第2次世界大戦下のナチス・ドイツをテーマに描く「ナチス映画」。
ナチスが登場する映画は毎年多くのジャンルが製作されており、史実をもとにしたシリアスな作品から、ナチスをギャグにしたコメディまで様々です。
語るべきメッセージが多いからこそ、日本でも毎年のようにたくさんの作品が公開されるナチス映画。
この記事では、ナチスが登場するおすすめ映画を厳選してご紹介します!
目次
- 1.ナチスが登場するおすすめ映画32選!
- 1.1『ヒトラー~最期の12日間~』
- 1.2『シンドラーのリスト』
- 1.3『ライフ・イズ・ビューティフル』
- 1.4『ジョジョ・ラビット』
- 1.5『戦場のピアニスト』
- 1.6『ナチス 第三の男』
- 1.7『縞模様のパジャマの少年』
- 1.8『イングロリアス・バスターズ』
- 1.9『名もなき生涯』
- 1.10『帰ってきたヒトラー』
- 1.11『異端の鳥』
- 1.12『さよなら、アドルフ』
- 1.13『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』
- 1.14『ある画家の数奇な運命』
- 1.15『アイアン・スカイ』
- 1.16『独裁者』
- 1.17『アーニャは、きっと来る』
- 1.18『アフリカン・カンフー・ナチス』
- 1.19『夜と霧』
- 1.20『アメリカン・ヒストリーX』
- 1.21『SKIN/スキン』
- 1.22『グリーンルーム』
- 1.23『ワルキューレ』
- 1.24『ユダヤ人を救った動物園〜アントニーナが愛した命〜』
- 1.25『意志の勝利』
- 1.26『ヒトラーに盗られたうさぎ』
- 1.27『ベル&セバスチャン』
- 1.28『サウンド・オブ・ミュージック』
- 1.29『ヒトラーに屈しなかった国王』
- 1.30『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
- 1.31『ヒトラーの忘れもの』
- 1.32『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』
- 2.ナチスが登場するおすすめ映画32選!まとめ
ナチスが登場するおすすめ映画32選!
『ヒトラー~最期の12日間~』
- ナチス総統アドルフ・ヒトラーの個人秘書の目を通して描かれた実録ドラマ
- ベルリン市街戦を背景にヒトラーたちが地下壕で過ごした最期の日々が描かれる
- 「総統閣下シリーズ」として日本ではネット民たちに愛される
マルコヤマモト
今作は、1945年4月に起こったベルリン市街戦を背景に、ナチス・ドイツの総統、アドルフ・ヒトラーが地下壕で過ごした最期の12日間を、彼の秘書の目を通して克明に描いた実録ドラマ。
歴史学者ヨアヒム・フェストによる同名の研究書及び、ヒトラーの個人秘書であったトラウドゥル・ユンゲの回想録を基に製作されました。
この頃、ナチス・ドイツの敗戦を疑う者はいませんでしたが、ヒトラーは正常な判断を失い、わずかに残った軍勢に対して挽回を命じたことから惨状はさらに悪化。
狂気の独裁者を前に様々な決断をするものが現れるなか、その一部始終を間近でみてきた側近・ユンゲは、ヒトラーから遺書の口述筆記を依頼されます。
監督は『es』のオリバー・ヒルシュビーゲルが務め、アカデミー外国語映画賞にノミネートされただけでもなく、ヒトラーが激昂するシーンのパロディ「総統閣下シリーズ」もネット民の間で話題になりました。
割と史実に沿った物語で、ある程度の知識があれば今作で補完することは可能です。
ヒトラーの人物像についても怪物としてだけでなく、人間臭い瞬間も描かれているので、ナチス・ドイツの歴史的真実とは別に、歴史を多角的見ることの大切さも学べます。
マルコヤマモト
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『シンドラーのリスト』
- スティーヴン・スピルバーグ監督によるホロコーストの真実を描いたドラマ
- 1000人以上のユダヤ人の命を救ったドイツ人実業家、オスカー・シンドラーの物語
- アカデミー賞において7部門を受賞した名作
1994年公開の『シンドラーのリスト』は、スティーヴン・スピルバーグ監督がホロコーストの真実を描いた感動ドラマ。
マルコヤマモト
ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺から多くの命を救ったドイツ人実業家、オスカー・シンドラーの実話をリーアム・ニーソンを主演に迎えて描き、第66回アカデミー賞で作品賞を含む7部門を受賞しました。
ポーランドで工場経営を始め、ユダヤ人の労働力によって事業を拡大していったドイツの実業家、オスカー・シンドラー。
やがてナチス・ドイツによるユダヤ人迫害がエスカレートし、現実を目の当たりにしたシンドラーは、ユダヤ人救済のために動き出します。
「あくまで労働力」としてユダヤ人を雇っているということに「自分は偽善者なんだ」という葛藤があったからこそ、ユダヤ人を不当から救いたいという気持ちが心から芽生え、このような偉業を成し遂げられたのだと思います。
『シンドラーのリスト』は、たくさんの命が救われた物語である反面、描かれていない部分の残虐さがあり、それこそが歴史の真実であることを肝に銘じておかなければなりません。
マルコヤマモト
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『ライフ・イズ・ビューティフル』
- イタリアの喜劇俳優ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務めた戦争映画
- ナチスの収容所に収監されたユダヤ系イタリア人一家の様子をユーモアを交えて描く
- 子供の笑顔を守るために嘘をつき続けた父親の愛に涙すること間違いなし
次にご紹介する作品は、1999年公開の『ライフ・イズ・ビューティフル』。
イタリアの喜劇俳優ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務め、ナチス・ドイツの強制収容所に収監されたユダヤ人一家の物語を、ユーモラスな演出と視点で描きました。
マルコヤマモト
イタリアのイタリアの小さな町にやって来たユダヤ系イタリア人のグイドは、教師のドーラと出会い、結婚。
息子のジョズエを設け3人で幸せに暮らしていましたが、彼らの住む町にもユダヤ人迫害の波が迫り、3人は強制収容所へ連れて行かれてしまいます。
怯えるジョズエに対して父・グイドは現実を悟られないよう、ひたすら陽気に嘘をつき続けます。
ナチス・ドイツの行ったホロコーストについて、ユダヤ系イタリア人の親子の目を通して描いた作品で、第71回アカデミー賞で主演男優賞、外国語映画賞、作曲賞を受賞、第51回カンヌ国際映画祭ではグランプリを受賞しました。
自分たちが置かれた過酷な状況を理解しつつも、幼い息子の笑顔を守るために最後まで弱さを見せず振る舞うグイドの、真の父親の強さと愛に心を打たれました。
マルコヤマモト
