世界中から注目を浴びているマーベルの新ヒーロー誕生を描いた『シャン・チー/テン・リングスの伝説』。
これまで無名だった中国系カナダ人のシム・リウが主演に大抜擢され、オークワフィナや香港映画を中心に世界で活躍するミシェル・ヨー、トニー・レオンなど豪華俳優が顔を揃えたことでも注目を集めています。
『黒い司法 0%からの奇跡』のデスティン・ダニエル・クレットンが監督・脚本を務め、これまでイメージされていた「ステレオタイプのアジア人」からの脱却を図るということですが…!?
マルコヤマモト
目次
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』作品情報
作品名 | 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』 |
公開日 | 2021年9月3日 |
上映時間 | 132分 |
監督 | デスティン・ダニエル・クレットン |
脚本 | デスティン・ダニエル・クレットン
デイブ・キャラハム |
出演 | シム・リウ
オークワフィナ メンガー・チャン ファラ・チャン アンディ・リー フロリアン・ムンテアヌ ベネディクト・ウォン ミシェル・ヨー ベン・キングズレー トニー・レオン |
音楽 | ジョエル・P・ウェスト |
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』あらすじ【ネタバレあり】
犯罪組織「テン・リングス」誕生の謎が明らかに!
千年以上前。
不思議な10つの腕輪を手に入れたウェンウー(トニー・レオン)は、腕輪の力を利用して世界を脅かす犯罪組織「テン・リングス」を結成。
腕輪の力により永遠の命を手に入れる事ができたウェンウーでしたが、異次元の世界ター・ローに足を踏み入れ、そこで出会った女性イン・リー(ファラ・チャン)と恋に落ち、一時は腕輪と力を放棄する道を選びます。
しかしイン・リーが亡くなってからウェンウーは再び腕輪の力を頼るようになり、テン・リングスが復活。
ウェンウーは、息子であるシャン・チー(シム・リウ)を後継とし、殺人の技を叩き込みます。
イン・リーがなくなってから数年後、心根が優しいシャン・チーはテン・リングスの後継者となることから逃げ、現在はアメリカのサンフランシスコにあるホテルの駐車場係として働いていました。
ある朝、高校時代からの親友で職場の同僚でもあるケイティ(オークワフィナ)とバスで職場へ向かう途中、父親が仕向けたテン・リングスの暗殺者たちの襲撃を受けるシャン・チーでしたが、敵を一蹴し乗客を守り抜いたことでネットを中心に話題になります。
しかし、その際に母親の形見で、ター・ローへの大事な道標である大切なネックレスを奪われてしまったのです。
もう1つのネックレスを持つ疎遠になっている妹・シャーリンの身の危険を感じたシャン・チーは、自分の過去を全く知らないケイティを連れ、シャーリン(メンガー・チャン)が住んでいるマカオへ向かいます。
シャン・チーが戻らなくなってから、自らも家を出て地下格闘技場を経営するやり手の女性オーナーとして成長していたシャーリン。
妹のあまりの変貌ぶりに驚きを隠せないシャン・チーでしたが、やはり彼女の元にもテン・リングスの刺客たちが迫っていました。
かつての師でもあるデス・ディーラー(アンディ・リー)との戦いの末に敗れたシャン・チーは、数年ぶりに父親のウェンウーと再会し、テン・リングスの本拠地へと連れて行かれたのです。
伝説の地ター・ローの秘密
久しぶりに同じ食卓を囲む一家でしたが、ウェンウーから再び組織へ戻るよう頼まれたシャン・チーは複雑な表情を浮かべます。
そしてウェンウーはシャン・チーとシャーリンに、実は母親が生きており、伝説の地であるター・ローに閉じ込められているという衝撃の事実を告げました。
しかし、異次元の土地であるター・ローへ辿り着くためには清明節の日にだけ竹藪に現れる、迷路のような道を通り抜けなければなりません。
母親を取り戻すためならばター・ローの平和すら脅かすことを厭わないと明言するウェンウーに反対したシャン・チーとケイティは、地下の牢屋に閉じ込められてしまいます。
しかし、そこに捕らえられていた以前マンダリンを演じていた舞台俳優のトレヴァー・スラットリー(ベン・キングズレー)と出会った2人は、シャーリンの助けとトレヴァーが可愛がっていた顔のない奇妙な生き物・モリスの案内によって竹藪の迷路を抜け、無事ター・ローへたどり着きました。
不思議な生物たちと美しい山河に囲まれた平和な地、ター・ローで、叔母のイン・ナン(ミシェル・ヨー)に迎えられる一同。
イン・ナンは、母親の声が幻聴でありウェンウーを呼ぶ声の正体がター・ローの奥に閉じ込められている魔物という事実を伝え、じきにやってくるウェンウーとの戦いに備えてシャン・チーととともに修行を始めました。
清明説の夜明け、ター・ローに辿り着いたウェンウー率いるテン・リングスと対峙することになったシャン・チー。
マルコヤマモト
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』感想【ネタバレあり】
アジアを代表する豪華キャストの共演が実現!
