先日の2月10日(アメリカ時間で2月9日)第92回アカデミー賞の授賞式が行われました。
そして、作品賞・監督賞を含む最多受賞作品となったのがポン・ジュノ監督の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』です。
\🎊アカデミー賞最多4部門受賞🎊/
『 #パラサイト半地下の家族 』全世界、鳥肌熱狂‼️
映画の歴史を塗り替えた驚異の傑作✨作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞受賞🏆 迷わず劇場で、この傑作を体感して下さい💨
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非英語作品の作品賞受賞は92回の歴史を誇るアカデミー賞の中で初めてのことです。
昨年、アルフォンソ・キュアロン監督作品の全編スペイン語映画『ROMA/ローマ』が有力候補の一つになりましたが、監督賞・外国語映画賞・撮影賞は受賞したものの作品賞には届きませんでした。
そんな中で、ポン・ジュノ監督の全編韓国語映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、外国語映画賞から名称が変更された国際映画賞の4冠を達成。
大げさではなく世界の映画史に名を残す快挙と言っていい出来事です。
村松 健太郎
目次
『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を獲れた7つの理由
【速報】歴史的快挙‼‼
\🎊😭アカデミー賞 作品賞受賞😭🎊/
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貧富の格差という普遍的なテーマ
今、世界の上位100位までの富豪の総資産と世界の約半分の人口(主に貧困層)の収入の合計が同程度になっていると言われてます。
村松 健太郎
📺ただいま放送中⚡️
NHK「くらし☆解説」で『#パラサイト半地下の家族 』をただいまご紹介いただいています☺️❣️
イラストも交えて、”パラサイト”韓国映画にみる格差社会を解説📝 pic.twitter.com/NZcbGfOrKu
— 映画『パラサイト 半地下の家族』 (@Parasite_JP) February 14, 2020
今年のアメリカは大統領選挙の年でもあり、アカデミー賞もまた例年以上に世相を意識することになりました。
例えばアメリカとイランとの武力衝突が大規模な戦争状態に突入してしまっていたら『1917 命をかけた伝令』が受賞していたかもしれません。
アカデミー賞会員の変化
2016年の第88回アカデミー賞で主要部門の候補作が白人だけで固めらえた時には“白すぎるオスカー”という痛烈な批判を浴びました。
このことから、マイノリティ(有色人種、外国籍、そして女性)の会員を大幅に増やし、より国際色が強く、普遍的な作品選びをするように求められるようにもなりました。
そんな中で登場した『パラサイト 半地下の家族』は変革したい、変革をアピールしたいアカデミー賞にとっても絶好の存在となりました。
プラピの初受賞、信じてました(笑)ホアキンおめでとう!兄リバーの言葉を引用したスピーチに感動。そして史上初の外国語映画の作品賞、パラサイト凄い!スコセッシ監督をリスペクトしたポンジュノ監督のスピーチもよかった。
数年前の白すぎるオスカー批判から、歴史が変わる素晴らしき受賞式でした。 pic.twitter.com/vZWaXr6OST— Jun K (@denoudo) February 10, 2020
村松 健太郎
非英語作品がアカデミー賞を受賞したのは92回の歴史の中で初めてのことですが、過去に女性監督が監督賞を受賞したのも1回だけ(第82回『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督)です。
カンヌ国際映画祭のクオリティ
映画祭は世界中にたくさんありますが、三大映画祭と呼ばれるカンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭のグランプリ作品はアメリカの賞レースでも名前を連ねることが多いです。
ご存じの方も多いと思いますが、『パラサイト 半地下の家族』は2019年のカンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールを受賞しています。
🏆第72回カンヌ国際映画祭【最高賞】パルムドール受賞🏆
ポン・ジュノ監督最新作『#パラサイト 半地下の家族』(英題:Parasite)の邦題&2020年1月TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開が決定🎬
想像を遥かに超える展開に、世界中が魅了され、爆発的盛り上がりを見せる大傑作‼️公開をお楽しみに🙌 pic.twitter.com/hxJmU7lkEv
— 映画『パラサイト 半地下の家族』 (@Parasite_JP) August 6, 2019
昨年もヴェネチア国際映画祭グランプリの『ROMA/ローマ』とカンヌ国際映画祭グランプリの『万引き家族』がエントリーしました。
第90回アカデミー賞で作品賞と監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』はヴェネチア国際映画祭グランプリ作品でもあります。
村松 健太郎
動画配信サービスよる字幕文化の定着
世界中にで急激に浸透してきたのが、皆さんもご利用されているかと思われる定額制動画配信サービス。
動画配信サービスの定着で、今までのソフトコンテンツビジネスとは比較にならないほど、作品が容易に国籍を超えるようになりました。
そのため、世界各国の人たちが非母国語の作品を字幕で見る機会が一気に増えました。
アメリカは字幕文化が定着しない国として知られています。
村松 健太郎
