『フェアウェル』あらすじ・感想!余命数ヶ月の祖母とその家族を描いた心温まるコメディ【ネタバレなし】

『フェアウェル』あらすじ・感想!余命数ヶ月の祖母とその家族を描いた心温まるコメディ【ネタバレなし】

出典:『フェアウェル』公式ページ

レディ・バード』『ミッドサマー』など公開される映画が話題作ばかりのインディペンデント系映画会社A24が、今回も最高な1作を送り出してくれました。

海外メディア「IndieWire」では2019年のベストフィルムの1本に選ばれるなど各所で話題となった作品の『フェアウェル』が、ついに日本でも公開となります。

インディペンデント・フィルムアワードにおいて、最優秀作品賞にあたるBest Featureを受賞した『フェアウェル』は、余命宣告された祖母とその家族を描いた涙あり笑いありのコメディとなっています。

主演を演じるのは、NY出身で人気急上昇中のアジア系女優オークワフィナ

2020年のゴールデングローブ賞において、コメディ部門の主演女優賞を受賞しアジア人女優初の快挙を成し遂げたことも記憶に新しいです。

それでは、『フェアウェル』をネタバレなしでレビューします。

『フェアウェル』作品情報

『フェアウェル』

(C)2019 BIG BEACH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

作品名 フェアウェル
公開日 2020年4月10日
上映時間 100分
監督 ルル・ワン
脚本 ルル・ワン
出演者 オークワフィナ
ツィ・マー
ダイアナ・リン
チャオ・シュウチェン
ジム・リュー
ギル・ペリッツ・アブラハム
音楽 アレックス・ウェストン

『フェアウェル』あらすじ・感想【ネタバレなし】


アメリカと中国の間で生きる主人公・ビリー

幼いころに両親と共にアメリカへ移住し、母国である中国にはそれ以来訪れていなかった主人公のビリー。

大好きな祖母ナイナイの余命宣告を聞き、いてもたってもいられず久しぶりに訪れた母国・中国で、それまで抱えていた思いが溢れ出すことになります。

『フェアウェル』

(C)2019 BIG BEACH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

この経験は実は監督であるルル・ワンの実体験に基づくものとなっているのだそう。

監督自身も、6歳の頃に両親に連れられアメリカへ移住した移民で、それ以来ずっと生まれた街・長春市には帰っていなかったそうです。

ぼんぬぼんぬ

今回の映画製作にあたり久しぶりに訪ねた街を子供時代とは違った視点で感じ取ることができたと語っています。映画序盤と終盤に、とある動物がビリーの生きる環境を示唆するメタファーとして出てくるので注目です。

誰もが経験したことのある身近な人の死

アメリカと中国の間で悩むビリーという女性を軸に、描かれるもう一つのテーマが家族です。

きっと生きていると誰もが直面する身近な人の死というのは、何度経験しても辛いものです。

中国の文化では、たとえガンで余命数ヶ月となっても本人には伝えないのだそうです。

フェアウェル』でも、ナイナイには真相を告げず、孫の結婚式を理由に親戚一同が集まります。

『フェアウェル』

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ぼんぬぼんぬ

そこで描かれる、ナイナイを中心とした家族愛はとても暖かく、そして同時に切なくもありました。きっとビリーに感情移入して泣いてしまう人もいるかと思います。

テーマの重さを感じさせないコメディ

ぼんぬぼんぬ

余命数ヶ月の祖母に会うために家族が集まるストーリーと聞けば、お涙頂戴の泣ける話かと思いますよね。

しかし、『フェアウェル』は家族の大切さや暖かさを伝えながらも随所に散りばめられたクスっと笑えるシーンのおかげで、暗い雰囲気はほとんどありません。

『フェアウェル』

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主人公のビリーだけでなく、明らかに不自然な従兄弟のカップルや個性たっぷりの親戚のオジさんたちの強烈なパーソナリティが絶妙に融合されてあるため、普通のシーンなのに思わず笑ってしまいます。

『フェアウェル』

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ぼんぬぼんぬ

そして、思わず泣き笑いしてしまう文字通りのラストカット。これをなくして『フェアウェル』は語れないと思います。

映像センスの絶妙さ

ストーリーだけでなく、映像センスが素晴らしいのも『フェアウェル』の魅力の一つ。

セリフだけでなく映像でも笑わせてくれます。

真面目な場面で、絶妙なタイミングでいきなりアップで映される親戚のおじさん。

ただ食事をしているだけなのになぜか面白いのです。

『フェアウェル』

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ぼんぬぼんぬ

さらに、ビリーと母親が真剣に話をしている横での酔っ払った父親のシーンなど、そのシリアスさとコメディ要素のバランスは監督のセンスなしでは成り立たなかったのではないかと思います。

ほぼ全編にわたって中国語で話が進む『フェアウェル』ですが、この映像から伝わる面白さのおかげで内容がスッと頭に入ってくるのです。

オークワフィナの素晴らしい演技

主人公のビリーを演じるのは、NY出身のラッパーで女優のオークワフィナ

ぼんぬぼんぬ

NYでトップレベルのアート系高校であるラ・ガーディア出身ですが、学んだのは演技ではなく音楽だったという異色の経歴の持ち主です。

2012年にYouTubeにアップしたラップがヴァイラルヒットし名が知られるようになりました。

その後、2018年公開の『オーシャンズ8』に出演すると、そのコメディセンスと演技力で一気に人気女優となりました。

そんなオークワフィナのセンスは『フェアウェル』でも存分に発揮されています。

時には大好きな祖母を気にかける孫であったり、時には将来に悩む普通の女性であったり、さらに時には母国であるはずの中国の文化の違いに戸惑う姿であったり。

『フェアウェル』

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オークワフィナは、その時々のビリーの心情に合わせて見事に演じきっています。

ぼんぬぼんぬ

特に終盤のとあるシーンでは、ビリーの心の内を繊細に表現していてゴールデングローブでの受賞も納得です。

『フェアウェル』まとめ

以上、ここまで『フェアウェル』についてレビューしてきました。

要点まとめ
  • 余命数ヶ月の祖母を中心に描く家族愛に涙あり笑いあり
  • シリアスなシーンとコメディ要素が織りなす絶妙なバランスが素晴らしい
  • 主人公のビリーをはじめとした登場人物たちが強烈な個性を放っています

心ゆくまで笑って最後は爽やかに締めくくってくれる傑作です。

フェアウェル』は2020年4月10日公開予定!