第73回ヴェネチア国際映画祭、第89回アカデミー賞、第74回ゴールデン・グローブ賞などで賞レースを競った『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のパブロ・ラライン監督が贈る衝撃の最新作『エマ、愛の罠』(シンカ配給)が、10月2日(金)より全国公開。
このたび、パブロ・ラライン監督が会って10分でオファーを決めるほどの魅力を持ち『エマ、愛の罠』で初主演を飾ったマリアーナ・ディ・ジローラモのプロフィールとインタビューをご紹介します。
目次
『エマ、愛の罠』主演、脅威の新星・マリアーナ・ディ・ジローラモとは
1990年10月22日生まれ、29歳、チリ・サンティアゴ出身。
両親はビジュアル·アーティストのパブロ・ディ・ジローラモ・ケスネイとルシア・アルテアガ・ビアル。
女優クラウディア・ディ・ジローラモ・ケスネイの姪で、イタリア人の監督、脚本家であるクラウディオ・ディ・ジローラモ・カルリーニの孫娘でもあります。
チリ・カトリック大学の名門演劇学部で演技を学び、2014年にTVシリーズ『PITUCA SIN LUCA$』で女優デビュー。
その後も数多くのTVシリーズのほか、映画『AQUÍ NO HAPASADO NADA』(16)、『HOTEL ZENTAI』(18)、『NO QUIERO SER TU HERMANO』(19)などに出演。
パブロ・ラライン監督が会って10分でオファーを決めるほどの魅力を持ち『エマ、愛の罠』で初主演を飾った今、大注目の若手実力派女優。
彼女の魅力は、変幻自在。
メイク、髪型、ファッションによって、まるでカメレオンのように様々なイメージを表現している。まるでダイヤモンドの原石のような秘めた彼女の可能性に目を付けたパブロ・ラライン監督。
チリ本国では、TVドラマへの主演が多いのだが、本作の主人公・エマのミステリアスな妖しい魅力を体現するにふさわしいのは彼女しかいないでしょう。
抑圧された南米の今に生きる女性を、大胆にして繊細に、エマの心の機微を若き女優は見事に体現しています。
チリの新聞La Cuartaが開催する、その国のエンターテインメントとショービジネスの世界の人物を表彰する賞、コピウエ・デ・オロ。
2017年TV部門で女優賞を受賞2018年同部門にノミネートされており、本作以降もTVドラマ、映画にと出演作が続きます。
マリアーナ・ディ・ジローラモよりメッセージ動画到着!彼女の真の魅力に迫る
このたび、日本の観客に向けたメッセージも到着。
主演作『La Verónica』(20)と出演した『Harem』(未定)。
現在TVシリーズ『El acantilado』がプリプロダクション中。
女優として絶好調で魅力あふれるマリアーナのプライベートとは…?
スレンダーな体躯、透明な肌、彫刻のような目鼻立ち…誰をも魅了するマリアーナの美の秘訣は??
本人から語っていただきました。
数年前から始めている食習慣。食事方法を変えて、約7キロの減量に成功!
素材そのものが好きで、調理した料理が合わなったの。
それから軽めの食事(サラダ)をたくさん食べて、果物をたくさん食べて、水をたくさん飲むようになった。
一番の効果はアルコールをストップしたこと。
なんでも食べるけど、常にバランスを保つように気を付けているわ。
美のためのルーティンは水分補給が基本。
言葉通り水をたくさん飲みますが、肌の水分補給も大切にしています。
私はいつもオーガニック製品と、新鮮なものを使っています。
私の肌はとても敏感で、自分に合ったものが見付かるまで色々な製品を試したの。
オレンジの花を入れた水を使って肌を潤すようにしている。
自然派の化粧品を使うようにしているわ。
オートミールスクラブという肌に負担の少ないものを愛用してます。
髪の毛にはアボカドなど様々なオイルを配合したものを愛用しているわね。
どんなファッションが好き?
特定の種類のファッションが好きなわけではないわ。
ファッション全般が好きで、常に新しいものを探すことにとても興味がわくの。
ヴィンテージのトレンドには大抵満足しています。
また、日本ではアウトレット高級店を覗いて服に詳しくなったの!
ヨウジ・ヤマモトやイッセイ・ミヤケはもちろん、ジョータ・ヘレスやマルティン・ルテッケ、ルペ・ガハルドのような現代のチリのデザイナーの作品も大好きです。
もちろん、グッチ、ディオン・リー、バレンシアガ、イリス・ヴァン・ヘルペンなどの国際的なファッションブランドも楽しんでいます。
基本的に持ち物はあまり増やしたくないのですが、旅先で見つけたファッションの掘り出し物は大事にしています。
旅行大好き!日本に2度来日していた!
