ホラー史上最大のヒットを飛ばした『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』から2年。
大人になったルーザーズたちとペニーワイズの最後の戦いを描いた、『IT/イット』シリーズ完結編です。
- 大人になったルーザーズ・クラブを演じる俳優と子役たちとのマッチ度が素晴らしいです。
- ホラー映画というより、大人たちが過去と向き合うヒューマンドラマと言えるかも。
- ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)の正体やルーザーズたちの過去など、明らかにされる事実が盛りだくさん!
それではさっそく映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』をネタバレありでレビューしたいと思います。
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目次
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』作品情報
作品名 | IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 |
公開日 | 2019年11月1日 |
上映時間 | 169分 |
監督 | アンディ・ムスキエティ |
脚本 | ゲイリー・ドーベルマン |
原作 | スティーヴン・キング |
出演者 | ジェシカ・チャステイン ジェームズ・マカヴォイ ビル・ヘイダー イザイア・ムスタファ ジェイ・ライアン ジェームズ・ランソン アンディ・ビーン ビル・スカルスガルド |
音楽 | ベンジャミン・ウォルフィッシュ |
【ネタバレ】『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』あらすじ・感想
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のあらすじ
まだ十代の少年少女だったルーザーズたちが、殺人ピエロ・ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)を撃退してから27年後。
デリーの町で再び凄惨な事件が起き始めます。
現場に残された「Come home」のメッセージ。
ルーザーズクラブで唯一、デリーに残っていたマイク(イザイア・ムスタファ)はペニーワイズこと「それ」の復活を知り、遠く離れて暮らすかつての仲間たちを呼び戻します。
中華レストランで久し振りに顔を合わせ、昔話に花を咲かせるルーザーズたち。
しかし、ペニーワイズの超常現象的襲撃を受け、ただ一人姿を現さなかったスタンリー(アンディ・ビーン)が自ら命を絶ったことを知ることになります。
マイクが先住民から聞いた「チュードの儀式」を行えばペニーワイズを倒せると知り、ルーザーズたちはそれぞれ儀式に必要な「思い出の品」を集めに行きます。
ペニーワイズの幻覚、過去のトラウマや消したかった過去を突き付けられながらも、彼らは自分たちの思い出の品を手に入れて行きます。
そんな中、27年前にルーザーズたちをいじめていたヘンリー(ティーチ・グラント)が、父親殺しの罪で収監されていた精神病院からペニーワイズの手によって脱走し、ルーザーズを狙い始めて…。
くりす
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、ただのホラー映画にあらず!
ゲイリー・ドーベルマンが執筆した脚本は200ページ超。
当初は4時間近い映像だったのを編集して169分の映画に仕上げたのが、今作『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』なのです。
スティーヴン・キングの原作は文庫だと4冊分あります。
この長い物語を一本の映画で描かず、長編映画として二回に分けて製作したのは正解だと思います。
子供時代の記憶を取り戻していく描写を6人分すべて丁寧に描いていくと、当然の上映時間でしょう。
完結編でもあるので、ペニーワイズの正体も明らかになり、最終決戦、子供時代のトラウマの克服なども、しっかりと物語に組み込まれています。
なので前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』も観た上で鑑賞すると、より満足度も高いはず。
くりす
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』はホラー映画の完結編ではありますが、子供時代のトラウマに立ち向かう大人たちの葛藤と成長を描いた物語なのです。
ジュブナイルものの魅力があった前作のテイストは残しつつ、ホラーと言うよりは大人たちの青春映画に仕上げたのはアンディ監督の手腕が成せる技。
40歳になった大人たちが過去を回想することでのノスタルジックな雰囲気に、変わらない友情への羨望にも似た気持ちが加わり、どこか切なさをはらんだ異色のホラー作品に仕上がっています。
くりす
しかし、前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』よりもペニーワイズの動きがコメディ色強めなので、純粋なホラーを期待して観ていた人にとっては「コレジャナイ」感があったかもしれません。
ビル(ジェームズ・マカヴォイ)の後悔と罪悪感。
27年経って、再びデリーに現れた「それ」ことペニーワイズ。
ルーザーズクラブのメンバーは、過去に起きたことを忘れてしまっていました。
ペニーワイズの力が関係しているのかも、とも思えますが。
再び集まったルーザーズたちは、ペニーワイズを倒す儀式に必要となる思い出の品をそれぞれ収集に行きます。
そこで一人一人、過去と向き合うことになるのです。
まずは、結末がクソ、と言われる物語を書いているビル(ジェームズ・マカヴォイ)。
世間的には成功者ですが、弟ジョージーの死をずっと引きずって生きていました。
