旅行先で突然消えた恋人を探す男。
事件の真相は身の毛もよだつような内容だった。
残酷シーンはありませんがとにかく怖い、でも真実は知りたい!とあなたの気持ちを弄んでくる恐ろしい映画です。
- 失踪するシーンが恐ろしい
- あっさりわかる犯人、彼の普通の人なのにどこか狂っている様が怖い
- すべての真相が明らかになった時、血も凍るような体験を味わいます
それではさっそく『ザ・バニシング -消失-』をレビューしたいと思います。
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目次
『ザ・バニシング -消失-』作品情報
作品名 | ザ・バニシング -消失- |
公開日 | 2019年4月12日 |
上映時間 | 106分 |
監督 | ジョルジュ・シュルイツァー |
脚本 | ティム・クラッベ ジョルジュ・シュルイツァー |
原作 | ティム・クラッベ |
出演者 | ベルナール=ピエール・ドナデュー ジーン・ベルボーツ ヨハンナ・テア・ステーゲ グウェン・エックハウス |
音楽 | ヘンニ・ブリエンテン |
『ザ・バニシング -消失-』あらすじ・感想【ネタバレなし】
不気味すぎる失踪とその後すぐ描かれる犯人
オランダ人のレックスとサスキアのカップルはフランスまでツール・ド・フランスを見に観光に来ます。
サスキアはレックスに「金の卵に閉じ込められて出られなくなるけど、別の卵がぶつかってすべてが終わる夢を見た」と不思議なことを言い出します。
2人は車で来ていたのですが、とあるトンネルでガス欠が起きます。
レックスはガソリンを取りに行くと言ってトンネルを歩いていきますが、サスキアは怖がって車から出ず、彼を呼び続けます。
戻ってくると車内にサスキアがいません。
トンネルの外まで運転していくとそこにサスキアがいました。
観客は「恋人の女性が失踪する話」だと知って見に来ているので、このシーンで「え?もうここで失踪するの!?」と一瞬ミスリードさせられる展開です。
しかし、このトンネルのシーンでまさに絵的に「何も見えない暗闇でも光の方へ探しに行けば彼女はいる」と観客に無意識に認識させているのではないでしょうか。
そして、実際のその後の物語はサスキアを探せば探すほどレックスが闇にとらわれていくので、このトンネルのシーンは重要です。
もちろんサスキアが語る「金の卵の夢」も彼らカップルがたどる運命を示唆するものになっています。
その後、とあるドライブインにやってきて、レックスは先ほどのトンネルでの行為を詫びます。
2人は旅の記念にコインを広場の木の下に埋めるのですが、このコインも後程重要な伏線になります。
そして飲み物を買いに行ったサスキアはとうとう失踪してしまうのです。
このシーンではレックス一人だけがサスキアの失踪を心配していても、他の人は通常運転でツール・ド・フランスを楽しんでいる様子が描かれていて、なんだかゾッとさせられます。
「自分や自分の大事な人が消えても世界はいつも通り回り続けるのか…」と思ってしまいます。
そしてレックスが必死で探してもサスキアは見つかりません。
ただ、誰が彼女をさらったのかはすぐわかります。
失踪する少し前のシーンからドライブインで健康なはずの腕にギプスをはめて何かを待っている男がいます。彼が犯人です。
サスキアが失踪してからすぐに、物語は犯人のレイモンという男の視点に変わります。
描かれるのはサスキアが失踪する前の話です。
彼は大学教授で妻子持ちですが、あるとき山荘を買いました。
それは彼が、とある理由で女性を誘拐してくるための場所でした。
その理由と言うのはぜひ劇場で確認してほしいのですが、そこで彼が到底理解できる人物でないのは良くわかります。
彼は女性を自分の車に乗せてから運転席に回り込むまでの間に、クロロホルムを布にしみこませ女性に吸わせるというシミュレーションを続けています。
