『天外者』あらすじ・感想!三浦春馬・最後の主演作!豪華キャスト集結で明治の実業家の物語を描く!

『天外者』あらすじ・感想!三浦春馬最後の主演作!豪華キャスト集結で明治の実業家の物語を描く!

出典:『天外者』公式ページ

2020年に急逝した三浦春馬の主演作としては最後の作品となる映画『天外者』。

岩崎弥太郎、渋沢栄一などと共に明治最初期の実業家として知られる五代友厚の人生を、長崎に拠点を築いたイギリスの商人トーマス・グラバーの視点から描いています。

主人公の五代友厚役に三浦春馬、共演に三浦翔平、西川貴教、森永悠希、森川葵、蓮佛美沙子など豪華なキャストが揃いました。

監督は『利休にたずねよ』『海難1890』など時代モノに定評のある田中光敏が務めています。

ポイント
  • 三浦春馬の主演作としては最後の映画
  • 朝の連続テレビ小説でも知られた明治最初期の実業家・五代友厚の鮮烈な生涯を描く
  • 坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文など幕末の志士も総登場

それでは『天外者』をネタバレなしでレビューします。

『天外者』作品情報

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

作品名 天外者
公開日 2020年12月11日
上映時間 109分
監督 田中光敏
脚本 小松江里子
出演者 三浦春馬
三浦翔平
西川貴教
森永悠希
森川葵
迫田孝也
宅間孝行
丸山智己
徳重聡
榎木孝明
筒井真理子
内田朝陽
八木優希
ロバート・アンダーソン
かたせ梨乃
蓮佛美沙子
生瀬勝久
音楽 大谷幸

『天外者』あらすじ【ネタバレなし】


黒船襲来により、250年の鎖国時代が終わった動乱の時。

長崎の海軍伝習所に将来を嘱望される一人の若者がいました。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

薩摩藩の五代才助、後の五代友厚です。

才助は薩摩藩主島津斉彬、島津久光、さらに彼らに取り立てられた大久保利通や西郷隆盛、伝習所を仕切る勝海舟からも認められる才覚を発揮していました。

そんな長崎で、才助は土佐出身の志士・坂本龍馬、岩崎弥太郎、長州藩の伊藤博文と知り合い、友情を深めます。

その一方で、才助は遊女のはると出会いました。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

文字を学び、広い世界を見たいというはるに、いつか自分が世界を見せてみせると才助は誓います。

しかし、激動の時代の波は才助たちを翻弄しました。

一年の長崎留学を経て帰国した開国主義者であると言うことで、才助は藩内でも命を狙われます。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

それでも才助は上海に渡り、蒸気船を購入、薩摩藩の軍備を増強させます。

ところが、そこで、薩摩藩士がイギリス人を殺傷した“生麦事件”が起きてしまいました。

この事件はやがて薩英戦争へと繋がります。

圧倒的なイギリスの軍備に翻弄される薩摩藩。

才助は捕虜として囚われの身となってしまいます。

そんな彼を救ったのは、イギリス人に見受けされたはるでした。

大きな野望を胸に抱き、野心的な発言を繰り返してきた才助ですが、実際には何もできない井の中の蛙だったことを突き付けられます。

心を入れ替えた才助はイギリス商人グラバーの支援を受けて英国留学に向かいました。

一方、坂本龍馬と岩崎弥太郎は海援隊を結成し、伊藤博文は倒幕運動に身を投じていきます。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

約2年の留学を経て帰国の途についた才助のもとに届いたのは龍馬が暗殺されたという一報。

亡き友を思い涙を流す才助は、友と誓った世界と互角に渡り合う日本を創り上げることを誓います。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

そして大政奉還、明治維新が始まります。

才助は友厚と名前を変え、実業家として時代に挑んでいくのでした。

『天外者』感想

三浦春馬の最後の雄姿!

