『関ヶ原』で戦国時代の終わり、リメイク版『日本のいちばん長い日』で太平洋戦争の終わりを描いてきた原田眞人監督が描く日本の三大転換期の物語。
原作は司馬遼太郎の同名ベストセラー小説、主演は『関ヶ原』に続いて原田監督と組んだ岡田准一。
幕末に6年間だけ存在した、史上最強の剣客集団“新撰組”と共に駆け抜けた新選組副長土方歳三の鮮烈な人生を描きます。
土方を演じる岡田准一に加えて、近藤勇を演じる鈴木亮平、土方の想い人お雪を演じる柴咲コウと大河ドラマ主演俳優が集結。
これに加えて沖田総司を山田涼介、芹沢鴨を伊藤英明、徳川慶喜を山田裕貴が演じています。
さらに柄本明や市村正親、高嶋政宏、坂井真紀、渋川清彦などベテランに加え、ウーマンラッシュアワーの村本大輔やはんにゃの金田哲など幅広いジャンルからオールスターという言葉に見事にあてはまる豪華キャストが揃いました。
村松 健太郎
目次
『燃えよ剣』作品情報
作品名 | 燃えよ剣 |
公開日 | 近日公開予定 |
上映時間 | 148分 |
監督 | 原田眞人 |
脚本 | 原田眞人 |
原作 | 司馬遼太郎 |
出演者 | 岡田准一 柴咲コウ 鈴木亮平 山田涼介 尾上右近 山田裕貴 たかお鷹 坂東巳之助 安井順平 谷田歩 金田哲 松下洸平 村本大輔 淵上泰史 村上虹郎 大場泰正 高嶋政宏 柄本明 市村正親 伊藤英明 |
音楽 | 土屋玲子 |
『燃えよ剣』あらすじ【ネタバレなし】
明治2年、蝦夷地・五稜郭に拠点を構えた旧幕府軍の陸軍奉行並となっていたかつての新選組・副長の土方歳三はフランス軍士官ジュール・ブリュネに自分の半生を語ります。
多摩の“バラガキ”(=いばらのよう触れると怪我をする乱暴者)と呼ばれていた歳三は、盟友の近藤勇、沖田総司たちとの青春時代を経て、京都守護職の後押しを得て水戸藩出身の芹沢鴨らと共に新選組を結成します。
近藤勇を軸とする組織作りのため、厳しい局中法度を制定して粛清を繰り返し、芹沢鴨も暗殺した土方歳三はやがて鬼の副長と呼ばれ、恐れられるようになります。
そして討幕派を一網打尽にした池田屋事件で新選組の名前は天下に響き渡ります。
一方、江戸から京都にやってきた画師のお雪と出逢った歳三は彼女に惹かれ、お雪もまた歳三に惹かれ始めます。
しかし討幕派の勢いが薩長同盟によって盛り返すと時流は一気に変わっていきます。
徳川幕府15代将軍徳川慶喜は大政奉還を行い、徳川の世が終わります。
しかし、旧幕府派と新政府側との対立は続き鳥羽伏見の戦いを皮切りに全国各地で戦争が続きます。
江戸で近藤・沖田を失った歳三ですが、孤軍奮闘、会津から蝦夷地へと移動し闘い続けます。
その後、京都で一度は別れを告げたお雪が歳三を追って蝦夷地までやってきた時、2人は強く抱き合います。
最後の「五稜郭の戦い」、軍勢を率いた歳三は新政府軍の中枢に突撃していきます…。
『燃えよ剣』キャスト
岡田准一 / 役:土方歳三
バラガキと呼ばれた多摩の百姓の子、武士になる夢を叶えるために京都に上り盟友・近藤勇等と新選組を立ち上げます。
以降、鬼の副長として京都で知られ、大政奉還後も旧幕府軍の一員として戦い続ます。
村松 健太郎
鈴木亮平 / 役:近藤勇
土方歳三、沖田総司らと共に実家の道場・試衛館で腕を磨き、京都に上ってからは新選組局長として名を馳せます。
旧幕府軍として戦い続けますが、関東で投降、斬首となります。
村松 健太郎
柴咲コウ / 役:お雪
江戸から渡ってきた画師でひょんなことから土方と出逢い惹かれあう間柄になります。
後に黒い新選組の隊服を考えることに。
大政奉還の後、一度は歳三と別れますが、彼を追いかけ蝦夷地まで向かいます。
山田涼介 / 役:沖田総司
試衛館出身で天才的な剣の達人、新選組が巨大化していく中でも土方や近藤たちと昔からの関係をうまく保ち続ける大人な一面も。
芹沢鴨暗殺や池田屋事件などに立ち会いますが、やがて労咳(結核)に倒れます。
伊藤英明 / 役:芹沢鴨
水戸藩出身で剣の達人であり、学もある新選組初代局長。
しかし、酒を飲むと抑えが効かず悪行を繰り返すこともしばしばあり、問題視されたのち暗殺されることに。
村松 健太郎
尾上右近 / 役:松平容保
策謀渦巻く京都守護職の大任を任された徳川家への忠義を貫き通す大名。
後に会津藩預かりという形で新選組の結成に力を貸し、大政奉還後も最後まで戦い続けることになります。
山田祐貴 / 役:徳川慶喜
徳川幕府第15大将軍、討幕派の勢いを削ぐことに力を入れるものの時流の勢いに逆らえず大政奉還することに。
村松 健太郎
『燃えよ剣』感想【ネタバレなし】
原作は基本的に三人称で進む一方で、映画『燃えよ剣』は土方歳三の回想録という形で語られます。
このおかげで新選組を俯瞰で捉えた原作以上に土方歳三という愚直に士道を追い求め武士であろうとする男に感情移入しやすくなっています。
村松 健太郎
土方歳三が主役ではありますが、物語としては新選組、さらには武士の最期を描いていると言った方が良いのかもしれません。
百姓の子供でありながら刀を差しバラガキとして暴れまわっていた歳三が、やがて本当の武士となり、武士として散っていく姿、そのまま武家政権の最後に重なって見えます。
最後に、小ネタですが、劇中の新選組の隊服は黒一色でお馴染みのだんだら模様の羽織ではありません。
一瞬登場するのですが、芹沢鴨一派の発案と言うこともあって歳三は袖を通しません。
村松 健太郎
『燃えよ剣』まとめ
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監督・脚本 #原田眞人#黒沢明、#ハワード・ホークス といった巨匠を師と仰ぎ、自身も数々の映画賞を受賞する日本映画の名匠。
今回『#燃えよ剣』では、監督が本当に描きたかった新選組の姿が創りあげられています。#映画燃えよ剣 #5月22日公開 pic.twitter.com/LgpwRFbiD3— 映画『燃えよ剣』 (@moeyoken_movie) March 18, 2020
原田眞人監督は戦国時代の終わりを『関ヶ原』で描き、太平洋戦争の終わりを『日本のいちばん長い日』で描きました。
そして、日本の三大転換期の最後として武家政権が終わる幕末を『燃えよ剣』で描いています。
ある程度意図しているのでしょうが、どれも“敗れる側”の人間が主人公になっています。
時代の転換期と書きましたが、言い換えれば一つの時代の終わりの時といっていいでしょう。
そして、“終わり”を描くためには“終わっていく者”=“敗れ去る者”の側から描くとより効果的です。
ある部分では自分が終わる側の人間であることを認識している人たちが、最後に覚悟と信念をもってシンプルですがとても厳しく険しい人生を歩む姿を『燃えよ剣』では見ることができます。