『フェアウェル』あらすじ・ネタバレ感想!本当にあった「嘘」の話!監督の実話をもとにした心温まるコメディ

『フェアウェル』

出典:『フェアウェル』公式ページ

監督・脚本を務めたルル・ワン監督の長編デビュー作『フェアウェル』が、満を辞して公開されました。

コメディ女優として注目を集めるオークワフィナが主演を務め、監督の実体験をもとに、余命短いおばあちゃんのために家族がついた「嘘」をコメディタッチに描きます。

ポイント
  • 2020年度のゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で主演女優賞を受賞
  • おばあちゃん子号泣必至!余命短い祖母のために奔走する孫娘の姿に泣ける
  • 中国のしきたりや文化、東洋・西洋の死生観などの違いが興味深い

配給は『ムーンライト』『ミッドサマー』など様々なヒット作品を生み出すA24!

マルコヤマモトマルコヤマモト

この記事では『フェアウェル』について、ネタバレありでご紹介しています。

▼ネタバレなしレビュー記事はこちら▼

『フェアウェル』作品情報

『フェアウェル』

(C)2019 BIG BEACH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

作品名 フェアウェル
公開日 2020年10月2日
上映時間 100分
監督 ルル・ワン
脚本 ルル・ワン
出演者 オークワフィナ
ツィ・マー
ダイアナ・リン
チャオ・シュウチェン
ルー・ホン
音楽 アレックス・ウェストン

【ネタバレ】『フェアウェル』あらすじ


祖母の余命が間近!?家族が久しぶりに集結

「これは、実際の嘘に基づく物語である。」

幼い頃に両親とともに渡米したビリー(オークワフィナ)は一人暮らしをして自立した生活を目指していましたが、面接の結果は不採用、アパートの家賃も滞納しているなど、なかなかうまくいきません。

『フェアウェル』

出典:IMDB

ビリーには中国に暮らすナイナイ(中国語で祖母を意味する言葉)がいます。

ビリーはナイナイ(チャオ・シュウチェン)のことが大好きで、また、ナイナイもビリーのことが大好きで、電話も欠かしません。

そんなある日、両親から中国に住む祖母のナイナイが肺癌を患い、余命3ヶ月ほどであると伝えられます。

父親のハイヤン(ツィ・マー)から病気のことを告知しない旨を伝えられ、ビリーは「余命が少ないからこそ本人に伝えるべきだ」と主張しました。

『フェアウェル』

出典:IMDB

家族はいとこのハオ・ハオ(チェン・ハン)の結婚式をでっちあげ、ナイナイに会うために久しぶりに中国に集結。

感情を隠すのが下手で、すぐに顔に出るから来ないよう言われていたビリーでしたが、そういうわけにはいきません。

家族に内緒で飛行機のチケットをゲットし、中国の長春にあるナイナイの家を訪れて皆を驚かせます。

ハイヤンが渡米し、弟のハイビン(チアン・ヨンポー)が日本へ旅立ってから家族が再開するのは実に25年ぶりのことでした。

余命の告知に対して家族と対立!戸惑うビリー

翌朝、ビリーはナイナイにタイチーを教わります。

ビリーが教わったのは、大きな声をお腹から出して、毒素を出すという運動でした。

『ファウェル』

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ナイナイはビリーの心配をよそに元気で、逆にナイナイの余命を隠している周りの家族たちの方が不安で仕方ないくらいです。