作中明らかになるように、ビルはジョージーが雨の中一人で遊びに出かけたのは自分のせいであり、だからジョージーは殺されてしまったと自分を責め続けていました。
くりす
小さな弟に付き合うのが「その日だけは」面倒臭くて、体調が悪いと嘘を吐いた。たった一回のこと。
それがビルの、家族の運命も大きく変えてしまったのです。
くりす
これからはハッピーエンドの物語も書けそうな雰囲気があり、かけがえのない仲間たちとの絆も取り戻し、やっと幸福になることを自らに許せたようです。
ペニーワイズとの対決中に、やっと自分を許すことができたビルの姿には、思わずほろり。
くりす
ビルは原作者のキングが、自身を投影したキャラクターでもあります。
ビルが何人かに言われる「結末が…」のセリフはつい笑ってしまいますが、映画版は幸せな結末を迎えられて良かったです。
実は原作では夫であるビルを追ってデリーに来たオードラがペニーワイズの死の光を見てしまって、意識が戻らなくなってしまうという結末なのです。
映画ではオードラのパートは潔くカットされているので、ここも映画版の終わり方を支持したい部分です。
くりす
ベバリー、マイク、エディ、スタンリーの場合。
ベバリー(ジェシカ・チャステイン)の場合は、父親からの虐待がやはり心に大きな傷を刻み込んでいました。
虐待されながらもなお、ごく普通の愛情を実の父親に求めていたベバリー。
だからなのか、大人になったベバリーは父親と同じような虐待を振るう男と結婚していました。
ベバリーは父親から虐待される日々の中でもらった詩が書かれたポストカードを見つからないよう、昔の自分の部屋にこっそり隠していました。
それはベン(ジェイ・ライアン)からのラブレターで、べバリーはビルからだと勘違いしていましたが、戦いの中で真実を知ります。
ベバリーも自分をずっと純粋に愛し続けてくれる人の存在に、やっと気付くことができたのでした。
くりす
マイクは両親が焼死したことが、人生に大きな影を落としていました。
そして、小さな田舎の町で黒人で、なおかつ家業が屠殺業であることでいじめにも遭っていました。
そんな少年時代のマイクを酷いいじめから救ったのが、ルーザーズクラブのメンバーたち。
デリーから離れなかった理由は映画の中では明らかにされていませんが、すべてが終わった後に街を出る描写があります。
仲間たちとの絆も取り戻したマイクも、やっとデリーから旅立てたのでしょう。
くりす
エディ(ジェームズ・ランソン)は母親からの束縛、これも一種の虐待を受けていました。
潔癖症で神経過敏。危険なことは遠ざける。
リスク管理というぴったり過ぎる職に就いているものの、妻は亡き母親にそっくり。
病気でぼろぼろになることをとにかく恐れていたエディ。
それでも友人であるリッチー(ビル・ヘイダー)を助けるため、ペニーワイズに立ち向かう勇気を見せました。
しかし、エディは残念ながらペニーワイズの蜘蛛のような足に刺され命を落としてしまいます。
くりす
そうして、冒頭で自ら命を絶ってしまったスタンリー。
ペニーワイズとの対決が終わった後、仲間たちに届いた手紙によってスタンリーの自殺の理由が明らかになります。
決して逃げたわけではなく、自分が恐怖に負けると仲間たちも戦いに負けてしまう。
仲間の足を引っ張りたくない。全員の命を危険に晒したくない。
そう考えてスタンリーは、自分の存在を消したのでした。
確かに怖がりだったけれど、優しくて、ここぞと言うときの行動力があったスタンリー。
悲しい最期でしたが、決してただ逃げたわけではなかったことがルーザーズたちには慰めになりそうです。
くりす
ベンとリッチーの恋の行方。
太っちょだった自分に優しくしてくれていた女の子を、ずっとずっと忘れられなかったベン。
社会的に成功していても、ペニーワイズさん曰く割れた腹筋を手に入れても、どこか内気な印象を感じさせるイケメンに成長していました。
27年経って、やっと詩を書いたのが自分だとベバリーに知ってもらうことができて、すべてが終わった後も一緒に過ごしている映像が流れたので、まさしくハッピーエンドを迎えています。
仲間たちが亡くなった中で、唯一明るく喜ばしいことだったかもしれません。
体型に対するコンプレックスやビルへの嫉妬などから、ベンも解放されましたね。
くりす
さて、リッチーの恋はというと、実はリッチーが本当に恐れていたことはピエロではなく「ゲイだと知られること」でした。
もしくは、ゲイだと知られて迫害されること。
田舎の街で人に知られれば、どんな目に遭うか。
本作『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の冒頭で、ゲイカップルが暴行を受けるシーンがありますが、27年後ですら「そう」なのです。
少年時代のリッチーが真実が知られるのを恐れるのは当然です。
この冒頭のシーンは、ペニーワイズに殺されたエイドリアンが喘息吸入器を持っていたことで、エディとリッチーの暗喩ではないかとも考えられますが。
また、リッチーがペニーワイズに狙われた公園にあった大きな男性の像「ポール・バニヤン」は、アメリカの伝説上の巨人で怪力のきこりです。
監督は「ゲイのアイコンにもなりえる」と、映画に登場させたそうです。
自分を助けたせいで死んでしまったエディの亡骸すら連れて帰れなかったリッチー。
くりす
ラストで一人、リッチーはキスの橋に自らのイニシャルRとその横にEをしっかりと刻みます。
回想シーンの中ではできなかったことです。
仲間たちが幸せな未来を踏み出している分、リッチーの未来を考えると切なさがこみ上げます。
くりす
- 下ネタで笑いを取っていたリッチーが実はゲイだったこと。
- 子供時代にいつもエディをからかっていたのは恋心を隠すためだったこと。
- 再会したエディが、自分を助けたせいで死んでしまったこと。
- 不潔な場所が嫌いなエディを洞窟に置いてこざるを得なかったこと。
大人編はリッチーにとって辛い展開で、結末も悲しいものでしたね。
くりす
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の全ネタバレ!ペニーワイズの正体とは?