MCU初のアジア出身ヒーローとして話題になった『シャン・チー/テン・リングスの伝説』。
マルコヤマモト
最近大活躍のオークワフィナや香港スターの大御所であるトニー・レオンやミシェル・ヨーなどに比べると「誰?」感が強く、見た目もなんだかそこら辺にいるお兄ちゃんと変わらない…。
しかし映画が始まるとすぐにシャン・チーの魅力が爆発し、不安は一気に吹き飛びます!
むしろカムフラージュとしてそこら辺にいるお兄ちゃんを演じていたことが功を奏していたくらいに、めちゃくちゃ気さくでイイ奴で、逆にオークワフィナが演じるケイティの方が「ヤバい女」であることとは明確。
ですが、シャン・チーとケイティの抜群のコンビネーションがあるからこそ物語が盛り上がり、観客をぐいぐいと引っ張っていくのです。
マルコヤマモト
今まで普通の生活をしていた2人が突然MCUの世界(ブルース・バナー曰く「サーカス」)に足を踏み入れてしまう面白さがありました。
また今作を語る上で欠かせない存在が、「マンダリン」ことウェンウーを演じたトニー・レオンです。
悪役でありながら常に憂いを纏った表情が美しく、最期を迎える瞬間までウェンウーからは上品さしか感じませんでした。
マルコヤマモト
かつてMCUにこんな悲しく美しい悪役はいたでしょうか?
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』では悪役誕生の背景をしっかり目に描くという、MCUの新たな試みも垣間見たような気もします。
アクション&ファンタジー!全てがてんこ盛り!
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のもう1つの見どころが、多彩なアクションです。
特に前半は狭いバスの車内や、デス・ディーラーとのビル内での肉弾戦、それに加えて香港映画名物?竹の足場でのスリル満点な高所アクションなどが連続し、カンフー映画ファンも満足間違いなし。
ケイティの華麗?なドライビングスキルが時には一役買ったり、シャン・チーの妹シャーリンの鎖鎌を使った飛び道具アクション。
さらにはシャン・チーの叔母でミシェル・ヨーが演じたイン・ナンとの流れるようなカンフーが美しい修行シーンなど、アクションだけでもこんなに見どころ満載だとは思っていませんでした。
また、サンフランシスコとマカオという現実世界を舞台にした前半から、伝説の地でシャン・チーの母親の故郷でもあるター・ローへ舞台を移した後半で、物語は一気にファンタジーの世界へ変わります。
獅子や竜に似た馬のような動物たちが登場したり、最後にはシャン・チーとシャーリンが美しい白龍に乗って悪魔から村を守るシーンが描かれたりと、今までにないMCUの世界観に正直戸惑いもありましたが、最後シャン・チーのスーパーかめはめ波でテンションぶち上がってチャラ。
ター・ローの動物に関して言えば、ベン・キングスレー演じるトレヴァーが可愛がっていた生き物・モリスも、中国の「山海経」という地理書に登場する帝江という生物をモデルにしています。
マルコヤマモト
エンドクレジット映像と今後作品への布石
MCU作品の恒例となっているミッドクレジットの映像では、劇中にも登場した『ドクター・ストレンジ』のウォン(ベネディクト・ウォン)がシャン・チーとケイティのもとに登場。
ウォンによる調査の結果、シャン・チーが所持する「テン・リングス」が何か不思議な信号を発信しており、それをカマー・タージで受け取ったことが判明します。
リモートで会議に参加する再び髪の毛が伸びたキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)と白髪混じりになったブルース・バナー(マーク・ラファロ)の協力を得るもリングの正体は分からずじまい。
ウェンウーが1000年以上前に見つけ出したテン・リングスですが、どこで手に入れたかは本編でも語られていません。
マルコヤマモト
「これから大変なことになるから、今はとりあえず帰って寝なさい」というウォンのアドバイスを受けるも、最後はカラオケで「ホテル・カリフォルニア」をウォンも含めた3人で熱唱するというシーンで終わります。
マルコヤマモト
さらにはポストクレジットでウェンウーが亡くなったことで解体されると思った犯罪組織「テン・リングス」を、シャン・チーの妹・シャーリンが復活させようとしていることも判明します。
どうやら16歳で家を出て、彼女が1人で立ち上げた地下格闘技場のビジネスと併合させた模様。
これまで家父長制の元に運営されてきたテン・リングスの体制をガラリと変え、ター・ローで学んだ「誰もが平等に訓練できる機会」を取り入れたシャーリンの女性ならではの一枚上手な様子と賢さが伺えるシーンでした。
「テン・リングスは帰ってくる」ということは、シャン・チーの続編も考えられそうです。
また、MCUフェーズ4の特徴として「女性ヴィラン」が多いことも気になります。
