2017年、全国でロングラン上映され、第30回東京国際映画祭コンペティション部門で観客賞受賞した『勝手にふるえてろ』の原作・綿矢りさ&監督・大九明子コンビの最新作!
今回のヒロインは朝の連続テレビ小説『あまちゃん』以降、様々な作品で鮮烈な存在感を残し続けるのん。
共演には『おっさんずラブ』の林遣都、『架空OL日記』の臼田あさ美、片桐はいりなど。
また、『あまちゃん』でのんと親友役を演じた橋本愛が再び親友の皐月役で出演していることも注目です。
主題歌は車のCMでもおなじみの大瀧詠一の『君は天然色』、実に思いがけない使われ方をしています。
今作はすでに、第33回東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」部門で、一般観客からの投票で最も支持を集めた観客賞を受賞しています。
- わかりみが深いおひとり様のがけっぷちラブロマンスコメディ
- のん&林遣都の何とも言えない違和感のある魅力的なカップリング
- クライマックスで見れるのんの感情爆発演技は必見!
それではさっそく『私をくいとめて』をレビューしていこうと思います。
目次
『私をくいとめて』作品情報
作品名 | 私をくいとめて |
公開日 | 2020年12月18日 |
上映時間 | 133分 |
監督 | 大九明子 |
脚本 | 大九明子 |
原作 | 綿矢りさ |
出演者 | のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり 橋本愛 |
音楽 | 高野正樹 |
『私をくいとめて』あらすじ【ネタバレなし】
みつ子は、会社では少々変わり者ですが、気の合う先輩に恵まれ、休日はイキイキと“ソロ活”にいそしむおひとり様女子。
“おひとりさま”ライフがすっかり板についた31歳のみつ子が、一人でも楽しく生きている理由は、脳内に相談役「A」がいるおかげです。
人間関係や身の振り方に迷ったとき、もう一人の自分の「A」が、彼女に適格なアドバイスをくれます。
中性的で冷静なその声の主を、Answerの頭文字をとって「A」と名付けたみつ子は、ことあるごとにこの「A」にアドバイスを求めるようになりました。
みつ子の分身である「A」が話しかけるのは、みつ子が一人の時だけ、誰かといるときは「A」はほとんど出てくることはありません。
みつ子には、多田君という不思議な関係の男性がいます。
もともとはみつ子の会社の取引先の営業マンとして知り合ったのですが、全く違うとき、近所のコロッケ屋で遭遇、ご近所さんだということを知ります。
その日はたまたまスーパーで食材の買い出しをした帰り道でした。
今日の晩ご飯はなににしよう…
みつ子が、営業にくる多田くんと偶然会ったのは、買い出しのときに商店街ででした🚲#私をくいとめて pic.twitter.com/UIfgcRZeYz
— 映画『私をくいとめて』 (@kuitometemovie) November 29, 2020
手作りの料理のことを羨ましそうに語る多田君に、つい何気なくみつ子は「ご飯を食べにきませんか」と誘ってしまいます。
多田君はその時は来なかったものの、それ以来、時々みつ子の家にお皿やタッパーを持ってやって来ては、ご飯やおかずをもらって帰るようになりました。
そんな二人の仲が進展しないかと見守っているのが、Aと、みつ子の職場の先輩のノゾミ。
ノゾミは同じ会社のナルシストな営業マン、カーターを観察するのが生きがいです。
カーターは、見た目は良いものの、性格は自分勝手で過剰なナルシストで、おまけに仕事もあまりできないタイプです。
🌹✨🌹✨🌹✨🌹✨🌹✨🌹
先日は🌹麗しのカーター🌹こと、#若林拓也 さんの取材がありました📸
✨🌹✨🌹✨🌹✨🌹✨🌹✨
💭カーターはノゾミさんが片思い中の同僚。2人の恋の行方もお楽しみに…🌹🌹🌹🌹🌹 pic.twitter.com/3QH2vFYkrf
— 映画『私をくいとめて』 (@kuitometemovie) November 16, 2020
しかし、それすらノゾミには可愛く見えてしまうようです。
しばらく恋愛もしていないみつ子に「A」は行きつけの歯科医を勧めます。
しかし、その歯科医には下心しかなくホテルへ誘って来たため、みつ子はやんわりと断って別れました。
みつ子は再び恋愛とは縁遠い生活に戻ってしまいます。
ある休日、みつ子が夕飯の買い出しに商店街へ向かうと、クリーニング屋から出てくる多田君と遭遇。
その場の勢いでみつ子は部屋で一緒に夕飯を食べないかと声をかけます。
すると、彼はそれに乗ってきました。