村松 健太郎

まずはなんといっても、三浦春馬の最後の主演作というだけでも映画『天外者』は一見の価値はあります。

三浦春馬は日本最初期の“ビジネスマン”五代友厚の約50年間の生涯を情熱的に演じきりました。

五代の希望と野心、そして自信に満ちていた無邪気な青年期から、薩英戦争を経験して自分が井の中の蛙であることを知る挫折の時、盟友・坂本龍馬の思いを受け継ぎ世界に通用する日本を作ろうと実業家として生き抜いた維新後の壮年期まで、その時々の五代友厚を丁寧に演じ分けていて、改めて俳優・三浦春馬の実力の高さを感じさせます。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

五代友厚と言えば朝の連続テレビ小説『あさが来た』でディーン・フジオカが演じて、大きな人気を集めたことで記憶に残っている方もいるのではないでしょうか?

幕末に薩摩藩のホープとしてキャリアをスタートさせて、イギリス留学、明治維新に加わり、後に大阪を拠点に実業家として活躍した五代の生涯が、時代を彩った実在の人物たちを絡めながら描かれます。

村松 健太郎

また、多くの志士のスポンサーとして知られる英国商人トーマス・グラバーが物語の語り部となっているのも面白いところでしょう。

有機的に繋がる共演者

三浦春馬と共にW三浦と言われて本作に参加しているのが三浦翔平です。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

三浦春馬の遺作となったテレビドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』でも共演しています。

二人は幕末に大志を抱き新たな日本を目指す五代友厚と坂本龍馬を好演。

プライベートでも親しかったという二人の関係性がそのまま役どころに反映されていて、絶妙な距離感を生み出しています。

また、伊藤博文を演じた森永悠希は今までも『ちはやふる』や『あさひなぐ』などで若きバイプレイヤーとして活躍してきましたが、本作でもいい味を出しています。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

また、T.M.Revolutionの西川貴教が岩崎弥太郎役で登場。

村松 健太郎

2020年で50歳になる西川ですが、持ち前の明るさと若々しさでメインキャストと絡んでも違和感はありません。
『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

物語を支える二人のヒロイン

共演者で言えば前半と後半、それぞれで五代友厚を支えるヒロインを演じる森川葵と蓮佛美沙子の好演も印象に残ります。

森川葵が演じる遊女・はるのエピソードはほぼ創作の部分ですが、まだまだ理想だけに生きていた五代友厚の無邪気さを引き出させると同時に、過剰なまでに自信家だった友厚の鼻をへし折り、井の中の蛙だったことを突きつける存在となっていました。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

明治維新後に夫婦となる豊子を演じる蓮佛美沙子は出番は長くありませんが、実業家として、ビジネスの道に殉じることを決めた夫を献身的に支える妻を静かに好演しています。

明治のビジネスマンと言えば?

偶然かもしれませんが、2021年のNHK大河ドラマは五代友厚や岩崎弥太郎と共に明治最初期の実業家として知られる渋沢栄一を主人公にした『青天を衝け』に決まっています。

偶然にも同じ視点から幕末と明治を描く物語となりそうです。

村松 健太郎

映画『天外者』は『青天を衝け』の予習にもピッタリかもしれません。

『天外者』全体の感想

惜しむらくは上映時間が109分と言うこともあって、少し駆け足気味になっていて出来事がダイジェスト的になってしまっている点です。

『天外者』

(C)2020「五代友厚」製作委員会

村松 健太郎

あと10分長くてもよかったのではないかなと思います。

ただ、幕末の諸々のエピソードや人物に関してはある程度知られていることを前提にして、ザックリと説明を省いているところはなかなか潔い演出だと思います。

『天外者』あらすじ・感想まとめ

以上、ここまで『天外者』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 主演映画としては本作が最後になる三浦春馬の姿は、それだけで貴重です
  • もう一人の“三浦”こと三浦翔平はダイナミックで若々しい龍馬像を見せてくれています
  • コメディリリーフ的な西川貴教も程よいスパイスになっています
  • グラバー邸など文化遺産をふんだんに使ったロケにも注目です