『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ・ネタバレ感想!アカデミー受賞のレネーの歌声!大女優ジュディ最後の公演

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ・ネタバレ感想!アカデミー受賞のレネーの歌声が響く!大女優ジュディ最後の公演!

出典:『ジュディ 虹の彼方に』公式ページ

20世紀を代表する天才エンターテイナー、ジュディ・ガーランド。

『オズの魔法使』(1939年)のドロシー役で大ブレイクし17歳にしてスターの仲間入りを果たしたジュディは、圧倒的な演技力と歌唱力で一気にスターダムを駆け上がります。

しかし、幼い頃から映画会社から渡される当時は合法だった薬物の影響や母親からの虐待などで精神的に不安定になり不眠症で苦しむようにもなります。

波瀾万丈の人生を送るジュディが薬物の過剰摂取によってこの世を去るのはまだ47歳という若さの時。

そんなジュディが亡くなる半年前、ロンドンで行った公演をメインに描かれたのが本作『ジュディ 虹の彼方に』です。

亡くなってからもアメリカやイギリスで未だ人気を誇るジュディを演じたのは、『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズでお馴染み、レネー・ゼルウィガー。

奔放で不安定でありながら愛すべき女性であり、万人に求められたカリスマある女優を見事に演じきったレネーはアカデミー賞をはじめゴールデングローブ賞など数多くの映画賞で主演女優賞を受賞しています。

それでは『ジュディ 虹の彼方に』をネタバレありでレビューします。

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『ジュディ 虹の彼方に』作品情報

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

作品名 ジュディ 虹の彼方に
公開日 2020年03月06日
上映時間 118分
監督 ルパート・グールド
脚本 トム・エッジ
出演者 レネー・ゼルウィガー
ルーファス・シーウェル
マイケル・ガンボン
フィン・ウィットロック
ジェシー・バックレイ
音楽 ガブリエル・ヤーレ

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ


ハリウッドの大スターだったジュディ・ガーランドは、薬物依存や神経症によって度重なる失態を犯し、1960年代後半には借金を背負って巡業を行うほどの苦境に陥っていました。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

馴染みのホテルからも追い出されたジュディは、2人の子供を別れた3人目の夫シドニーに預けて2人目の夫との間に生まれた娘ライザ・ミネリに会いに行きます。

そして娘のパーティーで、後に5人目であり最後の夫となるミッキー・ディーンズと運命的な出会いを果たしたのでした。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

ジュディは子供たちとまた暮らせるようにと、ロンドンでの5週間にも及ぶ興行を了承。

寂しがる子供たちと離れ1人ロンドンに旅立ちます。

精神的にボロボロで眠ることもできないジュディですが、何とかステージに登ると満場の拍手を浴びるようなステージを披露。

往年の輝きを取り戻したかのように見えました。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

ロンドンにやって来たミッキーとも再会したジュディですが、不眠や神経症でますます追い詰められていき、ある日ステージで失態を犯してしまいます。

そして子供たちにも父親の元にいたいと言われてしまったジュディは、最悪な精神状態のままステージに出たことで今度こそ取り返しのつかない事態を引き起こしてしまい…。

【ネタバレ】『ジュディ 虹の彼方に』感想

天才エンターテイナー、ジュディ・ガーランドの波乱に満ちた人生

『ジュディ 虹の彼方に』を観る前に主人公であるジュディ・ガーランドについて少しでも知っていた方が絶対に良い!と断言できるため、映画の感想の前にまずその激動の人生に触れておきたいと思います。

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本作の主人公ジュディ・ガーランドと言えば、1939年の映画『オズの魔法使』のドロシー役があまりにも有名です。

一躍人気者になったジュディですが、その人生は想像を絶する過酷なものでもありました。

映画はシュディの晩年が描かれていますが、時折少女時代のジュディの様子が差し込まれ、映画会社に酷使されていた様子は垣間見られます。

ジュディの母親エセルは今で言う「毒親」そのもの。

2歳半ですでに舞台に立っていたジュディですが、娘を売り出すためには手段を選ばず、その娘すら愛していたわけでもありませんでした。

お金がかかるからと2歳の娘の耳の手術は麻酔なしで行わせ、5歳で髄膜炎になった時も、娘の心配よりコネクション作りに勤しんでいたエセル。

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作中、注射を打たれるジュディの姿に、幼少時の体験がトラウマとして残っているんだろうなと何とも切ない気分になりました。

そんなエセルの努力の甲斐もあり、ジュディはMGMで見習い子役になりますが、社長から体型を非難されたことでエセルは娘にメタンフェタミンを与えます。

当時は合法で手に入るやせ薬と言われていましたが、まだ幼い子供時代に薬物を与えられてしまったジュディ。

以来、興奮剤や睡眠剤、覚せい剤の使用を強要され、太らせないためにと成長期にチキンスープ中心の食事、その上で空腹を紛らわすためとブラックコーヒーやタバコを与えるスタジオ。

