『Shall we ダンス?』『舞妓はレディ』の周防正行監督が手がけた5年ぶりの新作映画『カツベン!』。
今回のテーマは、サイレント映画の時代に日本の映画館を沸かした活動弁士、略称カツベン。
日本における映画の黎明期を支え、時には俳優をしのぐ人気を誇ったカツベン。
そんなカツベンを目指す主人公に成田凌、女優を目指すヒロインを黒島結菜が演じています。
- 主役に大抜擢された成田凌の半年以上及ぶ猛特訓の末に身に着けた見事なカツベンぶり
- ヒロイン黒島結菜に加えて、池松壮亮、山本耕史、井上真央、永瀬正敏、音尾琢真、高良健吾、竹野内豊といった豪華な共演陣
- 映画ファンにはたまらない過去の名作へのオマージュの数々
- 竹中直人、渡辺えり、上白石萌歌、草刈民代、徳井雄、小日向文世といった周防監督作品常連組の好演
今回は、マスコミ試写に加えて日本外国特派員協会(=外国人記者クラブ)での特別上映でも、公開に先駆けて『カツベン!』を見ることができました。
外国人記者クラブでは周防正行監督、主演成田凌のQ&Aもあり『カツベン!』の魅力をさらに深く知ることができました。
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目次
『カツベン!』作品情報
作品名 | カツベン! |
公開日 | 2019年12月13日 |
上映時間 | 127分 |
監督 | 周防正行 |
脚本 | 片島章三 |
声優 | 成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 音尾琢真 竹中直人 渡辺えり 井上真央 小日向文世 竹野内豊 池松壮亮 成河 酒井美紀 山本耕史 草刈民代 城田優上 白石萌音 シャーロット・ケイト・フォックス |
『カツベン!』あらすじ・感想
日本で花開いた世界で唯一の映画文化“活動弁士”の魅力的な姿
日本映画において、本当の意味での“サイレント”映画はなかったと言った人がいました。
というのも日本映画独自の存在、活動弁士(=“カツベン”)がいたからです。
活動弁士は、映画がまだ“活動写真”と呼ばれていたころ、僅かな文字情報と楽師による音楽しか音声情報のなかったころに、作品を何倍にも盛り上げた存在です。
そんなカツベンに憧れを持ち、映画に深い愛情を持つ主人公・俊太郎(成田凌)の姿は、映画が好きになったころの自分の原体験を思い出させてくれます。
『カツベン!』の話をサイレント映画の方法で描く
活動弁士が活躍したのは、サイレント映画の時代でした。
そこで周防正行監督は、映画『カツベン!』にサイレント映画的な演出を展開します。
チャールズ・チャップリンやバスター・キートンの作品のように、カットを割らずにアクションを一連で撮影しました。
また、劇中で“上映される”映画の数々も、過去の名作を基にした作品や再現した作品を新作として撮影。
それも、その大半をモノクロ35㎜フィルムで撮影するという芸の細かさです。
村松 健太郎
街にひとつは映画館があったという映画が娯楽の王様だったころの映画というエンターテインメントの存在の大きさがよくわかります。
昔をむやみに褒めて、今を卑下するつもりはありませんが、それでも今の日本における映画と映画館のあり方を見比べると、当時の環境が羨ましく思えてしまいます。
主演・成田凌の見事なカツベンぶり
多数の候補者がいたというオーディションを勝ち抜いて、主役の染谷俊太郎を演じるのは成田凌。
本作『カツベン!』が映画初主演となります。
周防監督いわく、佇まいから雰囲気まで“こういう若者は好きだな”と感じた監督のタイプの俳優だったそうです。
『カツベン!』の中では二枚目と三枚目の間を巧みに行ったり来たりしてみせ、チャーミングな青年を好演しています。
半年以上に及ぶカツベントレーニングの結果、見事に声色を使い分けてみせ、本物のカツベンになり切りました。
外国人記者クラブのQ&Aで、成田凌は脚本・演出・説明(ナレーター)を一人でこなすカツベンのトレーニングはなかなか過酷なものだったと言っていました。
村松 健太郎
成田凌は2018年には6作品の映画に出演、2019年も6作品が公開されています。
来年2020年もすでに3作品がアナウンスされていますので、この後も映画俳優・成田凌を楽しむことができそうですね。
豪華すぎる共演陣!
映画『カツベン!』は本当に贅沢に俳優を使っています。
“周防組”といってもいい竹中直人や渡辺えり、徳井優、小日向文世などの常連組に加えて、ヒロインの黒島結菜に高良健吾、永瀬正敏、池松壮亮、竹野内豊、井上真央など主役級の俳優たちがどんどん出てきます。
『カツベン!』の劇中で上映される映画にもシャーロット・ケイト・フォックス、城田優、上白井萌音、草刈民代が登場しています。
村松 健太郎
外国人記者クラブでも爆笑の連続、言葉の壁を超える周防演出
『Shall we ダンス?』がアメリカでも公開され、ハリウッドリメイクもされたように、周防正行監督の世界観は言葉の壁をや乗り越えて楽しまれています。
今回の『カツベン!』はサイレント映画の方式も導入しているので、より一層言語に頼らない笑いが随所に仕込まれています。
キャラクターが置かれている状況や、彼らの表情を見れば自然と笑いが起こります。
外国人記者クラブでは日本語セリフの内容や意味合いを全てカバーしきれていない英語字幕版での上映でしたが、何度も爆笑が起こり、映画が終わると大きな拍手が起こりました。
村松 健太郎
エンドロールにも注目
『カツベン!』のエンドロールには、サイレント映画期の傑作剣戟映画『雄呂血』が使われています。
『雄呂血』は田村高廣、田村亮、田村正和兄弟の父親で剣劇の大スター阪東妻三郎(=バンツマ)の代表作です。
もともと『無頼漢』というタイトルで作られたものの、検閲が入りズタズタにカットされたという日本映画の苦い過去の象徴的な作品でもあります。
日本映画の黎明期の良かった部分だけでなく、ほろ苦い部分もしっかりと描いていて、周防監督の映画への想いが本物だということがより一層と感じられます。
また、外国人記者クラブでのQ&Aでは『雄呂血』は時代劇が“歌舞伎的なもの”から“映画的なアクション”へと大きく変わったエポックメイキングな作品だという周防監督の想いがあることも知ることができました。
奥田民生が歌うカツベン節も軽妙です。
『カツベン!』まとめ
\現場の裏側~オフショット編📽️/
まずは本作の主演の #成田凌 さんとヒロインのた #黒島結菜 さん
フレッシュさ全開のオフショット😍
「日本映画のはじまりの頃はまだみんなが初々しく、そのような初々しさを2人に感じた」と#周防監督 も大絶賛の2人です👏💫#カツベン pic.twitter.com/gFujFhqjuS— 映画『カツベン!』公式 (@suofilm) November 11, 2019
以上、ここまで映画『カツベン!』について少しネタバレを含めて紹介させていただきました。
- 映画『カツベン!』のサイレント映画を彷彿とさせ、言葉の壁を超えて楽しませる演出
- 『カツベン!』の世界観を支える、時にオーバーアクション気味にも見れる役者の演技のベストマッチ感
- 半年以上の訓練の末に見事な活動弁士になり切った成田凌の熱演。
- 物語のメインストリームから挿入される再現映画にまで豪華すぎる出演者が集結
- そして、なによりも『カツベン!』を通して周防正行監督の映画のへの愛情の深さを知ることができます!
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