『ムカデ人間』あらすじ・ネタバレ感想!ホラーファンからカルト的人気を誇るグロテスク映画【公開10周年】

『ムカデ人間』

出典:『ムカデ人間』公式Twitter

2020年で公開から10年が経つ『ムカデ人間』。

今もなお、世界各国のホラー映画イベントで上映されることがあり、世界中にマニアなファンが多い作品です。

ポイント
  • 公開10年経ってもカルト的人気の話題作
  • とことんまで追求されたグロテスクさ
  • 最後の最後まで読めない展開に引き込まれる

当初の日本では公開されずDVDのみの販売でしたが、海外での異常なまでの高い人気により上映が決まったという異色の経歴を持ちます。

『ムカデ人間』がどうしてここまでカルト的な人気を誇るのか、公開10年を迎える2020年だからこそ、見たことない方は一度確認してみませんか?

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『ムカデ人間』作品情報

作品名 ムカデ人間
公開日 2011年7月2日
上映時間 90分
監督 トム・シックス
脚本 トム・シックス
出演者 ディーター・ラーザー
アシュリー・C・ウィリアムズ
アシュリン・イェニー
北村昭博
音楽 パトリック・サベージ
オレグ・スピーズ

【ネタバレ】『ムカデ人間』あらすじ・感想


視覚的にも精神的にもグロテスク!観客さえも追い込む緊張感

車がパンクして森をさまよっていたアメリカ人旅行者のリンジーとジェニーが、引退した外科医・ハイター博士の元に助けを求めるところから物語が始まります。

『ムカデ人間』

出典:IMDb

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映画冒頭のシーンでもですが、とにかくディーター・ラーザー演じるハイター博士が漂わす不気味さは近年稀に見るものです。

ムカデ人間の手術の際に着用する白衣などは、医者のものというよりも料理人が着るようなデザインで、彼にとって3人の人間は実験成功のための素材に過ぎないと思わされてしまいます。

『ムカデ人間』

出典:IMDb

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もはや博士の存在そのものがホラーと言っても過言ありません。

車で出かける前まで、明るく溌剌としたリンジーとジェニーでしたが、そんな2人の姿が見れるのは冒頭のわずか5分のみ。

森で迷ってパニックなり、挙げ句の果てには、博士の野望の餌食になるのですから、始終怯えて泣き叫んでいます。

その姿はあまりにリアルで、観ている方も彼女達目線で最後の最後まで恐怖と緊張感を覚えてしまうでしょう。

『ムカデ人間』

出典:IMDb

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肉が切断されるシーン、流れ落ちる血など視覚的にもグロテスクなシーンが多い映画ですが、ムカデ人間の手術方法やムカデ人間の食事と排泄方法など精神的にもウッとくるシーンが盛りだくさんです。

公開されて10年が経つ本作ですが、今もなお根強いファンがいるのは、奇想天外なストーリーや徹底したグロテスクさのみでなく、細かく演出された世界観がファンを魅了し続けているからと言えます。

博士の一見、欧米によくあるお洒落な邸宅には、彼が研究していたシャム双生児をモチーフとしたアートが多数飾られており、そのミスマッチさが実に不気味です。

また博士の実験第1号だった3匹のムカデ犬たちの存在が映画のところどころに登場し、薄気味悪さを添えています。

そして『ムカデ人間』を観る際に知っておくと興味深いエピソードが1つあります。

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物語の重要人物であるヨーゼフ・ハイター博士ですが、実は実在した人物がモデルになっているのです。
『ムカデ人間』

出典:IMDb

モデルとなった人物の名前はヨーゼフ・メンゲレ。ナチス・ドイツ時代に実在した人物です。

彼もまた映画のハイター博士と同じくシャム双生児(統合双子)に興味を持ち、通常の双子を繋ぎ合わせて人為的にシャム双生児を作り出そうとしたという実話が残っています。

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何度も観たいと思わせる映画ではありませんが、何度か観ていると隠された細かい演出などに唸ってしまうこと間違いなしです。

カツロー役の北村昭博のリアリティに迫る演技

ムカデ人間』の登場人物の中で、一際異彩を放っているのが、北村昭博演じるカツローです。

女性陣が博士に捕まり泣き叫んでいるのに対して、カツローは最後の最後まで怒り、怒鳴り散らします。

博士が劇中で「声帯も切っておけば良かった」と呟く一言に、観ている方も思わず納得してしまうぐらいです。

『ムカデ人間』

出典:IMDb

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なんなら「最初から怒鳴りまくっていたカツローをムカデ人間の先頭にしたら、そりゃうるさいでしょうよ」という野暮なツッコミを入れたくなったのは、私1人でしょうか。