おまけに娘の送り迎えの際に、その動作をじゃれ合うフリをして試してみたり、山荘での食卓で家族を遊びの名目で大声で叫ばせて、どのくらい周囲に声が届くのか確認して見たりその周到さにゾッとさせられます。
しかし、そんな彼の計画が全て計算通りすぐうまくいくのかと言うとそうでもなく何度も失敗を繰り返します。
おまけに娘の習い事の先生に声をかけてしまって「家から遠い場所でナンパしたら?」と言われてしまうシーンなどは正直笑ってしまいます。
しかし、そこで気づくのは、この間抜けな失敗の数々は、後にこのレイモンという男がサスキアを捕らえるまでの運命のいたずらのような軌跡なのだということ。
その後レイモンはサスキアたちと出会うあのドライブインで女性のナンパを繰り返し、いつか犯行が成就する日を待っていました。
いろんな要素が重なりあの出来事が起きたのだと思うと、やはり恐ろしくなってしまいます。
見ている人の好奇心がもてあそばれる
レイモンの準備が描かれた後は、事件から3年経ってもまだサスキアを探しているレックスに視点が戻ります。
レックスは「サスキアがまだ生きているとは思わないが何があったか知りたい」とTVに出てコメントしたり、サスキアを探し中なのにもう新しい恋人を作っていたりと、「え?」っとなってしまう行動をとっています。
犯人も大概だけどこいつも大丈夫かと思っていると、TVを見たレイモンがレックスの前に現れて「何があったのか教えてあげよう。ただし私と一緒に車に乗ってフランスまで来てくれ」と言い出すまさかの展開に。
憎き犯人が目の前にいて復讐のチャンスなのですが、レックスは真実という人質を取られていて、我々観客も「何があったのか知りたい!」とレックスと気持ちが同化してしまっているので、これは乗るしかないと思ってしまうのが本作の恐ろしいところです。
道中でレイモンが犯行を思いついた理由や、偶然に偶然が重なってターゲットがサスキアになった理由が語られます。
それは劇場で確認してほしいのですが、恐ろしいと同時に「え?そんなくだらないことが理由の一端なの?」と思ってしまう部分もあります。
ここでレイモンがただのサイコパスでなく、ある日人の道から外れたことを思いついてしまったちょっと変な人程度に見えてくるのも奇妙です。
そしてラスト10分くらいになって残る謎は「さらわれたサスキアがどうなってしまったのか」ということだけになります。
レックスも観客も「それを知らずにはいられない!」と思っている中、レイモンはさらに恐ろしい要求をしてきます。
「君を同じ目にあわせてあげるからこの睡眠薬入りコーヒーを飲め」
普通だったら「そんな要求ありえない!やめとけ!」となるのですが、ここまでの巧みな情報開示のせいで「知りたいから飲め」と思ってしまいます。
その後に取ったレックスの行動は何か、そしてその結果どうなってしまったのか、どんな謎が明らかになるのか。
ここから先は、ぜひ逃げ場のない映画館で確認してください。
とにかく恐ろしかったということだけは書いておきます(笑)
人の気持ち、特に好奇心をここまでコントロールして見せた映画は稀有ではないでしょうか。
サイコサスペンスNo.1と言われるのも納得の傑作でした。
なんていったってサイコパスに少し共感させた上に観客に主人公に対して「そいつの要求をのめ!」と思わせてしまうんですから、すごい映画です。
『ザ・バニシング -消失-』まとめ
ひどくインテリジェント、ぞっとするほどひねくれた、
うっとりするほど魅力的な、
観る者を掴んではなさないサイコロジカル・スリラー。-New York Times pic.twitter.com/wn27lUJ82o
— 映画『ザ・バニシング -消失-』4/12(金)公開! (@The_Vanishing88) 2019年4月16日
以上、ここまで『ザ・バニシング -消失-』について紹介させていただきました。
- 不気味な失踪
- 奇妙な犯人側の描写
- 真相に近づくにつれ我々の好奇心が手玉にとられます
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