薬漬けで食べたいものも食べられずコルセットで腰を絞られ、朝の5時に帰宅する生活を送っていたジュディですが『オズの魔法使』が大成功したことでますますスケジュールは過酷なものになったそうです。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

時代が時代とはいえ、あまりに酷い労働環境。

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しかもさらにその上、残酷なセクハラも数々受けていたというのですから同情を禁じ得ないどころか怒りすら沸きます。

映画でも描かれたMGMの創設者ルイス・B・メイヤーも、セクハラでジュディを苦しめた1人。

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少女趣味だった彼は、何度もシュディにそういう目的で近付いていたそう。

何と名作『オズの魔法使』の撮影中には小人たちにスカートの中に手を入れられたりととんでもない行為をされていたジュディ。

現代なら間違いなく上層部だろうが役者だろうが即時に解雇案件です。

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私はこの話を知りもう『オズの魔法使』を素直な目で観られなくなったんですよね。可愛くて素敵な笑顔の裏で、どれほど辛い目に遭っていたことかと思うと…。

あげくに容姿も貶められ侮辱されていたことで、役者として天才とも言える才があり見た目もとても愛らしいというのに、ルックスにコンプレックスを持ってしまい、極度に緊張したり舞台恐怖症に苦しむようになってしまいます。

まだ少女だったジュディが受けた虐待を知ると薬物依存になったことも、神経症を患ったことも、何度も自殺未遂をしてしまったことも、ただ悲しいだけ。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

大人になってからも子供時代から陥っていた薬物中毒のせいか、慢性的に体調を崩し、癇癪を起こしたり現場に遅刻したりと、度重なる問題行動でMGMを解雇されます。

この頃3度目の結婚をし、ハリウッドを離れたジュディ。

夫や夫の友人の勧めで、歌手としてステージに立ちジャズシンガーとしても成功を収めたのでした。

ところが女優としての再起をはかった1954年の映画『スタア誕生』は大ヒットしますが、映画会社の後押しはなく有力視された主演女優賞のオスカーを逃してしまうことになります。

失意のあまり私生活は荒れ、また自殺未遂を起こしてしまうのでした。

それでも1961年には『ニュールンベルグ裁判』でアカデミー助演女優賞にノミネートされたり、カーネギー・ホールで行ったライブが収録されたアルバムがグラミー賞を受賞します。

しかしその後はまた荒れた私生活を送り1965年にはシドニーとも離婚。

それから4年後、1969年の6月22日に滞在先のロンドンで、睡眠薬の過剰摂取で亡くなってしまいます。

『ジュディ 虹の彼方に』はそんなジュディが亡くなる半年前のロンドン公演を描いた作品です。

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どれだけジュディが苦しんできたか、周囲の大人たちが映画よりはるかに恐ろしいことをしていたか、そのことを知ってから映画を観ると、主人公のジュディに対する思いが、変わってくるはずです。

心優しいゲイカップルとのエピソードに見られる、ジュディのLGBTQへの影響力

1960年代のアメリカで数少ない、同性愛者に対して理解を示していた存在、それがジュディ・ガーランドです。

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父親が同性愛者だったことや、彼女の周囲にゲイやバイセクシャルが多かったことも大きいのでしょうが、性的マイノリティが差別されていた時代です。LGBTの人々がジュディを愛したのは当然だったかもしれません。

ゲイ・アイコンと呼ばれるスターは多いですが、中でもジュディの人気は特別です。

ジュディが主演した『オズの魔法使』がマイノリティの人たちにとって、隠されたメッセージ性に満ちていると感じる作品だったのは確かですが、ドロシーを演じるジュディの人生、人となりこそが愛される理由だったようです。

どれほど苦難に満ちた人生であっても自分らしく生き過酷な運命に翻弄されながらも立ち向かっていく。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

人間らしい弱さを見せながらも、圧巻のステージを披露する稀代のエンターテイナー。

天才的な才能を持ちながら、幸福に満ちた生活を送れなったジュディという存在に憧憬と尊敬、そして共感や同情を覚える人も多いはず。

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マイノリティの人たちがジュディを熱烈に愛する理由もここにあるのではないでしょうか。

本作ではジュディとゲイカップル、ダンとスタンとの心温まるエピソードも描かれています。

映画の2年前である1967年まで、イギリスでは同性愛は犯罪でした。

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そんなイギリスで生きていた2人がジュディの大ファンで、彼女の存在に励まされ、とても愛しているのだとわかるやりとりは胸が痛くなります。

架空の存在であるカップルとジュディとの触れ合いを描くことで、ジュディが当時から貴重なマイノリティの理解者である大スターだったこともわかります。

世界のゲイパレードが6月に行われる由来はニューヨークで同性愛者たちの抵抗運動「ストーンウォールの反乱」が起きたのが69年6月のジュディの死によって虐げられていたコミュニティの団結を高めた結果だから、またゲイの人々が掲げるレインボーフラッグもジュディの歌った「Over the Rainbow」からの着想だったという説もあります。

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1組の素敵なカップルを登場させたことで、ジュディのゲイ・アイコンとしての偉大さや人間としての優しさが描かれたことを考えると、とても素晴らしい発想で欠かせない演出だったと感じます。

『ジュディ 虹の彼方に』はレネー・ゼルヴィガーなくして成り立たない!