カツローが異彩を放つ理由の1つとして、彼が最初から最後まで日本語を話しているという点が挙げられています。

しかも、カツローの話す言葉は関西弁です。

海外の観客と違って、彼の話す言葉が関西弁であることで、日本人である私たちはカツローの人間性を垣間見ることができます。

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カツローの関西弁には、実は秘話があります。

北村昭博が役作りのリサーチをしていた時に、ボクシングの亀田兄弟の父・亀田史郎とやくみつるの口論をYouTubeで見つけ、動画でインパクトある存在感を醸し出していた亀田父をモデルにカツローの役作りをしたそうです。

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少し柄が悪いけれども、無骨で人情味溢れる話し方やキャラクターは、亀田父がモデルだったと思うと興味深いですよね。

また、カツローについて特筆しなければいけないことは、映画の中でのカツローのセリフは全て北村昭博の即興だったことでしょう。

台本にはカツローの台詞は書かれておらず、全て北村が考え出したものなのです。

カツローのリアリティに迫る演技が即興だったにも関わらず、十分に観客に訴えかけるのは、北村の役者としてのスキルの高さが伺えます。

彼が自然でリアリスティックな表現や演技で知られているメソッド演技法を学んでいたことも大きく影響しているでしょう。

カツローは度々、画面ドアップになります。

『ムカデ人間』

(C)2009 SIX ENTERTAINMENT

その都度、怒りや憎しみ、軽蔑など様々な表情を見せます。

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決してイケメンというわけではない北村ですが、画面に映し出される顔は思わず見入ってしまうほどのパワーで溢れており、目が離せません。

特に自分の排泄物が後ろに繋がれている女性の口に流れ込むことを承知でも、便意が止まらず泣いて詫びるシーンなどは、それまで威勢よく怒鳴っていたカツローとは違った一面を見ることができます。

『ムカデ人間』

出典:IMDb

自分を情けなく思いつつ涙を流して詫びながらも、それまでの怒りとは別次元の怒りや憎しみが滲み出ているのです。

「あんたのやろうとしていることはオナニーや」と言った言葉などのように、カツローは核心をついた言葉を劇中で何度も口にします。

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もちろんムカデ人間の先頭で自由に話せる唯一の立場ということもありますが、その真っ直ぐな言葉の数々が北村の即興だったかと思うと素晴らしいの一言です。

アンハッピーエンドで救いのないようにも感じる映画ですが、カツローの最後の独白と行為には、なんだか救われたような気分にすらなりました。

人間としての尊厳を守り抜いたカツローの姿は、どこか少し昔の日本人にも重なるように感じる人もいるのではないでしょうか。

北村昭博は、この『ムカデ人間』の演技で脚光を浴び、その後『HEROES』や『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』『女信長』などの話題作への出演を決めています。

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その後の活躍も納得の1本です。

ラスト15分は手に汗握る怒涛の展開!

最後の最後までラストが読めない映画ですが、特にラスト15分の展開は息つく暇もないぐらいです。

警察官たちが博士の家に立ち入り、博士の悪事が露見しそうになります。

時を同じくして、ムカデ人間の3人も地下室から脱出に成功。

『ムカデ人間』

出典:IMDb

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そこからはまさに怒涛の展開です。

もしかすると3人は助かるのではないか?

いや、あの博士がそうそう簡単にやられるわけがないとハラハラドキドキしながら、ムカデ人間と博士、そして警察官たちの動向に釘付けになってしまいます。

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ラストは予想外の展開です。

登場人物の中で救われたのは、自分の信念を貫けたカツローぐらいでしょうか。

最後に唯一生き残った1人の未来も、決して明るいものではないことを匂わして映画は幕を閉じます。

上映時間は90分ですが、物語の展開がまだるっこくなく、あっという間に観終えることができますよ。

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1作品目を観た後に、そのまま『ムカデ人間2』を観るのもおすすめです。

『ムカデ人間』まとめ

『ムカデ人間』

出典:IMDb

以上、ここまで『ムカデ人間』についてネタバレありでレビューさせていただきました。

要点まとめ
  • 他の映画では見られないグロテスクを極めた独特の世界観
  • 北村昭博の凄まじいほどの演技力
  • ラスト15分は食い入って観てしまうこと間違いなし

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