家族を亡くし強い思いで弁護士になったヨヌは愛なんて興味もない上に信じてもいません。
スマートな独身生活を送る中、思いもよらぬ出来事が起き全てを失います。
納得がいかないヨヌに出された提案は「妻・母としてある家族と1ヶ月過ごす事」。
家族を亡くし愛に背を向けていたヨヌが仮初めに得た家族とどう向き合い、触れ合う事でどう変わっていくのか?
オム・ジョンファ&ソン・スンホンが演じる夫婦のシーンはコミカルハートフルで見ものです。
特にソン・スンホンファンの方はきっとニヤニヤが止まらないと思います。
- 勝訴率100%!生きがいは高額報酬!そんな敏腕女性弁護士ヨヌの心の変わっていく様が一番の見どころ
- 妻と2人の子どもがすべてという初の父親役を演じたソン・スンホン。劇中にも何度も出てくる「無駄なかっこよさ」が必見です
- テンポよく展開していくストーリー
それでは『ミス・ワイフ』をネタバレありでレビューします。
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目次
『ミス・ワイフ』作品情報
作品名 | ミス・ワイフ |
公開日 | 2016年8月13日 |
上映時間 | 124分 |
監督 | カン・ヒョジン |
脚本 | キム・ジェヨン |
出演者 | オム・ジョンファ ソン・スンホン キム・サンホ ラ・ミラン ソ・シネ |
音楽 | キム・エウニョン |
【ネタバレ】『ミス・ワイフ』あらすじ・感想
順風満帆の人生にとんでもない出来事が
物語はオム・ジョンファ演じる主人公ヨヌの生い立ちから始まります。
船乗りとして働いていた父親はヨヌが幼い頃海上事故で亡くなってしまいます。
海上に出るとなかなか帰ってこない生活ゆえにヨヌは父親の顔を覚えていません。
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程なくして父親を慕い生きていた母親も亡くなり、ヨヌは多感な時期に1人ぼっちになってしまいます。
この時、ヨヌは心に誓いをたてます。
「男なんて百害あって一利なし。誰にも頼らず自分の力だけで生き抜き成功する!」と。
幼少期には全く良い思い出がないヨヌですがソウル大法学部を卒業し弁護士となります。
強引な手法で依頼人の望みを叶え勝訴率100%!…だけあって弁護士費用は高額です。
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でもそこは高額報酬のために生き方を変えるつもりは全くない強い女性。
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韓国のフィクションをを観るあたってはこの「財閥」は切り離せないワードです。
そして財閥訴訟ではよく事件がもみ消されてしまい弱者が泣きを見るのもお約束です。
見ていて腹立たしくなってしまいますが、そのおかげで感情移入がしやすくなりのめり込めると思います。
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ところが仕事終わりの運転中に事故を起こしてしまいます。
目を覚ますとそこは見知らぬ場所で、訳が分からず戸惑っているとある部屋に連れていかれ、そこでイ所長という人物から自分が死んだと告げられます。
★☆登場人物紹介③★☆
<イ所長/キム・サンホ>
ヨヌ(オム・ジョンファ)の運命を変えた謎の男。ヨヌが自動車事故により生死の境をさまよう中、ひと月他人の人生を生きれば元に戻してやると提案する。果たしてその正体は? #ミスワイフ pic.twitter.com/hfld4wkx6f— 映画『ミス・ワイフ』絶賛公開中 (@MisswifeMovie) August 8, 2016
どうやらそこは死後の世界のようです。
しかしヨヌの死は間違いだったのです。
「死後の世界の事務的ミス」で、もっと長生きするはずだったヨヌと今日死んでしまうはずだったと同姓同名のおばあさんの死の期限が入れ替わってしまったのでした。
もちろんミスという事はヨヌには内緒です。
ヨヌは自分の身に起きた信じがたい出来事に戸惑い不満を爆発させます。
死を告げられても信じることができないヨヌはイ所長に必死で助けてほしいと訴えると、ある話を提案されます。
ヨヌのような人への特別サービスのようなもので、協力をすれば元の人生に戻れると…。
