスーパー・ガウス八塩店に勤めています。

クールでリーダー的存在のタクマ(二宮和也)

スケボーを愛し、どこへ行くにも決してスケボーは手放さない。

彼にとってスケボーは“相棒”です。

亡くなった父親の保険金を手にし海外へと旅に出ていましたが、いつの間にかロックバンドのギタリストになっており、ふらっと八塩に帰ってきます。

原チャリ暴走族、鮫洲一家総長のチュウ(櫻井翔)

屋形船事件での保護観察中すっかり勢いを失ってしまった鮫洲一家に対して、川崎のレディースが“鮫洲乙女塾”として頭角を現し張り合ってきました。

抗争は日ごとに激しさを増し、最終的にサシで勝負となり一方的に殴られ続けたチュウでしたが「ギャルズに手を出すメンズはいねぇ」とかなんとか言って鮫洲乙女塾のヘッド・袋小路弥生(水川あさみ)と恋に落ちました。

ほどなくして同棲生活を始め、今ではもうすぐ一歳になる長男がいます。

そんなこんなで家族を養うために電器店で働き、営業成績は社内でトップクラスという変貌ぶり。

高額所得者のみが住まう第33棟出身で人一倍プライドの高いボン(松本潤)

自分の作る料理で沢山の人を喜ばせたいという信念のもと、ハル・シュン・チュウに“帰ってくるかどうかもわからないタクマを待つのは時間の無駄だ”というようなことを吐き捨て修行の旅に出ています。

行先は八丈島、ということにしていますが実は八塩の老舗料理店に住み込みで修業をしています。

いたって平凡な毎日を過ごす普通の男子・シュン(相葉雅紀)

青学受験に失敗したのち二浪を経て葵学編み物教室に入学しました。

教室で教える立場になり、もはや自分で編んだ物しか身に着けないほどになっています。

そして、ついには手編みブランド“SHUN MEN”を立ち上げたところです。

止まりかけていた時計の針が動き出した。

冒険の続きが今、始まろうとしている。

八塩ヒルズ計画

東京湾を埋め立て建設された、東京最後のマンモス団地・八塩団地。

その地元自治体が中心となり、八塩都市計画の目玉として2010年完成に向け計画を推し進めてきた品川区最大の都市型複合アミューズメント施設・八塩ヒルズ。

“六本木に続け”を基本理念に地上50階、地下3階からなるフロアにはホテル、ショッピングモールはもとより展望回転ケーキビュッフェレストランやベジタリアン専用焼肉レストラン、天然ラジウム備長炭温浴SPA、ワールドアウトレット100円市、ビデオCDレンタルTSUTSUMI八塩店、シネコン名画座、さらにはくま牧場などバラエティに富んだ店舗や設備を誇り、新しい文化・情報発信基地として品川の新名所となるべく計画された、いわば八塩自治体の命運をかけたビッグプロジェクトです。

しかし団地の住人たちには反対派も多く、賃貸契約を結んでいるからには一方的に解除できない事を理由にバリケードを作り測量に訪れた業者の人たちを追い返す日々。

八塩の平和を守る会、八塩PEACEと称して反対活動をする面々のなかにはハルやシュウ、そしてチュウも含まれています。

父親が自殺したことでタクマの部屋は一向に借り手がつかず、それでもたまに内見に訪れる人がいたものの残った4人はタクマが帰ってくる場所としてその部屋を、八塩を守り続けていました。

八塩PEACE結成の噂が流れ始めたのは2年ほど前、そのころボンは「自分は自治体の計画に賛成だ」と言い、流れ板として修業の旅に出たのでした。

八塩のジャンヌダルク…?

