映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞を獲れた7つの理由とは!?

映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞を獲れた7つの理由とは!?

出典:アカデミー賞公式サイト

先日の2月10日(アメリカ時間で2月9日)第92回アカデミー賞の授賞式が行われました。

そして、作品賞・監督賞を含む最多受賞作品となったのがポン・ジュノ監督の韓国映画パラサイト 半地下の家族です。

非英語作品の作品賞受賞は92回の歴史を誇るアカデミー賞の中で初めてのことです。

昨年、アルフォンソ・キュアロン監督作品の全編スペイン語映画『ROMA/ローマ』が有力候補の一つになりましたが、監督賞・外国語映画賞・撮影賞は受賞したものの作品賞には届きませんでした。

そんな中で、ポン・ジュノ監督の全編韓国語映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、外国語映画賞から名称が変更された国際映画賞の4冠を達成。

大げさではなく世界の映画史に名を残す快挙と言っていい出来事です。

村松 健太郎村松 健太郎

そこで、ここでパラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を撮れた7つの理由をまとめていきます。

映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を獲れた7つの理由

貧富の格差という普遍的なテーマ

今、世界の上位100位までの富豪の総資産と世界の約半分の人口(主に貧困層)の収入の合計が同程度になっていると言われてます。

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この極端な貧富の格差は世界的にも問題視されているテーマの一つです。

今年のアメリカは大統領選挙の年でもあり、アカデミー賞もまた例年以上に世相を意識することになりました。

例えばアメリカとイランとの武力衝突が大規模な戦争状態に突入してしまっていたら『1917 命をかけた伝令』が受賞していたかもしれません。

アカデミー賞会員の変化

2016年の第88回アカデミー賞で主要部門の候補作が白人だけで固めらえた時には“白すぎるオスカー”という痛烈な批判を浴びました。

このことから、マイノリティ(有色人種、外国籍、そして女性)の会員を大幅に増やし、より国際色が強く、普遍的な作品選びをするように求められるようにもなりました。

そんな中で登場した『パラサイト 半地下の家族』は変革したい、変革をアピールしたいアカデミー賞にとっても絶好の存在となりました。

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ただ、もう一つの問題である“女性映画人”への“ガラスの天井”問題は、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ監督が監督賞の候補から漏れるなど、今年も議論を呼び、課題を残しました。

非英語作品がアカデミー賞を受賞したのは92回の歴史の中で初めてのことですが、過去に女性監督が監督賞を受賞したのも1回だけ(第82回『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督)です。

カンヌ国際映画祭のクオリティ

映画祭は世界中にたくさんありますが、三大映画祭と呼ばれるカンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭のグランプリ作品はアメリカの賞レースでも名前を連ねることが多いです。

ご存じの方も多いと思いますが、『パラサイト 半地下の家族』は2019年のカンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールを受賞しています。

昨年もヴェネチア国際映画祭グランプリの『ROMA/ローマ』とカンヌ国際映画祭グランプリの『万引き家族』がエントリーしました。

第90回アカデミー賞で作品賞と監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』はヴェネチア国際映画祭グランプリ作品でもあります。

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また、『ROMA/ローマ』との違いとして『パラサイト 半地下の家族』が娯楽映画の衣を纏った社会派映画で、考えさせられる映画であると同時に素直に笑える作品であったところもアカデミー賞の勝因になったかもしれません。

:動画配信サービスよる字幕文化の定着

世界中にで急激に浸透してきたのが、皆さんもご利用されているかと思われる定額制動画配信サービス

動画配信サービスの定着で、今までのソフトコンテンツビジネスとは比較にならないほど、作品が容易に国籍を超えるようになりました。

そのため、世界各国の人たちが非母国語の作品を字幕で見る機会が一気に増えました。

アメリカは字幕文化が定着しない国として知られています。

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もっとも国際的に使われれている英語の国であったこともありますが…。

