1999年の第1作目以来、劇映画として数々の衝撃作を送りだしてきた『完全なる飼育』シリーズが、いよいよ9作目となる最新作、『完全なる飼育 étude』として誕生し、11月27日(金)に公開されます!
この度、公開を記念し、トークイベントを実施し、本作の主演月船さらら、金野美穂、永井すみれ、加藤卓哉監督が登壇し、キャストそれぞれオファーを受けた感想や役を演じるうえで心がけたこと、撮影秘話などを語りました!
『完全なる飼育 étude』公開記念トークイベント
日時:11月9日(月)18:00~18:20
場所:銀座・DisGOONieS(ディスグーニーズ)中央区銀座3-3-1 ZOE銀座 B1F
登壇:月船さらら、金野美穂、永井すみれ、加藤卓哉監督(敬称略)
本作の予告上映後に登壇者が入場し、冒頭の挨拶で、月船さららは「映像とは印象が違うかもしれませんが(笑)。今日のトークで私の他の面も知っていただければと思います」とニッコリ。
金野美穂は「狂気的な役を演じて楽しかったです。今日は皆さんも、ゆっくり楽しんでください」と笑顔を浮かべ、永井すみれは「私が演じた役はちょっとやんちゃでわがままで、可愛らしい元気いっぱいな性格のキャラクターでした。自分に近い部分もあるのかな、なんて感じています。今日のトークで共通点があるかどうか見比べてみてください」と呼びかけました。
加藤監督は「今日は舞台挨拶後に生演奏もあるということなので、一観客としても楽しみたいと思います」とコメントし、イベントがスタートしました。
本作で9作目となる「完全なる飼育」はシリーズ。
本作では、女性の演出家と若手俳優が舞台で完全なる飼育をしていく物語が描かれます。
このテーマを選んだ経緯について加藤監督は「今回が僕にとって長編2作目の監督作です。歴史あるシリーズを監督するならば、何か新しい切り口でやることに意味があると考えました。これまでは年配の男性が若い女性を飼育してきましたが、舞台という設定は決まっていたので、女性の演出家が若い俳優を飼育するのはどうだろう、と提案しました」と説明。
米映画『セッション』のような演出家と俳優のほとばしるパッションみたいなものを撮りたいと話していたことを明かしました。
オファーを受けた時を振り返り、月船は「私は飼育される側だと思っていたのですが、まさかの男性を飼育する側で驚きました。私は25年間舞台をやってきた人間で、主人公の気持ちや状況が理解できてしまう。だからこそ、ひとことひとことに重みを感じて演じていました。台本を読んで疑問に感じたことを監督に伝えると、ひとつひとつ丁寧に返してくれたので、挑戦してみようという気持ちになれた気がします」とコメント。
一番挑戦した点について、「(体の)露出がある役なので、そちらが挑戦と思われがちかもしれません。でも、信頼できる脚本と監督、そして物語に必要で、意味があるのであれば、露出自体は全く気になりません。むしろ、自分の25年を振り返り、抉り出し、向き合わなければいけない。そういう気持ちの部分に自分がえぐられる感覚がありました。そこに飛び込んだことは挑戦でした」と説明。
金野は「オーディションを受けてから合格をいただくまでが割とすぐだったので、”おぉ、受かった”という気持ちと、飼育されるシーンもあり、少し構えていた部分もありました。ですが、台本を読んでいるうちに、私も同じ女優業を目指すうえで演じるキャラクターの心の部分にすごく共感できるポイントがたくさんありました。露出もあるので”体張ってるね”と言われがちですが、私も月船さんと同じで、そこには恥ずかしさはなかったです」と力強く語ります。
永井は「歴史もあり有名な作品なので、私が出ていいのかなというのが率直な感想でした。お芝居の経験も長いわけではないので、作品を汚してしまわないか心配でした。脚本を読んだときに、張り詰めた空気感の中で、私の役がちょっとしたアクセントになる可愛らしい役だと感じたので、その魅力を皆さんに伝えたいという思いが強くなりました」と振り返りました。
演じるうえで心掛けたことについて月船は「演劇を愛するもの同士の愛情や、葵(市川知宏)への期待というものが根底にないと、ただのサディスティックになってしまうので気をつけて演じていました。彩乃自身も根底に苦しみや迷いとかがないとダメだと思い、セリフもひとつひとつ監督と相談しながら演じていました」と役作りを明かします。