ビリーは力強く独立し、ハオ・ハオはついに結婚するということでナイナイは孫たちを誇りに思っています。

ナイナイはハオ・ハオとアイコ(水原碧衣)のために盛大な結婚式を手配していました。

結婚式を前にしてナイナイが体調を崩してしまい、家族は慌てて病院へ集結しますが、ナイナイは咳をしているものの元気そうでした。

ナイナイの病気のことは、まだ本人に伝えられていないようで一同はほっとします。

ナイナイがレントゲンを撮る間に英語が喋れる医者とナイナイにわからないように英語で会話をするビリー。

『フェアウェル』

出典:IMDB

ナイナイの病状がかなり進行していることと、中国ではやはり告知しないことが通例で「良い嘘」もあるということを聞かされ、考えの違いに驚かされました。

アメリカでは本人の知る権利を犯すため、告知しないことは違法であるとされますが、ハイビンは亡くなるまでの段取りのために告知をする必要はないと反発します。

『フェアウェル』

出典:IMDB

家族が揉めるなか、リトル・ナイナイ(ルー・ホン)が「その時が来たら自分から伝える」とキッパリと言い切りました。

死なないで欲しい…ビリーの葛藤

結婚式を前に、ナイナイと家族は祖父の墓参りをします。

『フェアウェル』

出典:IMDB

その夜、ビリーは再びナイナイの余命を隠し続けるつもりなのかを叔父のハイビンに訪ねます。

ハイビンは、自分の人生を自分のものと考える西洋と東洋は考え方が違うということを主張。

東洋では人の命は家族や社会の一部であり、病気を隠すことは精神的な重荷を代わりに背負うようなものだとビリーに諭します。

ビリーは、ナイナイとともに過ごす数日間で逆にナイナイから生きる力を得ていき、ナイナイのそばにいたいと考えるようになりました。

しかし、そのことを母親(ダイアナ・リン)に伝えると「誰も喜ばない」と却下されてしまいます。

『フェアウェル』

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ビリーは泣きながら幼い頃にナイナイと離れ、ニューヨークに旅立った寂しさや不安を訴えたのでした。

それからビリーが一番怖かったのは、ナイナイまでいなくなってしまうことでした。

『フェアウェル』の結末

ナイナイが手配をした、ハオ・ハオとアイコの結婚式が盛大に行われます。

『フェアウェル』

出典:IMDB

スピーチやカラオケ、ゲームなどが行われ、ハイビンはスピーチでなぜかナイナイへの感謝を伝えると泣きじゃくり、無理やり笑顔を作ります。

家族写真を撮った際に、ナイナイが家政婦に先日撮ったレントゲンの結果を撮りに行かせたということを耳にしたビリーは、急いで病院へ向かいます。

『フェアウェル』

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結果を受け取ったビリーは後からきたリトル・ナイナイととある店に駆け込み、検査結果を「良性」に書き換えさせたのです。

「ほら、何ともなかったでしょ?」と安堵するナイナイに対して、家族は不安げな顔を浮かべて式場を後にしました。

『フェアウェル』

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ビリーがアメリカに帰国する日、離れていて何もしてあげられないからと、ナイナイはビリーにお金の入った封筒を渡します。

ビリーは今の自分の生活がうまくいっていないことをナイナイに打ち明けます。

するとナイナイは「人生は何をするかではなく、どうやってするかその過程が大事。強い心を持つあなたならきっと成功する」元気付けました。

ナイナイとリトル・ナイナイが、ビリーたちが乗るタクシーを見送り、見えなくなるまで手を振っています。

『フェアウェル』

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ビリーは故郷とナイナイへの様々な思いを巡らせ、車窓からの景色を眺めていました。

ニューヨークに戻ったビリーは街中でふと立ち止まり、「ハッ!」とお腹から大きな声を出します。

『フェアウェル』

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そして、エンディング。

診断を受けてから6年後、元気にタイチーを披露するナイナイ本人の映像が映し出されます。

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まさかのナイナイの元気な姿に「あっ!」と声を上げてしまいました。ここで物語は終わります。

【ネタバレ】『フェアウェル』感想

おばあちゃん子は号泣間違いなし!心温まる実話

オークワフィナが主演を務め、2020年度のゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で主演女優賞を務めた『フェアウェル』。

ルル・ワン監督がラジオで語った実話をもとに作られ、サンダンス映画祭での公開から話題を集めていた作品です。

『フェアウェル』

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コメディとしては物語が淡々と進み、笑いどころと明確にわかるところがないので、少々物足りない人もいるかもしれません。

しかしながら実在の家族をモデルにしたと考えると、作り物ではないリアルに近い感じに逆にジワジワ来てしまいます。

笑って満足というよりかは、心があったかくなるコメディと言った方がしっくりくるかもしれません。

ビリーとナイナイのやりとりは、自分の祖母・祖父とのやり取りに重なるものがあるでしょう。

『フェアウェル』

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私も、電車賃と言ってそんなにかからないのに1万円をくれたおじいちゃんのことや、おじいちゃんの家からの帰り道がとても寂しかったことを思い出しました。

おじいちゃん、おばあちゃんがご存命の方はぜひ、この映画を見たら電話なり実家に行くなりしてあげて欲しいです。

ナイナイがその後どうなったか?ということは映画のラストで一目瞭然ですが、実はまだ自分が癌であることを知らされてないそうです。

家族の嘘はまだまだ続いているようですが、中国でも公開が決まった『フェアウェル』。

ルル・ワン監督は、ナイナイがCMを観た際には「映画ってフィクションだから」と答えると言っているようです。

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ナイナイ、めっちゃ長生きしそうですね!

