『リスタートはただいまのあとで』あらすじ・ネタバレ感想!古川雄輝×竜星涼!漫画原作の癒し系BL映画

『リスタートはただいまのあとで』あらすじ・ネタバレ感想!古川雄輝×竜星涼!漫画原作の癒し系BL映画

出典:『リスタートはただいまのあとで』公式ページ

『リスタートはただいまのあとで』は、ココミ原作の人気BLコミックの実写化作品です。

人気若手俳優の古川雄輝と竜星涼のダブル主演で、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『パーフェクトワールド 君といる奇跡』などのプロデュースを手掛け、本作が長編映画デビュー作となった井上竜太がメガホンをとっています。

近年タイ、台湾、中国などアジア諸国でオリジナルのBLドラマや、原作小説のある実写化ドラマなどが次々と発表されていく中、元祖BL文化の国とも言える日本でもまさにBL原作実写化ブームの波がきています。

一大ブームを巻き起こした『おっさんずラブ』や、高校時代をドラマ、大人になった10年後を映画で描いた『his』、本作とほぼ同時期に公開された『窮鼠はチーズの夢を見る』など、日本でもBLドラマや映画は続々と公開されています。

そんなBL作品でもある本作の主人公は、東京で上手く行かず田舎に戻って来た光臣と養父と農家を営む大和。

性格や歩んできた道のりが正反対の普通の二十代後半の男性2人が、静かな田舎町で出会い心を通じ合わせていく物語であり、互いに影響を受けながら少しずつ成長していく人間ドラマでもあります。

ポイント
  • 癒し系BLの宣伝に偽りはないものの、青年たちの成長を見守る人間ドラマでもあります。
  • 激しいシーンは皆無。BLが苦手という人でもまったく問題ない恋愛映画。
  • 疲れた時にぴったりの心温まる物語です。

それでは『リスタートはただいまのあとで』をネタバレありでレビューします。

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『リスタートはただいまのあとで』作品情報

作品名 リスタートはただいまのあとで
公開日 2020年9月4日
上映時間 99分
監督 井上竜太
脚本 佐藤久美子
原作 ココミ
出演者 古川雄輝
竜星涼
村川絵梨
佐野岳
中島ひろ子
螢雪次朗
甲本雅裕
音楽 長澤佑樹

【ネタバレ】『リスタートはただいまのあとで』あらすじ


故郷に帰ってきた光臣

職場で上司に仕事ではなく人として否定された狐塚光臣(古川雄輝)は10年振りに故郷に帰ってきます。

故郷の駅に降りた光臣は見知らぬ青年に親しげに名前を呼ばれて驚きます。

光臣の母・狐塚ヨシ子(中島ひろ子)から頼まれて迎えに来てくれたという人懐こい笑顔の青年・熊井大和(竜星涼)。

光臣は戸惑いますが、結局大和の軽トラで実家まで送ってもらうことに。

大和はヨシ子から光臣の話をよく聞いていたようで、初めて会った気がしないと笑いますが、馴れ馴れしいとも言える態度に光臣はますます困惑することになります。

会社を辞めて帰って来たものの、仕事の当てもなくダラダラと過ごす光臣の家は代々続く家具屋。

父親の狐塚隆利(甲本雅裕)に対して、家業を継いでやってもいいと言うのですが、後を継ぐのが嫌で家を出て行ったくせに思い付きで言うなときつく言い返されてしまいます。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

その上、母親にはいつまでも無職の息子の面倒はみないと宣言され、久し振りに会う人たちには家を継ぐために帰って来たのかこれで安泰だなと言われる日々。

行き詰まりそうになっている光臣でしたが、大和が養父の「熊井のおじいちゃん」こと熊井春男(螢雪次朗)と営む農家に来ていた外国人労働者がホームシックで帰ってしまうところに偶然居合わせたのが運の尽き。

大和の強引さに負けた光臣は、翌日から熊井家のビニールハウスで栽培しているオレンジやイチゴの収穫を手伝うことになったのでした。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

早起きにも肉体労働にも慣れていなかった光臣ですが、大和や春男から時には注意されながらも手伝いを続け、だんだんと収穫作業に慣れていきます。

そして収穫したフルーツの配達先の商店で、光臣は大和の同級生である上田裕(佐野岳)に会います。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

仲の良い大和と上田の様子に何故か光臣は苛立ちを感じます。

作業が休みの日に出掛けた先で上田に再会した光臣は、つい素気ない態度を取ってしまいますが、光臣の苛立ちに気付いていた上田は大和とどんな関係なのかと問いかけます。

しかし光臣には、明確な答えがありませんでした。

大和に惹かれていく光臣

そんなある日、春男が作業中に怪我をして入院するアクシデントが発生。

たった一人の家族である春男の怪我にうろたえる大和を見ていた光臣は、大和が養子だからと口さがない話をする親戚たちの会話を耳にして、怒りを露わにします。

大和は自分のことのように腹を立ててくれた光臣に感謝するのでした。

その夜熊井家に泊まった光臣は、思わず眠っている大和にキスしてしまい、我に返って逃げ出します。

翌日も気まずさから、いつものように大和と接することができない光臣。

何とか平静を装えるようになりますが、春男が退院してきた時に熊井家を訪れた鹿野涼子(村川絵梨)と大和の親密な様子を見たことで、思わず嘘を吐き、驚く大和を振り切るようにして、熊井家から立ち去ったのでした。