金野は「台本には書かれていない、彩乃に対する気持ちを自分の中で考えることが多かったです。描かれていないところでの彩乃が気になりすぎて、ずっと彩乃さんのことばかり考えていました(笑)」と微笑むと、月船は「撮影がないときにもそこにいて、気がついたら私を見ているので、あれ?と思っていました(笑)」と照れ笑いを浮かべます。
金野は「はい。ずっと片っ端から見させていただきました」と熱く語る場面もありました。
永井は「その場の空気を和らげるようなキャラクターだったのですが、それを意識しすぎたらダメなのかなと思っていました。お二人もおっしゃっていましたが、台本にない裏の心情を考えて演じるように心がけました。自分と似ていると思ったキャラクターだけど、この子は今、何を考えているんだろう、どう感じているだろうとひとつひとつ意識して分析するようにしていました」と当時の気持ちを説明しました。
そんな3人のコメントを聞いた加藤監督は「今、いろいろなことを思い出しました。僕は映画しかやってこなかった人間で、月船さんは演劇メインでやってきた方なので、知らない部分を補うかのように、とにかく毎日よく話をしていた印象があります」と振り返ると、月船も「本当に、毎日毎日ほんとよく話していましたよね」とニッコリ。
金野については「会ってすぐに”この人だ!”と思いました。目がとても綺麗だったという印象が強すぎて、会って何を話したのかは覚えていませんが(笑)」と微笑み、永井については「すごくセクシーな写真集をいただいて…、ありがとうございました。彼女なら、エロスな部分も含めてあのキャラクターを演じきれると感じました」と満足の表情を浮かべました。
ここで月船が「監督、このあたりで泣くかなと思って、ずっと見ていたのですが、今日は泣かないんですか?」とツッコミを入れると、加藤監督は「泣く要素はなかったですよね?今日は泣かないです」と返し、仲の良さを見せていました。
全編台湾ロケとなった本作。
撮影直前の時期にハプニングもあったそう。
加藤監督は「予定していたロケ地で撮影できないことになりまして…。撮影を延期しようと決心していたときに、新たなロケ地を探してくれたので、無事に予定通り進めることができました」とホッとした表情を浮かべていました。
映画の劇伴として使用されたバレエアポロのアルバム「幻想連鎖」について、月船は「台本だけではわからなかった部分が、音楽を聴いたときにストンと腑に落ちた気がしました。重たいシーンの撮影前に何度も聴いていました」と音楽に助けられたことを明かします。
加藤監督は「ゆるしをテーマにすると決め、作品に重厚感を出したいと考えていたときに提案してもらった楽曲でした。楽曲を聴いたときに、自分が思っていたベクトルと同じ方向を向いていると感じたので、ぜひ使いたいと思いました」と説明しました。
台湾での撮影の思い出について、金野は「とにかく現地の人に助けられたと感じました」と笑みを浮かべます。
永井は「人のあたたかさがとても印象的でした」と振り返り、「ダース単位でジュースを差し入れてくれたり、わざわざ買いに行ったお守りをお土産に下さったり、びっくりするほどの手厚い歓迎でした。撮影もあるので、体型を意識して食事を控えていると、”もっと食べなきゃダメ!”と心配してくれたこともすごくありがたかったですし、あたたかいと感じました」と付け加えました。
最後の挨拶で月船は「とても有名なシリーズですが、過去作を観たことがない人でも楽しめます。体だけでなく、メンタルな部分も激しくぶつかり合う作品です。コロナ禍で人と人とが距離を取らなければいけない今だからこそ、こうやって熱くぶつかり合う姿を楽しんでいただければと思います」とアピール。
加藤監督は「出演者そしてスタッフの熱量を大きなスクリーンで感じ取っていただければうれしいです」と呼びかけ、イベントは幕を閉じました。
『完全なる飼育 étude』概要
監督・和田勉×脚本・新藤兼人による1999年の第1作以来、劇映画として数々の衝撃作を送りだしてきた『完全なる飼育』シリーズ。
ノンフィクション作家・松田美智子の小説『女子高校生誘拐飼育事件』を原作に、孤独な少女と孤独な中年男との歪んだ純愛を描いてきた究極のラブストーリーが日本国内だけでなく、アジア各国をはじめ全世界で公開し、話題を呼んできました。
7年ぶりになるシリーズ待望の新作は、劇中の舞台「完全なる飼育」の物語の中で繰り広げられる“飼育”と、その舞台に挑む若手俳優を演出家が稽古という名の“飼育”をする二重構造。
また、これまでのシリーズ作品とは異なり、女性が青年を飼育するかつてない斬新な試み。
