映画にはたくさんの作品やテーマがありますが、必ずしも全てがハッピーエンドというわけではありません。
映画の中には、あまりにも目を背けたくなるようなバッドエンドや、観客に対して深く考えたくなるようなテーマを与える、後味の悪い作品がたくさん存在します。
しかしながら、そんな後味が悪い作品の中には思いもよらぬ名作が隠されていることも事実!
あえてそんな作品が好きな人や、こういった作品を観る勇気が出ない方など様々だと思いますが、この記事ではそんな後味の悪い作品や、いわゆる胸糞映画について、ライター独自目線のランキングを作成してみました。
マルコヤマモト
目次
- 1.胸糞映画おすすめランキングベスト40
- 1.1第40位『嫌われ松子の一生』
- 1.2第39位『ミッドサマー』
- 1.3第38位『タクシードライバー』
- 1.4第37位『ドッグヴィル』
- 1.5第36位『サイレントヒル』
- 1.6第35位『ミリオンダラー・ベイビー』
- 1.7第34位『それでもボクはやってない』
- 1.8第33位『火垂るの墓』
- 1.9第32位『パンズ・ラビリンス』
- 1.10第31位『ペット・セメタリー』(1989年)
- 1.11第30位『時計じかけのオレンジ』
- 1.12第29位『カッコーの巣の上で』
- 1.13第28位『ハングリー・ハーツ』
- 1.14第27位『オールド・ボーイ』
- 1.15第26位『哭声/コクソン』
- 1.16第25位『ヘレディタリー/継承』
- 1.17第24位『ミスト』
- 1.18第23位『哀しき獣』
- 1.19第22位『子宮に沈める』
- 1.20第21位『リリイ・シュシュのすべて』
- 1.21第20位『The Net 網に囚われた男』
- 1.22第19位『キャタピラー』
- 1.23第18位『アンチクライスト』
- 1.24第17位『殺人の追憶』
- 1.25第16位『ゴーン・ガール』
- 1.26第15位『母なる証明』
- 1.27第14位『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
- 1.28第13位『ファニーゲーム』
- 1.29第12位『パラサイト 半地下の家族』
- 1.30第11位『八甲田山』
- 1.31第10位『ジョーカー』
- 1.32第9位『チェイサー』
- 1.33第8位『縞模様のパジャマの少年』
- 1.34第7位『レクイエム・フォー・ドリーム』
- 1.35第6位『誰も知らない』
- 1.36第5位『セブン』
- 1.37第4位『ジョニーは戦場へ行った』
- 1.38第3位『冷たい熱帯魚』
- 1.39第2位『MOTHER マザー』
- 1.40第1位『チョコレートドーナツ』
- 2.胸糞映画おすすめランキングベスト40まとめ
胸糞映画おすすめランキングベスト40
第40位『嫌われ松子の一生』
- 『下妻物語』『来る』の中島哲也監督が手がけた異色のミュージカル作品
- 後味が悪いけどポップでカラフルな演出に魅了される
- 中谷美紀が主演を務め、とある女性の転落人生を演じる
2006年公開の『嫌われ松子の一生』は、『下妻物語』『来る』の中島哲也監督が手がけた異色のミュージカル作品。
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昭和22年、福岡県に生まれ、お姫様のような人生を夢見ていた主人公の松子。
中学教師になった松子ですが、教え子が起こした窃盗事件が原因でクビになり、そこから彼女の転落人生が始まります。
同棲していた作家志望の男が暴力を振るった末に自殺、不倫をすればバレてその後は中洲のソープ嬢に転落…。
さらには同棲中だったヒモ男を殺害し、松子はついに投獄されてしまいます。
幼少期からの愛情不足ゆえ、愛を求めまくった松子。
不幸を呼び寄せるタイプの女性であり、実際にも自分から不幸を求めてしまう人間は少なくありません。
そして松子自身も壮絶な人生の末に殺され、遺体となって発見されるのです。
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1人の女性の転落人生をミュージカルタッチに明るく描くギャップが異様すぎですが、逆にその演出によって作品にグッと引き込まれます。
豪華キャストが集結したことでも話題になった作品ですが、松子の恋人の1人で作家志望のDV男を演じた宮藤官九郎のキャスティングがぴったりでした。
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第39位『ミッドサマー』
- 『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督によるフェスティバル・スリラー
- 「明るいことが怖い」というキャッチでSNSでも話題に
- 男女間で感じ方が違う!?カップルでの鑑賞はあまりおすすめしません!
2020年に公開され、SNSでも超話題になった『ミッドサマー』。
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不慮の事故で家族を亡くしたダニーは、恋人を含む友人5人とともに、スウェーデンの奥地のホルガ村で90年に1度開催される夏至祭を訪れます。
白夜により太陽が沈むことがなく美しい花が咲き乱れる村でダニーたちはその生活を満喫していましたが、村に古来から続く恐ろしい儀式を目の当たりにしたり、村を飛び出した仲間が行方不明になるなど不可解な出来事が起こり始めたのです…。
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アリ・アスター監督の失恋経験が元になって作られた今作。
全てを失って恋人に縋りつきたい主人公のダニーと、そんなダニーを少し面倒に思っている恋人のクリスチャンの物語が軸になっています。
ホルガ村での生活を通して自分を解放することができたダニーとは反対に、ダニーを裏切る形になったクリスチャンは悲壮な運命を辿ることに。
面倒だからと彼女を蔑ろにしたり、儀式とはいえ他の女性と関係を持ったりなど、男性にとっては後味が悪い場面がたくさん登場するのではないでしょうか?