デリーの地下道を住処にして、27年周期で現れては子供たちを襲う邪悪な殺人ピエロ。
ペニーワイズとはいったい何だったのか。
ついに、その正体が明らかになりました。
ペニーワイズの正体とは人類誕生前という太古の昔に、やがてデリーという街になるこの土地に堕ちた隕石と共にやって来た地球外生命体だったのです。
デッドライトと呼ばれる三つの光からなる「それ」は、27年周期で目覚めては人間を餌にしていたのです。
ペニーワイズには幻覚を見せる能力があるので、その人物が恐怖を感じている対象を幻覚で見せ、ますますの恐怖を味わわせてから捕食していました。
おそらくはその方が「美味しい」からかと推測されます。
ピエロの姿をしているのは、子供を誘い出しやすいからですね。
ペニーワイズは子供の恐怖心が好物のようなので。
くりす
下半身が蜘蛛のような巨大な姿も、今作で披露されるペニーワイズは幽霊でも悪魔でもなく地球外生命体。
「それ」の正体は、人に幻覚を見せることが出来る宇宙人だったのです。
原作者スティーヴン・キングの長編シリーズ「ダーク・タワー」シリーズでは、ペニーワイズらしき存在が示唆されています。
そちらでも宇宙からやって来たという言葉があるので、やはりペニーワイズは宇宙人と推測されます。
くりす
原作では「それ」の存在自体がデリーだという設定も出てきます。
ペニーワイズがいることで悪意を増幅させる、悪意が根深いのかもと思うと、ルーザーズたちへの陰湿ないじめやベバリーの父親は当然のことながら、威圧的だったヘンリーの父など「大人」たちの恐ろしさもよりゾッとしますね。
きっとペニーワイズにとって、デリーはいい餌場だったのでしょう。
くりす
過去と向き合うことで勝利を手にした、ルーザーズたち。
少年少女時代の子役たちととにかく似ていて、演技達者な俳優を集めただけあり、27年前の回想が挟み込まれても違和感がないのが『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の素晴らしいところの一つです。
おかげで27年前と現在の違和感はなく、物語にすっと入っていけます。
ビル役のジェームズ・マカヴォイ、ベバリー役のジェシカ・チャステインは言うに及ばず、その他のキャストも演技が素晴らしくて、ぐっと引きこまれます。
エディとスタンリーは特に外見もそっくりだったと思います。
動きまで子役の癖に合わせて大人時代のエディを演じたジェームズ・ランソンはさすが。
そんな大人になったルーザーズたちが抱えていた「トラウマ」や忘れていた過去がペニーワイズを倒すために重要なカギとなるのです。
目を背けてしまうのが当然の幼少期のトラウマ、忘れたい暗い過去。
誰もが事の大小関係なく何かしらあるはずの暗い記憶。
あえて思い出そうとしない過去というのは、正直辛い思い出です。
ルーザーズたちは、そのトラウマとしっかり向き合うことで、仲間たちとの記憶であり「親友たち」を取り戻したからこそ、恐怖に打ち勝ちペニーワイズに勝利できたのです。
大切なのは仲間たちへの信頼と、何より自分を信じること。
目を背けている自身のトラウマや過去とも、いつかはちゃんと向き合って克服することの大切さ。
ペニーワイズとの戦いには、そんな制作陣からのメッセージが込められていたように思います。
27年前のことは忘れてしまっていたのに、大人になったルーザーズたちはペニーワイズとの戦いをしっかりと覚えているのも、このトラウマに5人が向き合えたからではないでしょうか。
何より大切な仲間たちをもう忘れたくない、ちゃんと覚えておきたい。
そんな気持ちが一番大きかったかもですが。
くりす
ホラー映画としては怖くない部類の『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が、大人の青春物語として素晴らしい作品に仕上がっているのも、ルーザーズたちの絆や一人一人の成長がしっかり描かれているからだと思います。
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の全ネタバレ情報!ペニーワイズの正体とは…?まとめ
✋🏻教えて監督❗️謎解きインタビュー
ℚ.3⃣隠れ #ペニーワイズ がいる⁉️
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答え➡️https://t.co/KDfG3iY1Uf#アンディ・ムスキエティ#イットtheEND #イット見えたら終わり pic.twitter.com/6jFw55oz0A— 映画『IT/イット』公式🎈🎈 (@IT_OWARI) November 20, 2019
以上、ここまで映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』について、ネタバレありで紹介させていただきました。
- ペニーワイズは、ホラー界の新たなアイドル!
- かけがえのない友情の素晴らしさに、思わず涙してしまいます。
- 原作の改変で現実社会が反映されたこともあり、感動作に仕上がっている稀有なホラー映画です。
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