マリアーナのプライベートについて特筆すべきは、日本を二度も旅していること。
直近では、コロナ感染拡大前の1月に、長年日本に滞在するチリ出身のご友人を訪ね、彼女のガイドで典型的な観光スポット以外の場所を知ることができたといいます。
「尊敬」と「沈黙」の日本文化が大好きとのこと。
日本の文化が大好きで、二度行っても心が新たになった気がするほど、日本を満喫した模様。
また、日本のファッションのセンスの良さにもビックリ!
焼き鳥、ラーメン、寿司…日本食も大好きとのこと。
ジブリと北野武監督LOVEのマリアーナ
日本のファッション、フード、とりわけ文化を尊敬するマリアーナは、黒澤明や宮崎駿、北野武の映画が大好きで、お気に入りの作品として、スタジオジブリの『天空の城ラピュタ』、『紅の豚』、『となりのトトロ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』、北野作品なら特に『その男、凶暴につき』と『BROTHER』を挙げてくれました。
いつか北野監督作品に出るマリアーナを観てみたいですね!
マリアーナ・ディ・ジローラモ インタビュー
−−本作の出演の経緯を教えてください。
マリアーナ「撮影中のある日、(監督の)パブロが連絡をくれて、彼が考えていたこの『エマ、愛の罠』のプロジェクトについて話してくれました。パブロの作品はすべて観てきましたし、尊敬しています。彼は素晴らしい監督です。この映画は他のプロジェクトによって状況が変わると言っていたので、『確かなことは分からないが、この映画には君が必要だ』と言ってくれたので、私は『はい!』と即座に応えました。パブロが彼女は自由な女性だと言っていたことと、髪を切らなければならないと言っていたことを除けば、私は役についてあまり知らなかったのです。役の話をした時には、パブロは他のプロジェクトにもいくつか関わっていたので、この映画が実現することは保証されていました。それから1ヶ月半後に彼から電話があり、『そうだ、映画の企画は進行中だから君が主人公になるんだ』と言われました。まずはダンスの練習から始め、約束を守って髪を切りました。パブロと一緒に仕事ができるなんて夢のようでした。まるでおとぎ話のように。だから私はすぐにトレーニングとダンスから始めました。エマがダンサーですからね!」
−−監督とは顔見知りだったのでしょうか?
マリアーナ「彼がヴェネツィアでの映画祭で、私が演技をしているところを見たことがないと言ってました(笑)彼はチリの全国紙に掲載されている私の写真を見て、「彼女は誰だ?」と思ったらしく、直接お会いして、一緒にランチをしたんです。」
−−エマのスタイルはあなたの中ですでに決まっていた?それとも監督と話した上で決めていったのですか?
マリアーナ「この件に関してパブロがどのような判断を下したのかはわからないけど、彼はエマのルックスがどのようなものになるのか、髪型やその色についてのアイデアを持っていたし、各国の映画祭で人々がこのヘアスタイルは何なのかとパブロに尋ねたとき、彼は「ポップカルチャー」と答えていたわ。」
−−最初は台本がなかったと聞きましたが?
マリアーナ「そうなんです。台本がなかったんですよ。髪を染めたり、服を着たり、着こなしたり、ダンスをしたりして、セットの中で彼女のアイデンティティや他のキャラクターとの関わり方を探っていきました。つまり、私を含む多くのキャストたちと演じている瞬間に起こる化学反応によって、パブロは次の手を考えていたんだと思います。」
−−でも台本がないのは難しかったのでは?
マリアーナ「最初はね。私は以前ソープオペラにも出演していましたが、ソープオペラでは、自分がどこから来て、どこに向かっているのかを知ることがとても重要でした。でも、もうそんなことはどうでもよくなった。パブロが「エマがどこから来たのか、父親が誰なのかなんてどうでもいい」といった言葉で、最初はとても怖く感じましたが、最後にはとても解放されました。パブロは素晴らしい監督です。」
−−そうやって信頼関係を築いていかれたのですね。
マリアーナ「誓いのような感じだったのかも知れません。監督は私にこんなにもすばらしいチャンスを与えてくれたし、一緒に仕事をするのは初めてだったから、私がどうやってパフォーマンスをするのか知らなかったけれど、彼が私の中に何かを見出したことには気づいていました。彼は非常に優れた直感を持っていると思いますし、非常に明確で、別のエマではなく、私が演じるエマしかイメージしていないと言っていました。だから、私たちはたくさん“対話”をしたんです。ダンス、音楽、チリという国のことなどについて話しました。私は彼に何かを証明しなければならないと感じたことはありませんでした。彼は私が今まで知らなかったことを教えてくれました。彼は自分が初心者と仕事をしていることを知っていて、私が映画の経験がないことを知っていたので、すべてが有機的でした。」
−−監督との仕事はどうでしたか?