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その提案と言うのが手違いで早く亡くなってしまった主婦が生きるはずだった残りの1ヶ月を代わりに生きてほしいというものでした。
やっぱりなんとも怪しげな話に色々考えるヨヌですが「元に人生に戻るか天国に召されるか」と言われればもちろん!引き受けます。
さぁ~期間1ヶ月の別の人生の始まりです
もう一度目を覚ましたヨヌ。
さっきとは違い、事情を分かったうえでの目覚めなのでゆっくり起き上がり冷静に状況を把握しようとします。
ところが鏡に映る自分の姿に呆然とし震えが止まりません。
ヨレヨレのTシャツには何だか分からないシミにゴハン粒。
ボサボサノの髪は爆発状態。
「ぎゃー!!!」マンションに響き渡るような雄叫びを上げます。
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と、そこへ歯磨きをしながらソン・スンホン演じる夫のソンファンがちょっとマヌケな感じで現れます。
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キレイな顔立ちのイケメン代表みたいなソン・スンホンはコミカル演技とは無縁のようにも思えますが、実はデビュー作は韓国MBCで1話完結形式で連続放映していたアメリカスタイルのコメディードラマの『男女6人恋物語』なんです。
minma
何気ない日常の夫婦の姿ですが外見は全く赤の他人。
成りすましていますが中身はバリバリキャリアウーマンの独身ヨヌです。
かたやソンファンは当然ですが至って普通に接してきます。
しかしヨヌは自分のその姿からして受け入れがたく、まして何食わぬ顔をして歯磨きをしながら自分に近づこうとするソンファンに悲鳴を上げ敵意にも似た警戒状態になります。
朝からそんな奇妙な行動のヨヌに対して初めは驚くソンファンですが、泥棒とまで言ってくる挙動不審な妻に「何のマネだよ」と言いながらも怒るでもなく呆れるでもなく微笑ましく笑いながら難なく受け入れていくソンファンが可笑しかったです。
ヨヌが入れ替わっている妻はドラマや映画が大好きな主婦でした。
日頃からドラマの役柄に成りきる妻と、その妻に付き合う夫。
とても仲良しで楽しい夫婦生活だったのだろうと伺えます。
minma
入れ替わった生活に混乱の日々
入れ替わった主婦の日常は内職をしながら家計をやりくりし、自分の事は後回し。
楽しみはドラマを観ることとママ友との付き合いの時間。
まだまだ手のかかる息子と反抗期真っただ中の娘。
誰からも言われる「無駄にイケメン」の区役所勤めの公務員の夫との生活はキャリアウーマンだったヨヌにとっては真逆の想像もできないことばかり。
誰にも頼らず生きてきたと自負しているヨヌにはママ友との関係や毎日のように集う時間も面倒で鬱陶しいものでしかありません。
幼稚園バスにこどもたちを乗せ、そのままカフェに行きオシャレとは程遠い食事をして下品な話題ありの会話に呆れ軽蔑のまなざしを向けます。
あまりのギャップにヨヌ本来の性格が見え隠れして、入れ替わりに徹することができなくて色々と騒動を起こします。
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かわいい?子どもたちとの時間
いきなり2人の母親になったヨヌ。
「ママー」と呼ばれて失神しそうになります。
朝から3人が色々要望やら文句やらとにかく何でもかんでもヨヌに言ってきます。
主婦にとってはいつもの忙しい朝の1コマですが、1人の時間を優雅に過ごしてきたヨヌには信じられない事ばかり。
女優になりたいという16歳の娘ハルは思春期で生意気盛りです。
ママに反抗して「ママの作ったご飯は食べない」と言ってみたり、「お金が欲しい」と言ってみたり、何かにつけてヨヌに突っかかります。
この時期の子どもにありがちなコミュニケーションの難しさに手を焼きますが、実際どうでもいい感はぬぐえないので他人事的なヨヌ。
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癒しなのは幼稚園児の息子ハヌルです。
突然ちょっと変になったママの事を心配してお友達に話したら「それは更年期だよ」と…。
「更年期に効くお薬下さい」と薬局へ行きます。
