『パブリック 図書館の奇跡』あらすじ・ネタバレ感想!真の公共性を問うハートフルコメディ

『パブリック 図書館の奇跡』あらすじ・ネタバレ感想!真の公共性とは何かを問うハートフルコメディ

出典:『パブリック 図書館の奇跡』公式ページ

ある公共図書館の元副理事が寄稿したエッセイから着想を得た『パブリック 図書館の奇跡』。

完成までになんと11年も費やした本作の製作・監督・脚本、そして主演を務めるのは『ブレックファスト・クラブ』等の青春映画に出演し、人気を博したエミリオ・エステベス

あのお騒がせ俳優で有名なチャーリー・シーンのお兄さんでもあります。

街を襲う大寒波がやって来ても行き場のないホームレスたちが寒さから身を守るため、図書館を占拠するというストーリーです。

その中で公共性とは何か、個人の権利はどこまで守られるべきかという普遍的なテーマについて改めて考えさせられる作品です。

ポイント
  • 変わり者だけど憎めない図書館の利用者たち
  • 完全な悪者がいないハートフルな脚本
  • ”みんなの図書館”を守る熱い職員たち

それでは、『パブリック 図書館の奇跡』をネタバレありでご紹介していきます。

『パブリック 図書館の奇跡』作品情報

『パブリック 図書館の奇跡』

(C)EL CAMINO LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

作品名 パブリック 図書館の奇跡
公開日 2020年7月17日
上映時間 119分
監督 エミリオ・エステベス
脚本 エミリオ・エステベス
出演者 エミリオ・エステベス
アレック・ボールドウィン
クリスチャン・スレーター
ジェフリー・ライト
ジェナ・マローン
テイラー・シリング
音楽 タイラー・ベイツ
ジョアン・ハイギンボトム

【ネタバレ】『パブリック 図書館の奇跡』あらすじ・感想


図書館職員はつらいよ

物語の舞台は米オハイオ州シンシナティの公共図書館。

大寒波が近づく寒い日にも関わらず、開館前から多くの人が並んでいます。

それもそのはず。

この街では日中、多くのホームレスが図書館で時間を潰しているのです。

主人公の図書館員スチュアートは、毎日毎日やってくるホームレスたちに嫌な顔一つせず優しく声をかけます。

小松崎 ともえ小松崎 ともえ

しかし、このホームレスたちは開館直後から洗面台を独占して髭を剃っているため、少しは遠慮しろよと思わず言いたくなる場面が。
『パブリック 図書館の奇跡』

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その他にも、全裸で歌いだして突然ぶっ倒れる変人を運んだり、多数のマニアックな書籍の問い合わせ対応など、職員たちのハードな仕事ぶりが垣間見えます。

スチュアートと同僚のラミレスは以前、体臭が酷くて他の利用者からクレームが出ていたホームレスを退館させたことで逆にそのホームレスから訴えられてしまっていました。

利用者たちそれぞれの権利をどこまで守るべきか。

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これは図書館だけでなく全ての公共施設の職員たちの頭を悩ませている問題ではないでしょうか。

大寒波の到来でホームレスたちが図書館を占拠

そして、街にはついに大寒波がやってきます。

しかし街のシェルターは満杯で、寒さから避難できないホームレスたちが大勢います。

その中の一人、ジャクソンはスチュアートに対して団結して図書館を占拠すると宣言します。

最初はまともに取り合わなかったスチュアートですが、彼らの苦境を感じ取り、この籠城作戦に参加することに。

『パブリック 図書館の奇跡』

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最初は平和的に始めたつもりのデモでしたが、体臭問題の訴訟でスチュアートを良く思っていなかった検察官のデイヴィスがTVの前で彼を‘武装して100人を監禁しているヤバい男’と言いふらし、スチュアートはたちまち超危険人物扱いされてしまいます。

『パブリック 図書館の奇跡』

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スチュアートはデイヴィスに寒空の下、道路に横たわれと指示しました。

そうやって大寒波の中、行き場を無くし死んでいったホームレスたちがいるのです。

彼らは退役軍人だったり、納税を欠かさない市民だったりと、国の為に尽くしてきたはずなのに、たった一度の人生の転落で誰からも手を差し伸べてもらえない存在となってしまったのです。

ホームレスたちに武力行使をしようとする横暴なデイヴィスに、最初は静観していた図書館職員たちも「公共図書館はこの国の民主主義の最後の砦。あんたらの戦場にはさせない!」とついにブチ切れます。

図書館の明日を問う平和的デモがついに決着!?

どんどん話が大きくなっていく中、スチュアートは電話でのメディア独占取材を受けることに。

とにかくセンセーショナルに取り上げたいマスコミは、生放送でスチュアートが元ホームレスで犯罪歴があることを暴露。

何もかもTV的に都合よく決めつけた物の言い方でスチュアートを煽ります。

それに対しスチュアートは、ジョン・スタインベックの小説「怒りの葡萄」の一節を引用して静かに言い返します。

小松崎 ともえ小松崎 ともえ

「怒りの葡萄」は1930年代の作品で、アメリカで最も有名な小説の一つとされています。

世界恐慌に襲われる中、オクラホマの貧困農民一家が再起をかけて新天地のカリフォルニアを目指す物語であり、格差社会や低賃金労働など当時のアメリカ社会への告発的な内容でもあります。

アルコール中毒やホームレス生活で苦しんでいたスチュアートを救ったのは”本”であり、普段から感情的にならないスチュアートが最も怒りを代弁できるのがこの書籍でした。

書籍の引用で言い返すスチュアートに、取材してきた女性レポーターは冷ややかな反応でした。

しかし、放送後に図書館の前には続々と支援物資を持ってくる市民たちの姿が。

『パブリック 図書館の奇跡』

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スチュアートの言葉はシンシナティの市民たちにちゃんと届いたのです。

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スチュアートの言葉は、何も知らない人にとっては、抽象的で言いたいことがはっきりしないように聞こえます。

しかし、「怒りの葡萄」を知っている市民には、ホームレスたちの”怒り”をすぐに感じ取ることができたのです。

『パブリック 図書館の奇跡』

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これも「怒りの葡萄」という小説に触れられるように市民たちの情報アクセス権や知的自由を守ってきた図書館職員たちのおかげなのではないでしょうか。

市民たちの行動を目の当たりにしたデイヴィスは、「どう転んでも、我々が悪者になる」と神妙な顔で呟きます。

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市民たちの行動にデイヴィスの心にも少なからず、何か感じるものがあったのかもしれません。

そして、いよいよ警察が建物内に突入してきました。

『パブリック 図書館の奇跡』

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ただでは捕まらないと決意していたホームレスたちの反撃とはまさかの全員全裸での降伏!

今まで好き勝手に誇張して放送していたTVは、この行動で逮捕の様子を流せず中途半端に終わってしまいます。

結果的にスチュアートを含め、全員連行されてしまいましたが、自分たちの状況を泣き寝入りせず、声を挙げて行動に移した彼らの表情はとても晴れやかでした。

『パブリック 図書館の奇跡』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ


要点まとめ
  • 権利を守るために声を上げ続ける大切さを教えてくれる作品
  • 私たちの生活に身近な図書館の重要性を再認識させてくれる
  • 公共の施設ではみんな平等の権利を持っている

以上、ここまで『パブリック 図書館の奇跡』をご紹介してきました。

みんなに馴染みのある図書館を舞台に、個人の権利をどこまで守るか、公共性・平等とは何かについて改めて考える機会を与えてくれる作品です。