村の儀式でトップになり祭られたダニーは儀式の生贄としてクリスチャンを選び、クリスチャンは熊の皮を着せられ、生きたまま他の生贄たちとともに燃やされてしまいます。
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グロ描写もありますが、明るさや北欧の民族衣装の可愛さなどのビジュアル面が勝るので、ホラー映画が苦手な人でも観やすい作品です。
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第38位『タクシードライバー』
- マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロによる傑作サスペンス
- 当時13歳のジョディ・フォスターが娼婦役で登場したことでも話題に
- 2019年公開の『ジョーカー』でも今作をオマージュしている場面がある
1976年公開の『タクシードライバー』は、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロが主演を務めたサスペンス映画。
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ベトナム戦争の帰還兵で不眠症の男・トラヴィスは、ニューヨーク界隈で働くタクシードライバー。
夜の街でタクシーを走らせながら、トラヴィスは街で横行する麻薬売買や売春行為を目の当たりにして嫌悪感を募らせていきます。
大統領候補の選挙事務所で働くベッツィという女性に恋をしたトラヴィスは、初デート時に彼女をポルノ映画に連れていき失敗。
社会に不満を持ったトラヴィスはとある計画を思いつき、闇組織の男から大量の銃を仕入れ体を鍛え始めます…。
孤独な男が偉大な計画を抱き、混乱を巻き起こす『タクシードライバー』は、2019年公開の『ジョーカー』にも多大な影響を与えたアメリカン・ニューシネマの傑作です。
壮大な計画を抱いたトラヴィスですが最終的には13歳の娼婦・アイリスを救い出して英雄となりますが、それが現実の出来事か、彼の妄想なのか…というところは疑問が残ります。
都会の中の孤独、満たされない承認欲求の成れの果てをグロテスクに描いた結末は後味が悪く、救いようのなさが残ります。
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劇中曲として流れる哀愁たっぷりのサックスの音色が、夜の街や男の孤独を表しているようで、作品の雰囲気を倍増させてくれます。
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第37位『ドッグヴィル』
- ラース・フォントリアー監督、ニコール・キッドマン主演のサスペンス
- 監督が想像上のアメリカを描いた実験的作品
- セットがなく1つのスタジオの中での出来事を描いており、映画よりも舞台を見ている感覚に近い
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大恐慌時代のアメリカ、炭鉱の町ドッグヴィルに1人の美しい逃亡者・グレースが現れます。
助けを乞うグレースに対し、村人たちに道徳を教えるトムは2週間の猶予を与え、その後の住民投票でグレースが善人と判断された場合は村で匿うという条件を与えました。
2週間の間、グレースは村人たちの相手や商店の手伝いなどの仕事をきちんとこなし、住民投票により見事村に迎え入れられることに。
トムも自分の教える道徳が村人たちに広まっていることを実感し満足していましたが、警察がグレースの手配書を街に張り出したことで村人たちの態度が一変し、グレースは次第に村人たちのストレスの吐口になっていくのです。
しかし、グレースの正体が明らかになった時、村を巡る事態が急変します…。
実はグレースは街を牛耳るギャングの跡取で、一度は思いとどまるものの今まで自分がされてきた仕打ちを思い返し、村人たちを容赦なく皆殺しにし、村を破壊するのです。
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命を助ける代わりにグレースに首輪をつけて奴隷のように働かせたり、時には乱暴を加えたりする村人たちの容赦なさや、ただ自分の自尊心と征服欲を満たしたいだけだったトムには嫌気がさしていたので、グレースが下した決断は爽快です。
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第36位『サイレントヒル』
- 大ヒットしたホラーゲーム1作目の実写版
- ゲームのビジュアルを模した作りや映像美にファンは絶賛
- 虫やクリーチャーなどグロ描写がありつつもラストは物悲しい
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赤ん坊のシャロンを養女として引き取ったローズ夫妻。
しかしシャロンが9歳になった時、夢にうなされたように「サイレントヒルに帰りたい…」と呟き始めたのです。
サイレントヒルという街が存在するということがわかったローズは、シャロンの希望通りサイレントヒルへ連れて行きますが、そこはすでに廃墟だったのです。
2人の車は事故に遭い、ローズが気づいた時にはシャロンの姿が消えており、ローズは不気味な街の中を1人で彷徨うことになります…。
現実のサイレントヒルではなく、異世界のサイレントヒルに迷い込んだ母・ローズが娘・シャロンを救出するために奔走するというストーリーと、闇が訪れると異形の者たちが動き出すという設定にはゲームっぽさを感じます。
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今までに4作のゲームシリーズが製作された『サイレントヒル』ですが、2020年には人気ゲーム『デッド・バイ・デイライト』とのコラボが発表され、ゲームファンからは再び注目を集めています。
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2013年にはシリーズ2作目となる『サイレントヒル:リベレーション3D』が公開されていますので、今作が気になった方はぜひご覧ください。
第35位『ミリオンダラー・ベイビー』
- クリント・イーストウッド監督作品で、第77回アカデミー賞の作品賞受賞
- 年老いたボクシングトレーナーと不遇の人生を送る女性ボクサーの交流を描く
- サクセスストーリーかと思いきや、尊厳死がテーマの意外と重めな作品
2005年公開の『ミリオンダラー・ベイビー』は、『グラン・トリノ』『ミスティック・リバー』のクリント・イーストウッドが監督・主演を務めたヒューマンドラマ。
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不幸な暮らしを送ってきた女性ボクサーのマギーは、再起をかけて老トレーナーのフランキーに弟子入りを果たします。
やがて2人の間には絆が芽生え始め、マギーはボクシングの世界で徐々に頭角を表すように。
しかし汚いやり口で戦うビリーとの対戦に挑んだ末、ラウンド終了後のビリーの反則パンチによりマギーは椅子に首を打ちつけて骨折、全身付随となってしまうのです…。
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全身不随になってしまったマギーは安楽死を望み、自分でも舌を切って自殺を図ろうとします。
観客が想定していた作風とのギャップが強く、尊厳死・安楽死というテーマが強い反発を生み、必ずしも万人に良い評価を受けたわけではないようです。
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第34位『それでもボクはやってない』
- 『Shall Weダンス?』の周防正行監督による社会派法廷ドラマ
- 痴漢冤罪について、法廷での攻防劇が描かれる
- 主演は加瀬亮、共演には瀬戸朝香や役所広司など周防作品に欠かせない俳優も出演
2007年公開の『それでもボクはやってない』は、『Shall Weダンス?』の周防正行監督が手がけた社会派法廷ドラマ。
痴漢の冤罪をテーマにしている今作は、第80回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたほか、スイスで開催された国連の拷問禁止委員会でも上映され、委員の半数以上が鑑賞したと言われています。
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フリーターの金子徹平は、電車を乗り換える際に女子中学生に痴漢行為を問いただされ、駅員室に連行されてしまいます。
妥協した徹平は無実の罪を被って示談に持ち込むことでその場をやり過ごそうとしますが、やがてやってきた警察に連行され、ついには起訴されるのです。
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徹平はタイトル通り「それでもボクはやってない」と訴え続けるのですが、結果は懲役3ヶ月執行猶予3年の有罪。