ある日チュウは、勤めている電器店の新宿店からヘッドハンティングされました。

異例の抜擢ということで人事部から「大事な時期だから面倒な活動に手を染めるのはやめろ」と言われます。

人事部の言う“面倒な活動”、八塩PEACEの会長は美しきカリスマリーダー、辻風真澄(櫻井淳子)は八塩のジャンヌダルクなどと呼ばれ崇められています。

ある日の集会で、買い物時の主婦たちにビラを配って会員を増やそうと提案したハルは、真澄に気に入られました。

誰かに求められるということが嬉しかったハルは、真澄に良いように使われてしまいます。

反対派の先陣を切り、暴徒と化した八塩の住民もろとも現行犯として捕まる“おとり”とされてしまうのです。

そんなことも知らずに激化していく住民の先頭に立って反対派を導いていくハル。

タクマとシュンは、もうやめようと言いますがハルは聞きませんでした。

そのころボンが修業している料理店に自治体のボスである実業家の千景重森(大林丈史)がやってきます。

隠れるように敵対しているはずの辻風真澄と密会をしているところを目撃したボンは、小型カメラを作ってその様子を隠し撮りします。

真澄は八塩ヒルズ推進派のスパイであるということを皆に知らせて、意地になっているハルを救おうと目論んだのです。

しかし、ボンは八丈島にいることになっている手前、仲間たちに隠し撮りしたテープを渡すすべがありませんでした。

店先で親方の娘に、シュウのところに届けて欲しいと頼んでいた時です。

千景と辻風の動向を追っていたタクマとシュウが、そこにいました。

嘘がバレたボンは素直に謝り、みんなでハルを救おうということになります。

タクマとシュウはチュウのところにも事情を説明しに行きますが、新宿店への引き抜きが決まっているチュウは問題を起こすわけにはいかないと躊躇しました。

生きていくということは、背負っていくこと

ハルを、そして自分たちを救おうと奮闘するタクマとシュウとボンでしたが、その最中にシュウが真澄の手下にさらわれてしまいます。

こそこそと嗅ぎまわっている仲間がいるんだろうと白状させようとしますが、シュウは口を割りませんでした。

行方知れずになり、携帯も繋がらないシュウをタクマが心配しているとき、弥生が公園のトイレから愛息子のところへ戻ったところで白い毛糸が果てしなく“どこか”へ続いているのを見つけます。

シュウが着ているセーターがほどけて、居場所を示していたのです。

弥生が帰って、さきほど拾ったSHUN MENのタグをチュウに見せているところでボンから電話がかかってきます。

「シュンが例のテープを持ったまま消えた」と告げられ、ピンときてしまうチュウ。

しかし、問題を起こして新宿での仕事が無しになることを考えたら、うかつに動けずどうしたらいいかわからなくなってしまいました。

兄の元へ行き、事情を説明すると「大人をナメるな」と言われてしまいます。

生きていくということは、背負っていくということだ、と。

それを粋だと感じるか面倒だと感じるか。

お前はどちら側の人間だと問われて、ようやく心を決めました。

家に戻ると弥生が鮫洲一家総長の特攻服を手渡します。

そして、原チャリを停めているところに行くと鮫洲一家の歴代総長が待っていました。

チュウは「とにかく時間を稼げ」とタクマに電話で一言伝え、シュウを助けに向かいました。

てくてく歩く、道をゆく

強制撤去が開始される午後5時、八塩ヒルズ促進派と反対派が激突しハルが真澄に言われた通りバズーカを放とうとした時。

タクマが「みんな目を覚ませ!」と大声を上げ、八塩団地の住民なら幼いころから歌える歌「道」を歌い始めました。

そこへチュウが原チャリの後ろにシュウを乗せてやってきます。

“例のテープ”を白い幕に投影すると、千景と辻風の密会の様子が流れ始めました。

ハルを主犯として八塩の住民を豚箱行きにさせると笑いながら話している2人の様子を見て、ハルも住民たちも目を覚ましました。

その日はボンの板前試験の最終チャンスの日でもありました。

約束の8時を過ぎてしまっていましたが、親方の厚意で試験を受けさせてもらいます。

ボンは八塩ヒルズ予定地で皆と別れるときにシュウから受け取ったニットの仕事着を着て試験に挑み、何度も落ちていた試験にやっと合格することが出来ました。

3年前と同じく橋の袂で、アメリカに帰るというタクマをみんなで送り出します。

ハルはみんなにノートを渡しました。

その表紙には、今は陸橋から消されてしまったタクマからの言葉と三文字違う言葉、“LIFE IS HARDだからHAPPY”と書かれていました。

おかえり、愛すべきおばかさんたち!