しかし、再び涼子に出会った光臣は彼女がすでに結婚して子どももいたことを知ります。

また大和とは同じ施設で育った姉弟のようなものだと聞かされるのです。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

涼子から、大和は親に捨てられた子どもだからか人を愛することに自信がもてないのだと聞いた光臣は、大和の支えになりたいと思います。

2人のリスタート

そして腰を痛めた父親の代わりにある家族に家具を届けに行ったことや、熊井家の手伝いをしたことなどで、真剣に家業を継ぎたいと考え始めた光臣は、大和の後押しもあって父親に素直な気持ちを伝えます。

そして隆利も息子の覚悟を受け止めたのでした。

光臣を見守っていた大和は、自分も過去としっかり向き合おうと決め、戸籍のある東京に行くことを決意。

一緒に来て欲しいと頼んだ光臣と共に東京に着いてすぐ役所に向かいますが、手続きには一日かかると言われ予期せず一泊することになります。

ダブルの一室しか空室がなく同じベッドに寝ることになり、光臣は大和にキスしたことを思い出してしまいます。

そんな光臣に大和は、どうしてキスしたのかと問いかけます。

光臣が熊井家で思わず大和にキスしてしまった時、本当は目が覚めていたのです。

光臣は動揺しながらも大和を好きになってしまったのだと告白。

大和は光臣に親の愛情を知らずに育ったからか好きだということがよくわからない、愛せるかわからないけれど待っていてほしいと伝えます。

翌日、大和は戸籍を手に入れますが親の名前はわからずじまい。

家に帰ろうとした二人を一人の職員が呼び止めます。

赤ん坊だった大和が近くの公園で見つかった時のことを、年配の職員は覚えていたのです。

そうして大和は自分の名前は親がつけたものだったことを教えられます。

公園に立ち寄った大和は「名前は親が最初に与えてくれるもので、どんな気持ちが込められていたかはわからないけれど愛情がなかったら付けなかったのでは」と光臣に言われ、光臣の腕の中で涙を流します。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

その後、河川敷を歩きながら大和は光臣にキスします。

そうして彼らの暮らす町へ、肩を並べて一緒に帰っていくのでした。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

【ネタバレ】『リスタートはただいまのあとで』感想

原作との違い

いわゆるツンデレ系でどうにも素直になれない光臣と、おおらかで優しいけれど愛し方がわからないおっとりした大和の出会いから友情が恋に変わっていく様と並行して、それぞれ問題を抱えていた2人がリスタートを切るまでを繊細に優しく描いたのが、本作『リスタートはただいまのあとで』です。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

プランタン出版から発売されているBLコミックが原作で、著者はココミさん。

コミックの帯に「小さな田舎町で出会った宝物―」とあるように舞台はだだっ広い空が取り柄の片田舎。

東京から挫折して帰ってきた光臣と施設育ちの大和がお互いが大切な存在になっていく姿をゆっくり描いた「リスタートはただいまのあとで」と、それからの2人を描いた続編「リスタートはおなかをすかせて」の計2冊が発売されています。

くりす

表紙から伝わる雰囲気そのままの物語で、ほっこりする温かさと優しさを感じ、爽やかな読後感を味わえます。

そんな原作と映画の大きな違いは、以下の通り。

  • 原作は出会って1ヶ月ほど経ってから始まるが、映画では2人の出会いから描かれる
  • 原作では光臣の実家の家業は仏具屋、映画では家具屋
  • 大和の姉のような存在の涼子は映画のオリジナルキャラクター
  • 光臣は原作では田舎に戻ってから何回か仕事をクビになっている
  • その一つが上田の店だが、映画では上田の父親の出番はなく原作では名字は原田
  • 熊井家が育てているのは、原作では果物ではなく野菜

時系列も原作と映画では少し違っていますが、原作から変更された点で、世界観を変えてしまうようなものはありません。

1本の映画としてまとめるための改変と言えると思います。

くりす

大和の過去や精神的外傷をじっくり描くには上映時間が足りないために、オリキャラを出すことで時間を短縮しよりわかりやすくしたのでしょう。

光臣の実家の家業を家具屋に変更したことは、実際に「映画」としてドラマが描きやすいからかなと。

職人になることに対しての、光臣の気持ちの変化などは映画ならでは。

しかし原則として本作は原作の良さをちゃんと理解した製作陣が丁寧に作り上げた印象を受けます。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

原作を愛しているファンにとっても満足のいく実写化だったのではないでしょうか。

くりす

まあ、原田が上田に変更される明確な理由は見つからないのですが、まさか撮影が長野県上田市だったからなんてことはないですよね?

