その名の通りまさに凶悪!
実際に起きた凶悪殺人事件「上申書殺人事件」を基に作られているので、生々しい作品となっています。
人間の悪の部分をこれまでかと見せつけてくる力強い映画です!
- 目を背けたくなるような凶悪さ。
- 素晴らしい役者さんたちが勢ぞろい。入り込んだ演技にも注目。
- 人間が秘めている二面性を上手に表している。
それではさっそく『凶悪』についてレビューしていきたいと思います。
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『凶悪』作品情報
作品名 | 凶悪 |
公開日 | 2013年9月21日 |
上映時間 | 128分 |
監督 | 白石和彌 |
脚本 | 高橋泉 白石和彌 |
原作 | 新潮45編集部編『凶悪 -ある死刑囚の告発-』 |
出演者 | 山田孝之 ピエール瀧 リリー・フランキー 池脇千鶴 吉村実子 小林且弥 斉藤悠 範田紗々 米村亮太朗 松岡依都美 |
音楽 | 安川午朗 |
【ネタバレ】『凶悪』あらすじ・感想
目を覆い隠したくなるような残虐性
はじめに、本作『凶悪』にはところどころ残虐なシーンが見受けられます。
それは映像がキツイというより、その行為の残虐性に目を背けたくなります。でも、怖いもの見たさで見てしまう。
それはまさに観ている人が、主人公の藤井(山田孝之)と同じ立場になっているということです。
これが本作の最大の魅力となっております。そしてこれが実際の事件だということに、見終わった後もしばらく考えさせられるような素晴らしい映画となっているのです。
主人公の藤井も、この事件に夢中になり家族をほったらかし、痴呆症でぼけてしまっている母親の面倒を全く見ません。
それはリリー・フランキー演じる「先生」と呼ばれる人物に、実親の殺しを依頼してきた家族たちと同じと言えるでしょう。
家族とは何か?人間の凶悪性とは…?
二人の全く違う凶悪性が恐ろしい
主人公の山田孝之の演技もとても良いのですが、リリー・フランキーとピエール瀧の悪役は素晴らしいとしか言えません。
ピエール瀧が演じた須藤は、見るからに凶暴で、何をしでかすか分からない怖さというのがひしひしと伝わってきます。
それに対して、悪役を演じるのが初めてというリリー・フランキー。
見た目はおとなしそうで弱弱しいキャラですが、中身は須藤以上の凶暴さ。この難しい役どころを演じているのは本当にすごいです。
普段はやさしい人がキレたりすると怖いという現象に似ているかもしれません。
見た目の怖さはピエール瀧で、リリー・フランキーは大したことないなって思いますが、見終わってからは全く逆の印象に変わっていると思います。
演技に圧倒されること間違いなしです。
完全なる正義は存在しない
凶悪というタイトルの二面性を最後に思い知らされます。
普通の人間が事に耐えられず凶悪化する可能性を、反面教師の如く最後まで見せつけてくるところがこの映画の恐ろしい部分であり、称賛すべき点なのです。
もっとも怖さを感じさせるのは、普通の暮らしの中に蔓延している凶悪。
ことに老人介護におけるそれは、淡々としながら凄まじく描かれており、藤井の家庭でも崩壊寸前にまで悪化します。
見て見ぬふりをするのも、面白がって追いかけるのも、金のためなら魂を捨てるのも、考えてみれば全員が凶悪になりつつある存在なのです。
この映画の中には悪を指摘する人物ですら凶悪性を秘めている状態で、何が正義なのか分からなくなります。
自分では正しいと思っていることでも、周りから見ればただのエゴなのかもしれない。
見終わった後に色々と考えてしまうことが多いと思います。
それほど本作『凶悪』にメッセージ性があり、素晴らしい映画なのだと思います。
『凶悪』まとめ
以上、ここまで映画『凶悪』についての感想を書きました。
- 残虐性についつい引き込まれる
- 役者の演技に注目!
- 正義とはなにか考えさせられる
ここまで残虐性の高い映画をただのサイコ映画にすることなく、人間ドラマも絡めつつバランスの良い映画になっているのは、役者さん達の繊細な演技があるからこそのように感じました。
怖いもの見たさで、ぜひ一度ご覧ください。
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