ソウルを舞台に謎のウィルスによるパンデミックのさまを描いたアニメ作品『ソウル・ステーション パンデミック』、そしてその直後から始まり、高速鉄道という限定空間で物語の密度を高め、日本でもスマッシュヒットを記録した『新感染 ファイナル・エクスプレス』。
ヨン・サンホ監督による3部作の完結編となるのが2021年元日公開となった『新感染半島 ファイナル・ステージ』です。
- ヨン・サンホ監督のスケール感あふれるゾンビパニック映画
- 人気スターカン・ドンウォンの熱演
- 銃撃戦、格闘戦、カーチェイスなどバラエティ豊かなアクションシーンの数々
それではさっそく一足早く『新感染半島 ファイナル・ステージ』のあらすじと感想をネタバレなしで解説します。
目次
『新感染半島 ファイナル・ステージ』作品情報
作品名 | 新感染半島 ファイナル・ステージ |
公開日 | 2020年1月1日 |
上映時間 | 116分 |
監督 | ヨン・サンホ |
脚本 | パク・ジュソク、ヨン・サンホ |
出演者 | カン・ドンウォン イ・ジョンヒョン クォン・ヘヒョ キム・ミンジェ ク・ギョファン キム・ドゥユン イ・レ イ・イェオン |
音楽 | モグ |
『新感染半島 ファイナル・ステージ』あらすじ【ネタバレなし】
未知のウイルスの爆発的な感染拡大と感染者達の狂暴化に揺れる朝鮮半島。
ジョンソクは軍人であることを利用して姉家族を半島から脱出させようとしていました。
脱出船に潜り込めた一家ですが、感染者が紛れ込んでいたため、船内に被害者が出てしまいます。
その中にはジョンソクの姉とその子供の姿もありました。
それから4年後、香港に逃げ延び荒んだ生活を送っていたジョンソクはある仕事を遂行するために半島に戻ることに…。
その仕事とは、チームを組み3日以内に大量のドル紙幣が積まれたトラックを回収して半島を脱出するということ。
チームはウイルスにより凶暴化した人間たちから逃れ、順調にトラックを手に入れるも突如として631部隊と呼ばれる民兵集団に襲われてしまいます。
トラックも奪われ、危機一髪となったジョンソクを救ったのはミンジョン母娘。
そして、彼らはともに半島を脱出するために協力することになり…。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』感想【ネタバレなし】
1度で2度おいしい
未知のウイルスによるパンデミックパニックの様が描かれる前半とは一転、ディストピアアクションとなる中盤以降とでは全く違ったテイストを味わうことができる1度で2度おいしい映画となっています。
村松 健太郎
主演はカン・ドンウォン
主演は是枝裕和最新作『ブローカー』にも出演する人気俳優のカン・ドンウォン。
群像劇だった前作から変わって、英雄譚になった本作『新感染半島 ファイナル・ステージ』主演として牽引します。
村松 健太郎
今の日本にも置き換えられる描写も
物語は前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』とほぼ同じタイミングの朝鮮半島のパニックからスタート。
交通インフラは崩壊し、パニックになった人たちが街中にあふれ出ます。
さらに、感染者が周りの人を襲い始め混乱に拍車がかかります。
村松 健太郎
また、脱出船の悲劇から一気に4年の月日が経過した後の、香港では朝鮮半島から来た人間と言うことで感染者ではないのか?という差別の視線で見られるシーンがあります。
村松 健太郎
見本はあのディストピア映画!?
4年間手つかずで、荒廃した朝鮮半島を舞台にした中盤以降は『ウォーキングデッド』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を思わせるディストピア世界での冒険譚になります。
脱出できずに半島に残った人間たちは民兵組織を作り、究極のサバイバルを展開していました。
そこに現れたジョンソクたちは究極の異物でしかなく両者は激しく衝突。
無数に現れる感染者を巻き込み荒廃した世界で生き残りをかけた戦いが描かれます。
実際にヨン・サンホ監督は同系列(=ゾンビ映画)の始祖ジョージ・A・ロメロ監督の『ランド・オブ・ザ・デッド』からの影響が強いことを認めていました。
村松 健太郎
コンテに流れるテーマは不変
前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』では様々な形の家族が登場し、重要なテーマとなっていました。
今回の『新感染半島 ファイナルステージ』でも家族は重要なテーマとして取り上げられています。
村松 健太郎
『新感染 ファイナル・エクスプレス』の成功を経て
前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』の国内外でのヒットが担保となって、ヨン・サンホ監督は作品制作の上での発言権と予算面での大きな規模を確保することができました。
前作のために見つけ出した廃墟や廃屋に加えて、大掛かりのセットを組んだりと実物主義を貫き通しているのも好感が持てます。
村松 健太郎
『新感染半島 ファイナル・ステージ』あらすじ・感想まとめ
新感染半島 メモ📝
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本作の大きな見どころの一つが
映画史に残るカーチェイスと進化した感染者アクション💥
「前作を超える恐るべき感染者たちを創るために、前作よりも洗練された細かいジェスチャーや振り付けを取り入れた」と振り付け師のジョン・ヨンは話している pic.twitter.com/SjABQX3gF7— 映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』公式 (@Peninsula_JP) December 20, 2020
ここまで『新感染半島 ファイナル・ステージ』をネタバレなしでレビューしました。
- 実物のセットも多数制作され、ディストピアとなった感染半島の景色は新鮮な印象を感じました。
- アクションに定評のあるカン・ドンウォンの切れのあるアクションシーンは見事です。
- 3部作の完結編らしい、希望を感じるエンディングとなっています。
なかなか大味なアクション映画を見ることができなかった2020年。
その退屈な時間を取り返すようなアクションムービーが韓国からやってきました。
前半にはパンデミックの回想がつくので『新感染 ファイナル・エクスプレス』を見てなくても楽しめます。
大幅にスケールアップしたゾンビパニックをぜひ劇場でご覧ください!