ポン・ジュノ監督が1インチの壁と表現したこの字幕と言うこの障害ですが、動画配信サービスの浸透で、アメリカでも急激に払しょくされ始めています。

この流れの恩恵もあって、で『パラサイト 半地下の家族』を字幕で見ることの抵抗が一気に低くなり、今年のアカデミー作品賞に並んだ他の作品と平等に見られる環境が整いました。

配信作品でないというハードルの低さ

その動画配信サービスの作品ですが、その取扱いを巡って世界の映画界を二分する論争が起きています

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スティーブン・スピルバーグ監督などはNetflixの長編作品はいわゆるTV映画であるという発言をしています。

ヴェネチア国際映画祭はウェルカムの状態ですが、カンヌ国際映画祭はコンペティション部門へのエントリーすら認めていません。

その一方で、アカデミー賞における勢力は拡大し続けていて昨年が4作品15ノミネート、今年が8作品24ノミネートを記録。

これは23ノミネートのディズニーを抑えて全ての映画配給会社の中で最多の数となりました。

アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』など主要部門に絡んだ劇映画のほかにも長編ドキュメンタリー部門を受賞した『アメリカン・ファクトリー』などを送り込み着々と地ならしが進んでいます。

とは言え、Netflix作品に作品賞を贈っていいのかという躊躇がまだあるのも事実です。

こう考えたときに『パラサイト 半地下の家族』は絶妙な立ち位置の作品でした。

変革の象徴になりうる映画でありながら『パラサイト 半地下の家族』は配信作品ではない

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実はこのことがアカデミー賞会員の心理的ハードルを下げて、投票行動に大きく作用したかもしれません。

ハリウッドを意識した韓国の国策としての映画文化振興

今でこそ、映画大国の韓国ですが、このような状況になったのは90年代からの出来事です。

日本でもヒットした1999年の『シュリ』以降、ハリウッドクオリティと世界市場でのビジネスを想定した映画作りを国策として進め、資金、人材を投下していきました。

パラサイト 半地下の家族』は20年に及ぶ韓国の国策事業としての映画振興の一つの到達点であります。

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日本でも“クール・ジャパン”の大号令の下に映像コンテンツ製作を進めていますが、肝心の資金投入規模が圧倒的に少なく、周りの国から置いていかれ気味です。

韓国人監督のハリウッドデビューも進んでていて、話題作や意欲作を発表しています。

オールド・ボーイ』でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞しポン・ジュノ監督とともに国際的に高い評価を浴びているのがパク・チャヌク監督

そのパク監督は2013年にミア・ワシコウスカ主演、ニコール・キッドマン共演の『イノセント・ガーデン』でハリウッドデビューを飾りました。

また同じ2013年のアーノルド・シュワルツェネッガー主演作『ラストスタンド』の監督は『甘い人生』や『悪魔を見た』などで知られるキム・ジウン監督でした。

世界的なヒット

パラサイト 半地下の家族』が批評の面だけでなく興行収入の面でも世界的に成功を収めていることも大きな要因と言って良いでしょう。

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アメリカでも外国語映画としては異例の3600万ドルの興行収入を上げています。

日本でも動員が100万人を突破、アカデミー賞受賞の勢いもあって、興行収入30億円を超えてくるのではと言われています。

日本における韓国映画の最大のヒット作が興行収入30億円を記録した『私の頭の中の消しゴム』ですが、『パラサイト 半地下の家族』はこの数字を超えて、日本で一番ヒットした韓国映画になるかもしれません。

映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞が与える無限の可能性

パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞作品賞受賞によって、どの土俵で作られた映画であっても、アカデミー賞を狙えるという大きな可能性を創りました。

と、同時に、世界中のクリエイターに常にアカデミー賞を意識させる覚悟を抱かせることにもなりました。

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早くも来年のアカデミー賞が楽しみですね。

『パラサイト 半地下の家族』のさらに詳しいあらすじ・感想を読みたい方はこちら!

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