マリアーナ「パブロは私にたくさんのことを教えてくれました。映画の世界に入ったのはこれが初めてだったので、ステディカムやドリーショットの撮影など、技術的なことは何もわかりませんでした。また、台本がなく、個別のシーンを撮影する時は、今この瞬間に集中しなければなりませんでした。そのような世界で仕事をするのは初めての経験だったんです。おそらく、すべての監督が彼のように仕事を進めるわけではないと思いますが。私が提供できるものに対してパブロはいつもオープンでした。」
−−ガエルとも初めてのお仕事だったんですね。とても刺激になったと思います。
マリアーナ「そうなんです!とても緊張しました。彼は『アモーレス・ペロス』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)や『天国の口、終りの楽園。』(アルフォンソ・キュアロン監督)などの作品に出演している俳優です。私は彼をとても尊敬しています。映画に入る前に食事をしないかと誘われました。とても緊張していたのですが、その場を和ませてくれて、何でも話し合えることはとても良いアイデアでした。彼は俳優としてのみならず、人としてもとても寛大です。彼から多くのこと、仕事への取り組み方や情熱などを学びました。彼が映画の仕事に関わり始めたのは弱冠18歳の時だったと思います。」
−−マリアーナ自身とエマの共通点は?
マリアーナ「ダンスへの情熱だけでしょうか(笑)情熱という言葉が正しいかどうかはわかりませんが、私も本当にダンスが好きなんです。エマはフィクションの人物ですが、特にバルパライソの街中の至るところでエマの一部を見つけることができます。この作品に関わったことで、これまで以上に、この映画は今を生きる私たちの世代やチリの新しい秩序について語っていると思います。私たちは大きな危機の真っ只中にいるのかも知れませんね。」
−−レゲトンも踊りますか?
マリアーナ「踊るのは好きですよ。掃除をしながら踊ったりはしますが、レゲエトンのクラブには行きません。映画の中のガエルのキャラクターであるガストンのアンチ・レゲエトンのスピーチは、たぶん久しぶりに聞来ました。トロント映画祭では、上映の途中から観客が拍手を始めたんですよ。その人たちはガストンがある世代のビジョンを代弁していると思っているのでしょうけど、私たちの世代はもっとこの音楽ジャンルと深く関係している。チリではレゲエトンが多くの成功を収めていますが、それはラテンアメリカ圏どこでも同じだと思います。」
−−この映画はチリの現状を語っていると思いますか?
マリアーナ「これはフィクションですが、私たちの時代や今起きていることを正確に描写していると思います。この国には「ニニ」という概念がありますが、これは他のスペイン語圏の国にもあると思うのですが、働かず、勉強もせず、そのつもりもない若者のことを指します(スペイン語では「niestudianitrabaja」の略)。街頭でデモをしている人たちは「ニニ」だと言っている人が多いです。エマは「ニニ」ではありませんが、社会のシステムに嫌気がさしている若者たちには、何となく共感します。映画の中でエマは、新しい雑草を育てるためには古い雑草を燃やさなければならないと言っています。全部燃やしたいようには見えないけれど、チリのサン・クリストバルやサンタ・ルチアのような場所は実際に燃やしたんですよね、完全にではないけど…。エマが「国民的英雄」であるアルトゥーロ・プラットの彫刻を燃やしたことがわかりやすいと思います。象徴的ですから。」
−−ハリウッド進出に魅力を感じますか?それとも、それがインディペンデント映画であろうと商業的なものであろうと、一緒に仕事をする人たちの方が魅力的なのでしょうか?
マリアーナ「両方かもしれません。アメリカのUTAと契約したばかりなんですが、彼らの拠点はロサンゼルスとニューヨークです。今はミーティングやオーディションを受けているので、あらゆる可能性を受け入れています。チリはアメリカやヨーロッパから離れているので、今の私にはベストではないかもしれませんが、チリやラテンアメリカで仕事を続けたいし、他のラテンアメリカの映画監督たちと仕事をする機会を持ちたいと思っています。メキシコでもいいかもしれません。どこか他の場所に移るかどうかに関わらず、私は自分の国、家族、友人(もちろんそれが私のサークルですが)から決して離れることなく、チリの問題に注視し続けていきたいと思います。」
−−好きな日本映画や日本の監督はいますか?