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『ジョジョ・ラビット』
- 第2次世界大戦下のドイツに暮らす人々の物語をユーモアを交えて描く
- タイカ・ワイティティ監督がアカデミー脚色賞を受賞
- 子供と一緒に観て考えて欲しい、全年齢向けのおすすめ戦争映画
マルコヤマモト
『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティが監督を務め、第2次世界大戦下のドイツに生きる人々をユーモアを交えて描く戦争ドラマです。
10歳の少年・ジョジョは空想上の友達であるアドルフの助けを借りながら、ナチス・ドイツの立派な兵士になることを夢見て「ヒトラーユーゲント」のキャンプでの訓練に励んでいました。
しかしある日、自宅の屋根裏部屋に母親がユダヤ人少女を匿っていることに気づいてしまいます。
監督を務めたタイカ・ワイティティが、ジョジョの空想上の友達のアドルフ役を兼任し、第92回アカデミー賞では脚色賞を受賞しました。
ジョジョの母親役をスカーレット・ヨハンソン、教官のクレツェン・ドルフ大尉をサム・ロックウェルが演じるなど、共演陣も超豪華。
戦時下の「悪のドイツ」ではなく戦争による支配に争う人々の優しさと、ユダヤ人少女・エルザと出会ったジョジョの心の変化を描いた傑作です。
主人公が10歳の少年だけあって、ぜひ子供と一緒に見て考えて欲しい戦争映画。
マルコヤマモト
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『戦場のピアニスト』
- ホロコーストを生き抜いた実在するポーランド系ユダヤ人ピアニストの回想録
- ロマン・ポランスキー監督が渾身で撮り上げ、世界の賞レースを席巻
- エイドリアン・ブロディが演じるシュピルマンのピアノも素晴らしい
2015年公開の『戦場のピアニスト』は、ホロコーストを生き抜いたユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの回想録を映画化した戦争ドラマ。
自らもゲットーで過ごした経験があるロマン・ポランスキー監督がまさに渾身で作り上げた今作は、第55回カンヌ国際映画祭ではパルムドールを受賞。
第75回アカデミー賞では作品賞を含む7部門にノミネートされ、監督賞とエイドリアン・ブロディの主演男優賞を含む3部門で受賞を果たしました。
マルコヤマモト
ナチス・ドイツがポーランドへの侵攻を始めた1939年、ワルシャワの放送局で演奏をしていたピアニストのシュピルマンは、ゲットーへ移住させられます。
やがて何十万人ものユダヤ人が強制収容所へ連行されるなか、奇跡的に難を逃れたシュピルマンは、なんとかして身を隠して生き延びようと考えますが、ある夜、ついに1人のドイツ人将校に発見されてしまいます…。
ポランスキー監督自身の経験が生きている作品で、ボロボロになったシュピルマンの細い指から奏でる旋律、瓦礫だらけのワルシャワの街、そこを歩かされるユダヤ人の姿が脳裏に浮かび、とても切ない気持ちになります。
何度見てもおなじ人間がやっていることとは思えませんし、実際に数十年前に起こっていた出来事だと考えると、とても胸が痛む作品です。
マルコヤマモト
『ナチス 第三の男』
- 「金髪の野獣」として恐れられたラインハルト・ハイドリヒの物語
- チェコ亡命政府が派遣した兵士によるハイドリヒ暗殺計画を描く
- 原作は本屋大賞翻訳部門の1位に輝いらローラン・ビネの世界的ベストセラー
2019年公開の『ナチス 第三の男』は、第2次世界大戦時のドイツで、ヒトラー、ヒムラーに続いて第三の男と称されたラインハルト・ハイドリヒとその暗殺計画について描いた戦争ドラマ。
本屋大賞翻訳部門の1位に輝いたローラン・ビネの世界的ベストセラーを、『フレンチ・コネクション 史上最悪の麻薬戦争』のセドリック・ヒメネス監督、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』のジェイソン・クラーク主演で映画化しました。
その残虐非道さからヒトラーも恐れ、ナチス党内で「金髪の野獣」として恐れられたラインハルト・ハイドリヒは、150万人ものユダヤ人虐殺の首謀者として絶大な権力を誇っていきました。
そんなハイドリヒの暴走を止めるため、チェコ亡命政府は2人の若き兵士を暗殺チームとしてプラハに潜入させます。
ナチス側とレジスタンス側の足跡や暗殺の瞬間を忠実に再現しており、観る側に圧倒的なリアリティを感じさせてくれる映画です。
しかしながら双方の視点が分かれることで、どちらの視点で物語を追って良いかは正直迷い、映画を見た方の中でも賛否両論となっています。
史実ではハイドリヒが暗殺された後にプラハでは大規模なナチスによる報復が始まり、捜査のために大勢の人が拘束・処刑されたということです。
マルコヤマモト
『縞模様のパジャマの少年』
- ジョン・ボインの世界的ベストセラーを映画化
- 第2次世界大戦下で友情を育んだ無垢な少年たちの物語
- 無垢すぎるが故の悲惨な結末に言葉を失う
2009年公開の『縞模様のパジャマの少年』は、強制収容所の柵越しに友情を育んだ2人の少年を描いたジョン・ボインの世界的ベストセラー小説を映画化した戦争ドラマ。
『ブラス!』『リトル・ヴォイス』のマーク・ハーマン監督がメガホンを取りました。
舞台は第2次世界大戦下のドイツ、ナチスの高官を父親に持つ少年・ブルーノは、父親の仕事の都合でベルリンから見知らぬ田舎町へ引っ越して来ましたが、友達もおらず退屈な日々を過ごしていました。
ある日、家から少し離れたところに農場のような施設を発見したブルーノは、そこで縞模様のパジャマを着た少年・シュムエルに出会い、友情を育みますが…。
ご想像の通り、農場=収容所、パジャマ=囚人服なのですが、大人に教えられない限り、無垢な子供にはそんなこと分かりません。
『縞模様のパジャマの少年』を観ると、戦争とはあまりにも無意味で、大人の勝手だということがよく分かります。
マルコヤマモト
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『イングロリアス・バスターズ』
- クエンティン・タランティーノ監督による痛快戦争アクション
- ユダヤ人女性とナチスを追うアメリカ軍人たちによる復讐劇を描く
- ナチス高官を演じたクリストフ・ヴァルツが映画祭で賞を総なめ
2009年公開の『イングロリアス・バスターズ』は、『パルプ・フィクション』『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノ監督が「復讐」をテーマに描いた戦争アクション。
クエンティン・タランティーノ監督が1979年公開の『地獄のバスターズ』に影響を受けて製作、ブラッド・ピットを主演に迎え、今作でナチス将校ハンス・ランダ役を演じたクリストフ・ヴァルツが第62回カンヌ国際映画祭で男優賞、第82回アカデミー賞で助演男優賞を受賞しました。
ナチスに家族を殺された映画館のユダヤ人女性館主・ショシャナと、ナチス軍人を標的とするレイン中尉率いるバスターズの復讐劇が交錯するストーリーが痛快!
