戦争で両親を亡くし、孤児となった奥原なつ(広瀬すず)が十勝で育ち、アニメーターになっていく姿を描く、記念すべき朝ドラ100作目『なつぞら』の第2週「なつよ、夢の扉を開け」第8話。
警察に保護されたなつ(粟野咲莉)が、「お便所貸してください」と言ってトイレに連れて行ってもらったなつ。
これはそのまま脱走するのでは?と思った昨日第7話の続きです。
果たして柴田家の人たちは、なつに会うことができるのでしょうか?
そして今回は、剛男(藤木直人)がなつを引き取りに孤児院へ行ったときの過去が明かされます。
目次
『なつぞら』第2週8話あらすじ
なつ(粟野咲莉)を探して警察を訪れた富士子(松嶋菜々子)や剛男(藤木直人)、泰樹(草刈正雄)たちは、なつが逃げたことを知り、言葉を失う。
手がかりを失った柴田一家は、帯広市内で菓子屋・雪月を営むとよ(高畑淳子)や雪之助(安田顕)のもとを訪ねる。
そこで剛男は、浅草の孤児院でなつと初めて出会ったときのことを、一同を前に語りだす。
出典:NHK
【ネタバレ】『なつぞら』第2週8話の感想
語られない歴史のお話
泰樹(草刈正雄)や剛男(藤木直人)は、なつ(粟野咲莉)が警察に保護されているかもしれないと思い警察署へ向かうと、やっぱりなつはトイレに行くふりをして逃げていました。
なつに何かしたのか?と詰め寄る剛男ですが、警察は何もしていないと言います。
保護しただけです。誰の目から見てもそうです。
しかし、剛男はすぐに、なつは孤児院にまた預けられると思ったから逃げたのだと勘づきました。
孤児院からなつを預かってきた身だからこそ、刈り込みに遭ったと思ったんだとわかったのでしょう。
刈り込みを知らない柴田夕見子(荒川梨杏)が「刈り込みって?」と聞きます。
「警察が戦災孤児を一斉に捕まえて、そういう施設に一斉に送ることなんだ。浮浪児を保護するというより、町をキレイニするために、まるで野良犬を捕まえるみたいに。」
例えはとってもわかりやすく、ものすごくヒドいことだとは、剛男の表情や口調からよくわかります。
が、警察の中で言っちゃだめですよ。
結局、警官には「そもそもあんたのところが嫌で逃げ出したんでしょ?」と一蹴され、成果はなく雪月に戻ってきました。
この「刈り込み」という事実、実は歴史の教科書には載らない出来事です。
しかし、ドラマや物語というものは、ときに歴史をきちんと描くことができます。そうして私たちは過去を知ることができるのです。
すべてを作られた物語と思い「面白かった」「泣けた」で終わらせるのは、少々もったいないことを私たちは知る必要があるのかもしれません。
剛男(藤木直人)しか知らないなつ(栗野咲莉)の父の話
そんなにまで、孤児院にいるお兄さんに会いたいんだ…という柴田富士子(松嶋菜々子)の言葉に対し、剛男はいいます。
「あの兄妹は特別な絆で結ばれているんだ」
そして、なつを孤児院に引き取りに行った時のお話しが始まりました。
どうやら、なつと兄の奥原咲太郎(渡邉蒼)は、同じ孤児院に預けられていたみたいです。
昨日の第7話までは、てっきり別々の孤児院に連れていかれたのだと勘違いしてしまいました。
じゃあどうしてなつだけ?と思った答えもここにありました。
剛男は2人の父親が遺した手紙を、咲太郎となつに渡します。
憲兵のチェックの入っていない、ありのままの想いが込められた手紙には、父の現状や、母のことを頼む、そして悲しむな、お前たちは元気に笑っていなさい…など、どの言葉も子供たちへの愛情であふれていました。
さらに、絵が上手であった父の絵も添えられ、なつはこれに涙します。
なつは父の絵が大好きだったと、第1週でも言っていましたし、アニメーターとなるきっかけのひとつです。本当に素敵な家族の絵が描かれています。
剛男が十勝へ行こうという話を提案すると、咲太郎は「なつだけ連れて行ってやってください」と言います。
その理由は、親戚の家に預けられた末っ子の奥原千遥(田中乃愛)がかわいそうだから、というものでした。
なんて妹想いな兄!うるっとします。
咲太郎は、働いて金を稼げるようになって、千遥のこともなつのことも必ず迎えに行く、そうなつに言ってなつを剛男の元に送り出しました。
咲太郎「おじさんお願いします。なつのことを幸せにしてください。不幸にしたら絶対許さねえからな!覚えとけ!」
剛男「はい!」
妹想い!泣くしかありませんでした。
妹を送り出す兄は悲しみや苛立ちがあるものも、それを笑って必死にごまかしていました。
それが、今のなつの笑顔になっているのです。
子どもはそうして生きていくしかない、なつは諦めたんだな…見ているこっちも思えました。
戦争がこういう結果を招いたのだと考えれば考えるほど、本当に嫌なものだと思わされます。
「君が寂しそうだからに決まってるだろ」って子供のセリフですか!?
「なつは賢い子だ、行くとすれば水のあるところだ」
どこまでも察しの良い柴田泰樹(草刈正雄)です。
警察の元を脱出したなつは、川で小枝を拾っていました。
そこで1人、釣りをしている男の子を見つけます。
遠目から見れば、なつには兄の咲太郎に見えたのでしょう。
近づいてみると、同じクラスの山田天陽(荒井雄斗)でした。
天陽が「ここで家族が来るのを待っている」というと、「私も」となつは言います。
「それって柴田家?」
なつはドキッとしたあと、笑顔で「そうだよ」と言います。
一緒になって魚釣りを始めるなつと天陽。
釣った魚を一匹欲しいとなつが言うと、天陽は「なにかあったのか?」と聞いてきます。
「なにもないよ、なんで?」となつが聞くと……
「君が寂しそうだからに決まってるだろ」
確かになつの表情は、悲しみMAXで、笑顔なんて作れない状態です。
それでも無理に笑顔を作っていれば、誰にでもすぐに辛いことがあったんだなあとわかります。
しかし天陽、その言葉は子供の口から出る言葉ですか!?
大人が言ってもなかなかのパワーワードになるのですが、それを子供が……。
この少年が後々に吉沢亮になるかと思えば、胸キュンワードでドキドキさせてくれるのではないかと期待に胸が膨らまずにはいられませんよ。
兄の山田陽平(市村涼風)が天陽を迎えに来たことで、なつはまた1人になります。
なつは天陽からもらった魚を一匹抱え、やはり悲しそうでした。
なつはこれからどうするのでしょう!急げ、柴田家!
『なつぞら』第2週8話まとめ
十勝川のシーンでは、なつ役の粟野咲莉ちゃんと天陽役の荒井雄斗くんが空き時間に川に石投げをして遊んでいました。2人はいつも一緒にいて、とても楽しそう♪#朝ドラ #なつぞら pic.twitter.com/cF4S8rRUzN
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) 2019年4月8日
ドラマの最後のナレーションの一言「なつよ、そんなに寂しく笑って見せるな」
今日の話はこの一言に尽きます。
ナレーションの内村光良さんがぽつりと言うものだから、哀愁の漂い度が何倍にも膨れ上がりました。
なつはこれからどうするのでしょうか。
そして柴田家はなつを見つけ出すことができるのでしょうか。
明日の第9話に期待です。
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