本当に自分の犯した罪でないとしたら、到底納得できる結果ではありません。
裁判のルールに則って徹平は控訴をして映画は終わるのですが、冤罪の証明とこれから続く長い裁判のことを考えると心労と精神力がすり減らされる思いです。
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第33位『火垂るの墓』
- 野坂昭如原作の短編小説をスタジオジブリが映画化
- 戦争孤児となった14歳の少年・清太と4歳の妹・節子の壮絶な物語を描く
- 公開時は『となりのトトロ』と同時上映された
スタジオジブリの高畑勲監督作品『火垂るの墓』。
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昭和20年の夏、父親が出征中のため母親と暮らしていた14歳の清太と4歳の節子は空襲によって焼け出され、母親までも亡くしてしまいます。
その後親戚の叔母の元に引き取られるも剃りが合わず清太は家を飛び出し、4歳の節子とともに生きていくことを決意。
しかし、戦時中に子供だけで生きていくことは非常に困難で、食糧不足である時世、節子は栄養失調で次第に痩せ細っていき…。
『火垂るの墓』は、毎年終戦記念日が近くなるとテレビで放送されることもあり、記憶に残っている人も多いと思います。
プロローグで清太が死んでいる時点で後味が悪いことは確定なのですが、公開当時は『となりのトトロ』との同時上映で子供たちが困惑し、興業的には失敗に終わりました。
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現実的に考えることは嫌なのですが、おばさんに小言を言われたことで家を飛び出した清太は、この時代にどこに生きていける根拠があったのか?と考えてしまいます。
しかし戦争孤児の存在や、戦争で親類を亡くし清太や節子のように死んでいった子供たちが現実にいたことも忘れてはいけません。
栄養失調になった節子は体調を崩して亡くなり、戦争が終わってから清太も亡くなって、オープニングへと繋がるというわけです。
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第32位『パンズ・ラビリンス』
- 『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督によるダーク・ファンタジー
- 第79回アカデミー賞で撮影賞・美術賞・メイクアップ賞を受賞
- 暗黒時代と言われていたスペイン内戦下を生きた少女の物語
2007年公開の『パンズ・ラビリンス』は、『シェイプ・オブ・ウォーター』『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督が手がけたダーク・ファンタジー。
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第二次世界大戦下にありながら、自国での内戦が続いていた1944年のスペイン。
冷酷で残忍な軍の大尉である義父から逃れたいと願う少女・オフェリアは、薄暗い森の中に秘密の入り口を見つけます。
昆虫のような妖精に導かれたオフェリアが迷宮に足を踏み入れると、迷宮の守護者であるパンと出会い、オフェリアが魔法の王国のプリンセスであると告げられます。
王国に帰るためにオフェリアは与えられた3つの試練を受けることに。
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ギレルモ・デル・トロ監督特有の美しい世界観と冷酷な現実の対比がエグいくらいにうまく共存し、ワンシーンごとの美しさには見惚れてしまうほどです。
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スペイン内戦が背景になっていることもあり、ファンタジー作品といえども内容は大人向け。
戦争という暗い時代に家庭での居場所を無くしてしまったオフィリアが、おとぎ話の世界によりどころを求めたのは必然なのかもしれません。
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第31位『ペット・セメタリー』(1989年)
- スティーヴン・キングのベストセラー小説の映画化
- 死を受け入れない事の罪を描く、やるせない物語
- シリーズは『ペット・セメタリー2』を含む全2作で、2020年にはリメイク版も公開された
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妻子とともに田舎町に引っ越してきた医者のルイスは、自宅の前の道路に大型トラックが行き交うことに驚きます。
ある日トラックに轢かれてしまった猫を見つけたルイスが墓地に埋葬したところ、死んだはずの猫が息を吹き返したのです。
奇妙な現象に驚くルイスでしたが、次にルイスの幼い娘・ゲイジがトラックに轢かれてしまいます。
娘の死の悲しみに暮れながらもルイスはゲイジの遺体をあの墓地へ運び、ついに一線を超えてしまうのです…。
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墓地の存在を知ったルイスは死んだ娘だけでなく、悪魔と化して蘇った娘に殺された妻のレイチェルも蘇らせてしまいます。
メンターとして登場する「良い幽霊」パスコーの存在がありながらも、目の前のことしか考えていなかったルイスに罰が下るのは当たり前のことでしょう。
悪いことをした人に天罰が下るのは当然…ということと、死を受け入れることの難しさについても考えさせられます。
そして、エンディングテーマは、スティーヴン・キングの要望もあり映画の内容とは真逆のラモーンズのパンクロックという異様さ…。
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第30位『時計じかけのオレンジ』
- スタンリー・キューブリック監督が当時「危険な本」と言われた原作小説を映画化
- 第44回アカデミー賞に4部門でノミネートされるも受賞は逃す。賛否両論あるが高い評価を受けている作品
- 過激すぎる内容から模倣犯を恐れたキューブリック自身が上映禁止を差し止めた
1971年公開の『時計じかけのオレンジ』は、『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック監督による近未来を舞台にしたクライム・サスペンス。
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近未来のロンドンで仲間を引き連れて暴力・レイプ・ドラッグなどに明け暮れる非行少年のアレックスは、ある夜中年女性を死に至らしめたことから刑務所行きに。
懲役14年を言い渡されたアレックスですが、「とある治療法」を受ければ即釈放という条件を受け入れて治療を志願します。
ルドビコ療法を受けたアレックスは、犯罪・暴力・性や自分が大好きだったベートーベンの第九を聞くと吐き気を催すように。
そして治療の末に真人間になり釈放されたアレックスを待っていたのは、かつての仲間たちからの復讐でした…。
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劇中で若者たちが使う独特の言語が意味不明で、字幕も独特。
治療に成功して「完璧に治った」かのように思えたアレックスでしたが…!?というなんとも後味が悪いラスト。
また、全編を通して見せられる暴力描写の数々にも心が重くなることは間違いありません。
公開後に模倣犯が現れキューブリック監督の元に多数脅迫状が送り付けられたことから、監督自身が上映差し止めを行ったというエピソードがあります。
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第29位『カッコーの巣の上で』
- ジャック・ニコルソンが主演を務めたヒューマンドラマの名作
- 精神病院を舞台に患者たちの自由を勝ち取るために戦った男の物語
- 2012年に発表された「映画史に残る演技ベスト200」で今作のジャック・ニコルソンの演技が1位に選出された
1976年公開の『カッコーの巣の上で』は、『タクシードライバー』や『俺たちに明日はない』などアメリカンニューシネマを代表するヒューマンドラマ。
ケン・キージーの同名小説を原作とした今作ではジャック・ニコルソンが主演を務め、第48回アカデミー賞において作品賞・主演男優賞・助演女優賞・脚色賞の4部門を受賞。
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刑務所での強制労働から逃れようと、精神異常者のふりをして精神病棟に入り込んだマクマーフィー。
しかし病院の全てを統制しようとする看護婦・ラチェットのやり方に反感を覚え、自分と同じく異常者のフリをしているチーフとともに、やる気を失った患者たちを奮起させて立ち向かおうと決意。
