これまでマーベル映画についての記事を何本か執筆したので、今回はちょっと趣向を変えてDC映画についての記事を書きたいと思います。
日常的にアメリカン・コミックスの原作漫画を読む習慣がない日本人は、アメコミ映画と聞くとすべてマーベル映画だと考えてしまう人もいることでしょう。
しかし、アメリカン・コミックスは大きくマーベル・コミックとDCコミックスに分かれているため、マーベル・コミックを原作としたマーベル映画と、DCコミックスを原作としたDC映画は全くの別物です。
そこで今回は、DC映画のクロスオーバーシリーズである【DCEU】の魅力について熱く語っていくので、この記事をきっかけにDCEUの作品をひとつでも見てみたいと思ってもらえたら嬉しいです。
目次
DCコミックスを原作としたDCEUの魅力
そもそもDCEUとは?MCUとの違いも解説
DCEUというのは、DCコミックスを原作としたシェアード・ユニバース作品のことで、正式には【DCエクステンデッド・ユニバース】といいます。(以下、DCEU)
マーベル・コミックを原作とした巨大ユニバースであるMCUとの違いは大きく2点です。
- MCUの全作品を統括しているケヴィン・ファイギ氏のような立場の人間がDCEUにはいないということ。
- MCUと比べて圧倒的に作品数が少ないということ。
❶全作品を統括している人間がいないことで生まれる魅力
MCUでいうケヴィン・ファイギ氏のような立場の人間がいないことによって生まれる魅力というのは、作品間の繋がりが薄く、作品ごとの特色がはっきり出るということです。
MCUはひとつのユニバースとしてどんな物語を描きたいのかという枠組みがかっちりと決められているのに対し、DCEUはかっちりと決められていません。
まずMCUはユニバースとしての方向性があるので、作品単位のストーリーや作風などはケヴィン・ファイギ氏によって大きなばらつきがないように調整されます。
逆に言えば、作品ごとの繋がりの深さによって生まれる物語の緻密さがMCUの魅力なのです。
対するDCEUの作品群は、『アクアマン』という作品を境に、作風が180度変わります。
ユニバースとしての枠組みがかっちりと決まっていないため、個々の作品ごとの独立性が強く、監督の持ち味が存分に発揮されます。
もちろん配給会社であるワーナー・ブラザースの意向を無視することはできませんが、自由度がそれなりに高く、監督の持ち味を存分に活かすことができるのです。
DCEUは作品間の繋がりが薄いことによって、MCUにはない<順番通りに見なくてもストーリーが分かる>という新たな魅力を生み出しています。
MCUは『アイアンマン』から順番に見ていかないとまったくストーリーについていけなくなりますが、DCEUはそんなことにはなりません。
従って、どの作品から見ても問題なく楽しめます。
が、『マン・オブ・スティール』から『ジャスティス・リーグ』という作品までは例外的に一連の流れがあるので、ここだけ順番通りに見ることを強くおすすめします。
❷MCUと比べて圧倒的に作品数が少ないことで生まれる魅力
MCUに比べて圧倒的に作品数が少ないことによって生まれる魅力は「手を付け始めやすい」に尽きます。
具体的な本数を言うと、MCUが23本なのに対してDCEUは7本(2019年9月現在)です。
アメコミ映画を全く見たことがない人にとって、MCUは気楽に見ようにも作品数が多いうえに、上述のとおり見る順番にも気をつけなければいけないので心理的なハードルが高いのです。
MCUが23本あると聞いて敬遠してしまう人もいると思いますが、DCEUが7本と聞けばかなり心理的なハードルも下がるのではないかと思います。
アメリカン・コミックスの映画を牽引し続けているDC映画
もしもDC映画がなければ、MCUの世界的な大成功もなかったと断言できるほどアメコミ映画に与えた影響は計り知れません。
世界的に大ヒットし人気を博した最初のDC映画と言えば、1978年に公開されたクリストファー・リーブ主演の『スーパーマン』、1989年に公開されたマイケル・キートン主演の『バットマン』です。
日本でも『スーパーマン』は56億円、『バットマン』は34.7億円の興行収入を得て絶大な人気を誇りました。
分かりやすいように興行収入で比べてみましょう。
特別上映などでチケット単価が上がっている現在で『アベンジャーズ/エンドゲーム』が61億円、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が30億円ぐらいの興行収入ですから、当時の人気の凄さが分かると思います。
世界的にもアメコミ映画といえばDC映画!という時代でした。
その後、マーベル映画でも世界的に大ヒットした作品が出てきますが、アメコミ映画というジャンルの社会的評価を昇華させたのが2008年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』です。
さらに2019年10月4日公開のDCEUには属さないDC映画である『ジョーカー』が、アメコミ映画史上初のヴェネチア国際映画祭の金獅子賞受賞というとんでもない快挙を成し遂げ、DC映画に世界中から熱い視線が注がれています。
DCEUは2013年に公開された『マン・オブ・スティール』から始まりました。MCUの『アベンジャーズ』が公開された翌年に当たります。
そして、DCEUでもMCUの一歩先をいくような画期的な作品を公開しています。
DCコミックスを原作としたDCEU全7作品を総まとめ!