オール台湾撮影が行われ、映倫よりR-15指定を受けた俳優たちの生々しく激しい体当たり演技と、台湾ならではの美術セット、艶やかで美しい極彩色に彩られた舞台照明および衣装が、男女の間のサディスティックな世界感をより一層際立たせます。
これまでの『完全なる飼育』シリーズ作品よりも一段と「美」と「エロス」が見事に融合した、唯一無二の『完全なる飼育』になりました。
本作のメガホンをとったのは加藤卓哉監督。
東映東京撮影所に所属し、『劔岳 点の記』(木村大作監督)、『あなたへ』(降旗康男監督)、『くちびるに歌を』(三木孝浩監督)などの助監督を経て、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015準グランプリ受賞企画『裏アカ』(2021年春公開予定)で長編映画デビューし、本作が2作目の長編映画となります。
本作の主演として、近寄りがたい孤高の存在であり強さと妖艶さを兼ね備えた女性演出家・小泉彩乃役を務めたのは、月船さらら。
元宝塚歌劇団月組男役スターとして活躍し、退団後は映画祭で最優秀新人賞を獲得するなど映画や演劇等で幅広く活躍する実力派女優が、今回はサディスティックに自らの表現をとことん追求しながら、どこかに脆さを抱えた演出家を見事に演じ上げました。
若手俳優・篠田葵役を務めたのは2008年『第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』で過去最多の15,000人の応募者の中からグランプリを受賞した市川知宏。
『銀の匙 Silver Spoon』(14/吉田恵輔監督)『好きっていいなよ』(14/日向朝子監督)などの実写化作品に出演。
初主演映画となる今作に懸ける思いは強く、過激な稽古に耐え自らの限界に挑む俳優という難しい役どころを地でいくような壮絶かつ迫真の演技を見せました。
『完全なる飼育』の第1作に主演し、これまでのシリーズ全8作中、7作に出演する竹中直人も今回出演します。
『完全なる飼育 étude』作品情報
出演:月船さらら、市川知宏、金野美穂、寺中寿之、永井すみれ、松井るな、竹中直人
監督:加藤卓哉
原作:松田美智子
脚本:山本浩貴
企画:中沢敏明
プロデューサー:厨子健介、柘植伊佐夫、花田聖
音楽:石川潤
撮影:池田直矢
照明:舘野秀樹
録音:高島良太
美術:神田諭(A.P.D.J)
スタイリスト:橋本ゆか
ヘアメイク:会川敦子
編集:菊池智美
VFX:鹿角剛
助監督:山口晋策
挿入曲:Theatrical Odyssey of BALLET APOLLOアルバム「幻想連鎖 fantasmagoria」
挿入歌:ドクロズ「とんでって」「ちょっと死ぬ」
特別協力:樊賜生文教基金會、嘉義大林萬國戲院、德旺商旅
制作・製作:セディックインターナショナル、SEDIC-DILON
配給:「完全なる飼育 étude」宣伝委員会
あらすじ
イギリスの演劇界で名を成した後、日本に凱旋帰国。
その前衛的な作風で演劇界の寵児として一世を風靡した女性演出家・小泉彩乃(月船さらら)。
しかしながら、ここ数年は観客動員が伸び悩み、とことん追い込むその演出スタイルは俳優からも敬遠されている。
新作舞台「完全なる飼育」の公演初日を2日後に控えている中、サディスティックな演出についていけなくなった主演俳優が突如降板してしまう。
代役のオーディションがすぐさま行われたが、なかなか決まらない。
もはや中止にするしかない。
諦めた彩乃が劇場を後にしようとした時、一人の⻘年・篠田蒼(市川知宏)がやってくる。
演技が上手いとは到底見えない蒼に、もうオーディションは終わったと言い、追い返そうとする彩乃。
だが、蒼は、何とかオーディションを受けさせて欲しいと懇願する。そのすがるような眼差しに血が騒ぐ彩乃。
そして、二人きりの過酷な舞台稽古が始まる──。
舞台「完全なる飼育」は、実際に起きた女子高生誘拐監禁事件に着想を得た、江戶時代、藩主の娘・菊姫を貧しい鍛冶職人が拉致・監禁し、次第に二人に恋愛感情が芽生えるという前衛時代劇。
蒼に対して、稽古という名の容赦ない“飼育”をしていく彩乃。
“飼育”を経て、やがて、蒼の演技は徐々に凄みを増し…ついに、二人の関係は逆転するのだった。
『完全なる飼育 étude』は2020年11月27日(金)ヒューマントラスト渋谷他公開決定!
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