『江ノ島プリズム』は、福士蒼汰、野村周平、本田翼の3人が描く恋愛ファンタジー映画です。
親友を死なせないために運命に抗い、運命を変えた彼が失った大切なものに号泣必至。
- 福士蒼汰ファンの間では神作品との呼び声も高い一作
- SFワードを分かりやすく解説してくれるためタイムスリップ系が苦手な方もおすすめ
- 少しずつ明らかになっていく2年前の真実と、変化しはじめる過去から目が離せない
それではさっそくレビューしたいと思います。
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目次
『江ノ島プリズム』作品情報
作品名 | 江ノ島プリズム |
公開日 | 2013年8月10日 |
上映時間 | 90分 |
監督 | 吉田康弘 |
脚本 | 吉田康弘 小林弘利 |
出演者 | 福士蒼汰 野村周平 本田翼 矢作穂香 吉田羊 |
音楽 | きだしゅんすけ |
【ネタバレ】『江ノ島プリズム』あらすじ・感想
恋仲トリオで再注目された映画!
『江ノ島プリズム』は、タイトルの通り、江ノ島を舞台に2年前の高校生のときに亡くなった親友を助けるためにタイムスリップする青年のお話です。
本作を手掛けたのは、『岸和田少年愚連隊』『パッチギ!』『ヒーローショー』など、数多くの映画を撮っている井筒和幸監督の元で映画製作を学んだという新鋭・吉田康弘監督。
彼のスピーディーでメリハリのある時間演出が個性的で面白いです。
風や光の使い方が秀逸で、物語に疾走感を感じ、主人公と一緒にタイムスリップしているように錯覚させてくれます。
主人公・城ヶ崎修太を演じるのは福士蒼汰。
修太の親友・木島朔の役に野村周平、そして2人の幼馴染のヒロイン・安藤ミチル役は本田翼。
『江ノ島プリズム』は2013年に公開し、ルーキー若手俳優3人のフレッシュな演技が魅力の映画です。
なんとこの3人は2015年にドラマ『恋仲』で再集結し、「恋仲トリオ」と愛称呼びされるほどになります。
そのため、過去の3人による共演作も再注目され、『恋仲』のパラレルワールドとも言われて話題となった映画なのです。
観た人が口々に「みずみずしい」と揶揄するほど、フレッシッで爽やかな3人の演技は必見です!
『江ノ島プリズム』に込められた2つの意味
プリズムとは、透明体の三角柱が光を屈折・分散させるもの。
周囲の空間とは、屈折率の異なるガラス・水晶などの透明な媒質でできた多面体。
太陽光のように、さまざまな波長が含まれている光線を三角プリズムの中に入れると、中で光が屈折し、屈折の度合いが光の波長によって異なるので、その違いが「色の違い」としてあらわれます。
波長の違い=色の違い、それぞれ違うからキレイな色の帯が見られます。
文章にすると…原理は小難しいですよね。
でも、『江ノ島プリズム』を観た後は、この少し難しい「プリズム」の意味がよくわかったような気がしてくるから不思議です。
学生時代の授業では全然理解できなかったのに…理屈じゃなく心でスッと納得いく感覚。
- 修太と朔とミチルの透明で好きの矢印が見えにくい切ない三角関係
- 青春っぽい眩しさ(光)、3人それぞれの性格(波長)の違い
- まっすぐなようで「好き」というフィルター(三角柱)にかかると、それぞれが違った色を放つ感じ
幼馴染3人の三角関係、見えない気持ち、恋というキラキラ光るモノ、青春、性格、個性…青春時代の一種の定まらない「危うさ」のようなものが題名からも感じられます。
冒頭の印象的なシーン。
子どもの頃、江ノ島で幼馴染の3人が「虹」を見るんです。
実は虹も、光が大気中に浮遊する水滴の中を通過するときに、その光が屈折・反射することでさまざまな色が見られる現象です。
大気中の水滴がプリズムの役割を果たしています。
3人が冒険中に奇跡の集合体ともいえる虹に出会う、素敵なはじまりです。
江ノ島で見た虹と…後に出てくる3人が理科室で起こしたプリズム、この2つが映画に出てくるプリズム現象です。
象徴的な「自然現象で奇跡的に見れたもの」と「奇跡を起こしたから見れたもの」。
過去に戻って運命を変え、主人公・修太はある奇跡を起こします!
