『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ・解説!アカデミー受賞レネー・ゼルウィガーとジュディ・ガーランドの共通点とは?

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ・感想。レネー・ゼルウィガーの魂を込めた熱演!

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

レネー・ゼルウィガーがアカデミー賞主演女優賞を受賞したのが『ジュディ 虹の彼方に』です。

『コールド・マウンテン』で助演女優賞を受賞済みの彼女は、長いアカデミー賞の歴史の中で7人目となる主演と助演の両方でオスカーを獲得した女優となりました。

ジュディとは『オズの魔法使い』や『スタア誕生』などに主演し、1930年代後半から1950年代のハリウッドを代表するスターとなったジュディ・ガーランドのことです。

レネー・ゼルウィガーはそんなジュディ・ガーランドの47年という短い生涯の最期の瞬間を演じ、歌も全部吹き替えなしで歌い、絶賛を浴びました。

そんな『ジュディ 虹の彼方に』のあらすじと作品背景の解説をしていきます。

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『ジュディ 虹の彼方に』作品情報

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

作品名 ジュディ 虹の彼方に
公開日 2020年03月06日
上映時間 118分
監督 ルパート・グールド
脚本 トム・エッジ
出演者 レネー・ゼルウィガー
ルーファス・シーウェル
マイケル・ガンボン
フィン・ウィットロック
ジェシー・バックレイ
音楽 ガブリエル・ヤーレ

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ


1968年、かつてスター女優だったジュディ・ガーランドはドラッグとアルコールで身を持ち崩し、現場での失態も多く、落ちぶれた生活を送っていました。

場末の劇場でのコンサートだけで生活をし借金まみれの彼女は、娘と息子と幸せに暮らすために、起死回生を狙ってロンドンでの講演に旅立ちます。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

そしてそれはジュディ・ガーランドにとって最後にして最高のステージになります…。

『ジュディ 虹の彼方に』解説:ジュディ・ガーランドとは?

10代半ばで大スターに

1922年に生まれたジュディ・ガーランドは1935年、当時のハリウッドメジャーMGMと専属契約を結びます、13歳の時のことです。

1939年に不朽の名作『オズの魔法使い』で主役のドロシー役に抜擢され、一躍人気スターとなります。


村松 健太郎

『オズの魔法使い』で今は無きアカデミー賞子役賞を受賞しています。

これ以降もフレッド・アステアなどミュージカル映画の大物・人気者と共演作を連発してスター街道をひた走っていきます。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

一方で1941年の初婚から5度の結婚と離婚を経験していきます。

二番目の夫で映画監督のビンセント・ミネリとの間には長女を得ます。

この娘は、後に1972年の『キャバレー』でアカデミー賞主演女優賞を受賞することになるライザ・ミネリです。

その後、元々肥満体質だったジュディは私生活の乱れもあって1949年にMGMを解雇されてしまいます。

ハリウッドの影の部分に触れて

子役としてハリウッドでブレイクした人がその後キャリアを台無しにしてしまうことはよくあります。

村松 健太郎

主な原因はドラッグアルコールです。

ロバート・ダウニー・Jrやドリュー・バリモアなどのように乗り越えた人たちもいますが、10代半ばでアルコールやドラッグの依存症になり俳優生命はおろか本物の命すら危うくする人たちも少なくありません。

少し前でも『ホーム・アローン』のマーコーレ・カルキンや『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングの転落など、現在でもこのハリウッドの闇の部分があることが知られています。

ジュディもまたこのハリウッドの闇に侵されていきます。

特に彼女が活躍したのは薬物やアルコール、喫煙などの健康被害への意識が薄かった時代だったこともあって、仕事の疲れを飛ばすために覚せい剤の一種まで処方されたことがありました。

さらにこの影響で不眠症気味となるとさらに強い睡眠薬を処方されるといった負のスパイラルに陥ったジュディは自分で自分をコントロールできなくなっていきます。

『スタア誕生』でトップスターに返り咲きも…

レディー・ガガとブラッドリー・クーパーのW主演の2018年版『アリー/スター誕生』の記憶も新しい、ショービジネスの光と影を描いた物語。

ジュディはこの作品の2度目の映画化作品『スタア誕生』に主演しアカデミー賞にノミネートされスターの座に返り咲きましたが、受賞はかないませんでした。

MGMの妨害工作や私生活の乱れなどが理由として語られていますが、ジュディはこの結果にショックを受けてその後数度の自殺未遂を繰り返し、再び私生活が乱れていきます。

右も左も分からず冷静な金銭感覚も持ち合わせていなかったジュディは生活に困窮することもありました。

最後の一瞬の輝き

『ジュディ 虹の彼方に』で描かれるのはこれらの出来事があった後の60年代の晩年の出来事です。

奔放で荒れた私生活を送ったジュディ・ガーランド。

村松 健太郎

しかし、一級のエンターテイナーであることも確かでした。

ジュディがキャリアの最後に輝ける場として得たのはコンサート会場でした。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

もともと、ミュージカル女優として成功を収めたジュディは、年齢を重ねることでパワフルな歌声を手にします。

1961年にはカーネギー・ホールでライブを行い“生涯最高のパフォーマンス”と絶賛されました。

その後、ロンドンにツアーに出ることになります。

ハリウッドでのスキャンダラスなイメージはロンドンにはあまり伝わっておらず、往年の大スターの歌声が聞くことができるということでロンドンツアーは好調なスタートを切ります。

しかし、徐々にドラッグやアルコールの量が増えていき、酩酊状態でステージに上がることもあり、衰えを感じさせるようになります。

そして1969年、『オズの魔法使い』から30年後、ジュディはロンドンのホテルのバスルームで睡眠薬の過剰摂取でその短い生涯に幕を下ろします

村松 健太郎

自殺説も出たジュディの最期について、長女のライザ・ミネリはハリウッドの闇の部分の影響についても言及しました。

重なるレネー・ゼルウィガーとジュディ・ガーランド

『ブリジット・ジョーンズの日記』で大ブレイクも…

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

レネー・ゼルウィガーは2001年の『ブリジット・ジョーンズの日記』で大ブレイクし、その後も『シカゴ』や『コールド・マウンテン』などの話題作に出演し、『コールド・マウンテン』の演技で2003年にはアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。

しかし、2000年代後半から作品数が激減、2010年代は2010年の『ケース39』と2016年の大ヒットシリーズ3作目『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』だけという状況で、まさに開店休業状態でした。

村松 健太郎

この空白期間についてはレネー・ゼルウィガー自身が心身の休養に充てていたと語っています。

レネー・ゼルウィガーもまたジュディ・ガーランド同様心身を疲弊させ、休業宣言までして、ハリウッドから距離を置いていました。

そんな彼女が復活作として入魂の演技を見せるのが『ジュディ 虹の彼方に』です。

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ・作品解説まとめ

ジュディ・ガーランドの生涯とレネー・ゼルウィガーの今の状況を重ねて見る人も多く、レネー自身がその問題を乗り越えたことにも称賛の声が集まっています。

娘のライザ・ミネリはアカデミー賞女優となりましたが、ジュディ・ガーランドは最後までアカデミー賞を手にすることができませんでした。

そんな事情もあってか、今回のアカデミー賞の受賞スピーチで、レネー・ゼルウィガーはオスカー像をジュディ・ガーランドに捧げると語っています。

過去のスターと現在のスターがシンクロする感動のドラマ『ジュディ 虹の彼方に』は3月6日に公開予定!

ぜひ劇場に足を運んでください!

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