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微笑ましく、可愛いハヌルはいつもいいタイミングで癒しをくれます。
なかなか理解できない夫との時間
とにかく誰が見ても誰に言わせても「無駄にカッコいいイケメン」の夫ソンファンは本当に優しくて穏やかな人です。
何事もまずは受け入れて見守り包み込んでくれるタイプです。
仕事も家族のために一生懸命です。
しかし、ヨヌには理解ができません。
とは言え、夫婦仲はもともと良好だったのでソンファンは普通ににスキンシップもしてきます。
そこがまた恋愛とは無縁で生きてきたヨヌにとっては不快とすら感じてします。
愛情あふれた2人の馴れ初めも話も弁護士ヨヌによって犯罪者呼ばわりされてしまうソンファン。
「顔だけの男」なんて言われ、めちゃくちゃ凹みます。
家庭内別居として別々に寝ることになるのですが、言いたい放題言われたにもかかわらずやっぱりソンファンは戸惑いながらも苦笑と共に受け入れます。
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ヨヌとソンファンのやり取りはテンポよくコミカルで見ていて楽しめます。
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そして、1ヶ月過ぎれば!としか思ってなかったヨヌの主婦生活がある大きな三つの出来事によって徐々に変化してきます。
約束を破ってしまったヨヌ
元の人生に戻るための引き換えとして始めた生活には約束事がありました。
- このことは絶対に誰にも話してはいけない。
- 以前の自分の人生に関与してはいけない。
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なんとかやり過ごしていた中、ママ友の集いでからかわれてヨヌのイライラは募ります。
イ所長には「偽りは困る。なりきってください」と言われてしまいます。
そう言われれば本来の敏腕ぶり発揮です!
マンション住人に「偽ブランドなんか着て」とプライドも傷つけられ家族の事を完璧に把握し自分のスタイルで演じることにします。
そんなヨヌに今度は家族が混乱し、ヨヌの言動や態度で少し衝突が生まれます。
不信感を抱いたソンファンからは離婚届を渡されてしまいます。
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そこで一つ目の大きな出来事が起こります。
ママ友に「隣町の地区再開発着工前倒し反対」の署名をするように言われたヨヌでしたがそれは弁護士ヨヌがフェギョン建設より着工を早めたいと依頼された案件でした。
慌てたヨヌはイケないと思いつつも約束を破り自分がかつていたマンションへ向かい書類を持ち出します。
そこで見たのはハルとハヌルのママの写真です。
そのついでにヨヌはフェギョン建設から報酬としてもらっていたブラックカードも一緒に持ち出し、高級スーツを買います。
しかし、カードの名義が違っていることを忘れていたヨヌは警察に捕まり、ソンファンも警察署にやってきます。
警察のあまりにもひどい暴言と態度にいつもは穏やかなソンファンが警官を一喝した上に言い負かします。
しかもジャンジャン飛び出る法律用語。
実はソンファンも2年で中退しましたがソウル大法学部の出身でした。
カードの持ち主は先輩だと主張し、生活が苦しいと知った先輩が貸してくれたんだろうとというソンファンにヨヌも話を合わせ、ソンファンは刑事に謝罪を求めます。
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家に帰った後、少しだけヨヌを問いただすソンファンですが「お前を信じる」と言って警戒するヨヌに近づき頭を撫でます。
そんな事をされたことがないヨヌはかなり動揺します。
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この事件でイ所長にたしなめられますが、ヨヌの心情が変化していきます。
初めて2人でお酒を飲み夫が話す昔話に少し心を許すヨヌ。
この昔話にはソンファンの惜しみない家族愛を感じます。
蘇る出来事と芽生えた感情
ほんの少しだけですが家族との距離が縮まり始めた頃、娘ハルに悲劇が起こります。
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ハルに最近気になっている先輩がいることはヨヌも知っていました。