前作『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』と立て続けに見たらそんなに「おかえり」感はないかもしれないんですけども…

vito

私はリアルタイムではなかったにせよ少しのブランクを経ての視聴だったので、久しぶり友達がバカやってるところを見ているような気分でした。

今でもたまにその気分を味わいたくなって見てしまう作品です。

vito

そして、前作同様やっぱり私はチュウが好きだなぁ。

ストーリー自体はハルを中心に描かれているのですが、みんなに「ずんずん先に行かないでよ、ついていけないよ」と言う大人になれないハルと、仕事での立場だったり人間関係を円滑にさせるための術だったりを知って大人になっていくチュウとの対比がグッときます。

タクマは相変わらずマイペースでクールだし、シュウは何でニットの貴公子になってるのかわからないけど相変わらずだし、ボンは料理人になるっていう夢を貫いて頑張ってるし。

ハルとチュウほどではないけど、大人になっていくとか成長していくという様子を身近に感じられる目線で描いている…

vito

と、私は思います。

あと蛇足ですけど、前作から引き続き猿岩石が出ていたりタクマがスカウトされたレコード会社でIZAMが出てきたり、オカズゲストが地味に懐かしい人たちばっかりです。

好きな場面とかセリフとか色々。

vito

ダントツで劇中のピカ☆ンチューが好きです。

高校卒業後のチュウのあれこれを振り返るところなんですけど、写真を紙芝居形式の動画にしてセリフはきったない字で吹き出しの中に書いてあるっていう、動画で撮ったらさくっと済むところなのにそういう手の掛け方をする演出が好きです。

弥生と付き合うきっかけになったタイマン後のセリフとか、ちょっとクッサいんだけど嫌いじゃない。

vito

ヤンキーの王道テンプレを地でいくようなチュウが格好いいなぁと思います。

あとはチュウが屋形船での接待に参加せざるを得なくなる場面。

高校生のころ、5人で“あれに乗るような汚い大人にだけは絶対にならない”と言っていた屋形船に乗り、汚い大人たちとの宴会の場にいるチュウが切ない場面です。

若いのにノリが悪いだとか煽られて頭にネクタイを巻いて瓶ビールをイッキすることになるんですけど、ふと外を見るとタクマとハルとシュンが見ているんですよね。

はたから見れば“汚い大人”になってしまったチュウを。

自棄で飲んで帰ったチュウは、奥さんと子供を抱きしめて男泣きします。

vito

胸が痛い…チュウ可哀想…。

可哀想で合ってるのかわからないけど、でも大人になるっていうのはそういうことかもしれないねって思う場面です。

vito

一番グサッときた。

それとタクマが部屋で父親と再会する場面があるんですけど。地縛霊になった父親が赤い意味がわかんないし、首からロープつけたままだし、お茶飲んでるし。

そんな父親が半分透けながら「くよくよしてる時間は死んでるのと同じだぞ、何だって楽しんじゃえ」ってタクマに言うセリフが好きです。

vito

割とくよくよしがちな私には刺さりました。

一回しか生きられないんだし、楽しんだ方が得かもなぁと思って、ちょっと前向きになれた言葉です。

『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』まとめ

以上、ここまで『ピカ★★ンチ LIFE IS HARDだからHAPPY』についてネタバレありでレビューさせていただきました。

要点まとめ
  • おもしろせつない映画といったらダントツでコレ!
  • 自分と重なる生い立ちの登場人物がいなくても、似たような感情をもつ登場人物は誰かしらいるはず
  • 見終わったあと「自分は高校生のころに思った“大人”になっているかなぁ」とか、少しだけ考えてしまう作品

※次回作『ピカ☆★☆ンチ LIFE IS HARDたぶんHAPPY』も続けて読みたい方はこちら!

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