マリアーナ「もちろん、黒澤明や宮崎駿など好きな監督は何人かいますよ。『天空の城ラピュタ』、『紅の豚』、『となりのトトロ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』が好きです。北野武さんの作品も非常に好きで、特に『その男、凶暴につき』と『BROTHER』が好きです。」
−−今年の2月に日本での写真をアップしていましたが、来日したのでしょうか?来日されたのであれば、滞在中の一番の楽しみは何でしたか?
マリアーナ「コロナ危機が始まる直前の1月に日本に旅行するという素晴らしい機会がありました。日本に行くのは2回目でした。1回目は数年前。今回はボーイフレンドのバンドと一緒に彼らのツアーに参加したんです。東京や京都以外にも山口などの場所を知る機会がありました。彼らが演奏した会場から提供された伝統的な家に4日間滞在しました。そこでは、日本の魅力的な文化をより身近に感じることができました。私は「尊敬」と「沈黙」の日本文化が大好きです。私は日本の文化が大好きで、二度行っても心が新たになった気がします。また、日本のファッションのセンスの良さにも驚かされます。食べ物は本当に印象的です。焼き鳥、ラーメン、寿司を食べるのが大好きです。私には長年日本に住んでいるチリ人の友人がいるので、彼女が典型的な観光スポット以外の場所を教えてくれました。例えば、古着を買ったり、九谷焼を手に入れたり。できれば毎年日本へ行きたいです。」
『エマ、愛の罠』概要
ある事件をきっかけに、心のよりどころを失った美しきダンサーのエマ。
振付師の夫との結婚生活が破綻した彼女は、その妖しい魅力で実直な消防士と彼の妻を虜にします。
エマの不可解なまでに奔放な行動の裏には、ある衝撃的な秘密が隠されていました…。
監督は、ハリウッド映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』で絶賛を博し、米アカデミー賞に輝く『ナチュラルウーマン』の製作を務めた、チリ出身のパブロ・ラライン。
監督としてダイアナ元妃を描く『Spencer』の制作を発表、また外出制限下に撮影された短編集『HOMEMAID/ホームメード』(Netflix)の製作・監督に名を連ねています。
『HOMEMAID/ホームメード』は国際的に活躍するフィルムメイカーらに声を掛けたララインが発起人の1人であり、彼のプロダクションのファブラが共同制作も務めました。
そんな世界の映画界を牽引する彼が、これまでの既成概念&固定観念をぶち壊し、美しく、激しく、妖しくも自分の意思をしっかりと持つ、新時代のヒロイン・エマを生み出しました。
主人公・エマを演じるのは、会って10分後に監督から主演をオファーさせた脅威の新星・マリアーナ・ディ・ジローラモ。
そして、エマの夫・ガストンを演じるのは、『天国の口、終りの楽園。』(01)でヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞を受賞し、世界的に脚光を浴び、その後も、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04)や、『バッド・エデュケーション』(04)、『バベル』(06)などの話題作に出演し続けるガエル・ガルシア・ベルナル。
魂の解放を象徴するエモーショナルなレゲトンダンス、挑発的な映像美、大胆にして綿密な美しきエマが、あらゆる観客を欺いて仕掛ける“愛の罠”。
2019年のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門やトロント国際映画祭2019に正式出品され、「とても奇妙でとても美しく、この時代に最も大切なことを語っている」「常に観客の一歩先を行くスリリングさ!」などと絶賛された不道徳で刺激的な『エマ、愛の罠』の衝撃を劇場で体感ください。
『エマ、愛の罠』作品情報
監督:パブロ・ラライン
出演:マリアーナ・ディ・ジローラモ、ガエル・ガルシア・ベルナル、パオラ・ジャンニーニ、サンティアゴ・カブレラ、クリスティアン・スアレス
原題:EMA/R-15+
後援:チリ大使館/インスティトゥト・セルバンテス東京
提供:シンカ/ハピネット
配給:シンカ
公式サイト:http://synca.jp/ema
2019年/チリ/スペイン語/107分/カラー/シネスコ/5.1ch/
あらすじ
「私の目的を知ったら誰もが震えあがる」
若く美しいダンサーのエマはある悲しい事件によって打ちのめされ、振付師の夫ガストンとの結婚生活が破綻してしまう。
家庭も仕事も失い、絶望のどん底に突き落とされたエマは、ある思惑を秘めて中年の女性弁護士ラケルと親密な関係になっていく。
さらにラケルの夫で消防士のアニバルを誘惑したエマは、彼女への未練を引きずる別居中のガストンまでも挑発し始める。
3人の男女をことごとく手玉に取り、妖しい魅力で虜にしていくエマの真意は何なのか。
その不可解なまでに奔放な行動の裏には、ある驚くべき秘密が隠されていた…。
Gallery
『エマ、愛の罠』は、10月2日(金)より全国公開!
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