今回ご紹介する海外ドラマ『フリーバッグ』は、Amazonプライムのオリジナルドラマ。
1話30分で6話完結のヒューマンドラマとなっています。
普段時間がなくてなかなか海外ドラマに手を出せない方でもチャレンジしやすい長さなので、是非おすすめしたいドラマです!
個人的には、「人生経験もそこそこ積んで、なんか強くなりすぎちゃった、私」なんて思っているオトナ女子に共感ポイント多しの作品だと感じました。
ビタースイートな大人の再生前夜物語に、過去の自分とリンクするシーンが見つかるかも!?
目次
『フリーバッグ』シーズン1のあらすじ
残念ながら、『フリーバッグ』シーズン1の日本語字幕・吹き替え予告動画はありませんでした。英語が分かる方や、雰囲気だけでも楽しみたい方はぜひ予告動画もご覧ください。
皮肉屋で性欲は強め、怒りに駆られ悲嘆に暮れる。
「フリーバッグ」は、現代のロンドンを生きる1人の女性の心理を描き出す、抱腹絶倒かつ辛辣なドラマである。脚本・主演は劇作家でもあるフィービー・ウォーラー=ブリッジ。
差し伸べられる救いの手をことごとく拒絶し、常に虚勢を張りながらも、癒しを求めるタブー知らずの女性フリーバッグを演じる。
【ネタバレ】『フリーバッグ』シーズン1の感想
主人公、フリーバッグとは?
この物語の主人公フリーバッグ。
傾きかけたカフェを経営し、性欲はかなり強めで、万引きの常習犯!
これだけ聞くと「げげっ」と後ずさりしたくなるような女性ですよね。
家族は神経質で気難しい姉と、そんな姉妹に無関心な父親。
家族にもあまり恵まれていない様子のフリーバッグは、いわゆるおひとり様道を極めた、頑丈で、何事にも不感症な女性のように見えます。
物語は、カフェの経営に行き詰ったフリーバッグが銀行に融資を申し込みに行く日から始まります。
銀行に行くと、融資担当の気難しそうな男性から問診を受け、「何やら融資ってめんどくさそうだな」と感じたフリーバッグは、突如、男性の前で下着を見せます。
「条件次第じゃ、いたせます」というサインですね!
しかしそんなサインを出すならチラ見せとか、見せなくとも意味深な発言をする…などなど、ニオわす方法は沢山あるかと思います。
だけどフリーバッグのやり方は、ガバっとニットを首まで上げた“丸見え戦法”。
私は女性なのでその辺は良く分かりませんが、セクシーさの欠片も感じぬこの行為。フリーバッグの面倒くさがりで、だらしない性格そのものです。
しかしそんなあからさまなサインは冷たくあしらわれ、融資も断られてしまいます。
金策に困ったフリーバッグは、父の家に夜な夜な押しかけ、義母の持ち物である高価な銅像を窃盗!
それを転売して難を逃れようとします。
こちらに語りかけてくるフリーバッグ
物語の冒頭から、「ちょっとこれは普通のドラマじゃないかも…」と期待させてくれる演出。
それは主人公、フリーバッグがどうやら私達視聴者側に語りかけている、ということです。
超絶イケメンのセフレ君との情事中も、しかり。
なんども別れたり、くっついたりをくり返す彼氏ハリーとの別れの真っ只中も、しかり。
あらゆる人からあらゆるシチュエーションで自分へぶつけられるほとんどの感情を、一度私たち“コチラ側”に流してから、受け取っているんです。
She just CAN’T stop thinking about it! #Fleabag now streaming with Prime on @AmazonVideo. https://t.co/dDsG8qblSt pic.twitter.com/N1DmpH532z
— Fleabag (@fleabag) September 17, 2016
そんな“コチラ側”に語りかけてくる行為は、彼女が自分の世界から孤立し浮足立っている様を上手く表現しています。
傍若無人に振舞っているように見えて、実は自分のいる世界に全く馴染めておらず、私達に語り掛ける本音の半分も本人に伝える事が出来ない、それがフリーバッグという女性なんです。
しかし、ストーリがー進むにつれて所々に挟まれる、親友ブーとの回想シーンでのフリーバッグは、そんな人物像とは180度違ってまるで別人のようです。
ブーの前だけでは、素直に笑いはしゃいだり、悲しんだり、真剣に語り合ったり…。
そして、そんな過去のシーンのフリーバッグは一切“コチラ側”に語りかけてきません。
実は、ブーとは物語が始まる時には既に死んでしまっている故人。
つまりフリーバッグは、そんな自分の全てをさらけ出せる親友を失っていたんです。
そして現在、何故そんな受け流し女になってしまったかという理由は、物語が進むにつれて次第に明らかになり、最終話で「そういう事だったんだ…」と切なくなってしまう事実が判明します。
『フリーバッグ』シーズン1のお気に入りシーン
私が「このドラマを最後まで観よう」と決めたのは第2話のシーンでした。
何事にも感傷的で乙女チックな彼氏ハリーと何度目かの元サヤに戻った時。
ハリーの提案で1日1つお互いにサプライズをし合う、と約束します。しかし、この約束を初日からすっかり忘れてしまっていたフリーバッグ。
家に帰ってサプライズの用意を忘れていたことに気付き、慌てて考え出したのが、
強盗サプライズ。
シャワーを浴びているハリーに、包丁を持って黒いタイツを頭に被って忍び寄り、
「サプラァイズ!!!」と言って驚かせようとします。
ハリーはその場でのた打ち回り、阿鼻叫喚!