ラストに「奇跡を起こしたから見れた未来」が待っているのです。
その未来のために、修太はとてもとても大きな代償を払うことになります。
彼の勇気と切ない結末に涙すること間違いなし。
修太(福士蒼汰)の冒険がはじまる
高校最後のバスケ部の試合の後、体育館で反省会をしていると、修太(福士蒼汰)は先生に呼び止められます。
そこで親友の木島朔(野村周平)が死んだ…という訃報を聞かされます。心臓発作でした。
朔の母は茫然としながら「…倒れてたんだって。駅前で。…全力で走ったりなんかするから。ミチルちゃんを見送りにいったのよ。イギリスに留学するんだって…」と修太に話します。
修太、朔、ミチル(本田翼)は幼馴染で同じ高校、今でも仲良し。
そんなミチルの留学を、修太は全く知りませんでした…。
前日に「朔宛ての手紙を渡して欲しい」とミチルに頼まれて、会って受け取ったのに。
ミチルに頼まれ、朔に渡したその手紙にイギリス留学のことが書いてあったのです。
「俺のせいで朔は死んだ」
修太の心にはずっとこびりついた想いがありました。
朔の三周忌。
朔の死から時間の止まったままの部屋で、修太は朔の母に「よかったら何かもらってやってくれない?形見ってゆうか…思い出に…」と切り出されます。
「忘れて欲しくないの。朔と友達だったこと。忘れられちゃうことが、いちばん悲しいことだから。」
結末まで観ると、朔のお母さんのこのセリフがとても意味深く、ズーンと重みを増します。
朔の部屋から修太が選んだのは「君もタイムトラベラー」と書かれた本、付録についているのは「タイムウォッチ」。
ちょっと子どもじみた青い腕時計。
この時計を見つけたことで、修太の時間軸を越える旅が始まっていきます。
奇想天外、修太(福士蒼汰)のタイムスリップ方法
2年前に亡くなった朔の部屋で偶然見つけた「タイムウォッチ」。
これが時空を飛び越えるための必須アイテムなんです!
「君もタイムトラベラー」には、他に「タイムマシンの作り方」が載ってたりします。
人類の夢ですよね、時間旅行。
大人でもわくわく楽しめるファンタジー要素がちゃんと入っていますよ。
では、タイムスリップ方法から説明していきます。
- 付録のタイムウオッチを身につける
- 行きたい時代を思い描く
- タイムウォッチを左腕に付けたら、右手で左手首をつかみます。(まるでライダーの変身ポーズのような感じ、見本が絵解されポージングが指示されています)
- 江ノ電載って①~③をし、トンネルをくぐると…
それは朔が亡くなる前日。
修太は喪服のまま、時を超えていました。
そこから幾度となく繰り返される修太のタイムトリップ…彼には「親友を死なせないため、絶対運命変えてやる!」という目的がありました。
頭にバスケットボールが当たるなどの、衝撃を受けると2012年に戻ってしまいます。
2010年での長期滞在に失敗し、修太は何度も2012年12月20日に戻り、朔の命日の朝を迎えます。
実はタイムトラベルには大きな弊害が生じます。
それでも修太は「かまわない」と運命を変える決断をするのです!
その重すぎる代償を知ったとき、「私には無理だ」と思いました…。
スクールラブ要素にキュンキュン
『江ノ島プリズム』が「みずみずしい」と表現されるのには、後半に発覚する恋が関係しています。
修太と朔とミチルは、理科室でプリズムを見つけて窓辺にいっぱい吊るします。
無機質な室内に、太陽の光で「虹色のアート」が出現。
反射の角度でそれぞれ違う…吹く風に揺らめきながらひとつとして同じ輝きではないプリズム現象。
ずっと見ていたいけれど無限ではない儚さが、青春の瞬きとリンクしているように思います。
「この一瞬は…永遠です」
プリズムの光が当たったミチルの横顔。
彼女は愛おしむようにひと言。
明日、日本を発つミチルが最後に好きな人と過ごしたい…その一心で2010年12月19日(日)、学校に修太と朔を呼び出したのです。
さて、ミチルは誰が好きなのでしょうか。
全ては修太に託した朔への手紙の中に答えが書いてあります。
ミチルが好きな人を知ってからもう一度観ると、要所に隠された「乙女心」を発見できますよ。
二度観ることをおすすめしたい映画です。
二度目に観たときのキュン度、大幅増量します。
松尾先生(吉田羊)が顧問のオカルト研究会!