そんなマクマーフィーの行動に対しラチェットはさらに激昂し、彼を隔離してしまいます。
そして病院で行われていたのは、患者たちを廃人にするようなロボトミー手術だったという衝撃的な展開に驚き。
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刑をサボるために精神病院に入ったマクマーフィーでしたが、自分にこんな結末が待ち受けているとは思っていなかったでしょう。
隔離されたマクマーフィーにもロボトミー手術が施され、他の患者同様喋ることができない状態になってしまいます。
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ちなみにNetflixでは『カッコーの巣の上で』の前日譚で、婦長のラチェッドを主人公にした『ラチェッド』が配信中です。
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第28位『ハングリー・ハーツ』
- アダム・ドライバー主演によるサスペンス映画
- 2014年ベネツィア国際映画祭で主演男優賞&主演女優賞をW受賞
- 家族の幸福が徐々に壊れていく様子がリアルで、どうなるかわからない展開に最後まで目が離せない
2016年公開の『ハングリー・ハーツ』は、『スター・ウォーズ』シリーズでカイロ・レンを演じたアダム・ドライバーと、イタリア人女優のアルバ・ロルヴァケルが夫婦役を演じたサスペンス映画です。
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ニューヨークで運命的な出会いを果たしたジュードとミナは結婚し、可愛い男の子を授かります。
家族3人は幸せな日々を送るはずでしたが、ミナは次第に育児に神経質になり、息子に触れようとするものに対して敵意と恐怖を表すようになったのです。
ジュードは息子を守るために妻を理解しようと試みますが…。
息子に対する愛情が狂気に変わる母親を描いた『ハングリー・ハーツ』。
ミナが菜食主義者だったこともあり、離乳食にも栄養が足りず子供が栄養不足になってしまったことが、見ていてとても辛かったです。
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残念ながらこの夫婦に幸せは訪れません。
子供に執着するミナでしたが、最終的には息子と孫を思うジュードの母親によって殺されてしまいます。
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アダム・ドライバーが演じた良き父親の存在、彼と子供を思う家族の存在がこの物語の救いです。
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第27位『オールド・ボーイ』
- パク・チャヌク監督の「復讐3部作」の2作目
- 15年監禁された男の復讐劇をバイオレンスたっぷりに描く
- 原作は日本の漫画で、ハリウッドでもジョシュ・ブローリン主演でリメイクされている
2004年公開の『オールド・ボーイ』は、『JSA』のパク・チャヌク監督がメガホンを取ったバイオレンス映画。
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突然何者かに拉致された後、15年監禁され突然解禁された男・オ・デス。
その後出会った女性寿司職人のミドの協力を得て、自分を監禁した相手へ復讐するために奔走します。
すると2人の前に謎の男・ウジンが現れ、5日間で自分が監禁された理由を解き明かせとゲームを仕掛けてきたのです…!
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実はオ・デスも復讐される側だったというオチなのですが、復讐相手がわざわざ「15年」もかけた意味が気持ち悪すぎです。
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ミドの正体はオ・デスの実の娘だったというオチで、2人はそのことを知らないまま愛し合っていたのです。
ふとした言動で自覚なく人を傷つけたことが自分の人生を大きく狂わせる、という恐ろしさが今作にはあると思います。
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第26位『哭声/コクソン』
- 後味悪い韓国映画の代表、ナ・ホンジン監督によるサスペンス・スリラー
- 43歳にして初主演を務めたクァク・ドウォンや、日本人俳優の國村隼の登場でも話題に
- 何を信じていいかわからず、ひたすら不安になる
2017年公開の『哭声/コクソン』は、『チェイサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督によるサスペンス・スリラー。
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山間の平和な村に謎の日本人が住み着いてから、村で不可解な連続殺人事件が発生。
しかも殺人を犯した犯人には共通の症状があったのです。
村の警察官であるジョングクは、自分の娘の体にも犯人たちと同じ症状があることを見つけ、日本人を問い詰めにいくのですが、彼の行動が村に思わぬ混乱をもたらすことになってしまいます。
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村に住み着いた日本人、祈祷師、事件の目撃者の女性などさまざまな人物がジョングクを引っ掻き回し、誰が味方か信じていいかわからない状態に翻弄させられっぱなしでした。
ジョングクは誰が自分の味方か見抜き、娘を助けることができるのか…!?という点が今作の見どころ。
他にもランクインしているナ・ホンジン監督の『チェイサー』『哀しき獣』とは雰囲気が全く違うオカルトスリラーのような作品ですが、見ている者を不安にさせるという意味では『哭声/コクソン』が群を抜いています。
キリスト教や祈祷など宗教にまつわる台詞や場面も登場するので、深掘りするとさらに面白いかもしれません。
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第25位『ヘレディタリー/継承』
- 『ミッドサマー』のアリ・アスター監督の名を世界に知らしめた衝撃のホラー映画
- 家長である祖母の死をきっかけに、一家が不可解な出来事に見舞われる
- サンダンス映画祭上映直後から「21世紀を代表するホラー映画」と絶賛される
2018年公開の『ヘレディタリー/継承』は、この後に『ミッドサマー』を手がけるアリ・アスター監督の長編デビュー作品。
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グラハム家の家長で祖母のエレンが亡くなった後、生前祖母に愛憎見える感情を抱いていたアニーは、祖母の遺品の中から「私を憎まないで」と描かれたメモを見つけます。
その後、家族を亡くした喪失感から立ち直り、前に進もうとする一家に奇妙な出来事が頻発。
やがて最悪の事態が起こり、修復不可能なくらいに一家が崩壊してしまいます…。
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ホラーというよりは、カルト教団が絡んだオカルト要素が強いのですが、生首あり人体発火あり、逆に首のない人間ありなど盛りだくさんなので、グロ耐性があまりない人は要注意。
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第24位『ミスト』
- スティーヴン・キング原作小説を『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボンが映画化
- 突然濃霧に包み込まれた街で人々がパニックに陥る様子を冷徹に描く
- ラストに訪れる衝撃の展開が話題になった
2008年公開の『ミスト』も後味が悪い映画や「どんでん返しがすごい映画」として、よく挙げられる作品です。
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激しい嵐が過ぎ去った後、街には濃い霧が立ち込めます。
息子とともにスーパーマーケットに買い物に出かけていたデヴィッドは、霧のために店内に缶詰状態に。
やがて霧から逃れてきた人から「霧の向こうに怪物がいる」と言われ、デイヴィッドたちは次第に混乱し始め、一方でスーパーの中に残っていた骨董品店店主のミセス・カーモディーは、狂言めいた発言をして人々を煽ります。
そして夜になると怪物たちの襲撃が始まり…!?
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かつてないほどの霧の中に閉じ込められた人々を描くという物語はシンプルで、キャラクターや人間関係、怪物の造形などはピカイチ!