タランティーノ監督にかかるとナチス映画もこうなるか!と唸るほどのエンタメ作品に仕上がっています。
今作の見どころはやはり賞を総なめにしたナチス親衛隊のハンス・ランダを演じるクリストフ・ヴァルツの何を考えているか分からない恐ろしい演技。
マルコヤマモト
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『名もなき生涯』
- テレンス・マリック監督が手がけたヒューマンドラマ
- ナチスへの忠誠を拒み続けた実在するオーストリアの農夫の物語
- 3時間超の長尺だがその分の見応えはバッチリある
2020年公開の『名もなき生涯』は、『ツリー・オブ・ライフ』『シン・レッド・ライン』のテレンス・マリック監督が、第2次世界大戦時にヒトラーへの忠誠を拒み続けたオーストリアの農夫、フランツ・イェーガーシュテッターの実話をもとに描いたヒューマンドラマです。
ドイツ出身のアウグスト・ディールが主演を務め、第72回カンヌ国際映画祭でエキュメニカル映画賞とフランソワ・シャレ賞を受賞。
また、『ヒトラー〜最期の12日間〜』でヒトラー役を演じ、今作にも出演したブルーノ・ガンツの遺作となりました。
第2次世界大戦下のオーストリアの美しい山村で、美しい妻と3人の娘と共に暮らしていた農夫のフランツは、激化する戦争へと狩り出されますが、ヒトラーへの忠誠を拒んだことで収監されてしまいます。
裁判を待つ妻のフランチスカは手紙を送ってフランツを励まし続けますが、彼女もまた裏切り者の妻として、村でひどい迫害を受けていたのです。
3時間を超える長尺ですが、重い・しんどいことを見越しても見応えがある作品。
セリフもほとんどないのですが、映像がとにかく美しく、テレンス・マリック監督作品の中では分かりやすい部類だと思います。
マルコヤマモト
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『帰ってきたヒトラー』
- ドイツのベストセラー小説を映画化したコメディ作品
- 21世紀にタイムスリップしてきたヒトラーがお笑い芸人として人気を博すという物語
- ヒトラーに対する地元の人へのインタビューなど素直なリアクションが楽しい
2016年公開のドイツ映画『帰ってきたヒトラー』は、ドイツの作家ティムール・ヴェルメシュによる、現代社会へ警鐘を鳴らしたベストセラーを映画化したコメディ作品。
現代にタイムスリップしてきたヒトラーが人気モノマネ芸人として大スターになるという物語を、ブラックユーモアたっぷりに描きます。
主演を務めたのは舞台俳優のオリヴァー・マスッチで、2時間以上もの特殊メイクを施してヒトラーそっくりに変身しました。
ある日、ヒトラーにそっくりな男が発見され、彼を見出したテレビマンによってテレビ出演させられる羽目に。
戸惑いながらも見事な演説を披露した男は観客たちの度肝を抜き、スターへの道を見事に駆け上がっていきます。
しかし、彼の正体は1945年から21世紀にタイムスリップして来た本物のアドルフ・ヒトラーだったのです。
マルコヤマモト
地元の人々のヒトラーに対する素直なリアクションは、大変興味深いです。
また、今作ではヒトラーがインターネットと出会ってしまったら…という世界線が描かれており、考えるだけで恐ろしいばかり。
マルコヤマモト
物語としても非常にうまくできている印象で、ブラックコメディ好きな人におすすめです。
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『異端の鳥』
- ホロコーストの生き残りであるイェジー・コシンスキの名作を映画化
- ホロコーストを逃れて疎開した少年の過酷な運命の旅を描く
- あまりの過酷さに途中退場者が続出した
2020年公開の『異端の鳥』は、ホロコーストの生き残りであるイェジー・コンシスキの名作を映画化した、人間と戦争の本質に迫った戦争ドラマ。
ナチスのホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が、行く先々での差別に抗いながら逞しく生きる姿と、ごく普通の人々が少年を「異物」として扱い徹底的に攻撃する姿を赤裸々に描きます。
ホロコーストを逃れるために田舎へ疎開するものの、預け先の老婆が死去し家が火事で燃えたことから旅に出ることになった1人の少年。
行く先々で彼を「異物」とみなす人々からの差別を受けながらも、生き延びようと必死にもがき続けます。
主人公の少年を演じたのは驚異の新人、ペトル・コトラール。
チェコ・出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて製作し、第76回ベネチア国際映画祭でユニセフ賞を受賞。
しかしながら少年が置かれる過酷すぎる状況に耐えられず、上映中に退出する人も続出しました。
ナレーションもなく会話も最小限で、淡々と進んでいくモノクロの作品だからこそ、登場人物の心情がリアルに浮かび上がります。
マルコヤマモト
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『さよなら、アドルフ』
- ドイツ敗戦直後にナチス高官の子供たちが経験する過酷な旅を描く
- オーストラリア出身のケイト・ショートランドが監督を務めた
- ホロコーストについて何も知らない子供たちのことを考えるとやるせなさが残る
2014年公開の『さよなら、アドルフ』は、第2次世界大戦直後のドイツを舞台に、ナチス高官の子供たちが辿る過酷な運命を描いたヒューマンドラマ。
デビュー作『15歳のダイアリー』で注目を浴びたオーストラリアの女性監督、ケイト・ショートランドがメガホンを取り、ブッカー賞の最終候補に選ばれたレイチェル・シェイファーの「暗闇のなかで。」という作品を原案に映画化しました。
1945年の春、ナチスドイツの敗戦後、ナチスの高官だった父親と母親が連合軍に連行された14歳の娘・ローレルは、幼い妹や弟たちを連れて遠く離れた祖母の家を目指すことに。
しかし、その最中でローレルが目にしたものはナチスがユダヤ人に対して行ってきた残虐な行為の数々でした。
今までの価値観を根底から覆されたローレルでしたが、そんな彼女を助けたのも、皮肉にもユダヤ人の青年・トーマスだったのです。
果たしてローレルたちは、無事に祖母の家に辿り着けるのでしょうか!?
