2020年、コロナウイルスなどの影響で暗いニュースばかりで滅入ってきた時はあえてダークな非日常を味わえる映画に浸ってみるのがいいかもしれません。
今回は、そんな疲れる現実を忘れさせてくれるダークで幻想的なおすすめ映画と2020年7月公開予定の作品をご紹介します。
目次
ダークなファンタジー&SF映画おすすめ7選
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』
スカヨハの愛称でお馴染みの女優スカーレット・ヨハンソンが次々と男を誘惑し、捕食していくエイリアン役を演じるSFスリラー。
ミッシェル・フェイバーの同名小説を映画化し、監督はジャミロクワイの「Virtual Insanity」やレディオヘッドなどのミュージックビデオを手掛けた映像作家のジョナサン・グレイザーです。
小松崎 ともえ
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』最大の見どころは、スカヨハが本作で初披露したフルヌードです。
『アベンジャーズ』シリーズのブラック・ウィドウ役で身に着けている体のラインがあらわな、あの黒スーツの中身が確認できるのです!
小松崎 ともえ
また、SF作品としての独創的で唯一無二の世界観も注目ポイントです。
スカヨハ演じるエイリアンに誘い込まれた男たちが沈んでいく黒い沼や、捕食シーンは不気味ながらも引き込まれてしまいます。
そして、ミュージックビデオを手掛けてきた監督ならではの各シーンでの音楽の使い方も効果的です。
本作では変装させたスカヨハを街中に送り出し、周囲にスタッフがいない場所で撮影をするなどリアルさを追求したそうです。
小松崎 ともえ
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『ワイルド わたしの中の獣』
毎日を無気力に過ごしていた女性が、森で出会ったオオカミに激しく惹かれ、我が物にしようとする超過激なドイツ映画。
全編本物のオオカミを使い、出演者が常に危険と隣り合わせで撮影した映像が、この奇抜なストーリーにリアリティを与えています。
『ワイルド わたしの中の獣』の見どころは何といっても主人公とオオカミの倒錯的な関係であり、そのオオカミの名演技です。
小松崎 ともえ
物語の中では、その凛々しい視線で主人公アニアのハートをゲット。
他にも子犬のように、足や顔をペロペロしたり、ベランダから外を覗いたり、動きたくないと寝そべってイヤイヤしてみたりなど愛らしい一面も見せてくれます。
小松崎 ともえ
威嚇してくるオオカミから逃げる場面は手に汗握る本物の危機感を感じさせます。
また、予告編にも出てくる裸体のアニアの下腹部をオオカミがまさぐっている官能的なシーンはなんとフォアグラを使って撮影したそうです。
他にも、アニアにちょっかいを出そうとする上司ボリスを演じるゲオルク・フリードリヒもオオカミに飛びかかられるシーンの為に、服の襟に肉を付けて撮影に臨んだそうです。
このように、本作は出演者たち渾身のシーンの連続で目が離せません。
小松崎 ともえ
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『ゆれる人魚』
アンデルセンの童話「人魚姫」を大胆にアレンジしたポーランド発の驚異のホラー・ファンタジー。
ワルシャワを舞台に、人間界に興味を持った肉食人魚姉妹がナイトクラブで働きながら、色々な人間たちと出会う様を描きます。
『ゆれる人魚』の見どころは、今までの人魚像を根底から覆すマルタ・マズレクとミハリーナ・オルシャンスカ演じるインパクト大の人魚姉妹です。
上半身は可愛らしい女性ですが、下半身はデカい尾びれのついた魚の姿。
小松崎 ともえ
陸に上がり、働いていたナイトクラブで人気者になった人魚姉妹のシルバーとゴールデン。
楽しく毎日を過ごしていましたが、姉のシルバーがハンサムな若者ミーテクに恋をしてしまいます。
ミーテクに好かれるため、人間になろうとするシルバー。
しかし、人間になると声を失い、さらにはミーテクが他の女性と結婚してしまうとシルバーは海の泡となり消えてしまいます。
小松崎 ともえ
本作は、ミュージカル映画でもあり、どこか懐かしさを感じさせる数々の楽曲が耳に残ります。
そして、人魚の食人シーンなどハードな描写もありますが、姉妹愛や初恋の儚さ、危うさを「人魚姫」の童話にのせて幻想的に描いています。
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『エヴォリューション』
女性と少年だけが住む美しい島で行われる、ある奇妙な医療行為を描くダーク・ファンタジー。
秘密の園の少女たちの世界を描いた『エコール』のルシール・アザリロヴィック監督作品で、トロント国際映画祭など数々の映画祭で大反響を巻き起こしました。
『エヴォリューション』の見どころは、倫理観や道徳観、常識をすっ飛ばした、この島で行われている”とある医療行為”です。
人里離れた美しい島に母親と暮らす10歳の二コラ。
ある時から、日々の生活に違和感を感じ始めた二コラは、夜中にこそこそと出ていく母親の後を追い、ある行為を目撃してしまいます。
そして二コラは次第に恐ろしい出来事に巻き込まれていくのです。
本作のロケ地は、バカンス先としても世界的人気を誇るカナリア諸島にあるランサローテ島で撮影が行われました。
火山島でもある島全体のざらついた美しさが、この物語が持つ浅い眠りの中でみる悪夢のような幻想的な世界観に引き込んでくれます。
小松崎 ともえ
他にも、印象的に登場する海辺の真っ赤なヒトデや、夢か現実かぼやけてくる神秘的な海底の景色など、全編に渡って重厚な西洋絵画を鑑賞しているかのような不思議な満足感を与えてくれます。
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『ぼくのエリ 200歳の少女』
