超人的に優しいアーティスト、マット・フューリーが生み出した「のん気なコミックキャラクター“カエルのぺぺ”」が、インターネットの匿名掲示板上で変異を遂げ、悪用され続けた上にヘイト・シンボルに認定されてしまいます。
見かねたマットはイメージ奪還に乗り出しますが、彼の思いとは裏腹に、凶悪事件や2016年のトランプ大統領誕生にまで一役買ってしまい…というあまりに、ドラマチックな事の顛末を追ったドキュメンタリー『フィールズ・グッド・マン』。
いち早くご覧いただいた日本の著名人の方々、「ダークウェブ・アンダーグラウンド社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち」の著者・木澤佐登志氏、「モトカレマニア」や「臨死!!江古田ちゃん」の漫画家、瀧波ユカリ氏、上智大学教授の前嶋和弘氏、映画評論家の町山智浩氏、2019年公開の話題作『主戦場』の監督ミキ・デザキ氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏からのコメントが届きました。
『フィールズ・グッド・マン』著名人からのコメント
木澤佐登志(文筆家)
それは伝染し、増殖し、変異する。
さながらウイルスのように。
だがこのミームが取り憑いて書き換えるのは遺伝子コードではない。
他ならないこの現実である。
ー瀧波ユカリ(漫画家)
「そんなことある!?」って驚いたり「ああそうか、だから…!」って膝を打ったり。
ペペに何が起きたかを知るほどに、世界を覆う憎悪の正体が見えてくる!
あまりにも刺激的で、時を忘れてのめり込んだ。
前嶋和弘(上智大学教授)
トランプ現象の中で憎悪と差別のモンスターに変貌したキャラクター・ペペ。
SNSの中で情報が独り歩きする時代の中、主人公・マットの悪夢に私たちもいつ遭遇するかわからない。
マットにとって、ペペは自分の分身であり、「ペペ奪還運動」は自分を取り戻す心の叫びだ。
「ペペ奪還運動」が軌道に乗ったころに生まれた「うれしい誤算」に心からほっとする。
それは、私たち自身がマットになりうるからだ。
町山智浩(映画評論家)
心優しいカエル、ぺぺ。
それがトランプ支持者や白人至上主義者に乗っ取られ、ヘイトのシンボルにされてしまう。
作者は自分の分身でもあるぺぺを取り戻そうとするが…。
ぺぺは、トランプに踏みにじられたアメリカそのものだ。
ミキ・デザキ(映画『主戦場』監督、YouTuber)
アメリカと国際政治に対するペペの巨大な影響力に瞠目。
ダークで複雑なテーマを軽やかなエンターテイメントに仕上げた間違いなく必見のドキュメンタリー!
安田菜津紀(NPO法人 Dialogue for People 副代表、フォトジャーナリスト)
ともすると人が求めがちな「シンボル」や「アイコン」は、ネット上で独り歩きを始め、やがて、どこまでも加速する。
「分かりやすさ」と「過激な言葉」の濁流の水底に何が堆積しているのか、この映画はあぶり出す。
ジャック・ブラック(『スクール・オブ・ロック』『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』)
このドキュメンタリーを絶対見てくれ!
とても素晴らしいんだ!
ぺぺはマジで面白いコミックから生まれた、この世で最も愛すべきカエルだ。
ダーレン・アロノフスキー(『レスラー』『ブラック・スワン』)
才気溢れるアーティストの素晴らしい肖像画
アニメ製作会社の作品への感想コメント
Polygon
いますぐ必見の痛烈なポリティカル・ドキュメンタリー
Variety
奇妙で恐ろしい冒険!
Indiewire
無邪気さの喪失を描いたゾッとする現代の寓話
Mashable
畏敬の念を禁じ得ない!
『フィールズ・グッド・マン』作品詳細
米アンダーグランド・コミック界で人気のアーティスト、マット・フューリー。
彼が生み出したお気楽なキャラクター・カエルのぺぺが、極悪な“ネットミーム”としてヘイトシンボルに認定?
ダークで過激なインターネット時代に愛と平和を取り戻すため、マットはぺぺのイメージ奪還に乗り出します!
監督のアーサー・ジョーンズは、友人のマットを助けるため本ドキュメンタリーを制作。
アニメーションを駆使しながら、最もホットでダークな問題を浮き彫りにしました。
さらに、Netflix『ボージャック・ホースマン』のリサ・ハナウォルトや漫画家のジョニー・ライアンなど、気鋭クリエイターたちも登場。
フィクション=ミームが、現実世界に影響を与える時代におけるクリエイターの苦しみと喜びも描かれます。
サンダンス映画祭新人賞を受賞、アメリカでNo1の映画批評サイト「ロッテントマト」で96%Freshを獲得し、海外メディアも大絶賛の本作が遂に日本上陸!
SNS、ヘイト、デモ、仮想通貨、大統領選、陰謀論…時代に翻弄され続けるペペの“蛙生”から観た世界の今とは?
『フィールズ・グッド・マン』作品情報
出演:マット・フューリー、ジョン・マイケル・グリア、リサ・ハナウォルト、スーザン・ブラックモア、アレックス・ジョーンズ、ジョニー・ライアン、カエルのぺぺ
監督・脚本:アーサー・ジョーンズ
撮影・脚本:ジョルジオ・アンジェリーニ
編集・脚本:アーロン・ウィッケンデン
原題:Feels Good Man 2020年/アメリカ/94分
配給:東風+ノーム
公式HP:https://feelsgoodmanfilm.jp
公式FBページ:https://www.facebook.com/FeelsGoodManFilmjp/
公式ツイッター:https://twitter.com/FeelsGoodManjp
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/feelsgoodmanfilmjp/
あらすじ
マット・フューリーの漫画「ボーイズ・クラブ」は、チルでハッピーなキャラクターたちが繰り広げる若者のリアルな日常を描き、カルト的な人気を博しました。
しかし、その主人公ぺぺが放ったセリフ「feelsgood man(気持ちいいぜ)」が全ての始まりでした。
いつからか掲示板やSNSには、このセリフと共に“ネットミーム”として改変されたぺぺが溢れだします。
2016年アメリカ大統領選時には、匿名掲示板「4chan」でオルタナ右翼たちが人種差別的なイメージと共に、ぺぺを大拡散。
挙句にADL(名誉毀損防止同盟)から、ヘイトシンボルとして正式認定される始末…。
マットの思いとは裏腹にぺぺの乱用はさらに加速し、なんとトランプ大統領の誕生に一役買うまでになりますが…。
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