予告の時点で引き込まれる作品でしたが、いざ観てみると想像以上に物語の中に入り込んでしまい、心臓に大きな爪痕を残されました。
公開直後から話題になっていますが、それも納得の作品です!
- 草彅剛がトランスジェンダー役を熱演
- オーディションで選ばれ今作品初演技の服部樹咲
- 『バレエ』と『女性』をテーマにした悲しく切ないラブストーリー
それでは『ミッドナイトスワン』をネタバレありでレビューします。
目次
『ミッドナイトスワン』作品情報

©2020 Midnight Swan Film Partners
作品名 | ミッドナイトスワン |
公開日 | 2020年9月25日 |
上映時間 | 124分 |
監督 | 内田英治 |
脚本 | 内田英治 |
出演者 | 草彅剛 服部樹咲 田中俊介 吉村界人 真田怜臣 上野鈴華 佐藤江梨子 平山祐介 根岸季衣 水川あさみ 田口トモロヲ 真飛聖 |
音楽 | 渋谷慶一郎 |
【ネタバレ】『ミッドナイトスワン』あらすじ
トランスジェンダー凪沙
トランスジェンダーである凪沙(草彅剛)は、新宿のショークラブで働き、週に一度ホルモン注射を打つ日々。

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そして性転換のための貯金をしながらひっそりと暮らしています。
一方広島のある町で酔ったホステスの母親(水川あさみ)に「誰のために働いてると思っとるんじゃ!」と殴られている中学生の少女・一果(服部樹咲)がいました。

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少女は母親が寝た後、風呂場で自分の腕を噛んで気持ちを保っていました。
ある日、凪沙は故郷の広島から親戚の子・一果を預かることになります。
ネグレクトを受けていたため、一時的に東京に転校することになったのです。
「好きであんたを預かるわけじゃないから。言っとくけど、わたし子供嫌いなの」
凪沙は続けて、自分が女の姿をしていることを親戚一同に言ったら殺すと釘を刺します。
一果は一瞬戸惑うものの、黙って凪沙の後ろをついていきました。

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バレエ教室
転校早々、一果は手続きで一緒に来た凪沙についてクラスメイトの男子にからからかわれ、その男子に向かって椅子を投げるという問題を起こします。
凪沙は学校に謝りになんか行かないからと一果に怒り、やさぐれている彼女とどう接すればいいのかわからないでいました。

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そんな一果は学校の帰り道、あるバレエ教室の前を通りかかります。
バレエに興味があり中の様子をのぞき見する一果に、先生の実花(真飛聖)は声をかけ後日体験レッスンを受けることになります。
凪沙に内緒でバレエ教室に通いだし、のめり込んでいく一果。

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実花も一果の才能を伸ばそうとレッスンに熱が入ります。
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闇バイト
バレエにはとてもお金がかかります。
月謝はもちろんコンクールに出ることになればさらに衣装代や遠征費などがかかるのです。
一果は月謝代を稼ぐため、同級生で同じバレエ教室に通うりん(上野鈴華)に撮影モデルのバイトを紹介してもらい何度か通いますが、一果がパニックを起こして客とトラブルになったことで、警察に補導されてしまいます。
警察に家庭環境のことなど事細かに聞かれた一果は、大声を上げながら外に飛び出していきました。
そして腕を噛む一果を凪沙は抱きしめます。
「うちらみたいなんは、ずっと1人で生きて行かなきゃいけんけぇ。強うならんといかんで」

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凪沙はそこで初めて一果がバレエをやっていることを知りました。
バレエなんてお金を持っている人がやることだと凪沙は一果をやめさせようとしますが、実花に才能ある一果を育てたいと言われ、しばらく通わせることになりました。
その夜、一果を1人にさせられないと、凪沙は店に一果を連れていきます。
おとなしくしていた一果ですが、ショーの途中で酔った客がステージに難癖をつけてきたことで、凪沙たちは客と揉め始めます。
すると、一果がおもむろにステージに上がり、踊り始めました。
店中は静まり返り、一果の踊りに見惚れてしまいました。
なんで私だけが
凪沙と一果はだんだんと心の距離を縮めていき、一果の才能はどんどん開花していきます。
週に一度ホルモン注射を受けている凪沙は、その副作用で体調不良が続くことがあります。
そんな時でも仕事には行かなくてはなりません。

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ホルモンバランスの影響と苦しい生活の中で凪沙は
「なんで私だけがこんな身体でこんな思いをしなきゃいけないの」
と涙が止まりません。
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夜、近所の階段の手すりをバーの代わりにして練習をする一果を、凪沙はジッと見守ります。
そして、自分も店でその踊りを踊りたいと、一果に踊りを教わります。

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母になりたい
一果はコンクールに出ることになりました。
さらにお金がかかることになったので、安定した収入を得ようと凪沙は女性のまま就職活動を始めますが、うまくいきません。
凪沙は実花に月謝を少し待ってほしいと頼みます。
実花は免除してもいいと言いますが、凪沙はきちんと払うとそれを断ります。
「お母さん、継続です。継続が大事なんです。大変だと思いますが、一緒に頑張りましょう!」
思わず『お母さん』と言ってしまった実花。

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凪沙はお金を稼ぐため、元同僚の瑞貴(田中俊介)に風俗の仕事を紹介してもらいます。
しかし、いざとなると全く身体が受け付けず、逃げ出してしまいました。
すると激高した客がしつこく凪沙を追ってきて揉みあいになりました。
その時、瑞貴が後ろから客を殴りつけ、大けがを追わせてしまいます。
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一果が朝目を覚ますと、そこに短髪になって作業着を着た凪沙がいました。
凪沙は安定した収入のために倉庫で働くことにしたのです。
「頼んでない」
一果は表情を固くします。

