第73回ヴェネチア国際映画祭、第89回アカデミー賞、第74回ゴールデン・グローブ賞などで賞レースを競った『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のパブロ・ラライン監督が贈る衝撃の最新作『エマ、愛の罠』(シンカ配給)が、10月2日(金)より全国公開。
今回は好評はもちろん、拒否反応をもウェルカムなパブロ・ラライン監督が生み出した、主人公・エマに見る新時代の女性の愛のカタチを取り上げます。
『エマ、愛の罠』主人公・エマに見る新時代の女性の愛のカタチ
今までの女性たちのロールモデルである映画のヒロインは、いわゆる“白馬に乗った王子様”を待つというスタンスが比較的多かったが、近年では優しさや共感力のあるリーダー、自分の意思を持った女性に変化してきていました。
本作のヒロイン・エマは、これまでの価値観を覆す新時代のヒロイン。
神秘的なまでに美しくミステリアスな容貌、固定観念にとらわれない大胆不敵にして綿密な行動力、そしてその外見からはうかがえ知れない強靱な意志と激しい情熱。
まるで獲物を狙う動物かのごとく、自分の目的のためにあらゆる手段を用いて、遂行していきます。
そんな彼女を演じたマリアーナ・ディ・ジローラモについて、パブロ・ラライン監督は、「エマは火のような存在で危険なんだ。まるで太陽のように彼女は人を惹きつけ、優しく照らしてくれるけど、近づき過ぎると燃えるように熱くヤケドをしてしまう。近づきたいと思うのと同時に遠く離れたいとも感じる女性なんです。」と語ります。
さらに、「エマはパラダイム。彼女はさまざまなキャラクターを体現しているんだ。娘、母、姉、妻、恋人、そしてリーダーであり、とてもパワフルでハッとするような美しい女性らしさを備えている。徹底した個人主義で、自分が何を望んでいるかを明確に知り、周りの人々を巻き込んで自分の運命を変えることができます。母親になりたい、家族を持ちたいと思っていて、おそらくエマを最も強く突き動かしているものは愛でしょう。」と、監督はエマという新たな女性像を述べました。
ラライン監督が結末について明かしたのは、実は三つのエンディングが用意されていたこと。
「チリは保守的だし、多くはカトリック教徒。けれど家族っていうのはいろいろな形があってもいいわけで、実際にはある。だけど中々表に出てこないだけで、ということもあって、アジアでも、ヨーロッパでも、いろんなところでいろんな家族の形が存在しているのに、それが表に出てこない。みんな理想とする家族を追おうとして苦しむんです。でも家族というものは、これでいいんじゃないかと思って、この結末を選びました。家族の可能性をどのエンディングが最も打ち出せるのか、一番愛があるのか、という点で、劇中の結末を採用したんだ。」というラライン監督の言葉から、彼女の大胆不敵な行動の目的が明かされるエンディングに、さまざまな捉え方が出てくるだろうと予測されます。
ラライン監督がこの作品にとってベストな結末を3通りの中から選んで完成した『エマ、愛の罠』。
果たして、本作を観る者が“監督の三択”にいかなる解答を出すのか、楽しみです。
ジェンダーレスなルックス、この世の常識やモラルのボーダーさえも軽々と踏み越えていく行動までもが型破りな新時代のニューヒロイン・エマがあらゆる観客を欺いて仕掛ける“愛の罠”にご期待ください。
『エマ、愛の罠』概要
ある事件をきっかけに、心のよりどころを失った美しきダンサーのエマ。
振付師の夫との結婚生活が破綻した彼女は、その妖しい魅力で実直な消防士と彼の妻を虜にします。
エマの不可解なまでに奔放な行動の裏には、ある衝撃的な秘密が隠されていました…。
監督は、ハリウッド映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』で絶賛を博し、米アカデミー賞に輝く『ナチュラルウーマン』の製作を務めた、チリ出身のパブロ・ラライン。
監督としてダイアナ元妃を描く『Spencer』の制作を発表、また外出制限下に撮影された短編集『HOMEMAID/ホームメード』(Netflix)の製作・監督に名を連ねています。
『HOMEMAID/ホームメード』は国際的に活躍するフィルムメイカーらに声を掛けたララインが発起人の1人であり、彼のプロダクションのファブラが共同制作も務めました。
そんな世界の映画界を牽引する彼が、これまでの既成概念&固定観念をぶち壊し、美しく、激しく、妖しくも自分の意思をしっかりと持つ、新時代のヒロイン・エマを生み出しました。
主人公・エマを演じるのは、会って10分後に監督から主演をオファーさせた脅威の新星・マリアーナ・ディ・ジローラモ。
そして、エマの夫・ガストンを演じるのは、『天国の口、終りの楽園。』(01)でヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞を受賞し、世界的に脚光を浴び、その後も、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04)や、『バッド・エデュケーション』(04)、『バベル』(06)などの話題作に出演し続けるガエル・ガルシア・ベルナル。
魂の解放を象徴するエモーショナルなレゲトンダンス、挑発的な映像美、大胆にして綿密な美しきエマが、あらゆる観客を欺いて仕掛ける“愛の罠”。
2019年のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門やトロント国際映画祭2019に正式出品され、「とても奇妙でとても美しく、この時代に最も大切なことを語っている」「常に観客の一歩先を行くスリリングさ!」などと絶賛された不道徳で刺激的な『エマ、愛の罠』の衝撃を劇場で体感ください。
『エマ、愛の罠』作品情報
監督:パブロ・ラライン
出演:マリアーナ・ディ・ジローラモ、ガエル・ガルシア・ベルナル、パオラ・ジャンニーニ、サンティアゴ・カブレラ、クリスティアン・スアレス
原題:EMA/R-15+
後援:チリ大使館/インスティトゥト・セルバンテス東京
提供:シンカ/ハピネット
配給:シンカ
公式サイト:http://synca.jp/ema
2019年/チリ/スペイン語/107分/カラー/シネスコ/5.1ch/
あらすじ
「私の目的を知ったら誰もが震えあがる」
若く美しいダンサーのエマはある悲しい事件によって打ちのめされ、振付師の夫ガストンとの結婚生活が破綻してしまう。
家庭も仕事も失い、絶望のどん底に突き落とされたエマは、ある思惑を秘めて中年の女性弁護士ラケルと親密な関係になっていく。
さらにラケルの夫で消防士のアニバルを誘惑したエマは、彼女への未練を引きずる別居中のガストンまでも挑発し始める。
3人の男女をことごとく手玉に取り、妖しい魅力で虜にしていくエマの真意は何なのか。
その不可解なまでに奔放な行動の裏には、ある驚くべき秘密が隠されていた…。
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『エマ、愛の罠』は、10月2日(金)より全国公開!
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