序盤は「スーパーから出ていく、出て行かない」という、パニック映画にはお決まりの展開が繰り広げられ、中盤からは謎の生物たちとスーパーを出る決意をした人々の戦いを描きます。
しかし、公開時のキャッチについていたように「ラスト15分の衝撃的な展開」が見逃せないのです。
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怪物に殺されるならば…と家族を殺して自分も死ぬという決意をしたデヴィッドでしたが、息子を殺したあとに霧が晴れ、事件が解決したことを知るのです。
あと少し耐えていれば家族も助けることができたのに…。
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第23位『哀しき獣』
- 『チェイサー』『哭声/コクソン』のナ・ホンジン監督によるクライム・サスペンス
- ハ・ジョンウ、キム・ユンソクが『チェイサー』に引き続き登場し、再び逃走撃を繰り広げる
- 切なすぎるラストに思わず「あっ…」と声が漏れてしまう
『哀しき獣』は、『哭声/コクソン』でもご紹介したナ・ホンジン監督の長編2作目となるクライム・サスペンス。
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ギャンブルばかり繰り返し借金が膨れ上がったグナムは、犬商を営むミョン社長から借金を帳消しにする代わりに韓国のソウルにいる人物の殺害を依頼されます。
ソウルに出稼ぎに行ったきり音信不通になった妻を探すためにも依頼を受けるグナムは、中国からソウルへ。
しかし殺害を実行しようとした時、ターゲットはすでに何者かに殺されていたのです。
罠にはめられてしまったグナムは殺人の実行犯にされてしまい、警察とミョン社長から追われる身になってしまいます。
ハ・ジョンウ演じる逃亡者グナムと、キム・ユンソク演じる追跡者のミョン社長の迫力満点の追跡劇が繰り広げられ、中盤以降はハラハラしっぱなし。
グナムはなんとかして中国に帰り妻と再会することを夢見て、馴染みのない韓国で逃走を続けます…。
マルコヤマモト
ボロボロになっても逃走を続けるハ・ジョンウの姿が汚すぎてリアル、そして恐怖の追跡者ミョン社長を演じるキム・ユンソクも暴力性がにじみ出た恐ろしい見た目がリアルです。
ミョン社長の無双さに目がいってしまうバイオレンス逃走劇ですが、最後は「人の命ってあっけない…」とため息が漏れるくらいに切ないです。
壮絶な逃走劇の末に中国へ帰る漁船の上で命を落としてしまったグナムの遺体は、あっけなく海へと投げ込まれます。
邦題の『哀しき獣』もとてもカッコいいのですが、原題は『黄海』で、中国大陸と朝鮮半島の間にある海のことを指しているのです。
マルコヤマモト
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第22位『子宮に沈める』
- 社会問題とされている育児放棄や児童虐待について切り込んだ作品
- 社会から孤立していくシングルマザーに起こる変化が怖い
- 実際に起こった事件をモチーフにしている
2013年公開の『子宮に沈める』は、『終わらない青』『体温』を手がけた緒方貴臣監督による社会派ドラマ。
マルコヤマモト
夫に一方的な別れを告げられ、2人の娘とアパートで暮らすことになったシングルマザーの由希子。
最初は娘たちのために良き母であろうと色々なことに頑張りを見せるのですが、学齢や職歴がなかったため次第に社会から孤立してしまいます。
幸せそうな家庭から一転、夜の街で働き始めた由希子は徐々に荒んでいき、事件を起こします…。
マルコヤマモト
見終わった後でなく見ている最中から吐き気を催すような辛さ。
マルコヤマモト
しかし、夫との離婚を機に転落をしていく由希子の姿は現実なのだと思います。
社会には見えないSOSがきっと多く溢れているのだけれど、誰も気づけないであっという間に幼い命が母親の手によって奪われることが信じられないくらい辛かったです。
マルコヤマモト
第21位『リリイ・シュシュのすべて』
- 岩井俊二が監督を務め、市原隼人、蒼井優ら名優を輩出した青春映画
- イジメ、援助交際など地方都市を舞台に中学生が抱える闇を描き出す
- 岩井俊二が自らネットに公開した実験的小説を映画化
2001年公開の『リリイ・シュシュのすべて』は、『Love Letter』『スワロウテイル』の岩井俊二監督が自らネットに公開した実験的小説を映画化した青春映画。
マルコヤマモト
かつて親友だった星野からイジメを受け、辛い日々を過ごす中学2年生の雄一。
そんな雄一の唯一の心の安らぎが自ら主宰するカリスマ的歌手リリイ・シュシュのファンサイトでの交流でした。
しかし星野によるイジメは次第にエスカレートし、悲劇的な事件が起こってしまうのです…。
地方都市を舞台にイジメや援助交際など、中学生が抱える闇を描いた『リリイ・シュシュのすべて』。
マルコヤマモト
全編を通して繰り広げられるイジメ、援助交際、イジメによる自殺、イジメ…と壮絶すぎる展開に思わず目が点になってしまうほどでした。
マルコヤマモト
『リリイ・シュシュのすべて』は、キラキラした青春ではなく、青春のドロドロした部分を出し切った作品で、もしかしたらどの青春映画よりもリアルなのかもしれません。
美しい田園風景の中で行われる壮絶なイジメとの対比が、余計にやるせない気持ちになります。
マルコヤマモト
第20位『The Net 網に囚われた男』
- 鬼才キム・ギドクが朝鮮半島の南北分断問題を真正面から描いた社会派ヒューマンドラマ
- ボートのエンジン故障により韓国側に流れ着いてしまった平凡な北朝鮮の漁師を待ち受ける過酷な運命
- エロ・グロのギドク節は感じられないが、監督が訴えたいことは真摯に伝わる
2017年公開の『The Net 網に囚われた男』は、韓国映画界の鬼才、キム・ギドク監督が手がけた社会派ヒューマンドラマ。
『ベルリンファイル』のリュ・スンボムを主演に迎え、ボートの故障により韓国側の海域に流れ着いてしまった北朝鮮の漁師を待ち受ける過酷な運命を描きます。
マルコヤマモト
韓国側に捕らえられた北朝鮮の平凡な漁師・ナムを待ち受けていたのは残酷な拷問と自由な世界への誘惑でした。
韓国側の拷問と誘惑を断り、北朝鮮に送還されたナムを待ち受けていたのもまたキツい取調べと拷問。
政治の前では個人の人権なんてないに等しいということを見せつけられたような気がします。
マルコヤマモト
禁止されていたにもかかわらず、生活を支えるために再び漁に出たナムは北朝鮮の兵士に銃殺されてしまうのです。
『The Net 網に囚われた男』の絶望的な結末は、朝鮮半島の現状を反映しているのかもしれません。
今作のなかで唯一の救いだったのが、韓国側の警護の若者の存在です。
「いつか南北が統一されたらまた会おう」というセリフだけが今作でのたった1つの希望でしたが、本当にそんな日が来るといいなと思います。
マルコヤマモト
第19位『キャタピラー』