ナチス・ドイツ敗戦直後を舞台に、ナチス高官の娘の視点を通してホロコーストの全貌を知る戦争ドラマ。
マルコヤマモト
自分たちの親が何をしていたのか子供は知らなかったのかと思うと、やるせない気持ちだけが残ります。
マルコヤマモト
『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』
- 2019年ロシアでNo.1ヒットとなったミリタリーアクション
- たった4人のソ連兵が1台の戦車を使って収容所脱出を試みる
- 撮影にはT-34の実車を使用!
2019年公開の『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は、ロシアで観客動員800万人、興行収入40億円を突破した2019年最大のメガヒット作となった戦車バトルアクション!
第2次世界大戦時、ナチス・ドイツの捕虜になったソ連兵がたった4人の味方と1台の戦車で敵の軍勢に立ち向かう姿を描きます。
『太陽に灼かれて』の名匠・ニキータ・ミハルコフが製作を務め、VFXにはインド映画『バーフバリ』のスタッフが集結し、撮影にはT-34の実車が使用されました。
ナチス・ドイツの捕虜となったソ連軍士官のイヴシュキンは、演習の相手を務めるように命令され、ソ連軍の戦車「T-34」の指揮を強制されます。
捕虜仲間を集めたイヴシュキンでしたが、実弾は与えられず死を待つのみ。
しかし、そんな運命を逆手に取った彼らは、決死の脱出作戦を立てて実行に移します。
シリアスな戦争映画かと思いきや、思い切ったバトルアクションだったことに驚き!
迫力満点の戦車同士のバトルや、緊張の脱出劇、そして男同士の友情が描かれるブロマンス映画としても見応えがバッチリです。
チャイコフスキーの「白鳥の湖」に合わせて戦車が華麗に舞うシーンには感動すら覚えます。
マルコヤマモト
『ある画家の数奇な運命』
- ドイツ最高峰の画家、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにした物語
- かつて自分の叔母をしに追いやったナチス高官の娘と、知らずに結婚してしまう
- 第91回アカデミー賞で外国語映画賞と撮影賞にノミネート
2020年公開の『ある画家の数奇な運命』は、現代美術界の巨匠と呼ばれるゲルハルト・リヒターの半生をモデルにドイツの「歴史の闇」と「芸術の光」を描いた感動作。
長編監督デビュー作『善き人のためのソナタ』で、アカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督がメガホンを取り、主人公のクルト役を『コーヒーをめぐる冒険』のトム・シリングが務めました。
ナチス政権下のドイツで、叔母の影響を受けて幼い頃から芸術に触れてきたクルト。
終戦後に東ドイツの美術学校に進学したクルトは、エリーという女性と恋に落ちます。
しかし、エリーの父親はかつて自分に影響を与えてくれた叔母を安楽死させたナチスの高官だったのです。
そのことを知らないまま2人は結婚し、東ドイツのアートに疑問を抱き始めたクルトは、西ドイツに亡命し、創作活動に没頭しますが…。
今作は、第75回ベネチア国際映画祭に出品され、第91回アカデミー賞の外国語映画賞と撮影賞にノミネートされました。
3時間超えの作品ですが、ストーリーや背景、物語の緩急がしっかりしているため、のめり込んで観れてしまいます。
大好きだった叔母を収容所送りにしたのは義父だったということがわかっても、言葉や法ではなく「絵」で主張するという方法が、クルトの真っ直ぐな生き方を表しているようで心に刺さりました。
マルコヤマモト
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『アイアン・スカイ』
- クラウドファンディングによって生まれたブラックユーモアたっぷりのSFアクション
- 月面裏に潜んでいたナチスが地球侵略にやってくる
- 大胆な設定が話題になりベルリン国際映画祭でプレミア上映もされた
2012年公開の『アイアン・スカイ』は、月の裏側に潜んでいたナチスがUFOの大群を率いて地球を侵略する、フィンランド・ドイツ・オーストリアの合作によるSFアクション。
クラウドファンディングによって映画制作の資金や脚本のアイデア、キャラクターの名前を募集した結果、約1億円を集めることに成功。
公開前から大胆な設定が話題となり、ベルリン国際映画祭ではプレミア上映されました。
2018年、アメリカ大統領選のPRのために月面を訪れた黒人モデルのワシントン。
無事月面に到着したものの、その直後にナチスの月面親衛隊・クラウスに拉致されてしまいます。
なんとナチス・ドイツは第2次世界大戦後に月面に逃亡し、それから70年間、地球への侵略の機会を狙っていたのです…!
