【伊藤沙莉インタビュー】『ビッケ』で初の吹替え声優挑戦!難しかったのは「引っ張られないこと」と語る

伊藤沙莉インタビュー

(C)ミルトモ

『SING/シング』『怪盗グルーのミニオン大脱走』スタッフが、誰も見たことがない美しく神秘的な“果てしなき大海原”を舞台に描かれる感動ファンタジー『小さなバイキング ビッケ』が10月2日より公開されます。

今回は、『小さなバイキング ビッケ』の日本語吹き替えキャストとして、主人公のビッケを演じた伊藤沙莉さんにインタビューさせていただきました。

本作の見どころはもちろん、初の少年役という性別の違うキャラクターを演じた感想など様々なお話を伺っています。

さらに、サイン入りチェキの読者プレゼントもあります。最後までお見逃しなく!

伊藤沙莉インタビュー

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−−初めに、ビッケの声を前情報なしで見ると本当に伊藤さんの声なのか分からないほどフィットしていて驚きました。少年の声がぴったりハマっていて伊藤さんの凄さが全面に出ていました。

伊藤沙莉(以下、伊藤)「本当ですか?嬉しい!ありがとうございます。」

−−先日の公開アフレコの際に、「前から男の子の声をやってみたかった」とおっしゃられていました。実際に少年役を演じるにあたり「どんな声色を出そうか」など、事前に意識されていたことはありますか?

伊藤「低い声は正直いくらでも出せるんです。できる限りヤンチャな男の子の声にできたらと意識していましたが、それでも最初は『年齢層が高く聞こえるからもうちょっとハリのある若い声にしてください』と演出していただいて、ちょっとずつ微調整していきました。」

−−少年の役ならではの難しさはございましたか?

伊藤「基本的にテンションが高い男の子なのですが、どこまで上げて、どのくらいが一番良いかの調整がリアリティを出す上で難しく感じました。最初に『声の年齢が高い』と言われた時に、『今、あなたがやっているのは青年であって少年じゃないから、少年を表現して欲しい』と言われたので、なるべく自分の中で高めのハリのある声を出すためにずっと目線を上向きにして喋るようにしていました。目線の置き方によって声の出し方が変わるので、自分なりに意識しながら声を出すように心がけました。」

−−『小さなバイキング ビッケ』という作品のストーリーはどのように感じ、捉えておりましたでしょうか?

伊藤「バイキング(海賊)の物語で、『大海原を大冒険!』と壮大なスケールの作品ですが、実はすごく身近な自分の中でも体験したことのあるような出来事に置き換えられるなと感じました。

何かを決めつけられることで自分が成長しきれないところや、自分ががんじがらめだったり、ちょっともやもやする感じだったり、子供であるほどそういう葛藤は大きいと思います。子供側は『もう成長しているのに!』とか、『もうちょっとできるのに!』と感じることが、大人側からすると『心配』だったり『まだまだだよ』と相反することはよくありますよね。

私自身も三兄妹の一番末っ子なので今もちょっと続いていて、親に分かってもらえずもがいている様子は共感しましたし、色々な人が思い当たることが詰まっているんじゃないかなと感じています。」

伊藤沙莉インタビュー

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−−すでに女優として各方面から引っ張りだこな伊藤さんですが、女優として実写で演じるのと声優として演じる上での大きな違いはありますか?

伊藤「実写とアニメの違いは『足し算と引き算』の違いです。実写のお芝居は基本的に『引き算』でやっていて、いらない動きや『この人はこんなことやらないでしょう』という余分な表現は基本的に排除して演じるのが好きです。でもアニメに関して言うと、ちょっと大袈裟な方がアニメの画と合っていたり、自分の中では『えぇー今の大丈夫かな?』と思っても意外とドンピシャなので、演出のされ方が実写とアニメでは全く違うんです。

自分の経験上、『もうちょっと抑えてください』と言われるのが実写で、『もっと大袈裟でやってください』と言われるのがアニメ。わかりやすく言うと、それが大きな違いですね。」

−−2020年はアニメ『映像研には手を出すな!』で声優もやられていました。国内アニメと海外版の吹替えには演じる上で違いは感じましたか?

伊藤「作品にもよると思いますが、『映像研には手を出すな!』は動きが多いので基本的にアニメーションになっていない段階のものに声を入れていました。だから『映像研には手を出すな!』では原作を読みつつ、『どんな表情で言っているんだろう?』など細かな描写は想像で演じましたが、ただ日本のアニメは作品自体が日本語なので表現の自由さはとてもあります。

吹替えの場合は、吹替え前のお手本があるので演技が引っ張られてしまうことが多くて、特に『小さなバイキング ビッケ』はどちらかと言うと、先ほどの話にあった『引き算』な実写寄りのお芝居をされているんです。もともと声の入った状態の映像をいただけるので想像しやすいですが、本国版の表現に釣られすぎてしまうと吹替え版のような『元気なビッケ』にはならなかったと思うので、そういう表現の違いによる難しさがありました。

日本のバージョンとして日本の方々にも馴染みやすいようにと考えたら、もうちょっと色濃くした方が面白く見てもらえるんじゃないかと多少考えながら演じました。」

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−−『小さなバイキング ビッケ』の吹替え声優のお話があった際、ご家族の反応はいかがでしたか?

伊藤「とにかく母がドンピシャなんですね、世代的に。リアルタイムで観ていたのですごく興奮していましたし、『ビッケを壊すのだけはしないでよ』と誰よりもプレッシャーをかけてきました。でも一方で、母が『昔のビッケは沙莉そっくりだよ』と背中を押してくれて安心しましたし、今作も映画館で観るらしいので、今から感想が楽しみだなと思っています。」

−−アフレコはお一人で撮られたのでしょうか?