「死」に対する考えの違いや中国の生活が興味深い

ビリーは人生の半分以上をアメリカで過ごし、法的にはアメリカ人の中国系という存在。

自分が育ったアメリカ的な考え方になることは当然で、中国の親戚との考えの違いから対立が生まれてしまいます。

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自分の命や人生は自分のものと考える西洋、命は社会や全体の一部であるという東洋。

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正直そんなことは考えたことありませんでしたが、日本でも病気の告知をするようになったのは最近だそうです。

残りの寿命を知ってそれまでどのように生きるか、と、何も知らないまま全うして死ぬか。

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どちらが良いのかといえば、「その人にとっての幸せ」を優先する方が個人的にはいいのかと思います。家族が決めることではないかなぁ…とも思うのですが、皆さんはどう考えますか?

何にせよ、自分の思う通りにして欲しい場合は家族と話し合わなければならないと思いますが…。

今作ではアメリカと中国という2つのアイデンティティーを持つビリーを通して、そんな違和感を描いています。

フェアウェル』を観て素直に感じたことは、こんなに等身大の中国の家族を描いた映画は初めてだったということ。

『フェアウェル』

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中国映画といえばカンフー映画などのアクションや歴史ものなどを観る機会が多く、今作もほとんどが中国語で物語が進んでいたことに対して驚いたほどです。

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何だか知っているようで知らない中国の「家族」を垣間見ることができて、私にとってはとても新鮮でした。
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画面の隅に現れる上半身裸のおじさんや、結婚式場で出番が終わったらタバコを吸っている演舞者など、ちゃんと中国っぽいところも描かれていて「ふふ」と笑ってしまいました。

他にも、あれは何?と疑問に思う出来事やシーンがたくさん!

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あと、とにかく食事のシーンが多く、見終わった後は中華料理屋に駆け込みたくなります。

SNSでのみんなの感想・評判

わずか4館からスタートして、口コミでその評判が広まった『フェアウェル』。

確かに、おばあちゃん子、おじいちゃん子の涙腺には刺激が強すぎる作品だったのではないでしょうか…!

ビリーにとってのナイナイのように、おじいちゃん、おばあちゃんだけはいつでも自分の味方でいてくれる存在でした。

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私は祖父母共に亡くなってしまったのですが、『フェアウェル』を見て、おじいちゃんの最期に会えなかったことにとても後悔しています。
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後悔先に立たずとはよく言いますが、そうならないように普段からのコミュニケーションも大事にしましょうね。

派手さはないですが、所々に散りばめられている色や音楽、カメラワークにフォントなど、ルル・ワン監督のセンスの良さが如実に現れています。

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恥ずかしながらオークワフィナの出演作品を見たのは今作が初めてでしたが、彼女のブレイクをきっかけにハリウッドにおけるアジア系の俳優が、さらに注目されることを願っています。
『フェアウェル』

出典:IMDB

ハリウッドにおけるアジア系映画への関心は確かに高まってきていると思うので、これからも『フェアウェル』のような良作が登場することでしょう。

『フェアウェル』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

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ゴールデングローブ賞を始め、世界中で様々な評価を得ている『フェアウェル』についてご紹介しました。
要点まとめ
  • コメディとしての緩急は緩やかだが、実話をもとにした物語なのでこのくらいシンプルでちょうど良い
  • 長生きと健康が一番!本当にあった嘘からナイナイが生き続けている奇跡に驚き
  • 離れた家族について考えたくなる作品

この映画を見た後、おばあちゃんや離れたところに住んでいる家族に、すぐ電話したり会いに行きたい気持ちになります。

コメディにしては淡々と進む物語ですが、あっと驚くラストシーンに心が暖かくなり、笑顔で劇場を後にすることができました。

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緩急が少ないのでコメディ路線を期待する人には少々物足りないかもしれませんが、普通の家族の物語にオチを求めても仕方ないかな、とも思います。シンプルなことがこの映画の良い点でもあります。
『フェアウェル』

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主演を務めたオークワフィナの演技は、賞を受賞するにふさわしいほど頼もしく、今後も注目していきたい女優です。

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また、ヒット作を続々生み出すスタジオA24についても、今後が楽しみで仕方ありません!やっぱりA24はすごい!