ジュディを演じたレネー・ゼルウィガーと言えば、日本でも大ヒットした『ブリジット・ジョーンズの日記』でお馴染み。

独特の細い高い声と目尻の下がった笑顔が印象的で、コメディからシリアスまで何でもこいの演技力に加え、歌って踊れる素晴らしい俳優です。

しかしレネーは2010年から6年間、俳優業を休業していました。

ずっと仕事中心で生きてきたため、少し立ち止まることにして私生活を大切にしたかったそうです。

そうして2016年『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最期のモテ期』で、俳優業に復帰。


2017年には『ジュディ 虹の彼方に』のオファーを受け、翌2018年は丸々すべて歌のトレーニングに費やしたそうです。

もともと細い声質のレネーにとって、そのまま歌うだけでは「ジュディのよう」にはならなかったため、徹底的に物理的なトレーニングを行っただけあり、本作のステージ・パフォーマンスは圧巻の一言。


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『シカゴ』で知っていたつもりですがこんなにも「歌える」んだととにかく驚きました。真面目な話レネーはジャズシンガーとしても成功するのでは。

とにかくレネーの歌を聴くだけでも充分に元が取れる映画なのですが、歌だけでなく演技も素晴らしすぎて鑑賞中ずっと息苦しさを覚えるほどでした。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

精神的に落ち込んでいる時に観ると、引きずられそうになるほど。

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できれば、元気な時に観ましょう。落ち込んでいる時に観ると、ジュディに感情移入し過ぎて、涙が止まらなくなるおそれあり。

最初から最後までレネーの演技は最高に素晴らしく、主要な賞の主演女優賞を総ナメにして当然と思うのですが特に良かったのがラストステージの舞台袖のシーンとケーキを食べるシーンです。

レネーの表情、動き、視線の動きなど、これが演技なのかと驚くほど。

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しつこいですが、レネーを観るだけでも価値のある映画なんですよ!

レネーの演技で、シュディ・ガーランドへの愛と同情の念を覚えた人は多いはず。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

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しかし本格的に俳優業に復帰して2作目で主演女優賞を総ナメとは、レネーの才能は恐るべしです。

作品から感じる、製作陣のジュディへの憧憬と同情の念

『ジュディ 虹の彼方に』で描かれたハリウッドやショービジネス界のおぞましさ、きらびやかに見える裏でのどす黒さ、ファンの身勝手さには驚かされます。

それでもジュディは最後までファンの前でショーをやり遂げることを望みます。

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罵倒や嘲りを投げかけられても。ステージに登ることが怖くても、逃げ出したくでも。

ジュディに振り回されながらも、周囲の人たちは彼女を確かに愛していたのに、たくさんのファンにも愛されていたのに、どうしようもない不安や寂しさを抱えそれでも懸命に生きていたジュディ。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

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母親の愛情に飢えていた、過酷な幼少期を過ごしたなど、理由は考え付きますが、ジュディがどうしようもなく愛を渇望していたんだろうと伝わってくるのが本当に辛いのです。

ラストステージの映画のサブタイトルにもなっている「Over the Rainbow/虹の彼方に」を歌うシーンは、涙もろい人は危険なほど泣けます。

『ジュディ 虹の彼方に』

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

ジュディがファンから愛されていたと伝わるラストには、優しさと一筋の希望が見えます。

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ただ、ジュディはこの半年後に亡くなっているというどうにもならない事実を思い出すとやりきれない思いを抱かずにはいられません。

真に愛してくれるファンがいてジュディと互いに思い合う優しい世界がラストに描かれていたことには、ジュディ・ガーランドという一人の女性に対しての憧れや憐憫、同情といった製作陣の様々な思いが込められていたように思います。

もっともこの作品がハリウッドで作られたわけでなく、英国製作だったことも多分に関係しているでしょうが。

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ジュディの娘であるライザ・ミネリが母はハリウッドに殺されたと言っていることを思うと、英国製作で良かったと感じます。

『ジュディ 虹の彼方に』まとめ

以上ここまで『ジュディ 虹の彼方に』についてレビューしてきました。

心底胸に迫る伝記映画でした。

要点まとめ
  • レネー・ゼルウィガーが文句なく素晴らしすぎる!
  • ジュディ・ガーランドへの製作陣の大きな愛を感じる作品に仕上がっています。
  • 涙もろい人はタオル必須のラストステージは、圧巻です。本気で泣けます。ご注意を。

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