- 人が人を殺す戦争の恐ろしさ、愚かさを描く
- 第60回ベネチア国際映画祭で寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞
- 監督はベテラン監督で2012年に事故で亡くなった若松孝二
2010年公開の『キャタピラー』は、『実録・連合赤軍 浅間山荘への道程』を手がけたベテラン監督若松孝二による戦争ドラマ。
マルコヤマモト
1944年、日中戦争に出兵した久蔵が故郷の村に帰還。
しかし、久蔵は戦地にて敵の攻撃により顔と頭にひどい火傷を負い、四肢を失った「芋虫」のような姿に変わり果てていたのです。
そんな久蔵を村の人々は奇異の目で見ながらも「生ける軍神」として崇め、勲章を与えました。
久蔵の妻であるシゲ子は聴力を失い口も聞けない久蔵の面倒を任され、戸惑いながらも久蔵の飽きることない食欲と性欲を埋めていくのですが、久蔵は次第に戦地で行ってきた蛮行の記憶が蘇り苦悩し始めます。
若松孝二監督の戦争に対する怒りをひしひしと感じる作品ですが、タイトルの『キャタピラー』には、芋虫と戦車のダブルミーニングがあり、今作のラストシーンにも深く関係しています。
中国での自分の蛮行を思い出しそれに耐えられなくなってきた久蔵は、自ら部屋を這い出て庭の池で自殺するのです。
マルコヤマモト
まるで三大欲求のタガが外れてしまった久蔵に、真摯に答えるシゲ子の姿も辛すぎました。
その時代の妻だったらそこまでしなきゃいけなかったのか?とゲッソリしてしまいましたが、久蔵の恩給で暮らしているシゲ子も久蔵のために尽くすことで、罪悪感のようなものを解消していたのではと思います。
しかもなんだ軍神様って…みんな頭おかしいんじゃないの?と思いつつも、村の人々にそう思わせてしまっていたのが戦争。
マルコヤマモト
第18位『アンチクライスト』
- 胸糞映画の巨匠!『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォントリアー監督作品
- 上映中に観客も気絶!?過激な性描写が物議を醸した問題作
- 主演を務めたシャルロット・ゲンズブールがカンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞
マルコヤマモト
2011年公開の『アンチクライスト』は、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォントリアー監督、名優ウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールが主演を務めたサイコスリラー。
セックスの最中に幼い子供が窓から転落死してしまった夫婦…。
それ以来、自責の念と悲しみに暮れた妻は次第に精神を病んでしまい、セラピストである夫が妻の治療をしようと試みます。
治療を続けるうちに妻の恐怖が「エデン」と呼ばれる山小屋から来ていることがわかった夫は、妻を問題の山小屋へ連れていくことに…。
しかしそこで、セラピストの夫は妻の子供への虐待の事実を知ってしまいます…。
マルコヤマモト
それでいて、宗教も関わってくるのでストーリーは難解。
エロ・グロでも知られるラース・フォントリアー監督ですが、今作でも夫の足にドリルで穴を開けてボルトで固定する妻、自らの局部を鋏で切り取る妻…など、狂った描写が満載です。
マルコヤマモト
それにしても妻役を演じたシャルロット・ゲンズブールの演技は狂気そのもので、映画自体の評価は賛否分かれるとしても、彼女の演技は評価されて当然だと思います。
マルコヤマモト
第17位『殺人の追憶』
- 『母なる証明』『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督による実話ベースのサスペンス
- 1980年代に韓国で起こった「華城連続殺人事件」をモチーフにしている
- 30年以上経って犯人が捕まったことから再注目を浴びている
2004年公開の『殺人の追憶』は、ポン・ジュノ監督による実話ベースのサスペンスで、韓国映画を代表する1作としても有名です。
1980年代に韓国で起こった「華城連続殺人事件」をモチーフに、事件を解決するために奔走する2人の刑事の物語を描きます。
マルコヤマモト
1986年、韓国の農村で女性が強姦された後に殺害されるという手口の事件が立て続けに発生。
現地の警官であるパク・トゥマンは、ソウルからやってきた敏腕刑事のソ・テユンと組んで捜査にあたることになります。
なかなか反りが合わない2人でしたが、捜査を進めるうちに1人の男が容疑者として浮かび上がります。
しかし証拠が不十分すぎるために取り逃してしまうのです。
マルコヤマモト
事件発生から30年以上経ってから真犯人が捕まったことと、『パラサイト 半地下の家族』でポン・ジュノ監督がアカデミー賞を受賞したこともあり、『殺人の追憶』は再び注目を集めることに。
真犯人が逮捕されたことで、製作陣やキャスト陣はやっと役目が果たせたと安堵したそうです。
しかも真犯人が『殺人の追憶』を見たと証言。
マルコヤマモト
さまざまな技術が発達したことで事件発生当時のようにDNA鑑定や事件捜査に時間がかかることがなくなり、誤認逮捕などが減ったことはよかったな…と思いました。
マルコヤマモト
『殺人の追憶』作品情報 ポン・ジュノ監督とソン・ガンホが主演を務めた、彼らの代表作ともいえるサスペンス。 韓国……
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第16位『ゴーン・ガール』
- 『セブン』のデヴィッド・フィンチャー監督が全米ベストセラー小説を映画化したミステリー
- 妻の突然の失踪事件に翻弄される夫に待ち受ける衝撃の結末
- 鑑賞後は他人が怖く疑心暗鬼になるかも…
2014年公開の『ゴーン・ガール』は、『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』のデヴィッド・フィンチャー監督、ベン・アフレック主演によるミステリー映画。
マルコヤマモト
幸せな結婚生活を送っていたニックとエイミーでしたが、結婚5年目の記念日にエイミーが失踪する事件が発生。
キッチンには大量の血痕があり、警察はニックが容疑者ではないかと捜査を進めます。
さらにマスコミが事件に食いついたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることになり…。
マルコヤマモト
メディアの暴走により夫婦の素情が暴かれ、事件は思いも良ならない展開を見せます。
幸せに見えたニックとエイミーですが、実は結婚生活は早いうちから破綻していたのでした…。
短大の講師を務めるニックと元教え子の浮気を見抜いたエイミーは、壮絶な復讐を実行します。
夫への復讐のために妻のエイミーは整形して別名を名乗り、失踪したと見せかけることでニックが妻殺害の容疑で死刑になることを待っていたのです…!