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「誰のために働くと思ってるのよ」
かつて母親に言われた言葉と同じ言葉が凪沙から出てきた時、一果はショックを受けパニックに陥ります。
しかし、凪沙は母親のように殴るのではなく、一果を抱きしめ、「よしよし」と言って頭を撫でるのでした。
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実の母親
コンクールの日が迫ってきました。
レッスンを終えた一果が家に帰ると、ドアの前に母親の早織が座っていました。
早織は反省して自分は生まれ変わったから一緒に帰ろうと言い出します。
そしてコンクール当日。
凪沙と一果は一緒に会場入りします。
2人とも緊張の面持ちです。
客席で凪沙や店の仲間たちが見守る中、一果は無事予選を突破しました。
しかし決勝というプレッシャーが一果に重くのしかかります。
一果は1人トイレの中で腕を噛みます。
そんな中、足を怪我してバレエ生命を断たれたりんは、両親と共に結婚パーティーに出席していました。
りんは、一果がコンクールで踊る曲を踊り、出席者たちの喝采を浴びます。
りんは踊りながら次々とテーブルを乗り移ります。
そして、そのまま柵を越えてビルの下に堕ちていきました。
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そして決勝。
出番が来た一果はステージ上で足がすくんでしまいます。
「お母さん…」
そうつぶやいた一果の元に、飛び出して行ったのは早織でした。
抱き合う2人の姿を見た凪沙は黙って会場を出ていきました。

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女になった凪沙
数日後、凪沙はタイにいました。
性転換手術を受けるためです。
ついに女になった凪沙は、その足で広島まで一果を迎えに行きます。
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息子が女性になっていることを受け入れられない凪沙の母親は半狂乱になっています。
早織は当然、一果を渡すわけにはいかないと断固拒否しますが、凪沙はこんな家に一果を置いておけないと引きません。
ついに揉みあいになる2人。
そして凪沙は間に入った従兄弟に服を引き裂かれ、乳房が露わになってしまいます。
凪沙の母親の悲鳴が室内に響きます。
「私、女になったんよ。母親になれるんよ」
「バケモンが!」
早織は家を出て行く凪沙に唾を吐きかけます。
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変わり果てた姿
月日は流れ、一果は無事地元の中学を卒業し、すっかり落ち着きを取り戻していました。
バレエは実花が広島まで通い、レッスンを続けており、卒業式の日もレッスンがあります。
「卒業おめでとう」
実花は、一通のエアメールを一果に渡します。
それは、留学の合格通知でした。
中学を卒業したら凪沙に会いに行くと母親と約束していた通り、一果はそのエアメールを持って東京に向かいます。
以前とは違うアパートに移っていた凪沙の部屋に入ると、凪沙は荒れた部屋の中で寝たきりになっていました。
つけているおむつからは血が滲んでいます。
目もあまり見えないようでしたが、一果が手を握ると凪沙はすぐに一果だと気がつきました。
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海に行きたい
一果は部屋を片付け、前に凪沙に作ってもらった『ハニージンジャーソテー』を凪沙にふるまいます。
凪沙はこんな美味しいものを自分だけ食べては申し訳ないと、金魚の水槽に餌をやります。
しかし、その水槽は苔むしていて、金魚はとっくにいなくなっているのでした。
凪沙は、一果に海に行きたいと言います。
凪沙はかつて少年だった頃、学校の遠足で海に行って、何故自分だけスクール水着ではなく海パンを履かなくてはいけないのかと悲しい思いをして以来海に行っていないのです。
一果は凪沙の身体を心配しますが、凪沙はどうしても行きたいと頼み込みます。
次の日、海岸についた2人。
凪沙は流木に寄りかかり自嘲気味にこう言います。

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「せっかく女になったのに、サボってたらこんな身体になっちゃった」
そして、凪沙はスクール水着で泳ぐ少女の幻影を見ます。
一果は病院に行こうと言いますが、凪沙は答える代わりに一果に踊って欲しいと言います。
「お願い。踊って」
一果は言われた通り、海辺で踊って見せました。
「綺麗…」
一果が振り向いた時、凪沙は涙を流したまま動かなくなっていました。
1年半後。
一果はニューヨークのコンクール会場に現れます。
ベージュのトレンチコートに赤いブーツ。
凪沙が好んでしていた格好です。
「見てて。」
白鳥になった一果は、ステージに向かって飛び立っていきました。
【ネタバレ】『ミッドナイトスワン』感想
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凪沙があまりにも救われなくて、でも一果と出会ったことで少しは生きる希望を見いだせたのかもしれない。

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凪沙にとってはそっちの方が良かったのだろうか…などと考えこんでしまいました。
瑞貴が風俗店に移るためにショークラブを辞める時、洋子ママ(田口トモロヲ)が人生堕ち始めたらあっという間だというようなことを言うのですが、まさに一果を失った凪沙が堕ちていくのはあっという間でした。
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『ミッドナイトスワン』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
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— 映画『ミッドナイトスワン』【公式】 (@M_Swan_Film0925) September 30, 2020
以上、ここまで『ミッドナイトスワン』をレビューしてきました。
- トランスジェンダーの悲哀
- 「愛」ということを考えさせられる
- 大型新人誕生
- 凪沙のおしゃれなファッションにも注目
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