【宇野愛海インタビュー】『歩けない僕らは』で理学療法士を演じた苦労や実際の現場で学んだこととは

『歩けない僕らは』宇野愛海インタビュー

(C)ミルトモ

サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞し、東京フィルメックス コンペティション部門に正式出品される『泣く子はいねぇが』(出演:仲野太賀吉岡里帆)が2020年11月20日に公開される佐藤快磨監督の、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019で国内コンペティション短編部門の観客賞を受賞した前作『歩けない僕らは』のDVDが11月18日(水)にリリースされることが決定。

さらに『歩けない僕らは』は、PFF アワード2014で映画ファン賞と観客賞をW受賞し、釜山国際映画祭ニューカレンツ・コンペティション部門に正式出品された、佐藤快磨監督の初の長編映画『ガンバレとかうるせぇ』(出演:堀春菜細川岳)との併映で、11月7日(土)〜11月13日(金)11:55-13:45に名古屋・シネマスコーレにて、12月4日(金)〜12月17日(木)に長野・千石劇場にて上映され、同じく佐藤監督の過去作品である『ぺい』、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(出演:仲野太賀岸井ゆきの)との併映で、12月19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)14時&19時、21日(月)、24日(木)、25日(金)14時に各回10名限定で名古屋・シアターカフェにて上映されます。

DVDリリースと上映に先駆けて、主演の宇野愛海さんにインタビューをさせていただきました。

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−−本作『歩けない僕らは』で、理学療法士という専門的な役を演じると決まった時の感想をお聞かせください。

宇野愛海(以下、宇野)「理学療法士という言葉すら知らないところから始まったので、最初は重くて難しそうだなと感じました。」

−−役作りのために、撮影前にロケ地にもなった「リハビリテーション花の舎病院」を実際に取材されたとのことですが、参考になったことや印象に残ったことを教えてください。

宇野「私が演じた遥と同じ立場の一年目の理学療法士さんにお話を聞けたのが一番大きいと思っています。一年目は患者さんに感情移入しすぎてしまうそうです。エビデンス(実証結果)を元に、その患者さんにはできないと決めつけてしまったことを涙ながらに語ってくださったのがすごく印象に残っています。」

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−−それは1年目だからこその割り切れないもどかしさや感情の揺れだったのでしょうか?

宇野「ベテランでもあることみたいですが、1年目だと特に引きずってネガティブに考えてしまうとお聞きしました。」

−−主人公の遥を演じられる上でもっとも意識されたことを教えてください。

宇野「一番意識したのは、落合モトキさんが演じた患者の拓殖との距離感でした。落合さんとは控室でも全く話さず、常に緊張感と冷たい空気が流れていて、そのおかげで劇中の柘植と遥の関係性を表現できたと思います。」

−−カメラが回ってない時でも2人の関係性で意識することを話し合ったりはしなかったのでしょうか?

宇野「落合さんとはそんな話もなく自然とそうなっていました。遥は常にいっぱいいっぱいな状態だったので、私は1人でその心理状況を表現しようとしていました。落合さんはその空気を察してくださって話しかけずにいてくれたんだと思います。」

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−−撮影の前日に初めて実技練習をされたとお聞きしたのですが、理学療法士の業務を実践してみて難しいなと思った部分はありましたか?

宇野「男性を支えるとなるとかなりの力技なのかなと思っていたのですが、実際は持つ場所やコツがあってシーンごとに理学療法士さんが教えてくれたので、苦労してまったくできないということは特になかったですね。」

−−先輩役の板橋駿谷さんや、上司役の山中聡さんとは共演してみていかがでしたか?

宇野「みなさん役柄通りに接してくださいました。山中聡さんは頼れる存在として話してくださって、板橋駿谷さんは現場でもムードメーカーで遥が落ち込んでるシーンの前でも関係なく笑わせてくださいました。遥も先輩方に助けられていたと思うんですが、お二人が普段から同じように接してくださったのはありがたかったです。」

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−−現場で一番お話しした共演者はどなたですか?

宇野細川岳さんと拓殖の先輩役の門田宗大さんはよくお話ししていました。岳さんの場合は彼氏役だったので普段からコミュニケーションの時間を長く取ろうとしましたね。その日の撮影が終わった後に2人でお散歩をしてみたり、時間を作ってたくさんお話しさせていただきました。」

−−職場でのキリッとした遥と、プライベートでのフワッとした遥の違いが印象的でした。どう演じ分けられていたのでしょうか?

宇野「演じ分けは特に意識してなかったのですが、彼氏役の岳さんと一緒にいる時間が長かったので頼れる存在になっていました。そのため自然と切り替えができたのかなと思います。」

−−序盤で彼氏に突然別れを告げられるシーンで宇野さんが涙を流す場面はすごいなと思ったのですが、どういった準備と気持ちの流れで演じられていましたか?