その先輩とのデートの日、ただならぬ様子で帰宅したハル。
部屋に入るとハルの体には殴られたような傷がありました。
全てを察したヨヌは何があったのか話さないと助けることができないと言います。
ハルは泣きながら、そんな言い方はないとヨヌを罵ります。
ハッとするヨヌに静かに話し出す娘ハル。
先輩にレイプされかけたという娘の言葉にヨヌは「ママに任せて」と言い学校に出向きます。
横には心も体も傷つけられ恐怖で上を向けずに泣いている娘ハルがいます。
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「もういいよ。あの人たちの言う通りにしよう?ウチは借金もあるし、それがいい」と健気に訴える娘ハル。
ヨヌの頭にはとある出来事がよぎります。
実はヨヌが弁護士時代に引き受けたのが財閥の息子が引き起こしたレイプ事件の弁護でした。
ヨヌは被害者親子に対して何の感情もなく仕事として事務的に淡々と示談交渉をしました。
どうしたら娘さんが傷つかずに済むか、何が娘さんにとって最善なのか、裁判をしたところで加害者は海外へ行き、時を過ごし何事もなかったように韓国へ戻ってくることになると…。
あの時の相手の母親の気持ちが痛いほど胸に突き刺さりヨヌの中に激しい感情が生まれます。
自分のために必死になる母の姿にハルの心も落ち着き子どもたちとも本当の親子のような時間が動き出します。
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仲睦まじい夫と子どもをベランダで見守っていると、イ所長が現れ期限が1週間に迫ったと知らせます。
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家族に愛情が芽生え始めているヨヌは「それはむごすぎる」と訴えますが「苦痛を和らげてあげたいなら残りの時間精一杯全力で家族を愛しなさい」と言われてしまいます。
そこからヨヌの家族に対する愛の行動が始まります。
入れ替わったゆえの遺伝
三つ目の大きな出来事として、今度は癒しの息子ハヌルが倒れてしまいます。
ソンファンと病院に駆けつけ自ら「母親」だと名乗ります。
ハヌルは入院をして手術をしないと視力が無くなっていく遺伝性の難病にかかっていました。
実はこの病気はヨヌとヨヌの母親もかかった病でした。
ヨヌの母は片目を失明し、ヨヌ自身は何度かの手術で完治していました。
期限付きの偽りの母親なのにどうして遺伝してしまうんだ、罪なら自分が受けるべきと心を痛めるヨヌ。
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前の人生を捨ててでも家族になりたいと言うヨヌに少しだけ時間が与えられます。
ハヌルの病気はヨヌが消えればなかったことになると言われ決心します。
家族に別れを告げて残り1週間を待たずにヨヌは家族のもとを去ります。
望み通り元の人生に戻れたヨヌは母親の遺品のアルバムの中に母親と幼い自分が写る1枚の写真を見つけます。
写真の折れた部分を手に取り広げるとそこに写っていたのは真っ白な制服姿の見覚えのある顔でした。
写真の裏には「命より大切な娘へ」と書かれてあります。
ヨヌの死んだ父親はイ所長だったのです。
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そしてエンディング。
ヨヌは仕事を休み父親が最期を遂げたニュージーランドへ向かう飛行機の中、ソンファンたちと出会います…。
子どもたちへの愛・夫への愛、そして子どもたちからの愛・夫からの愛、そしてもう一つ気付かずにいた親子の愛。
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『ミス・ワイフ』まとめ
以上、ここまで『ミス・ワイフ』をレビューしてきました。
- スマートで完璧な人生を送っていたミス(独身)が一瞬にしてワイフ(妻)に!そこから巻き起こる展開に引き込まれます。
- コミカルとハートフルのバランスがとっても心地よく見やすいです。
- 本当の姿で出逢ったヨヌと家族のその先も気になるような作品です。
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