それってある意味、サプライズは大成功なのですが、思ったより数倍驚いてしまったハリーに何度も謝るフリーバッグは高級なワインを万引きしてお詫びにプレゼントしようとします。
大爆笑した私は、このシーンが相当気に入り、3回位リピートしてしまいました。
個人的にイチオシのシーンです!
(※字幕付きのがなかったので残念ですが、そのシーンの一部始終が公開されていました!雰囲気だけでも!)
結局、この日のハリーとの別れは最後の別れとなってしまったのですが、「どうせまたすぐに元通り」、と思っているフリーバッグはナメた態度を取ります。
このドラマは、親友の死や壊れかけた家族、失ってから気付く大切な存在など、重ためのテーマも多々ありますが、コメディドラマとしても優秀で、本気で笑えるシーンが沢山あります。
このシリアスとコミカルの絶妙なバランスに、天才的なセンスを感じますね~。
ブーの死について
姉とセラピーに参加したフリーバッグは、全然真剣にセラピーを受けないのですが、姉とのギクシャクは多少改善されます。
しかし「姉の夫にキスをされそうになった」と暴露すると、姉はしばらく一人で考えたい、とセラピーを一人で先に出てしまいます。
しかし姉の夫に「キスをせがんできたのはフリーバッグの方だ」と嘘をつかれ、そっちを信じてしまう姉。
姉がフリーバッグではなく、サイテー夫を信じた訳は、「ブーの事」。
この辺でだんだん、フリーバッグの深層の闇がなんとなーく見えてきます。
ブーの気になる死については、第一話でフリーバッグが酔っぱらってタクシー運転手に話した通り。
私は第一話を観た時には、お得意の嘘かと思っていました。
他の女と浮気した彼氏を懲らしめるため、自殺未遂を装い病院に面会に来た彼氏を冷たくあしらう事で、浮気を後悔させよう、と目論んだブーは、大けがをするため自転車レースの前に飛び出します。
自動車ではなく自転車に飛び込んだのは、本当に死のうとしてないから。
しかし、この自殺未遂作戦は結果、ブーを含む3人の死者が出るという大惨事を起こします。
そして、彼氏の浮気相手の“他の女”とは、フリーバッグのこと!
親友の彼氏を寝取り、結果自殺させてしまったような人間だから、姉は「信じられない」と言ったワケです。
フリーバッグのトラウマ
フリーバッグとブーとの過去のシーンで、フリーバッグが私たちに語りかけてこないのは、ブーがいる時は必要なかったからじゃないかな~と思います。
ブーが唯一のフリーバッグの理解者であり、自分をさらけ出せる相手で、そんなブーがいたから、“コチラ側”に本音を言う必要がなかったんですね、きっと。
何度か流れる過去の回想シーンで、ブーはフリーバッグに彼氏に浮気されたこと、自殺未遂して懲らしめるつもりであることを涙ながらに話しています。
その時、ブーは浮気相手のことを「他の女」と呼んでいるので、亡くなるまでその相手がフリーバッグだったことは知らなかったのでしょうね。
それが唯一の救いかな、と思います。
しかしそうだったとしても、フリーバックにはその場でブーに告白して心から詫び、自殺未遂作戦を止める、という選択肢ができたはずです。
しかしフリーバッグにはそれができず、その結果、ブーは亡くなってしまうんです。
ここにフリーバッグの大きなトラウマが隠されているんじゃないかな、と私は思います。
姉との関係はズタボロ、ハリーにも新しい恋人ができ、イケメンの遊び相手ともダメになってしまって散々なフリーバッグ。
しかし、最後にはまさに地獄の底から蜘蛛の糸、と言える希望がほんの少しだけ見えます。
第1話で下着姿まで披露したのに融資を断られた銀行マンの男性が、フリーバッグのカフェを訪れ、もう一度面接をしてくれることに!
親友も、恋人も失ってしまったフリーバッグですが、ブーと一緒に始めたカフェだけは何とか守り抜くことができそうですね。
『フリーバッグ』シーズン1のまとめ
人には誰にも触れられたくない、胸を張って語れない過去も今の自分を形造る大切なビタースイートな経験だったりする。
フリーバッグにとってのブーの事件は、冗談でも“スイート”とは言い難い経験ではあるんですが…。
それでも今のフリーバッグの一部となったことには代わりないはず。
過去と言うには早すぎる、「只今もがき苦しみ中」を描いたシーズン1。
過去にもがくフリーバッグを見ながら、気付けば過去の自分に想いを馳せている…そんなドラマとなりました。
それにしてもフリーバッグには“名前”がないんです。皆さん、気づきましたでしょうか?
Fleabag(フリーバッグ)とは、不潔で嫌われる人、とか汚らしいという意味。
題名から、強烈な嫌味だったんですね~。
それでも最後には、ほんの僅かですが、“希望の光”が見えました。
それをしっかりと掴んだ、そんなラストシーンでした。
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