もし、1人の人間の中に複数の人格があり、自分が一番つまらない人格だったとしたら。
数多くのPVやCMを手掛け、『君の名は。』にCGクリエイターとして参加し、「次世代の映像作家100人2019」に選ばれた吉野耕平の初長編作品。
曜日ごとに人格が変わる”僕”を4年ぶりの映画主演となる中村倫也、すべての秘密を知る元同級生に石橋菜津美、物語のカギを握る図書館司書に深川麻衣、そのほか、中島歩や「ゲスの極み乙女。」のメンバー休日課長やきたろうが脇を固めます。
村松 健太郎
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目次
『水曜日が消えた』作品情報
作品名 | 水曜日が消えた |
公開日 | 公開日未定 |
上映時間 | 104分 |
監督 | 吉野耕平 |
脚本 | 吉野耕平 |
出演者 | 中村倫也 石橋菜津美 深川麻衣 休日課長 中島歩 きたろう |
音楽 | 林祐介 |
『水曜日が消えた』あらすじ【ネタバレなし】
“僕”は幼い頃に交通事故に遭い、それ以降曜日ごとに人格が入れかわるようになります。
その中でも火曜日は一番損な役回りで奔放な性格だったり、マイペース過ぎる他の曜日の後始末をして回る日々です。
趣味の読書も、図書館が休館日なので利用することができません。
他の曜日が嫌がるので、定期通院も火曜日の仕事です。
よく悪くも曜日ごとに人格が変わらない生活が続き、担当医の安藤からも特段変わったことを言われるわけでもありません。
各曜日の”僕”は連絡事項を日記に付けていて、それを安藤に提出するのも火曜日の仕事です。
事故から16年が経っていますが、それが7等分されると2年4カ月でしかなく、火曜日にとってもそれだけの月日しか実感がありません。
そんな”僕”に唯一関わってくれるのは元同級生の一ノ瀬だけです。
一ノ瀬は毎日人格が変わる”僕”の事情を知った上でなお、友人関係を続けてくれる女性です。
ある日、火曜日が目覚めると、そこは水曜日でした。
“水曜日が消えて”火曜日の人格が日付をまたいで残っていたのです。
今までにない2日間の時間に新鮮さと戸惑いを感じる火曜日。
そして、いつも休館で行けないままだった図書館にも行くことができます。
どうやら別の曜日とは面識のある図書館司書の瑞野とも火曜日として親しくなり始めます。
“僕”は一ノ瀬にも事情を話したうえで、水曜日が消え、倍に増えた人生を何とかキープし続けようとします。
“僕”の中で何が起き始めていました…。
『水曜日が消えた』キャスト
中村倫也 / 役:”僕”(月曜日~日曜日)
幼い頃自動車事故に遭い、それ以来7重人格者となり、一週間曜日ごとに人格が変わります。
曜日ごとに人格も記憶も切り替わるので24時前に眠りにつかなくてはいけないなど制約が多い一人暮らし生活を過ごしています。
アクティブで自由奔放な人格が多い中で、物語の主人公となる火曜日は他の人格の後始末をやらされる損な役回りの人格です。
村松 健太郎
趣味は読書ですが、図書館は毎週火曜日が休館日です。
そんな火曜日の人格が“水曜日(の人格)が消えた”ことで水曜日の時間も生きることができることになり、いきなり倍になった人生に戸惑いと喜びを感じ始めます。
村松 健太郎
石橋菜津美 / 役:一ノ瀬
村松 健太郎
深川麻衣 / 役:瑞野
いつもは休館日のために、火曜日の”僕”は行くことができない図書館司書。
火曜日の“僕”の人格が水曜日まで活動できるようになったことで、“僕”と交流が始まります。
村松 健太郎
休日課長 / 役:髙橋
月曜日の“僕”の音楽仲間です。
きたろう / 役:安藤
”僕”の主治医。
解決ができない“僕”の悩みを聞いたり、アドバイスとをしたりと親がいない“僕”の保護者代わりです。
中島歩 / 役:新木
安藤のもとで働く研修医。
『水曜日が消えた』感想【ネタバレなし】
今は解離性同一性障害という言葉が一般的で、“多重人格”という言葉は一部のフィクション上の表現のみになっていますが、ここではわかりやすく多重人格という言葉で進めます。
村松 健太郎
多重人格者は過去にも多くの映画に登場しています。
アルフレッドヒッチコックの『サイコ』から始まり、近年でも『ファイト・クラブ』『シャッター・アイランド』、そしてM・ナイトシャマラン監督の『スプリット』や『ミスター・ガラス』がありました。
ヒッチコックが『サイコ』で扱ってしまったこともあってか、ミステリー、サスペンスジャンルで用いられるワードとなりがちですが、『水曜日が消えた』では、もちろんミステリー的な要素もありますが、それ以上に人の幸せとは何か?を問うような話になっています。
1人の男の人生に突然大きな変化が起きた時の姿をちょっと風変わりなユーモアを交えた形で描いています。
そして、最後に”僕”が下す決断もまた、幸せの在り方、何をもって幸せを感じるか、不便と不幸の違いについて考えさせられ、そしてその人なりに大人に成長すると言うことを描いた結末になっています。
『水曜日が消えた』まとめ
🐑🐑🐑…💭
3/18は #睡眠の日 💤
「7人の僕」の寝顔写真を公開ベッドで肘をついている写真は貴重なメイキング写真📸
映画本編では #吉野耕平 監督が太鼓判を押す、目覚める時のリアクションにもご注目を⏰🗯#中村倫也#水曜日が消えた pic.twitter.com/p5LGwyQWu2
— 映画『水曜日が消えた』公式 (@wednesday_movie) March 18, 2020
曜日ごとに人格が入れ替わる青年の一つの人格の物語、しかも一番地味で面白みのない人格が主人公。
このびっくりするような設定の物語を着地させられたのは中村倫也を主演に向かえられたことが大きいでしょう。
中村倫也は2019年のドラマ『凪のお暇』の安良城ゴン役で大ブレイクし、現在の放映中のドラマ『美食探偵 明智五郎』では主演を務めています。
映画では若きバイプレーヤーとして活躍していて『屍人荘の殺人』では自称名探偵の留年大学生を、『影裏』では意外なキャラクターで登場し、ハリウッドの実写版『アラジン』では吹替にも挑戦しています。
2020年も『サイレント・トーキョー』や『騙し絵の牙』が待機中ですが、彼は実年齢を感じさせない不思議な浮遊感、浮き用離れ感を伴っています。
村松 健太郎
実際の年齢の7等分の2年4カ月しか生きていないこともあって、はるかに幼さを残す『水曜日が消えた』の“それぞれの”僕”の人格”はまるで当て書きをされたようにピタリとはまります。
Wヒロインという立ち位置になる石橋菜津美と深川麻衣も物語にうまくフィットしています。
2人とも、年齢で見れば中村倫也より年下で、同級生や憧れな綺麗なお姉さん的にはバランスが合わないような気もしますが中村倫也の不思議な幼さによって三者の間に年齢差のようなものを感じることがなく、石橋菜津美演じる一ノ瀬は時には保護者のような元同級生になれますし、深川麻衣は落ち着きのあるお姉さんキャラにちゃんとはまります。
村松 健太郎
早くも次回作に期待をしてしまう才能の持ち主です。