ナチスが登場する作品のなかでは、ふざけた部類にされてしまうトンデモ映画。
黒人の肌の色を変えて白人化するという人体実験は、ギャグにしているもののなかなかにエグく、割とギリギリな線での笑いが続きます。
マルコヤマモト
もちろんナチスだけではなく、アメリカや日本、北朝鮮など世界各国へのブラックユーモアもたっぷりで、このような素晴らしいコメディがフィンランド・ドイツ・オーストリアの合作で生まれたことは、まさに奇跡と言えるでしょう。
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『独裁者』
- チャップリンがヒトラーの独裁政治を痛烈批判した風刺コメディ
- チャップリンが1人2役を見事に演じた
- 戦後15年経ってから日本でも公開され大ヒットを記録した
マルコヤマモト
1940年製作の『独裁者』は、チャーリー・チャップリン初のトーキー作品で、最高傑作とも言われる風刺コメディ。
『チャップリンの独裁者』というタイトルでも知られています。
第1次世界大戦末期、ヨーロッパの架空の国トメニア国の兵士として出兵していたユダヤ人の床屋・チャーリーは戦争で傷を負い全ての記憶を失ってしまいます。
戦後、トメニアは独裁者・ヒンケルが支配する国になり、ユダヤ人迫害を開始。
そんななか、変わり果てた祖国の姿を知らないチャーリーがゲットーに帰還し、ひょんなことから独裁者・ヒンケルと入れ替わってしまうことから起こる騒動を描きます。
チャップリンが監督・脚本・製作・主演で1人2役を見事に務め、ヒトラーによる独裁政治に対して痛烈批判をしながら、ヨーロッパにおけるユダヤ人の苦境をコミカルかつ生々しく描いた作品です。
日本での公開は第2次世界大戦終結から15年後の1960年でしたが大ヒットを記録し、興行収入は1億6,800万円を記録しました。
戦争映画でありながらも随所に笑いが散りばめられており誰でも観やすい作品ですが、ヒンケルに間違えられたままチャーリーが行った演説が今作の伝えたいことそのもの。
マルコヤマモト
『アーニャは、きっと来る』
- マイケル・モーパーゴの児童小説を映画化したヒューマンドラマ
- 主演は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のノア・シュナップ
- ナチスに極秘でユダヤ人の子供たちをスペインに逃す計画を描く
2020年公開の『アーニャは、きっと来る』は、イギリスの児童文学作家、マイケル・モーパーゴの同名小説を映画化したヒューマンドラマ。
ナチス占領下のフランスの小さな村で起こった奇跡を描きます。
Netflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のノア・シュナップが主演を務め、祖父のアンリ役をジャン・レノ、救出作戦の指導者となるオルカーダをアンジェリカ・ヒューストンが演じました。
1942年、ピレネー山脈の麓の小さな村で羊飼いとして暮らす13歳の少年・ジョー。
ユダヤ人の青年・ベンジャミンと出会い、彼がユダヤ人の子供たちを安全なスペインへ逃す計画を企てていることを知り、ジョーも計画を手伝うことに。
その一方で個人的な悲しみを共有することで、ドイツ軍の下士官との仲を深めるジョー。
強制労働所から帰還した父親も計画を手伝うことになり、一致団結して子供たちを逃す日が迫るなか、ベンジャミンが待つ少女・アーニャが一向に現れず…。
牧歌的な風景と羊飼いの少年…という戦争の影響を全く受けそうにない小さな村にまでも、こんなことがあったのだなということがわかります。
児童小説が原作のため、ナチスによるユダヤ人迫害を描いていても残酷描写は少なく、それよりもジョーや村人たちの優しさや心の温かさが印象に残る作品です。
マルコヤマモト
『アフリカン・カンフー・ナチス』
- 生き延びたヒトラーと東條英機がガーナを拠点に世界征服を企む物語
- セバスティアン・スタイン監督とニンジャマン監督がタッグを組んだカンフーアクション
- ギャグとして観るのが1番な、笑えるナチス映画
2021年公開の『アフリカン・カンフー・ナチス』は、第2次世界大戦後、ヒトラーと東條英機が密かに生き延びており、アフリカのガーナで世界征服をするための武闘会を開催するという、トンデモな物語が展開するカンフーアクション映画。
第2次世界大戦後、生き延びたヒトラーは東條英機とともにアフリカのガーナに辿り着いて現地を制圧し、血塗れた党旗を使って人々を洗脳していました。
そしてガーナを拠点に、再び世界征服を企んでいたのです。
ヒトラーたちによって地元のカンフー道場を潰され、恋人までも奪われた青年・アデーは、復讐をするために最強のカンフーを習得するための修行に励みます。
あらすじを読んだだけでも『アイアン・スカイ』以上にトンデモ映画ということがわかります。
今作は日本在住のドイツ人映画監督セバスティアン・スタインと、ガーナのジョージ・ルーカスと名高いニンジャマンとタッグを組んで製作。
スタイン監督自らがヒトラーを演じ、監督の友人で何でも屋の一般人・秋元義人が空手の達人である東條英機を演じました。
製作の背景だけでも情報量がエグいくらいにてんこ盛りで、逆に興味をそそられてしまいます。
マルコヤマモト
『夜と霧』
- ナチスによるホロコーストの事実を告発したドキュメンタリー
- アウシュヴィッツ強制収容所での様子をカラーとモノクロフィルムで描く
- 残虐すぎるシーンがあるため、日本公開の際は数分カットされている
1961年公開の『夜と霧』は、フランスのアラン・レネ監督によるアウシュヴィッツ強制収容所をめぐったドキュメンタリー映画の傑作。
第2次世界大戦の際にナチス・ドイツがアウシュヴィッツ強制収容所で、ユダヤ人を大量虐殺していた事実を告発した内容です。
32分という短い映像ながら、撮影当時のカラーフィルムと戦時中のモノクロのニュース・フィルムと写真が交互に映し出されるコラージュの手法でナチズムを痛烈に告発し、公開当時は世界中で論争を巻き起こしました。
マルコヤマモト
凄まじい靴の山、髪の毛の山、メガネの山、骨の山…。
閲覧注意どころではない残虐で悲しい映像の応酬に、目を背けたくなります。
強制収容所に収監された痩せこけた人々の顔や肉体は、メイクでは表しきれないほどの絶望を醸し出していました。
さらに今作ではその人たちが死後、どのような仕打ちを受けるのかまで見なくてはなりません。
ナチス・ドイツのホロコーストは鬼畜の所業で、人間が同じ人間にしていたこととして信じたくもありませんが、これが事実。
マルコヤマモト
『アメリカン・ヒストリーX』
- ネオナチの青年を主人公にしたヒューマンドラマ
- 主演のエドワード・ノートンが肉体改造の末、主人公のネオナチ青年を力演
- アメリカが抱える根深い人種差別の闇について気付かされる
2000年公開の『アメリカン・ヒストリーX』は、白人至上主義者だった青年とその弟の絆、そして彼らを待つ悲愴な運命を描いたヒューマンドラマの傑作。
『ファイト・クラブ』のエドワード・ノートンが主演を務め、徹底した肉体改造を経てネオナチの男を力演し、第71回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
黒人を殺したことで投獄された、白人至上主義を掲げるネオナチの青年・デレク。
刑務所内で黒人の囚人たちと触れ合うことで今までの考えを改めたデレクが刑期を終えて家へ戻ると、そこにはかつての自分のように白人至上主義に傾倒した弟のダニーがいました。