ドラマ『ワンダヴィジョン』に登場した魔女のアガサ・ハークネス、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ではシャロン・カーターがパワー・ブローカーであることが判明。
そして映画『ブラックウィドウ』でも何かと裏で動き回っているヴァルがナターシャの妹・エレーナにホークアイ暗殺を依頼するなど、きな臭い雰囲気に。
この辺りの悪のネットワークが裏で手を組んでいたら、世界がひっくり返るような事態が起こることも考えられます。
またヴィランではありませんが、ドラマ『ロキ』に登場するロキの変異体・シルヴィもマルチバースを解放してしまうというフェーズ4の中で重大な役割を与えられた女性キャラクターです。
マルコヤマモト
SNSでのみんなの感想・評判
「シャン・チー」を鑑賞。金曜日から高評価ばかり目にしていたけど、まさにそのとおりでメチャクチャ面白かった❗ヒーロー映画とカンフーアクションの融合として、これぞ理想の作品と言えるのでは😄
シム・リウとオークワフィナのコンビは息がピッタリだし、トニー・レオンの大人の色気がたまらない😍 pic.twitter.com/UYBpaVDxi4— yuiori (@yuiori3) September 5, 2021
『シャン・チー/ テン・リングスの伝説』鑑賞! めちゃくちゃに金がかかったSFカンフー武俠アクション。ここまで娯楽アクションに舵をきって全力疾走したMCU作品は初ではなかろうか。序盤、中盤の対人戦からの終盤のドッカンバトルはマジで香港テイスト溢れる味付け。マジで超最高でした! pic.twitter.com/9MOtWvLuKQ
— S字 (@Gulogulo_wv) September 3, 2021
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』鑑賞。
めちゃくちゃ面白かったぞ!
想像の何倍もアクションがエグかった。映像もなんか凄かったぞ。
サントラも良かった!
シャンチーめちゃくちゃカッコいい。
今作でまたMCUの世界が広がった。
エンドクレジット映像も満足。 pic.twitter.com/MOZkNaBBCP— Taka cinema (@Taka_cinema1226) September 3, 2021
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』鑑賞。おお面白かった!いい意味で予告編の印象とは全然違う映画だった。優しい見た目で心に熱を秘めているシム・リウや物語にガッツリ絡むオークワフィナも楽しかった!そしてトニー・レオンの儚げなキャラも素晴らしかった。今後が楽しみなヒーローの誕生だ! pic.twitter.com/Y0i00JfoOi
— ビニールタッキー (@vinyl_tackey) September 5, 2021
すでに映画を観た方からは概ね高い評価を得ている『シャン・チー/テン・リングスの伝説』。
予告編から想像できないくらいにテンションがぶち上がるアクションの連続と、摩訶不思議大冒険に度肝を抜かれました。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、往年のカンフー映画の良さも取り入れつつ、狙い通りにステレオタイプのアジア人というイメージをぶち破ったMCUの新たな10年の始まりに相応しい作品になっていたと思います。
中国語パートも割と多く、ガッツリとアジア市場を狙いに行っているなというマーベルの狙いと、多言語映画としてのチャレンジ精神も感じました。
マルコヤマモト
映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
💥世界の未来をかけた戦い💥
最強ゆえに戦いを禁じた
#シャンチー
🆚
伝説の腕輪を操る
#ウェンウー親子の宿命の対決は、本編で目撃せよ🔥
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』大ヒット上映中!🎬 pic.twitter.com/MaBVgCHGGD
— マーベル・スタジオ[公式] (@MarvelStudios_J) September 4, 2021
マルコヤマモト
- 満足度…★★★★★★
- カンフーアクション…★★★★★
- 物語…★★★★★
マルコヤマモト
新ヒーローと同時に新ヴィランも生み出した『シャン・チー/テン・リングスの伝説』。
シム・リウやオークワフィナなど主要キャストの実年齢の若さから、実質的な世代交代やMCUが新たな10年へ向けて歩み出したことが伺えました。
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、ディズニープラスで公開同日配信されていません。
マルコヤマモト
▼ネタバレなし記事はこちら▼