松尾先生(吉田羊)は、謎の部活「オカルト研究会」の顧問です。
過去って変えられると思いますか?と聞きに来る2012年の修太に「SF講座」を開いてくれます。
松尾先生の話、面白くて聞き入ってしまいました。
「タイムパラドックス」という矛盾がある限り、タイムトラベルは不可能だと説を唱えます。
しかし、もう1説「パラレルワールド」という概念を修太に教えます。
過去に戻って歴史の改変をしたとき、時間軸の分岐が起こり「元の世界と並行した新しい世界」が生まれるというもの。
修太はすっかりこの説を信じ、「朔が死なない新しい現在」を作ろうとするのです。
松尾先生が修太に会う度に、毎回「オカルト研究会」に誘い修太がくい気味に断るくだりがコミカルで好きです。
そして気になる「オカルト研究会」!
ロウソクに火を灯し、アフリカの少数民族衣装を思わせるコスチュームを着ながら、太鼓やマラカスなどをかき鳴らし、「トゥルルルル~」っぽい雄叫びをあげ、数人でサークルを作って回る「儀式」的なものをする会。
陰ではなく、陽で明るめに感じるオカルト系です。
彼らは「地縛霊の今日子ちゃん」を呼び出そうとしていました。
都市伝説・今日子ちゃんの存在を解明するおがオカ研創立以来の悲願です。
実は彼らが呼び出す今日子ちゃんが、修太のタイムトラベルに深く関わってきます。
唯一の協力者であり同じ境遇、修太にとって「救いの存在」となるのです。
彼女が登場することで、物語がもっと込み入って楽しくなってきますよ。
今日子ちゃん役は、未来穂香。
彼女の感情を抑えた演技が、むしろグッと心揺さぶります。
修太による動の演技と今日子による静の演技がバランスいい。ふたりのかけあいは必見です!
福士蒼汰ファンにとって「神作品」と言われる所以
『仮面ライダーフォーゼ』時代から福士蒼汰さんの大ファンの従妹がいます。
『江ノ島プリズム』を一緒に観たとき「鼻血が止まらない」と言って興奮して見ていました。
- 制服姿の福士蒼汰
- 喪服の福士蒼汰
- バスケしている福士蒼汰
- 自転車立ちこぎしている福士蒼汰
- 『仮面ライダーフォーゼ』の変身シーンを彷彿させる江ノ電タイムスリップシーン
福士蒼汰ファンにはたまらない描写が多数あるのです。
そして、なんといっても一番は、上半身裸の寝起きシーンだそう。
確かにかっこいい体型で、ファンじゃなくとも一見の価値は大ありです。
ちなみに、私のイチオシはバスケをしている場面。
小学校のときからバスケットボールをしていた福士蒼汰さんらしい見事なプレイ!
福士蒼汰ファンがヘビロテする神映画、非の打ちどころのない自然な演技を魅せる福士蒼汰さんに注目です。
意外性のある結末!親友を救うために修太(福士蒼汰)が犠牲にしたモノとは…
『江ノ島プリズム』を観ると「忘れられたくない」と「忘れたくない」という感情がぶわーっとこみ上げてきます。
忘れたくない人を想う時間を与えてくれる映画です。
まさにこの映画は、人の時を想うことを教えてくれます。
「歴史には守るべき秩序がある」という今日子。
修太は奇跡を起こしたことで「新しい現実」を生みだし、歴史の秩序を完全に乱してしまいました…。
そう、修太が失ったのは「記憶」なのです。
失っただけではありません。
罪が重すぎるのではないかと考えたくらいの代償を払います。
とても切ないけれど、あるのは絶望だけじゃない。
結末を観て感じたことを大切にしたくなる作品でした。
『江ノ島プリズム』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
「おれ達はいつも3人一緒だったんだ。あの日、朔が死んじまうまでは・・・」
映画『江ノ島プリズム』12/4 DVDリリース!http://t.co/lZAJbaBhTn pic.twitter.com/xSqMg3pgsf— 映画 江ノ島プリズム (@enoshimaprism) November 18, 2013
以上、ここまで映画『江ノ島プリズム』について紹介させていただきました。
- 透明な三角関係、見えにくい意外な恋の矢印にキュンとする。鍵を握るのは「ミチルの朔宛ての手紙」
- プリズムの光の中で「この一瞬は…永遠です」と言う、本田翼が可愛すぎる!
- 修太が払った代償は「記憶」。何とも言えない切ない結末に泣いてしまう
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