『なつぞら』第12週71話は、監督見習いの坂場一久(中川大志)となつ(広瀬すず)が、ひとつのシーンについて衝突。
しかもそれは、東洋動画の問題点にもつながる話でした。
なつ、なんだか色々ピンチです。
目次
『なつぞら』第12週71話あらすじ
なつ(広瀬すず)たちアニメーターのいる作画課に、新人の演出助手、坂場(中川大志)が突然やってきた。
そして原画担当の下山(川島明)に、動画の動きについて、ずばずば疑問をぶつける。
見ると、それはなつが描いた馬の絵だった。
必死に意図を説明するなつに対し、淡々と理詰めで動画の矛盾を指摘してくる坂場。
なつが追い詰められたその時、坂場の言いたいことはわかったと、下山がふたりの間に割って入ってきて…。
出典:NHK
【ネタバレ】『なつぞら』第12週71話の感想
なつ(広瀬すず)、鏡と紙とにらめっこの日々
『わんぱく牛若丸』の制作が始まると、なつ(広瀬すず)たち作画班は、指定された箇所の動画を着々と描いていきます。
作画のための用紙には、紙がずれないよう上部に穴が開けられるようになり、これがアニメーションを作るひとつの基準になっていきます。
そして、登場人物の表情を再現し、参考にするため、デスクには鏡が置かれ、なつたちは日々鏡とにらめっこしながら、紙にもにらめっこするようになっていくのです。
自分たちの顔を参考にすることで、自然な顔の動きを表現していこうとします。
時には牛若丸、時には馬。
そのせいでなつは、鏡に向かって歯をむき出しにして怒ったり笑ったり、悲しんだり、色々な表情を見せてくれました。
鏡に向かっていろいろな表情をするシーンのオフショット。アニメーターの机には表情を自分の顔で確認しながらキャラクターを描くために、それぞれの机に鏡があります。なっちゃんの鏡はこれ。#朝ドラ #なつぞら #広瀬すず pic.twitter.com/Um8NObbj4a
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) 2019年6月20日
カチンコくんvsなつ(広瀬すず)
作画に集中している時、演出補助の坂場一久(中川大志)がやってきました。
一久が持ってきた動画はなつが描いたもので、牛若丸が馬に乗って崖の下に駆けていくシーンです。
これに違和感を持っている一久は「おかしくないですか?」と、聞いてきます。
「おかしいですか?」
と聞き返すと、
「おかしくないですか?と聞いたんです」
と返されます。
何だこの平行線の話は!
一久は、牛若丸の表情は怖そうにしているのですが、体はのけぞっていないことに違和感を覚えたみたいなのです。
それに対してなつは
「牛若丸はわんぱくなんです!」
と反論すると
「では馬は?馬は怖がらないんですか?」
と。なつ、詰みです。
牛若丸がわんぱくで、元気に馬で降りている姿は、「鵯越えの逆落とし」を表現しているのかと言われ、それが何かちょっとわかっていない様子。
しかも、リアリティーが足りないという一久に対し、漫画映画はリアルにはできない自由なものだから、子供も楽しむことができるのでは?となつは言うのです。
2人の意見は平行線。
結局、下山(川島明/麒麟)の判断で、書き直すことを決めました。
なつ、ちょっと負けた気がして悔しそうでした。
作画課と製作課の見えない闘いがある。
作画課のやり直しを受け入れさせた一久。
これは監督の露木(木下ほうか)に言って来いと言われてやったことでした。
いつもであれば衝突する作画課と製作課。
しかし、とんでもない新人・一久を使ってきたことで、作画課も修正せざるを得なくなったのです。
ディズニーの手法の話をなつがすれば、一久もそれを当たり前のように知っています。
なんなんだこの変な奴!と思っていたところ、仕上課のももっちこと桃代(伊原六花)から、彼が東大で哲学を勉強していたことを知らされます。
東大…なんつー学歴の持ち主なんでしょうか。
彼が立ちはだかったことで、なつが映画のポスターに名前を載せる道のりは、一層険しいものとなったでしょう。
「カチンコ下手なくせに」
麻子(貫地谷しほり)がボソッと言いました。
麻子、まったく同意見です。
リアルな一久(中川大志)となつ(広瀬すず)
この坂場一久という青年。
いったい誰のモデルなのだろうかと調べてみたところ、1人の演出家の名前が出てきました。
高畑勲。
なんと、宮崎駿と共にジブリ映画を作ってきた人です。
『おもひでぽろぽろ』や『ホーホケキョ・となりの山田くん』、そして『かぐや姫の物語』などを手掛け、2018年4月5日に亡くなられた監督です。
こういった作品から、非常にリアリティーを大事にする人だなぁという印象を持っていました。
それがこの一久。今回の話の中で、リアリティーの大切さを何度も何度も語っていたことが納得できました。
しかも!なつのモデルとなった奥山玲子と一緒に手掛けたアニメも数知れず、『母をたずねて三千里』や『太陽の王子 ホルスの大冒険』、そして『火垂るの墓』を共に作り上げています。
なんという名作を作り上げているコンビなのでしょう…!
こういった有名な作品も今後出てくるのかと思うと、ちょっと楽しみが増えますね。
『なつぞら』第12週71話まとめ
下山班が結成された撮影日に、スタジオ前の休憩スペースで全員で記念写真。これから、このチームで頑張ります!#朝ドラ #なつぞら #広瀬すず #貫地谷しほり #川島明 #渡辺麻友 #田村健太郎 pic.twitter.com/VzCL5mUV7k
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) 2019年6月20日
実は、なつと一久が衝突するのも無理はないのです。
今の東洋動画のやり方は、日本の歌舞伎にディズニーを足した感じなのです。
なので、リアリティーあるものにしたいのか、どこまでもファンタジーな子供を楽しませることを重点に置いたものにしたいのか、定まっていません。
現実的と空想的、この二つがバランスよく混ざり合わさった時こそ、ふたりにとって納得のいくものとなるのでしょうね。
そんな日はやってくるのでしょうか?
とりあえず、『わんぱく牛若丸』を制作の間は、まだまだ衝突することになりそうですね。
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