デレクは、ならず者同士による暴力と報復の悪循環から弟を救い出そうとしますが…。
現代にナチズムを復興しようと考えたり、類似性を持つ「ネオナチ」の青年を通して、アメリカに残る人種問題や貧富の差を浮き彫りにした物語です。
エドワード・ノートンの演技力に圧倒され、改めてアメリカが抱える人種問題の闇の深さについて気付かされます。
見ていて辛いシーンが多く、終盤あたりからだだよう不穏さと結末にメンタルをごっそり持っていかれますが、観る価値がある作品です。
マルコヤマモト
『SKIN/スキン』
- 人種差別集団の共同創設者のブライト・ワイドナーの実話を映画化
- 今作の短編バージョンはアカデミー賞で短編賞を受賞している
- 負の連鎖から脱却した男とその周囲の人間模様を描く
2020年公開の『SKIN/スキン』は、アメリカで発足した人種差別集団の共同創設者となったブライト・ワイドナーの物語を映画化した衝撃の社会派ドラマ。
『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルが主演を務め、憎悪に塗れた全身タトゥーの人種差別主義者の男を熱演しました。
スキンヘッドに無数のタトゥーを身体中に施した人種差別主義者のブライオンは、シングルマザーのジュリーと出会ったことから今までの悪行を悔い、新たな人生を築こうとします。
しかし、ブライオンとジュリーはそのことを許さない組織からの暴力にさらされることになってしまいます。
第91回アカデミー賞で短編賞を受賞した作品を、ガイ・ナティーヴ監督が再びメガホンを取って長編映画化。
憎悪の悪循環から抜け出した男を軸に、人種差別の非道性・人間の再生・社会の寛容さを描き出します。
ネオナチの思想の1つでもある人種差別主義について描いた作品ですが、ブライオンのように負の連鎖から脱却できる人が1人でも増えればいいなと思いました。
マルコヤマモト
しかしながら、アカデミー賞を受賞した短編の方が内容はより衝撃的。
マルコヤマモト
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『グリーンルーム』
- アントン・チェルチンが主演を務めたバイオレンススリラー
- 売れないパンクバンドがネオナチの巣窟から脱出を試みる
- まあまあなグロ描写あり。犬が怖い
2017年公開の『グリーンルーム』は、2016年6月に自動車事故で亡くなったアントン・イェルチン主演、『ブルー・リベンジ』で注目を浴びた新鋭ジェレミー・ソルニエ監督によるバイオレンススリラー。
パットがボーカルを務める極貧パンクバンド「エイント・ライツ」は、ツアーの途中でようやくライブ出演に漕ぎ着けますが、実はそのライブハウスはネオナチたちの根城だったのです。
そこで偶然ネオナチの殺人現場を目撃してしまったパットとバンドメンバーは、命を狙われる事態になってしまいます。
圧倒的不利な状況で楽屋(英語でグリーンルーム)に閉じこもったパットたちは、極悪非道なネオナチ軍団に立ち向かうことを決意します!
楽屋に閉じ込められたパンクバンドが、ネオナチの巣窟から脱出を試みるというガッツのあるストーリー。
冒頭、熱狂のライブシーンから若者の青春映画を予想させますが、楽屋に忘れ物を取りに行っってしまったことから、まあまあなグロが登場するスリラー映画へと大変身。
暴力描写やグロ描写が苦手な方はご注意ください。
マルコヤマモト
『ワルキューレ』
- トム・クルーズが主演を務めた実話ベースの戦争サスペンス
- 監督は『ユージュアル・サスペクツ』『ボヘミアン・ラプソディ』のブライアン・シンガー
- ナチス・ドイツ将校によるヒトラー暗殺計画を描く
2009年公開の『ワルキューレ』は、愛する祖国のためにヒトラーの暗殺を計画したドイツ人将校の実話をもとにした戦争サスペンス。
『ユージュアル・サスペクツ』で一躍注目を浴びたブライアン・シンガー監督がメガホンを取り、トム・クルーズが主演、ケネス・ブラナー、テレンス・スタンプ、ビル・ナイ、カリス・ファン・ハウテンら豪華キャストが共演を務めました。
第2次世界大戦末期、敗戦の色濃くなってきたナチス・ドイツとヒトラーに疑念を抱いた将校・シュタウフェンベルクは、祖国の未来を守るために反逆者となることを決意。
彼はヒトラーの危機管理オペレーション・ワルキューレ作戦を使って、ヒトラー暗殺を計画します。
1944年7月20日、ナチスのクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐を首謀者としたヒトラー暗殺計画を描いた物語ですが、作戦は失敗に終わっています。
結末がわかっているからこそ、劇中に登場する「世に示すのだ!”ヒトラー以外のドイツ人”もいると」というセリフが無性に苦しく感じますが、多くの人がヒトラーを盲信していた中で、行動を起こせたことは奇跡に近いと思います。
実話をもとに、可能な限り実際の事件が起こった場所で撮影するなど、こだわりを見せた映像も見どころ。
マルコヤマモト
『ユダヤ人を救った動物園〜アントニーナが愛した命〜』
- 300人のユダヤ人の命救った動物園園長夫婦の実話を描いた戦争ドラマ
- 主演のジェシカ・チャスティンが強くて美しい園長夫人を熱演
- 動物たちの命まで奪っていった戦争はやはり許せない
2017年公開の『ユダヤ人を救った動物園〜アントニーナが愛した命〜』は、第2次世界大戦中のポーランド・ワルシャワで、動物園の園長夫妻がユダヤ人300人の命を救った実話をもとにした戦争ドラマ。
『クジラ島の少女』のニキ・カーロが監督、『ゼロ・ダーク・サーティ』『オデッセイ』のジェシカ・チャスティンが主演を務め、強さと美しさを兼ね備えた園長夫人を演じました。
1939年の秋、ドイツのポーランド侵攻をきっかけに第2次世界大戦が勃発。
ワルシャワで世界最大規模の動物園を経営していた園長・ヤンとその妻・アントニーナは、ユダヤ人強制居住区域に忍び込んではユダヤ人を救出し、動物園の檻の中に匿うという奇策を実行していました。
もしもナチスに見つかった場合、自分たちだけでなく我が子の命までも狙われることになると理解しながら、アントニーナたちは困難に立ち向かっていきます。
マルコヤマモト
だからこそ、ドイツ軍による動物園爆撃のシーンは胸が痛みます。
戦争の理不尽さで息苦しくなりますが、動物が好きな方にはそれ以上に堪えるものがあるでしょう。
マルコヤマモト
『意志の勝利』
- レニ・リーフェンシュタール監督によるナチ党大会の記録映画
- 監督の作品を観て感動したヒトラーが撮影を依頼した
- ナチスの思想や主義を宣伝するプロパガンダ映画
1934年に製作された『意志の勝利』は、レニ・リーフェンシュタールが監督を務めたナチ党全国党大会の記録映画。
1934年にドイツのニュルンベルグで開催された国家社会主義ドイツ労働者党の、第6回全国党大会の様子が記録されている貴重な映像で、斬新なカメラワークや演出により芸術性が賞賛されましたが、もちろん戦後は評価が一転しました。
いわゆるナチスの思想や主義を宣伝するプロパガンダ映画です。
内容は、党大会の前日の様子から開会式、ヒトラーの演説から閉会式まで収められています。
もちろん、この映画をおすすめするかと言われたらしませんが、天才と称されたレニ・リーフェンシュタール監督の演出やカメラワークは完璧すぎで、当時はどれほどの人々がこの映像に魅了されたのか、と考えると恐ろしいものです。
マルコヤマモト
しかしながらこの映像から11年後、連合軍による爆撃を受けた同じ街で戦争犯罪者の裁判が行われ、絞首刑が実行されることを誰が予想できたでしょうか?