ここからは、2019年9月現在までで公開されているDCEUの全7作品を紹介していきたいと思います。
作品紹介に入る前に、DCEUにおけるヒーローは「メタヒューマン」と呼ばれる点だけ予備知識として覚えておいてください。それを知っていればスムーズに作品に入れます。
①『マン・オブ・スティール』
題名を日本語に直すと「鋼の男」であることからも分かる通り、スーパーマンの映画です。
この映画が今までのスーパーマン映画と大きく異なるのは、ダークな作風である点です。
スーツも明るい色から暗い色になっており、スーパーマンが自身の力に悩む姿を中心に描いています。
今までのスーパーマン映画は明るい作風だったのに、なぜ今作は暗い作風になったのかというと『ダークナイト』の存在があります。
『ダークナイト』が世界的に成功したため、今作の監督であるザック・スナイダーは「スーパーマンの映画をダークな作風で描いたらどうか」と思い、この作品を作りました。
ダークな作風のスーパーマンを受け入れられるかどうかで好き嫌いがはっきりします。
この作品に関する裏話があって、実は『マン・オブ・スティール』の劇中で海に落ちたスーパーマンを、姿は見えませんがアクアマンというヒーローが助けている一幕もあります。
②『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』
バットマンとスーパーマンが共演するというアメコミファンにとっては夢のような作品です。
監督はザック・スナイダーなので『マン・オブ・スティール』の直接的な続編です。
この作品の見どころはバットマンとスーパーマンの戦いであり、敵うはずのないスーパーマンにどうやってバットマンが挑むのかというところです。
MCUのファンなら間違いなく興奮するであろうスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンのDCコミックスが誇るビッグ3が勢揃いするシーンは必見です。
この作品には、後の作品である『ジャスティス・リーグ』に登場するメタヒューマンたちもカメオ出演しているため、とても大事な作品です。
③『スーサイド・スクワッド』
時系列は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の直後にあたります。
スーサイド・スクワッドは、直訳すると自殺部隊です。
どうしてこういった名前が付けられているのかというと、この部隊はバットマンのヴィランなどで構成されており、刑期を短くする代わりに使い捨てとして結成された部隊だからでした。
もし命令に背いたら首に取り付けられた爆弾によってすぐに殺されてしまいます。
『スーサイド・スクワッド』のヴィランたちはこの爆弾があるために命令に従い、ヒーロー活動をします。
ヴィランのチームがヒーロ活動をする映画はMCUにもないため、画期的な作品と言えます。
エンドロール後に『ジャスティス・リーグ』に繋がる映像があるので、ぜひ最後まで見てください。
④『ワンダーウーマン』
冒頭は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の直後ですが、主人公であるダイアナの回想から物語が始まります。
この作品の魅力は、ダイアナが慣れない外の世界で奮闘する姿です。
外の世界と隔絶された女性だけの島で育ったダイアナにとって外の世界は未知の世界ですから、ちょっと世間とずれた行動をしてしまうわけです。
しかし、その姿を見ているとダイアナを応援したくなってきます。
『ワンダーウーマン』の監督はパティ・ジェンキンスという女性なのですが、女性監督ならではの女性ヒーローの描き方が本作の魅力をグッと高めています。個人的にはMCUの『キャプテン・マーベル』より好きな作品です。
『ワンダーウーマン』の大ヒットを受けて、女性ヒーロー映画の人気に火がついたと考えれば画期的な作品と言えます。
⑤『ジャスティス・リーグ』
時系列は『スーサイド・スクワッド』の後です。
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でカメオ出演したメタヒューマンたちが集結してジャスティス・リーグを結成し、ステッペンウルフというヴィランと戦う作品です。
三つ合わせれば世界を支配できるというマザーボックスがステッペンウルフの手に渡るのをジャスティス・リーグが阻止しようとする点では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と物語の構造が同じです。
自分は『ジャスティス・リーグ』が好きなのですが、ザック・スナイダー監督の持ち味を活かしたダークな『ジャスティス・リーグ』を見たかったなぁというのが正直あります。
実は、製作途中で『ジャスティス・リーグ』の監督が、ザック・スナイダーから『アベンジャーズ』監督のジョス・ウェドンに変わってしまうということがありました。
そして、配給会社のワーナー・ブラザースがダークな作風を大きく変えて、大衆受けするような作風に変えたという経緯があります。
⑥『アクアマン』
時系列は『ジャスティス・リーグ』の後ですが、完全に一本の映画として独立しています。
配給会社のワーナー・ブラザースは『ジャスティス・リーグ』での興行的失敗を受けて、『アクアマン』からDCEUという形式にこだわらずに作品を作っていくことを決めました。
『アクアマン』のストーリーは王道のヒーロー物語であり、私はDCEUの中で一番好きな作品です。
そして、これまでのダークな作風とは180度真逆の明るい作風になっています。
この作品で特に見てほしいポイントは、最先端の撮影技術を使った水中シーンの鮮やかさです。
初めて映画館で『アクアマン』を見た時は、あまりの映像のきれいさに脱帽しました。
MCUでも使っていない最先端の撮影技術を使っているという意味で、とても画期的な作品です。
⑦『シャザム!』
『シャザム!』はDCEUで初めてのヒーロー・コメディ映画です。
シャザムの力を受け継いだビリー・バットソンという一人の少年が「シャザム!」と唱えることで、シャザムというヒーローになります。
つまり中身は少年、体は大人という状態になるわけです。
分かりやすく言うと、中身は頭脳明晰な高校生、体は子供である名探偵コナンの逆バージョンです。
この映画の面白さは、中身が少年のままなヒーローという設定に尽きます。
つまり、シャザムになってもふざけてばかりという従来のヒーロー像とは程遠いギャップに爆笑すること間違いなしです。
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DCEU全7作品の紹介とDCEUの魅力解説まとめ
MCUばかりが注目されてしまい、どうにも存在感が発揮できないDCEUですが、ここまで読んだ人にはDCEUの魅力が少しでも伝わったと信じています。
これからのDCEUも『ワンダーウーマン』の続編である『ワンダーウーマン1984』や、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督であるジェームズ・ガンが手掛ける『スーサイド・スクワッド』の続編もあり、見逃せない作品が控えています。
他にも公開予定の作品があるので、ぜひ今後はDCEUにも注目してみてください。
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