ちなみにロケ地は長野県上田市と千曲市で、田舎ながらののどかな風景、豊かな自然の美しさも見どころです。

音楽も素晴らしく、とりわけダニー・ボーイとの相乗効果でどこか郷愁を誘われます。

「BL」と銘打たれた恋愛映画

BL作品においてハッピーエンドの需要が高いのは、コミックの売り上げや感想などからも明らかだったりします。

もともと恋愛映画のみならず、途中まではどんなに切ない、過酷な試練がある話でもハッピーエンドだったら大丈夫という人も多いはず。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

くりす

終わり良ければすべて良し、ではないですけどね。癒し系と銘打っていて、切ないエンディングだったらそれは詐欺ですもん。

そんなBL作品の王道的なあらすじでありながら心の機微を丁寧に描いたことで、『リスタートはただいまのあとで』は性別関係ない恋愛ものとして、充分に楽しめる作品になっています。

光臣が大和に少しずつ惹かれていく姿にも、光臣にだけ違う何かを感じる大和の感情の揺れにも、そこには同性・異性の違いはなく、ただ人を好きになる愛することの大切さがあるだけ。

親に愛されたことがないから、愛の返し方がわからないという大和が光臣にだけは何か違うものを感じる。

光臣も何故か性別を越えて、大和を好きになってしまう。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

お互いにないものを持っている正反対の相手に惹かれてしまうことについてもごく自然に描かれていて、下ネタや嫌らしさなど一切ないです。

大和の存在があったからこそ将来についてしっかり考えるようになる光臣と、光臣に出会ったことで過去と向き合う決意をした大和。

くりす

お互いがいたからこそ大きな一歩を踏み出した結末は、本当に良かったと素直に思えます。

互いの出会いが人生のリスタートにつながるのは感動的ですし、内容的にキス止まりなのも好印象。

癒し系BLの宣伝文句に間違いはなく、観終わった時にほっこりして、優しい気持ちになれる作品です。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

くりす

2人の先が知りたくなる、つまり原作の続編も読みたくなる、そんな結末、素敵ですよね。

人間ドラマとしての一面も

BL原作ということでそちらが話題になっていますが、本作は恋愛映画でありながらしっかりした人間ドラマでもあります。

まず、光臣が感じる田舎と東京、地方と田舎の違い。

くりす

こちらは、田舎あるあるで共感する人も多いはず。例えば、「イオンできたんだ」は田舎あるある過ぎて。

映画の中でも光臣が近所の方たちに話かけられるシーンなどありますが、田舎だとやれ誰が帰ってきただの、結婚離婚妊娠出産しただの、まあすぐにバレます。

それが鬱陶しくもあり、いざという時は助けになったり。

もちろん、温かいものばかりではなく、悪い噂もあっという間に広がりますが。

くりす

大和が養子だからと陰口を叩かれるシーンがあったり、公にしなくても大和と光臣のことが噂されている描写が原作の続編にはあったりします。

しかしそういった負の面を深くは描かず、田舎の温かな側面に光を当てているため、ドロドロした内容にはなっていません。

農家の担い手の問題や外国人労働者についても大きく取り上げられていませんが、ふっと考えさせられる瞬間があります。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

ただ主題ではないためわざとらしいドラマティックさはなく、主人公2人の家族、友人のみに的を絞っているので99分の上映時間でも「描き切れていない」感は少ないです。

また、光臣の家業を継ぐかどうかといった問題についても光臣の父親への態度や言葉などで、光臣が現在家業をどう思っているか、父親がどう思うかなどをシンプルに表現していて感情移入しやすくしています。

くりす

継いでやってもいい、と上から目線で言われて喜ぶ親はいませんよね。その後の展開も親子どちらの気持ちもわかって、胸が苦しくなったり。まさにリアルです。

そして熊井家の大和と春男という血のつながらない家族の絆、大和を心配する人たちの想い、何より大和が抱えている心の問題もしっかり描かれています。

『リスタートはただいまのあとで』

(C)映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

BLと聞くとやはり敬遠してしまう人もいるのでしょうが、家業について、仕事についての考え方など、共感しやすいエピソードも多いので人間ドラマとしても楽しめる作品です。

『リスタートはただいまのあとで』あらすじ・ネタバレ感想

以上、ここまで『リスタートはただいまのあとで』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 未読の人は、迷わず原作を読むべし!
  • BL作品でありながらもわかりやすいBL要素が少ない作品です。
  • 恋愛だけでなく、青年たちの成長や人生をリスタートする姿、家族の絆を描いていて、共感しやすく心温まる物語です。

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