マルコヤマモト
エイミーが抱える闇が深すぎで、ニックはよく最後あのような決断を下せたな…と驚くとともに、結婚・妊娠・子供…といろいろなものが巡って肩が重くなりました。
マルコヤマモト
第15位『母なる証明』
- 『パラサイト 半地下の家族』『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督作品
- 殺人事件の容疑者にされてしまった息子を全力で守ろうと奔走する母親の愛を描く
- 衝撃のラスト30分!思いもよらぬどんでん返しが待ち受けている
2009年公開の『母なる証明』は、『パラサイト 半地下の家族』『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督による長編3作目。
第62回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で上映され、第30回青龍映画大賞では最優秀作品賞を受賞。
マルコヤマモト
韓国の田舎町で女子高生が殺される事件が発生。
容疑者として疑われたのは、精神薄弱で子供のような純粋な心を持つ青年のドジュンでした。
母親は息子の無実を警察や弁護士に訴えかけますが信じてもらえず、独自で事件解決のために奔走し始めます。
殺害された女子高生が売春行為をしていたことを突き止めた母親は、その相手こそが事件の真犯人であると考え、「とある男」の元へ向かいますが…。
マルコヤマモト
子供のために善悪を超えて暴走する母親の愛に共感し始めたところでやってくる衝撃の展開に驚き…!
実は息子のドジュンは精神薄弱ではなかった…というオチ。
一連の母親の行動は「愛」と言えるのだろうか、親子の愛とは…いや、でもこれこそが息子への究極の愛だよな、と深く考えたくなる作品でした。
マルコヤマモト
『母なる証明』作品情報 『殺人の追憶』『グエムル-漢江戸の怪物-』で注目を集めた、ポン・ジュノ監督の長編第4作……
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第14位『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
- 2度と見たくないけど名作!?ラース・フォントリアー監督の名作鬱映画
- アイスランド出身の歌姫ビョークを主演を務め、2000年のカンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞
- 息子のために全てを投げ打つ母親の愛を描く
2000年公開の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は鬱映画の巨匠、ラース・フォントリアー監督が歌手のビョークを主演に取り上げたドラマ映画。
2000年開催のカンヌ国際映画祭ではパルムドールと主演女優賞を受賞したほか、第24回日本アカデミー賞でも外国語映画賞を受賞するという名作です。
マルコヤマモト
チェコからアメリカに移民としてやってきたセルマは、息子のジーンと2人きりで慎ましい生活を送っていました。
周りの人々に支えられながら前向きに生きてきたセルマでしたが、徐々に視力を失う病気を患っていたのです。
しかも病気は遺伝性で、手術を受けない限り息子のジーンも同じ運命を辿ることに…。
息子のジーンに手術を受けさせる決意をしたセルマですが、ある日一生懸命貯めた手術代が盗まれてしまいます…。
マルコヤマモト
視力をほとんど失ったセルマは、手術代を奪ったビルを殺害してしまい、裁判にかけられ死刑にされてしまうのです。
マルコヤマモト
子供には親が必要だし、ジーンが手術を受けたとしても、セルマのことはどう受け止めていくんだろう…。
それでも美しさと母親の愛があることがほんの少しの救いかな…とも思います。いや、思わない!
マルコヤマモト
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第13位『ファニーゲーム』
- 1997年のカンヌ国際映画祭で途中退出者続出の衝撃作品
- 『ピアニスト』で2001年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したミヒャエル・ハネケの早すぎる金字塔
- 映画のお決まりは通用しない、本物の暴力を見せられて凍りつく
2001年公開の『ファニーゲーム』は、オーストリアのミヒャエル・ハネケ監督が手がけたバイオレンス・サスペンス。
1997年のカンヌ国際映画祭では、そのあまりにもショッキングな映像と内容に途中退出者が続出。
マルコヤマモト
バカンスのために湖の辺りにある別荘へ向かったショーバー一家。
妻のアナは見知らぬ男性2人組から「卵を分けて欲しいと」いう申し出に応えるも、わざと2度も卵を割られてしまいます。
男たちの態度にイラついた夫のゲオルグが男の1人に平手打ちを喰らわせると男たちの態度が一変!
ゲオルグは男の1人にゴルフクラブで膝を打ち砕かれ、家族3人はソファーに縛り付けられてしまいます。
そして、男たちから「明日の朝まで君たちが生きていられるかゲームをしよう」と持ちかけられ、残酷でおぞましいゲームが開始されるのです…。
マルコヤマモト
観客はただただ目の前で繰り広げられる暴力を見せないカタチで見せられ、男たちが画面の向こうの観客に向かって話しかけてくる突然の演出に、さらなる恐怖を覚えます。
マルコヤマモト
パウルとペーターが家を訪ねては家族を殺して、それを繰り返していくだけの内容。
しかし、映画としては面白い演出が盛りだくさんなことにも驚きます!