伊藤「こういうご時世ではありますが、一人だとやっぱり掴めない部分もあって、一番絡みの多いハルバル役の三宅健太さんとイルビ役の和多田美咲さんはご一緒させていただきました。午後から撮る予定で、午前中は私一人でリハーサルをしていましたが、やっぱりお二方とやることで全然テンションが違うので、ビニールを貼ってソーシャルディスタンスを守りながら合同で録らせていただきました。」

−−三宅さんと和多田さんが公式コメントで伊藤さんの演技を大絶賛されていましたが、実際に共演されてみてのご感想はいかがですか?

伊藤「お二方ともプロなので、声の表現は本当に奥が深いことを教わりました。状況や環境などに応じて距離感や声の出し方を変えて、上から下に投げ掛けるのか、下から上に呼び掛けるのかだけで聞こえ方が違うなど工夫がすごくて感動しました。やっぱりご一緒にやらせていただくとテンションごと引っ張ってくださるので、お二方と一緒の現場、同じ環境でやれて本当に良かったなと感じています。」

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−−今作の主人公はビッケですが、お父さん(ハルバル)や女の子(イルビ)など愛すべきキャラクターが揃っています。伊藤さんがビッケ以外に注目したいお気に入りのキャラクターがいらっしゃれば教えていただけますでしょうか?

伊藤「みんなすごく可愛いんですが、強いて挙げるならいじわるスベンかな。憎めないキャラクターなんです。おっちょこちょいで、敵なんですが出てくるとわくわくする敵っているじゃないですか?アニメって。スベンはどちらかと言うと可愛らしくて、悪者なのに憎めない人がすごく愛おしく感じて好きなんですよね。今作は意外とスベンがいないと面白くならないんじゃないかと感じるキャラクターというか、今作の一つの柱なのかなと思います。」

−−見る人は魔法などエンターテイメントとして楽しめる作品ですが、もし魔法の剣が存在したら何か変えたい物はありますか?

伊藤「好きな人も苦手な人も小さくしたい!苦手な人は小さくしたら可愛く思えるだろうし、すごく好きな人は小さくして持ち歩きたいから、小さくする魔法が欲しいですね!」

−−最後に、伊藤さんが『小さなバイキング ビッケ』を俯瞰で見た時にお気に入りのシーンを教えてください。

伊藤「最後にとあるキャラクターが戦ってビッケのことを勧誘しようとするシーンで、『嫌だ〜!』と反発するところがやっていてすごく楽しかったです。ビッケからしたらすごく怖い相手に自分の気持ちを伝えるところはビッケの成長を一番感じられるシーンですし、ビッケの男気が一番見られるシーンだと思います。いろいろな伏線を回収して反撃していくところは見応え抜群なので、ぜひ楽しんで観ていただきたいです。」

伊藤沙莉インタビュー

(C)ミルトモ

インタビュー・構成 / 佐藤 渉
撮影 / 白石太一

伊藤沙莉 サイン入りチェキプレゼント(2名様)

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当インタビューをお読みいただいた読者限定で、伊藤沙莉さんの直筆サイン入りチェキを抽選で2名様にプレゼントいたします。

応募方法は以下のツイートを参考に、Twitterプレゼント応募規約(https://mirtomo.com/twitter-campaign/)を確認のうえ、奮ってご応募ください。

『小さなバイキング ビッケ』作品情報

『小さなバイキング ピッケ』

© 2019 Studio 100 Animation – Studio 100 Media GmbH – Belvision

監督:エリック・カズ 「Vic the Viking」(TVシリーズ)
アニメーター:ティモ・ベルク『SING/シング』『ペット』『怪盗グルーのミニオン大脱走』
出演:伊藤沙莉(ビッケ)、三宅健太(ハルバル)、前野智昭(レイフ)、和多田美咲(イルビ)、田坂浩樹(スベン)、前田雄(ウローブ)、鷲見昂大(ファクセ)、白井悠介(ゴルム)、神尾晋一郎(ウルメ)、長瀬ユウ(スノーレ)、坂田将吾(チューレ)、矢尾幸子(イルバ)、野津山幸宏(ソー)
2019/ドイツ、フランス、ベルギー/77分/
英題:Vic the Viking and the Magic Sword
配給:イオンエンターテイメント、AMGエンタテインメント
公式サイトvic-movie.com

あらすじ


「信じる。何があっても…」

少年ビッケは、愛する母イルバを救うため大海原へ旅立ちます。

海賊の父ハルバルと、仲間とともに―

ビッケは海賊の長ハルバルの息子。

ハルバルは元気な力持ちだがどうも頭の回転が鈍く海賊長としては頼りないです。

そんな父とは正反対にビッケは小さくて力もないですが、知恵は誰にも負けませんでした。

ある日、母のイルバが魔法の剣の力で黄金に姿を変えられてしまいます。

ハルバルは案内役のレイフと船員たちと海賊船で剣の秘密を解く旅に出発!おいてきぼりを食らったビッケはそっと樽に隠れ海賊船に乗り込みます。

知恵と仲間の力で困難を乗り越え、ビッケたちが辿り着いたのは謎の島。

人間界に追放されたアズガルドに住む神、ロキが待ち受けます。

ビッケたちの運命とは――!?

2020年10月2日(金)よりイオンシネマ他にて全国公開!

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