映画『歩けない僕らは』『ガンバレとかうるせぇ』新鋭・佐藤快磨監督の原点と最新地点が味わえる2本立て

映画『歩けない僕らは』

出典:『歩けない僕らは』公式ページ

一年目の若手理学療法士と、脳卒中に倒れてリハビリ転院してきた若者との焦りと葛藤を新鋭監督・佐藤快磨が描きます。

W主演は『HiGH&LOW THE WORST』の落合モトキと『罪の余白』の宇野愛海。

37分の中編作品ですが、多くの要素が盛り込まれた濃密な映画になっています。

一部の劇場では、佐藤監督の初長編で『歩けない僕らは』にも出演している堀春菜主演の『ガンバレとかうるせぇ』も併せて上映されます。

ポイント
  • 新進俳優落合モトキ、宇野愛海、堀春菜がそろう注目の中編映画
  • SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019年コンペティション部門観客賞受賞
  • 今までにない、病に倒れる姿ではなく病から立ち直る姿を描いた物語
  • ぴあフィルムフェスティバル2014年映画ファン賞・観客賞二冠の『ガンバレとかうるせぇ』も同時上映

それではさっそく映画『歩けない僕らは』『ガンバレとかうるせぇ』をネタバレありで見どころをお伝えします。

映画『歩けない僕らは』作品情報

作品名 歩けない僕らは
公開日 2019年11月23日
上映時間 37分
監督 佐藤快磨
脚本 佐藤快磨
出演者 宇野愛海
落合モトキ
板橋駿谷
堀春菜
細川岳
門田宗大
山中聡
佐々木すみ江
川合空

映画『歩けない僕らは』あらすじ


宮下遥(宇野愛海)は、理学療法士として回復期リハビリテーション病院で働いている。

同期の幸子(堀春菜)や恋人の翔(細川岳)とは、励まし合いながら互いを高め合っていた。

担当していたタエ(佐々木すみ江)が無事に退院し、入れ替わりに脳卒中を発症して左半身不随になった柘植(落合モトキ)がやってくる。

彼の担当となり、初めて患者の入院から退院までを任された遥は、課長の日野(山中聡)、リーダーの田口(板橋駿谷)の指導を受けながら、柘植と向き合う。
出典:シネマトゥデイ

【ネタバレあり】映画『歩けない僕らは』感想レビュー

映画『歩けない僕らは』の感想

映画『歩けない僕らは』は、2014年に初長編作品『ガンバレとかうるせぇ』でぴあフィルムフェスティバルアワードで観客賞と映画ファン賞の二冠を受賞した佐藤快磨監督待望の最新作。

長い期間の取材と熟考を重ねて描く、リハビリに立ち向かう若者の姿がリアルです。

一部劇場では『ガンバレとかうるせぇ』も同時上映され、佐藤監督の原点と最新作を一度に体験できる作品に仕上がっています。

本作『歩けない僕らは』では、注目の若手俳優である落合モトキ、宇野愛海、堀春菜が揃いました。

脳卒中に倒れ、人生の大きな落とし穴にはまり、物理的にも心理的にも身動きが取れなくなる柘植役を演じるのは落合モトキ

子役から芸能活動を始め井筒和幸監督の『ヒーローショー』などで注目を集め、映画『HiGH&LOW THE WORST』やドラマ『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』に出演している若手俳優です。

柘植を支える理学療法士の遥役は私立恵比寿中学の元メンバーで女優として活躍中の宇野愛海

『罪の余白』などの作品のほか、ホラー映画『デスフォレスト恐怖の森3』では主演もしています。

遥の同僚役の堀春菜は、2018年に大きな話題を呼んだ『カランコエの花』でメインキャストを務め、『万引き家族』や『キセキ‐あの日のソビト‐』など話題作にも出演しています。

映画を活動の軸にしていて、佐藤快磨監督の長編デビュー作『ガンバレとかうるせぇ』では主演をしています。

実力派が揃った共演者たち

映画『相棒 -劇場版IV-』やドラマ『花より男子』などで活躍したベテラン女優の佐々木すみ江が、ヒロイン遥の成長を支える形になる患者役で出演しています。

佐々木すみ江は2019年の2月に惜しまれつつ亡くなり、本作『歩けない僕ら』が遺作でもあります。

また『ガンバレとかうるせぇ』にも出演した細川岳、『運命じゃない人』の山中聡、入江悠監督作品の常連俳優の板橋駿谷など、実力派キャストが佐藤監督の元に集まりました。

実体験と重なる、あまり日の当たらない病から立ち直る姿を描いた物語①

難病モノというジャンルが映画にはありますが、たいていの場合は病に倒れたときから治すまで、または亡くなるまでを描くことが多いのではないでしょうか?