現在、ドイツでは法律によって『意志の勝利』の上映は一切禁じられています。
授業などで青少年に見せる場合にも、事前の入念な説明と警告が必要になっているということです。
マルコヤマモト
『ヒトラーに盗られたうさぎ』
- ドイツの絵本作家、ジュディス・カーの幼少期の体験を映画化
- ナチスからの迫害を逃れるために亡命生活を送った一家の物語を描く
- 残虐な描写よりはむしろ絆を深める家族や周りの人々の優しさを感じる作品
2020年公開の『ヒトラーに盗られたうさぎ』は、ドイツの絵本作家、ジュディス・カーが自らの少女時代の体験をもとに綴った「ヒトラーにぬすまれたももいろのうさぎ」を映画化した戦争ドラマ。
ナチス・ドイツからの迫害を逃れるためにアフリカのケニアに移住した家族を描いた『名もなきアフリカの地で』の監督を務めたカロリーヌ・リンクがメガホンを取り、『帰ってきたヒトラー』のオリヴァー・マスッチ、『ブレードランナー2049』のカーラ・ジュリらが出演しています。
ナチスが台頭する前の1939年、ドイツのベルリンに住む9歳の少女・アンナはある朝突然、母親から「家族でスイスに逃げる」と告げられます。
新聞やラジオでヒトラーに対する痛烈批判をしてきた演劇評論家の父親は、次の選挙でヒトラーが勝てば静粛が始まるという忠告を受けていたのです。
「持ち物は1つだけ」と言われたアンナは、大好きだったピンク色のうさぎのぬいぐるみに別れを告げて、過酷な亡命生活に踏み出していきます。
ヒトラーからの迫害を逃れるためにスイスへの亡命を図った一家が、困難を乗り越えることで絆を深めていく物語。
ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を描いた物語ですが、児童小説を原作にしているため残虐な描写は少なく、むしろ家族の絆や支えてくれた人々の心の温かさや優しさを感じる作品です。
大好きな家や街を離れるアンナが、家具や道端の石ころにまで「さよなら」を告げるシーンに胸を締め付けられました。
マルコヤマモト
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『ベル&セバスチャン』
- セシル・オーブリー原作の児童小説を映画化
- 少年と大型犬がユダヤ人の亡命を手助けする冒険物語
- アルプスの壮大で美しい景色に魅了される
2015年公開の『ベル&セバスチャン』は、セシル・オーブリー原作の児童小説を、『狩人と犬、最後の旅』を手がけ、自らも冒険家であるニコラ・バニエ監督がメガホンを取った冒険ドラマ。
マルコヤマモト
戦時中のアルプスの小さな村で、少年のセバスチャンは村人たちから「野獣」として狙われている大型犬と出会います。
グレートピレニーズという犬種の犬にベルと名前をつけ、村人たちから守り、次第に心を通わせていくベルとセバスチャン。
戦争が色濃くなった頃、ベルとセバスチャンはユダヤ人の一家をナチスから逃すために、案内人として冬のアルプス越えに挑むことになります。
モコモコフワフワの動物が登場する心温まるストーリーなのかなと思いきや、予想外の野犬との友情や亡命ストーリーにびっくり!
経験と知識からすぐに諦めてしまう大人に比べて、諦めずに信じて突き進む子供から学ぶことは多いなぁと思いました。
舞台となるアルプスの壮大で美しい風景も今作の見どころ。
マルコヤマモト
『サウンド・オブ・ミュージック』
- 長年にわたって愛されるミュージカル映画の傑作
- 「ドレミの歌」「エーデルワイス」など知っている曲ばかりが登場する
- 後半は意外と政治色が強め
1965年公開の『サウンド・オブ・ミュージック』は、リチャード・ロジャース作曲&オスカー・ハマースタイン2世作詞によるブロードウェイミュージカルの映画化。
アカデミー賞では作品賞を含む5部門を受賞し、公開以来世界中で愛される名作です。
「ドレミの歌」「私のお気に入り」「エーデルワイス」など劇中に登場する名曲の数々が物語を盛り上げます。
マルコヤマモト
冒頭からマリアのソロで始まる「サウンド・オブ・ミュージック」は、壮大なアルプスの景色とジュリー・アンドリュースの歌声が相まって圧巻で、一気に物語に引き込まれます。
家庭教師のマリアと子供たちが起こす騒動やトラップ大佐との恋物語を描くだけでなく、後半ではドイツ軍からの出頭を拒否したトラップ大佐一家がスイスに亡命するという展開が描かれます。
マルコヤマモト
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『ヒトラーに屈しなかった国王』
- ナチス・ドイツの侵略に抵抗したノルウェー国王の実話をもとにした戦争ドラマ
- ノルウェーで大ヒットしアカデミー賞の代表作品にも選出された
- 国王の言葉には現代の日本にも響くメッセージが…
2017年公開の『ヒトラーに屈しなかった国王』は、第2次世界大戦時にナチス・ドイツからの侵攻に対して激しく抵抗したノルウェーの国王・ホーコン7世を描いた戦争ドラマ。
『007 スペクター』の悪役ミスター・ホワイトや、『僕とカミンスキーの旅』のイェスパー・クリステンセンが主演を務め、ノルウェー国王の下した決断と運命の3日間を描きます。
1940年4月、ノルウェーにナチス・ドイツが侵攻を始め、主要都市を相次いで占領。
ドイツ軍はノルウェー軍に対して降伏を要求し、ドイツ公使と国王の謁見が設けられますが、ホーコン7世はその場でナチスの要求に従うか、国を離れて抵抗を続けるかのどちらかの選択を迫られることになります。
本国ノルウェーでは大ヒット、アカデミー外国語映画賞の代表作にも選出されました。
第2次世界大戦下におけるドイツ周辺国家のストレスや、ノルウェーの歴史を知ることができる貴重な作品。
「尊重するのは国民の意見だ」と言い切ってしまう強さを持つホーコン7世のような人こそが、人のトップに立つに相応しい人物だと思いました。
「政府は国民に選ばれた。政府は国民のためにある。」
マルコヤマモト
『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
- 「政界一の嫌われ者」ウィンストン・チャーチルを描いた歴史ドラマ
- 主演のゲイリー・オールドマンが特殊メイクでチャーチルになりきった
- 日本人のメイクアップ・アーティスト辻一弘が今作でアカデミー賞を受賞
2018年公開の『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』は、名優ゲイリー・オールドマンがイギリスの政治家ウィンストン・チャーチルを演じ、第90回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した歴史ドラマ。
また、ゲイリー・オールドマンから直々に使命を受けた日本人のメイクアップ・アーティスト、辻一弘もアカデミー賞を受賞し話題になりました。
第2次世界大戦初期の1940年、ダンケルクの戦いによりフランス陥落の危機まで陥った頃、「政界一の嫌われ者」イギリス首相のウィンストン・チャーチルにヨーロッパ中の運命が委ねられました。
政敵に追い詰められながら、チャーチルはヒトラーと戦うか屈するのかという究極の選択を迫られることになります。
『つぐない』のジョー・ライト監督が、チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる4週間の物語を描きます。
200時間以上のメイクを重ね、チャーチルそっくりに変身したゲイリー・オールドマンが披露する迫真の演技が見もの!