スウェーデンの人気作家のベストセラー小説を映画化した異色のラブストーリー。
孤独な少年がヴァンパイアと初めての恋に落ちるさまを美しく、情感たっぷりに描きます。
2010年にはクロエ・グレース・モレッツ主演の『モールス』としてハリウッドでもリメイクされました。
小松崎 ともえ
いじめられっ子の12歳の少年オスカーは、ある日、家の隣に引っ越してきた少女エリと出会います。
言葉を交わすうちに次第にエリに惹かれていくオスカー。
彼にとっては初恋でした。
そんな中、町では猟奇的な殺人事件が立て続けに起こります。
そして、オスカーはエリが子どもの姿のままずっと生き続けているヴァンパイアであることを知ってしまいます。
果たして2人の恋はどうなってしまうのでしょうか。
北欧映画の良さである映像美が楽しめますが、基本的にはヴァンパイア映画なので、容赦ないグロい描写も度々登場します。
小松崎 ともえ
しかしエリは200年も生きているヴァンパイア。
共に年を重ねていくことができないのです。
小松崎 ともえ
登場キャラクターの背景を詳しく知ることができ、映画では泣く泣く省略されていた部分をしっかり補完できます。
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『パンズ・ラビリンス』
鬼才ギレルモ・デル・トロ監督が1944年のスペイン内戦下を舞台に不思議な迷宮の世界に迷い込んだ少女の成長を描くダーク・ファンタジー。
第79回アカデミー賞では3部門を受賞しました。
スペイン内戦で実の父親を亡くし、臨月の母親と共に再婚相手である独裁主義の将軍のもとへやってきた少女オフェリア。
冷酷な義父から逃げ出したいと思っていた彼女はある日、不思議な生き物に導かれ、謎めいた迷宮の世界へやって来ます。
そこで出会った牧神・パンから、オフェリアは自分が魔法の国のプリンセスの生まれ変わりだと知らされます。
三つの試練をクリアできれば、魔法の国に帰れると教えられたオフェリアはその試練に立ち向かう決意をします。
ギレルモ監督の出世作である本作の見どころは、主人公オフェリアの人間的成長だけでなく、超個性的すぎる迷宮世界のクリーチャーたちです。
小松崎 ともえ
ペイルマンのインパクトで全部を持っていかれそうになりますが、アカデミー賞の美術、メイクアップ、撮影賞受賞も納得の個性豊かな他のキャラたちもぜひチェックしてください。
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『シェイプ・オブ・ウォーター』
ギレルモ・デル・トロ監督の第90回アカデミー賞作品賞ほか4冠を見事獲得した究極のファンタジー・ロマンス。
1960年代のアメリカを舞台に口のきけない女性イライザと捕らわれた両生動物が心を通わせ合う、切ない愛の物語を優しく描きます。
『シェイプ・オブ・ウォーター』の見どころは、イライザと恋仲になる半魚人をダグ・ジョーンズが魅力たっぷりに演じているところです。
ダグ・ジョーンズは『パンズ・ラビリンス』であのペイルマンを演じた方であり、本作でもインパクト大の半魚人役を熱演しています。
小松崎 ともえ
そして、ヒロインのイライザは、お世辞にも美人とはいえない冴えない中年女性ですが、半魚人の‘彼’に出会って以降は恋する女性の可憐さを滲み出させ、魅力的な女性になっていきます。
イライザを演じるサリー・ホーキンスの会話ではなく、視線のみで雄弁に感情を伝える演技は圧巻です。
小松崎 ともえ
しかし、ギレルモ監督の渾身の脚本や、マイノリティの人々が活躍する本作の隠されたテーマ、そして出演者の熱演によって成功した稀有な作品なのです。
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ダークなファンタジー映画:新作
『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』
中南米に広く伝わる怪奇伝説を取り入れ、各国映画祭を震え上がらせたグアテマラ発の極上ホラー映画。
作品タイトルの「ラ・ヨローナ」とは夫に捨てられ、子どもたちと共に死んだ女性の魂が彷徨い続け、その悲しみの嘆き声が人々を怖がらせたという怪談です。
グアテマラの軍事政権による大虐殺から30年が経ち、当時将軍だったエンリケは虐殺を指揮した容疑で裁判にかけられます。
国民が糾弾する中、屋敷に戻ったエンリケの耳には夜な夜な不思議な泣き声が聞こえるように。
そんな中、屋敷に新しいメイドのアルマがやってきます。
そして、アルマの周囲でも次第に奇妙なことが起き始めるようになります。
果たして、泣き声の正体は何なのでしょうか。
グアテマラは、1960年から36年間で25万人もの死者を出したといわれる酷い内戦が続いていました。
ハイロ・ブスタマンテ監督はその重い歴史に「ラ・ヨローナ」の悲劇を融合させ、恐ろしくも美しい、幻想的な世界観を生み出しました。
小松崎 ともえ
『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』は2020年7月10日公開予定です。
ダークなファンタジー&SF映画まとめ
- 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』
- 『ワイルド わたしの中の獣』
- 『ゆれる人魚』
- 『エヴォリューション』
- 『ぼくのエリ 200歳の少女』
- 『パンズ・ラビリンス』
- 『シェイプ・オブ・ウォーター』
いかがでしたか。
2020年、コロナウイルスによる自粛生活で疲れ果てた時には、幻想的な映画で非日常世界を体験するのもいいかもしれませんね。
新作『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』も楽しみです。