この『歩けない僕ら』は“病に倒れたあと”というあまり注目を浴びない部分を描いています。

村松 健太郎

個人的な話になりますが、私村松は27歳と31歳の時に脳梗塞で倒れました。

お酒もあまり飲まず、タバコは一切吸いませんでした。

食生活と運動については健全ではなかったかもしれませんが、それでもいきなりこんな病に倒れることになろうとは思っていませんでした。

幸いにも、人前で倒れてすぐに救急搬送されたので、生死にかかわるレベルまでには至りませんでした。

ただ、右半身にまひが残り、今も不自由があります。

倒れた当初は右足はほとんど上げられず、腕もどれだけ頑張っても“前ならえ”までしか上がりませんでした。

今も右手は握力が左の半分以下で、ちゃんとした形の“ばんざい”はできません。

視覚や聴覚も左右でばらばらで、今この文章を書いているパソコンのタイピングも左右の指の連動が上手く効かず、ハチャメチャな文章になることもたくさんあります。

外出時には杖と滑り止め付きの手袋が欠かせません。

実体験と重なる、あまり日の当たらない病から立ち直る姿を描いた物語②

リハビリには大きく分けて急性期と回復期の二つがあります。

急性期リハビリは、倒れてから「再発の可能性が低いこと」がある程度まで保障されるとすぐに始めるリハビリです。

麻痺からのリハビリは早ければ早いほど効果的で、私も左手を使えばバンザイができるぐらいになり、低い段差も乗り越えられるようになりました。

この頃は、スタートがあまりにも何もできないものなので、その反動でとにかくできることがどんどん増えていくので気持ちとしても上向きになります。

ただ、麻痺というものは残念ながら完全に解消されるものではありません。

『歩けない僕ら』で描かれた回復期の時期になると、できないことが見えてきて心理的にも物理的もどうしようもない焦りを感じます。

車いす生活(私も約2ヶ月間は車いす生活でした)で全身の筋力が落ちていることも大きく、運動靴がスキー靴のような重さに感じられるほどです。

『歩けない僕ら』の主人公・柘植もまた、できないことがはっきりしてきて、苛立ちや焦りを感じ、自分の中に入り込み、理学療法士の遥にも強く当たってしまいます。

村松 健太郎

柘植の心情描写はものすごくリアルでした。

患者さんの家族や友人、さらに理学療法士の方にもぜひ知ってほしい物語です。

映画『ガンバレとかうるせぇ』作品情報

作品名 ガンバレとかうるせぇ
公開日 2019年11月23日
上映時間 70分
監督 佐藤快磨
脚本 佐藤快磨
出演者 堀春菜
細川岳
布袋涼太
柳沼侃
江國亮介
山城ショウゴ
石上真紀子
ミョンジュ

映画『ガンバレとかうるせぇ』あらすじ


山王高校のサッカー部でマネージャーをしている3年生の菜津(堀春菜)は、夏の大会後に引退せず、冬の選手権まで部に残ること周囲に伝える。

しかし自分が顧問(ミョンジュ)や部員から必要とされていないことに気付く。

一方キャプテンの豪(細川岳)は、チームの中心選手である健吾(布袋涼太)から引退を勧められるほど頼りにされていなかった。
出典:シネマトゥデイ

【ネタバレあり】映画『ガンバレとかうるせぇ』感想レビュー

佐藤快磨監督の原点『ガンバレとかうるせぇ』

一部の劇場では併営されないのであまり熱く語るのも申し訳ないのですが、佐藤快磨監督の初長編監督作品『ガンバレとかうるせぇ』が同時上映されます。

『ガンバレとかうるせぇ』は2014年のぴあフィルムフェスティバルで映画ファン賞と観客賞の二冠を受賞した青春劇です。

主演は『歩けない僕ら』にも出演している堀春菜です。

堀春菜が演じるのは、勝っても褒められず、負けても責められないサッカー部マネージャーの菜津。

サッカー部は夏の大会で敗退し、マネージャーの菜津は引退するのが慣例です。

しかし、“逃げたと思われたくない”という気持ちから、マネージャーを冬の大会まで続けることを宣言します。

一方、サッカー部もキャプテンの豪(細川大)の気持ちが空回りして、嫌な空気が漂い始めます。

『歩けない僕ら』と『ガンバレとかうるせぇ』は一見すると全く違う物語に見えます。

しかし、どうしようもない状況に置かれたときの“焦り”や“もどかしさ”を描いたということでは同じところがあります。

村松 健太郎

こういう感情は人間として社会に生きていれば、色々な場面で抱える感情ではないでしょうか?

『歩けない僕ら』は病気、『ガンバレとかうるせぇ』は部活という入り口がありますが、テーマ自体はとても普遍的なものになっていると思います。

映画『歩けない僕らは』『ガンバレとかうるせぇ』まとめ

以上、ここまで映画『歩けない僕らは』と『ガンバレとかうるせぇ』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 実際に脳疾患を体験した者から見てもリアルなリハビリに携わる者(患者・理学療法士)のリアルな心理描写。
  • 今後さらに大舞台へと飛躍するであろう新進俳優、落合モトキ、宇野愛海、堀春菜の演技。
  • 細川岳や山中聡と言った名バイプレイヤー、さらに遺作となったベテラン女優佐々木すみ江などの豪華共演陣。
  • 国内外の映画祭受賞歴・出品歴多数の佐藤快磨の瑞々しい世界観。
  • 佐藤監督との原点と最新地点の両方を同時に見ることができるスペシャルプログラム。