マルコヤマモト
トップならではの苦渋の決断や悩み、「1番大事なことは何?」と考えた時に国王の声がけによって国民の声を聞くという展開もアツいです。
ラスト4分間にわたるチャーチルの演説シーンは圧巻。
マルコヤマモト
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『ヒトラーの忘れもの』
- 第2次世界大戦直後のデンマークの知られざる史実を描いた戦争ドラマ
- 海岸に埋められた地雷撤去に当てられたドイツの少年捕虜兵たちの過酷な運命を描く
- 見ていられないくらいに辛い…けれどしっかりと観ておくべき作品
2016年公開の『ヒトラーの忘れもの』は、デンマークの残酷な史実を映画化した戦争ドラマ。
第2次世界大戦終戦直後のデンマークを舞台に、地雷撤去を強制されるドイツの少年兵たちの過酷な運命を描きます。
1945年の5月、ナチス・ドイツの占領から解放されたデンマークに、ドイツ軍が埋めた地雷撤去のために捕虜のドイツ兵が駆り出されることになります。
彼らのことを厳しく監督するデンマーク軍のラスムスン将軍でしたが、いつしか若い少年たちに罪を償わせることに対して疑問に思うようになります。
第89回アカデミー賞にはデンマーク代表作品として出品されノミネート、第28回東京国際映画祭のコンペティション部門では、軍曹役のローラン・モラーと少年兵役のルイス・ホフマンが最優秀男優賞を受賞しました。
捕虜に強制労働をさせることは、ジュネーヴ条約でも禁止されており、デンマークでもあまり知られていない事実を描いたことで話題になりました。
マルコヤマモト
45,000個の地雷を撤去するまで帰れない、食料もろくに与えられずに家畜の餌を食べる、ついには地雷原に自ら踏み込んで自殺をする者が現れるなど、超過酷な現実にもうゲロゲロ…。
さすがに鬼の軍曹も「少年にここまで罪の償いをさせて良いのか」と、罪の意識に苛まれるのですが、上層部はそれを許さず彼らをさらに過酷な現場へ送るように命令するのです。
地雷が爆発するたびに涙が出そうになるほど、胸が締め付けられました。
ラスムスン将軍は、きっと少年たちを救うことで自分も救われたのではないかと思います。
マルコヤマモト
『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』
- ナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンを捕獲した検事の執念
- ナチス残党などからの妨害を受けながらアイヒマン捕獲までの道のりを描く
- 戦後にもまだ戦争は続いているというテーマについて考えさせられる
2017年公開の『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』は、第2次世界大戦後に国外に逃亡したナチスの戦犯、アドルフ・アイヒマンの捕獲作戦を描いた伝記映画。
アイヒマン捕獲を現実に導いたドイツ人検事長フリッツ・バウアーにスポットを当て、彼がどのようにして作戦を遂行していったかを明らかにします。
1950年代後半の西ドイツ・フランクフルトで、ナチスによる戦争犯罪者の告発に執念を燃やす検事長フリッツ・バウアーのもとに、数百万人のユダヤ人を強制収容所送りにしたアドルフ・アイヒマンがアルゼンチンに潜伏しているという重大情報を記した手紙が届きます。
アイヒマンの罪を問うために、バウアーは部下のカールとともに潜伏場所の特定に奔走しますが、ドイツ国内に巣食うナチス残党からの妨害や圧力を受けて、孤立無援の苦闘を強いられることに…。
そんな状況を打破するためにバウアーが考えついたのは、イスラエル諜報特務庁(モサド)に情報を提供するということでした。
しかしそれは、国家反逆罪にも問われかねない危険な行為で…!?
さらにはバウアーの失脚を企てる者も現れ、相次ぐサスペンス要素にハラハラが止まりません。
また、老いてなおナチ戦犯確保に情熱を燃やすバウアーの熱意が若手のカールに伝わるという展開もアツく、バディものとしても楽しめます。
マルコヤマモト
ナチスが登場するおすすめ映画32選!まとめ
マルコヤマモト
ナチスと聞くだけで嫌悪感を抱く人、ギャグで捉えている人、さまざまなリアクションがあるように、ナチスを扱った映画もその内容は様々です。
しかしながらナチスが登場する映画は、第2次世界大戦やその後の世界にまつわる様々な事件や出来事、人々の思いを感じられる奥深いジャンルでもあることがわかりました。
もちろんナチスが行ってきた所業は残虐で絶対に許せるものではなく、もちろんこれからも繰り返してはなりません。
マルコヤマモト
『ヒトラー~最期の12日間~』『シンドラーのリスト』『ライフ・イズ・ビューティフル』『ジョジョ・ラビット』『戦場のピアニスト』『ナチス 第三の男』『縞模様のパジャマの少年』『イングロリアス・バスターズ』『名もなき生涯』『帰ってきたヒトラー』『異端の鳥』『さよなら、アドルフ』『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』『ある画家の数奇な運命』『アイアン・スカイ』『独裁者』『アーニャは、きっと来る』『アフリカン・カンフー・ナチス』『夜と霧』『アメリカン・ヒストリーX』『SKIN/スキン』『グリーンルーム』『ワルキューレ』『ユダヤ人を救った動物園〜アントニーナが愛した命〜』『意志の勝利』『ヒトラーに盗られたうさぎ』『ベル&セバスチャン』『サウンド・オブ・ミュージック』『ヒトラーに屈しなかった国王』『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』『ヒトラーの忘れもの』『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』