宇野「遥は職場でいっぱいいっぱいで、どうしていいかわからない状況です。だからこそ細川さん演じる彼氏の翔くんには相談したいのに、突然別れを言われた時の気持ちを考えたら、泣けました。」

−−公式コメントにて、宇野さんは佐藤快磨監督に遥の心情の変化で違和感やわからないことがあると相談したと拝読しました。どのようなことを相談されたのでしょうか?

宇野「遥が自分の感情を拓殖に伝える場面で、普通はプロがそんなことを患者に言うわけがないので、遥の中でそれを言うことへの葛藤はないのか、勢い任せで言っているのか、ちゃんと伝えたくてあえて言っているのか、何が正解なのかわからなくて相談しました。」

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−−宇野さん自身が佐藤監督のおかげでプレッシャーを上手く緩和できたとおっしゃっていましたが、どのような点でそれを感じましたか?

宇野「佐藤監督からはそんなに細かく演出をされず、何か演出をしたい時は例えば落合さんにだけ指示して、私はそれを演じている最中に初めて知るというやり方でした。だからこそ楽しみながらお芝居ができたと思います。」

−−普通の映画だと患者のリハビリを通して主人公も理学療法士として意識が変わり成長していくサクセスストーリーとして終わると思うのですが、本作は途中まではそういった話に見えて意外な終わり方をしました。宇野さんはあのラストについてどう思われていますか?

宇野「もともとの脚本と、完成した作品の流れが違うものになっていて、私も後で見て初めてこういうエンディングになったと知りました。綺麗に纏まって終わらないことが、ちゃんと実際の理学療法士の気持ちに沿っていると感じました。退院した一人の患者さんを見送ったら終わりではなく、患者さんに感情移入して引きずってしまっているモヤモヤした気持ちや、この先も新たな患者さんと向き合わなければならない現実を表していると思います。」

−−宇野さんのお気に入りのシーンを教えて下さい。

宇野「(2019年にお亡くなりになった)佐々木すみ江さん演じる患者のタエさんとお墓参りにいくシーンです。まず佐々木さんとの共演が思い出に残っていますし、シーンとしても遥がちょうどいっぱいいっぱいでどうしていいかわからない時にお墓の階段を駆け上がって広い景色を見るという一連の流れが、遥がこれからどう進めばいいのかのヒントになっていて、個人的に印象に残っています。」

−−本作をご覧になる観客の皆さんに伝えたいメッセージをお願いします。

宇野「医療モノだからと言って重くならず見られる作品です。すでに作品を見ていただいた本物の理学療法士さんやリハビリをされている方々からリアルだったと感想も頂いているのでちゃんとリアルな医療の現場をお届けできていると思います。さらに主人公の人間としての成長物語も見てる方に伝わると思います。」

『歩けない僕らは』宇野愛海インタビュー

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インタビュー・構成 / 佐藤 渉
撮影 / 白石太一

『歩けない僕らは』作品情報

『歩けない僕らは』

(c)映画 『歩けない僕らは』 

出演者:宇野愛海、落合モトキ、板橋駿谷、堀春菜、細川岳、門田宗大、山中聡、佐々木すみ江
監督・脚本・編集:佐藤快磨(『泣く子はいねぇが』)
プロデューサー:登山里紗
撮影:加藤大志
撮影助手:勝亦祐嗣
照明
:高橋拓
録音
:吉方淳二
音楽:田中拓人
衣裳:馬場恭子
ヘアメイク:橋本申二
ヘアメイク助手:西田美香
助監督:葉名恒星
制作部:福島成人、原田親
スチール:西永智成
協力:医療法人社団友志会、十一合同会社、MotionGallery、独立映画鍋、ニューシネマワークショップ、アクターズ・ヴィジョン、 栃木県フィルムコミッション、栃木市
配給:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES
©映画『歩けない僕らは』
2018 / 日本 / カラー / 37分 / 16:9 / stereo
公式サイトwww.aruboku.net
Twitter@uno_narumi_proj
facebookwww.facebook.com/unonarumiproject
Instagramaruboku_movie

あらすじ


宮下遥(宇野愛海)は、回復期リハビリテーション病院1年目の理学療法士。

まだ慣れない仕事に戸惑いつつも、同期の幸子(堀春菜)に、彼氏・翔(細川岳)の愚痴などを聞いてもらっては、共に励まし合い頑張っている。

担当していたタエ(佐々木すみ江)が退院し、新しい患者が入院してくる。

仕事からの帰宅途中に脳卒中を発症し、左半身が不随になった柘植(落合モトキ)。

遥は初めて入院から退院までを担当することになる。

「元の人生には戻れますかね?」と聞く柘植に、何も答えられない遥。

日野課長(山中聡)と田口リーダー(板橋駿谷)の指導の元、現実と向き合う日々が始まる。

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