戦争で両親を失い、兄妹と離れ離れになった奥原なつ(広瀬すず)が、十勝で育ち、アニメーターになっていく姿を描いた『なつぞら』の第2週9話。
すれ違い続けたなつ(栗野咲莉)と柴田家がついに再会。
これを泣かずに見れる人はいないだろうというほど、なつの感情が爆発した回でした。
しかも、予想だにしなかった演出に、唖然とするしかありません。
ではさっそく、私も感情の赴くままにレビューをしていきます。
目次
『なつぞら』第2週9話あらすじ
家を飛び出し帯広までやってきたなつ(粟野咲莉)は、川のほとりで魚釣りをする天陽(荒井雄斗)を見つける。
ひとりで来ていたなつを天陽は心配し声をかける。
なつは家族を待っていると強がるが、やがて天陽も家路に着き、ひとり河原に残されてしまう。
なつは父の形見の手紙を取り出し、読む。
涙があふれだすなつ。すると…
出典:NHK
【ネタバレ】『なつぞら』第2週(第9話)の感想
富士子(松嶋菜々子)の不安
なつ(栗野咲莉)を探しに河原を探しに来た柴田家。
しかし突然、柴田富士子(松嶋菜々子)は言います。
「私、自信がない。あの子の親になる自信が……。あの子は、他人の家族の中にいたら、いつまでたっても自分の家族を失った悲しみが癒えない。やっぱり、お兄さんたちといるのが一番なんだわ。」
娘の柴田夕見子(荒川梨杏)も、なつが何を考えているのかよくわからないと言いましたしね。
なつは、家族ではない自分たちと距離を置こうとしている感が、夕見子にも富士子にも伝わっていたのでしょう。
話の流れを考えれば、必要な言葉でした。
だが、朝からみんなで必死になつのことを探しているこのタイミングで言うかね?
そんなツッコミも入れたくなってしまいまいます。
なつ(栗野咲莉)は夢を見た
河原で魚を焼くなつ。
火を起こす術も知っているんですね。
1人になったことで。なつは父からの手紙を見て泣き出します。
そこには、家族で行ったお祭りの思い出が書かれていたのです。
その姿を想像したなつは、「夢を見た」と言います。
このエピソードこそ、アニメーターという道に進む第一歩だったのでしょう。
その夢が覚めるまで、なつはすぐそばに柴田泰樹(草刈正雄)や柴田剛男(藤木直人)がいることに気づくことはありませんでした。
なつにとっては素敵な思い出です。
その夢から覚め、現実を見た時、なつはまた泣き出してしまいました。
本当の家族にはなれない
河原で再会したなつと柴田家。
そこでなつは、また自分に家族がいない現実を突きつけられて泣き出してしまいます。
「どうして私には家族がいないの。」
「どうしていないの……どうして、どうして私には家族がいないの。」
「バカ野郎、ちくしょう、バカ野郎」
なつは、内に秘めた感情を爆発させると、泰樹の元へと走り出しました。
それを力強く受け止め、泰樹は言います。
「もっと怒れ。怒ればいい」
「お前にはもう、そばに家族はおらん。だがわしらがおる。一緒におる」
無理に本当の家族になろうとする必要はないのです。
しかし、孤独ではないということを知らされました。
このときの泰樹の必死な顔、泣き続けるなつに、涙腺が一気に緩みました。
そして、なつが富士子に勝手にいなくなったことを謝ると、富士子はもうなつを「かわいそうな子」という目で見ることはありません。
「またいなくなったら許さないからね!」
その顔は、母親の顔でした。
本当の母親になることはできません。そうなる必要もないのです。
この一件で、なつと柴田家の間には、なつと奥原咲太郎(渡邉蒼)や奥原千遥(田中乃愛)とは違う、また特別な絆ができたと実感した瞬間でした。
だからなつは、牛舎に戻った時、生まればかりの子牛にいいます。
「私が大丈夫なんだから、お兄ちゃんも千遥も大丈夫だよね?私、ここにいていいんだよね。」
良いに決まってますよ!なっちゃん。
アイスクリームは戦争が終わった味。
無事なつが見つかったことで、みんなは雪月へと戻っていきました。
そこでなつ達はアイスを食べました。
甘くておいしいアイスクリームは、戦争の終了の味といった剛男。
スゴく良い表現だなあと思いました。
それだけ戦争は辛く、終わってホッとすることができたという現れです。
これからのお菓子には、牛乳が必要不可欠だという小畑雪之助(安田顕)は、泰樹に対し「これからもおいしい牛乳をお願いします」と頭を下げました。
さて、北海道民なら気になるのはここです。
朝ドラはモデルとなった人物が存在します。
では、この雪月のモデルとは、小畑雪之助のモデルとは誰なのでしょうか?
現在候補に挙がっているのは、「柳月」と「六花亭」という二つの製菓店なのです。
名前からすれば「柳月」の方が近いのですが、六花亭の総合者の名前が「小田豊四郎」。
この謎の答えが見つかるのは、まだまだ先かもしれませんね。
最高の演出。なつ(栗野咲莉)の父はずっとそばにいた
これはやられたなぁーと思ったことが、今回はありました。
河原でなつが手紙を見つめると、なつの頭の中で、父の声が再生されたのです。
「この手紙を読んでいるということは、お父さんはもうこの世にはいない。でもお父さんはいつもお前たちのそばにいるぞ。」という温かい言葉です。
そのお父さんの声、とっても聞き覚えがあります。
ナレーションの内村光良さんです。
第8話の最後に「なつよ、そんなに寂しく笑って見せるな」というセリフが非常に哀愁が漂ったわけですが。
つまり本作『なつぞら』は、なつの父がナレーションをし、ずっとなつのことを見守っているスタイルであるということなんですね。
こんな演出が隠されていたことに今でも驚き…もう、語彙力が欠落してしまいました。
ナレーションも登場人物の1人なのだと、今回重々気づかされました。
参りました。
『なつぞら』第2週9話まとめ
ドラマが終わるラスト1分。
泰樹はなつを牛舎の奥に呼び、1つの樽を見せました。
「これは?」
「牛乳からバターを作る機会だ。これがわしの夢だ」
語り始めようとする泰樹の顔は非常に楽しそうです。
そこには、偏屈なガンコ爺という印象を持たせる姿が1ミリもありません。
なつが柴田家の人々に心を開いたと同じく、泰樹もなつに心を開いたのでしょう。
次回、泰樹がどんな夢を語り始めるのか?非常に楽しみです。
▼次回第10話も続けて読む▼