ポン・ジュノ監督が1インチの壁と表現したこの字幕と言うこの障害ですが、動画配信サービスの浸透で、アメリカでも急激に払しょくされ始めています。
この流れの恩恵もあって、で『パラサイト 半地下の家族』を字幕で見ることの抵抗が一気に低くなり、今年のアカデミー作品賞に並んだ他の作品と平等に見られる環境が整いました。
配信作品でないというハードルの低さ
その動画配信サービスの作品ですが、その取扱いを巡って世界の映画界を二分する論争が起きています。
村松 健太郎
ヴェネチア国際映画祭はウェルカムの状態ですが、カンヌ国際映画祭はコンペティション部門へのエントリーすら認めていません。
その一方で、アカデミー賞における勢力は拡大し続けていて昨年が4作品15ノミネート、今年が8作品24ノミネートを記録。
これは23ノミネートのディズニーを抑えて全ての映画配給会社の中で最多の数となりました。
『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』など主要部門に絡んだ劇映画のほかにも長編ドキュメンタリー部門を受賞した『アメリカン・ファクトリー』などを送り込み着々と地ならしが進んでいます。
㊗第92回 #アカデミー賞
🏆助演女優賞受賞🏆ローラ・ダーン
『#マリッジ・ストーリー』凄腕離婚弁護士役で圧巻の存在感👏#ネトフリ #Oscars #Oscars2020 pic.twitter.com/AgG0FwI8fn
— Netflix Japan (@NetflixJP) February 10, 2020
㊗第92回 #アカデミー賞
🏆長編ドキュメンタリー賞受賞🏆『アメリカン・ファクトリー』
オバマ夫妻設立のハイヤー・グラウンド・プロダクションズとの共同製作によるドキュメンタリー。#ネトフリ #Oscars #Oscars2020 pic.twitter.com/ymQMI6fqWK— Netflix Japan (@NetflixJP) February 10, 2020
とは言え、Netflix作品に作品賞を贈っていいのかという躊躇がまだあるのも事実です。
こう考えたときに『パラサイト 半地下の家族』は絶妙な立ち位置の作品でした。
変革の象徴になりうる映画でありながら『パラサイト 半地下の家族』は配信作品ではない。
村松 健太郎
ハリウッドを意識した韓国の国策としての映画文化振興
今でこそ、映画大国の韓国ですが、このような状況になったのは90年代からの出来事です。
日本でもヒットした1999年の『シュリ』以降、ハリウッドクオリティと世界市場でのビジネスを想定した映画作りを国策として進め、資金、人材を投下していきました。
『パラサイト 半地下の家族』は20年に及ぶ韓国の国策事業としての映画振興の一つの到達点であります。
村松 健太郎
WOWOWで町山さんが国策として日本映画を「質的」に成長、向上させてこなかったことに苦言を呈してたけど、本当にそう思う。今になってツケが回ってきた。韓国映画の成長が著しい。頑張れ、日本映画。#アカデミー賞 #Oscars #Oscars2020 pic.twitter.com/TkYFAlQeuQ
— たいむぽっかん (@cimemantaro) February 10, 2020
韓国人監督のハリウッドデビューも進んでていて、話題作や意欲作を発表しています。
『オールド・ボーイ』でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞しポン・ジュノ監督とともに国際的に高い評価を浴びているのがパク・チャヌク監督。
そのパク監督は2013年にミア・ワシコウスカ主演、ニコール・キッドマン共演の『イノセント・ガーデン』でハリウッドデビューを飾りました。
また同じ2013年のアーノルド・シュワルツェネッガー主演作『ラストスタンド』の監督は『甘い人生』や『悪魔を見た』などで知られるキム・ジウン監督でした。
世界的なヒット
『パラサイト 半地下の家族』が批評の面だけでなく興行収入の面でも世界的に成功を収めていることも大きな要因と言って良いでしょう。
村松 健太郎
日本でも動員が100万人を突破、アカデミー賞受賞の勢いもあって、興行収入30億円を超えてくるのではと言われています。
\放送中‼️TBS「 #王様のブランチ」映画ランキング3位に📺/
なんと2週連続ランクアップ⤴️⤴️
『#パラサイト半地下の家族』が並いる話題作をぐんぐん引き離し、3位にランクイン‼️2/10はアカデミー賞の発表も💓快進撃は止まりません💥大ヒット上映中🎬 pic.twitter.com/kBMZUjFLFC
— 映画『パラサイト 半地下の家族』 (@Parasite_JP) February 8, 2020
日本における韓国映画の最大のヒット作が興行収入30億円を記録した『私の頭の中の消しゴム』ですが、『パラサイト 半地下の家族』はこの数字を超えて、日本で一番ヒットした韓国映画になるかもしれません。
『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞が与える無限の可能性
📺スッキリにて紹介中🐕🐩
『#パラサイト半地下の家族』が受賞!そのワケは…
①“みんなが好きな作品”
②“字幕の壁”を超えた
説明台詞が少ない、映像でみせる醍醐味!
③娯楽作だけど社会派驚きを隠せない加藤さんも納得の様子!👀#スッキリ@ntv_sukkiri pic.twitter.com/mBZRtwUD4R
— 映画『パラサイト 半地下の家族』 (@Parasite_JP) February 11, 2020
『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞作品賞受賞によって、どの土俵で作られた映画であっても、アカデミー賞を狙えるという大きな可能性を創りました。
と、同時に、世界中のクリエイターに常にアカデミー賞を意識させる覚悟を抱かせることにもなりました。
村松 健太郎