いつものメニューより少し豪華な夕飯を用意していると、多田君はお花を手土産にやって来ました。
いつになく充実した食事の時間を得たことでみつ子の多田君への好意が募ります。
その一方で、大学時代の親友・皐月から連絡が来ます。
皐月はイタリア人の男性と結婚し、イタリア・ローマで暮らしていて、もうすぐ赤ちゃんが生まれます。
冬休みを利用してこっち(ローマ)で年越しをしないかという誘いを、みつ子は喜んで受けました。
飛行機が苦手なみつ子にとって、拷問のような12時間のフライトでしたが、イタリアでの皐月との再会、彼女の家での親族やご近所さんとの賑やかなパーティ、皐月の案内での観光などなど盛りだくさんの時間を過ごします。
冬休み明け、新年の職場では、ノゾミがカーターとの進展があったことを報告。
一緒に初詣に行ったというのです。
さらに東京タワーを昇るイベントにも一緒に行くことになっているということで、みつ子は多田君を誘ってWデートを企画します。
ノゾミからカーターと付き合うことになったと伝えられるみつ子。
そんなみつ子を見ていた多田君は「俺たちも、付き合ってみますか?」と告白して来ました。
みつ子は多田くんと付き合うことを決めます。
多田くんとのお付き合いは始めはぎこちなかったものの、次第に心が安らげる関係へ発展。
ある日、レンタカーを借りて遠出デートをした2人ですが、雪のため近くのホテルに泊まることになりました。
そして、ホテルの部屋で抱きついて来た多田君のことを動揺のあまり拒んでしまうみつ子。
妙なプレッシャーに襲われて思わずへたり込んでしまいます。
果たして“こじらせおひとり様女子”の恋の行方はどうなってしまうのでしょうか?
『私をくいとめて』感想
わかりみが深すぎるがけっぷちロマンス
本作で描かれるのは、おひとりさまライフを満喫する31歳のみつ子(のん)が、脳内の相談役「A」とともに年下男子・多田くん(林遣都)との恋に挑む“崖っぷちロマンス”です。
村松 健太郎
監督&原作者も絶賛
原作・綿矢りさ&監督・大九明子は前作『勝手にふるえてろ』で松岡茉優を見事に輝かせましたが、今作でののんのハジけ方も甲乙つけがたいものになっています。
のん自身はオファー当時については「どうしてこの役のが来たのか」と疑問を持ったそうですが、中盤のみつ子の感情の爆発、そしてクライマックスでの再びの暴走という一連のシーンを想像したときにピタリとはまるのではないかという大九監督の狙いがあったそうです。
イベントの最後にメッセージ🍤
のんさん「みつ子的な部分の、いいところもダメダメなところも包み込んでくれる映画です。」
大九明子監督「どなたの脳内にもAがいるんじゃないかなと。脳内の宇宙を旅するような映画になればと作りました。どこかで自分に似た部分を感じていただけると嬉しいです。」 pic.twitter.com/ADKfxUJ7kx— 映画『私をくいとめて』 (@kuitometemovie) November 24, 2020
中盤のシーンでは朝イチの撮影にもかかわらず、朝からのんに思い切り怒ってもらったところ、撮影中一度も見たことのない顔を披露、この狂暴さをはらんだ演技のふり幅にのんの“女優魂”に魅せられたと大九監督は絶賛しています。
村松 健太郎
2020年は劇場公開作品が3本!映画俳優・のんに期待
もろもろ制約もあるのんですが、2020年は『星屑の町』『8日で死んだ怪獣の12日の物語 -劇場版-』そして、本作『私をくいとめて』と映画が3本続きました。
感性と瞬発力タイプの俳優なので、映画というフィールドはとても合っていると思います。
村松 健太郎
『私をくいとめて』あらすじ・感想まとめ
第33回東京国際映画祭観客賞受賞🎉
🍤『#私をくいとめて』12.18公開🍤#のん が演じるのは、脳内に相談役”A”が爆誕した、31歳おひとりさま・みつ子。
年下の営業マン・多田くんに恋をし、”A”と共に両思いだと信じて一歩前へふみだすことに…‼️🔽のんさんコメント・予告https://t.co/W63FdSqY1v pic.twitter.com/D8MRAiVAVI
— 映画『私をくいとめて』 (@kuitometemovie) November 24, 2020
以上、ここまで『私をくいとめて』をレビューしました。
- 『勝手にふるえてろ』の原作&監督コンビふたたび
- 究極のこじらせお一人様女子をのんが好演
- 『あまちゃん』以来となるのんと橋本愛の共演にも注目
女優・のんの魅力がたっぷり詰まった崖っぷちコメディです。
豪華な共演陣と織りなす掛け合いにもご注目ください!