画面向こうの観客に向かって話しかけてくる演出や、登場人物が映画を早戻しするという演出は『デッドプール』でも見られるので、作品の評価は別れるものの斬新なものだったんだな、と感心します。
マルコヤマモト
第12位『パラサイト 半地下の家族』
- ポン・ジュノ監督がアカデミー賞とカンヌ国際映画祭を制したブラック・エンターテイメント
- 半地下のアパートで暮らす全員無職の一家がお金持ちの家庭に寄生する計画を描く
- 中盤以降の急転直下が半端ない!スクリーンを通して「匂い」を感じる脚本が秀逸
第92回アカデミー賞でアジア映画初の作品賞を受賞したことでも話題になった『パラサイト 半地下の家族』。
マルコヤマモト
主人公は韓国の半地下のアパートに住む全員失業中のキム一家。
長男のギウがお金持ちの家での家庭教師の仕事を紹介されたことをきっかけに、一家全員で寄生していくという計画を思いつきます。
ギウと長女のギジョンが子供たちの家庭教師として、父のギテクが運転手、母のチュンスクが前任家政婦を追い出して新たな家政婦の座につき計画は見事成功したように思えました。
しかしある雨の夜、前任の家政婦が「忘れ物」を取りに来たことから、キム一家の計画が崩れ始めます…。
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地下、半地下の人間たちがお互いに足を引っ張り合う醜い姿は一見滑稽に見えますが、見事なまでの現代社会の縮図で、どんなに頑張っても地上へ行くことができない人間たちが必死になる姿は見ていて悲しくなりました。
また、『パラサイト 半地下の家族』では、普段映画を観るときには使わない嗅覚を刺激されます。
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お金持ちのパク社長がキム運転手に対して「切り干し大根のような匂いがする」と言ったことや、地下に潜んでいたグンセの匂いに鼻を摘んであからさまに顔をしかめるところを見て、染み付いた生活(階級)の匂いって隠すことができないんだな…と気付かされました。
ラストはポン・ジュノ監督作品らしい物悲しさ溢れる終わり方。
マルコヤマモト
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第11位『八甲田山』
- 新田次郎原作『八甲田山死の彷徨』を高倉健、北大路欣也などの名優キャストで映画化
- 明治35年に実際に起こった「八甲田雪中行軍遭難事件」を元に、極限状態の人間と組織のあり方について描く
- 北大路欣也の台詞「天は我々を見放した」は当時の流行語になった
1977年公開の『八甲田山』は新田次郎原作小説の映画化で、明治時代に199名の死者を出した「八甲田雪中行軍遭難事件」を元に製作された作品です。
マルコヤマモト
日露戦争を直前に控えた明治34年。
対ロシア戦の準備をしていた日本軍は、現地での寒さに耐える訓練として厳寒期の八甲田山で行軍を行うという訓練を行うことに。
雪中行軍の実績がある神田と徳島を筆頭に合計210名の兵が行軍に出発するものの、指揮権のない大隊長の介入や案内人が雇われなかったなどのアクシデントに加え、天候の悪化など悲惨な出来事が軍隊を襲います。
さらには慣れない雪や土地、寒さに次々と命を落とすものが続出し、ついに本部は雪中行軍の中止を決意…するものの連絡するすべもないという最悪の状況に。
徳島大尉は無事行軍を成し遂げたものの、結果210名中199名もの死者を出した大惨事となってしまいました。
その後日露戦争に突入した日本ですが、雪中行軍を成し遂げた徳島大尉を含む20名は全員戦死してしまいます。
マルコヤマモト
緊急事態における統制の悪さや情報伝達の下手くそさなどが、現代の何らかに通じるものがあり非常に憤りを感じます。
マルコヤマモト
しかしCGがない時代、本物の雪の中での撮影に逃げ出す役者もいたのもうなずけます。
凍傷のシーンや雪の崖を登るシーンでは下着も排泄物も凍りつくという雪山の過酷さもじわじわ伝わってきて、観ているだけで指先が凍りそうです。
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第10位『ジョーカー』
- バットマンの宿敵であり、悪のカリスマ・ジョーカーの誕生秘話を描く
- 主演のホアキン・フェニックスが第92回アカデミー賞で主演男優賞を受賞
- ただ生きていただけなのに、落ちていき、悪として目覚める男の運命が悲しい
マルコヤマモト
2019年に公開された『ジョーカー』では、ジョーカーの意外な誕生秘話を描き、第92回アカデミー賞において作品賞を含む11部門にノミネート、主演を務めたホアキン・フェニックスが主演男優賞を受賞しました。
『ハングオーバー!』などコメディ・シリーズを手がけてきたトッド・フィリップスが監督を務め、DCコミックスにはないオリジナルの物語を描きます。
マルコヤマモト
ゴッサムシティで病気がちな母親の面倒を見ながら、コメディアンを目指して大道芸人として地道に働くアーサー。
「どんな時でも笑顔で人を楽しませなさい」という母親の言葉を胸に、コメディアンとして人々に笑いを届けようとしていたアーサーは、次々と自分を襲う不幸から抜け出そうとしますが…。
「狂っているのは僕か?それとも世間?」
コメディアンを目指して一途に働いてきたアーサーが、職を失い、福祉援助ももらえず社会から疎外され、母親からも、さらには自分が信じていた笑いの神様にまでも裏切られる…。
映画『ジョーカー』は1つの巨悪が生まれる姿を、とてもリアルに描いていると思いました。
マルコヤマモト
『ジョーカー』作品情報 映画『ジョーカー』は、DCヒーローのバットマンの宿敵にして人気キャラクターのジョーカー……
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第9位『チェイサー』
- 『哭声/コクソン』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督衝撃の長編デビュー作
- 韓国で実際に起こった連続殺人事件をモチーフにした物語
- 当時無名だったハ・ジョンウ、キム・ユンソクがW主演を務め、のちにブレイクするきっかけに
2009年公開の『チェイサー』は、2004年に韓国で実際に起こった連続殺人事件をモチーフにしたクライム・サスペンス。
今作ののちに『哀しき獣』『哭声/コクソン』を手がけることになるナ・ホンジン監督の長編デビュー作で、韓国での観客動員数500万人を記録したほか、各国でも高い評価を受けた作品です。
マルコヤマモト
元刑事で風俗店の元締めを務めるジュンホは、店の女たちが相次いで行方不明になっていることを不審に思い、独自に調査を始めると、1人の男にたどり着きます。
そして今まさに男の元へ仕事に出たミジンという風俗嬢が、男に捕らえられ殺されそうになっていました。
男の元に辿り着いたジュンホは追跡劇を繰り広げた末に男を警察に引き渡しますが、その数日後に男は証拠不十分で釈放されてしまうのです。
その頃男の家の浴室で気を失っていたミジンは意識を取り戻し、脱出を試みますが…。
元刑事と連続殺人犯の壮絶な追跡劇を描いた『チェイサー』。
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家を脱出し、連続殺人犯の男からうまく逃げられたかに思えたミジンですが、残念ながら男に見つかって殺されてしまいます。
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あんなに必死になったのに、誰も救われない…という悲しい物語。
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『チェイサー』作品情報 2004年に韓国で起きた連続殺人事件を題材にした衝撃のサスペンス。 『神と共に 第一章……
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第8位『縞模様のパジャマの少年』
- ジョン・ボインの世界的ベストセラー小説が原作の戦争映画
- ナチス将校を父にもつ少年と強制収容所のユダヤ人少年の友情を描く
- ホロコーストを背景に描くフィクション作品
2009年公開の『縞模様のパジャマの少年』は、ジョン・ボインの世界的ベストセラー小説が原作の戦争映画。
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軍人である父親の仕事の都合でベルリンから遠く離れた郊外の町に引っ越してきたブルーノ。
遊び相手もおらず寂しく暮らすブルーノですが、ある日農場のような施設で縞模様のパジャマを着た少年・シュエムルと出会います。
シュエムルの正体がドイツ軍に迫害されているユダヤ人と知らずに交流を深めていくブルーノですが、2人の交流は大人たちには秘密でした。
ある日父親がユダヤ人に対して残忍な行為をしているところを目撃した母親が、父親を置いて引っ越しを決意。
シュエムルのことが気がかりになったブルーノは縞模様のパジャマを着て施設へ潜入し、シュエムルを探して「シャワー室」と呼ばれる部屋へ入ってしまい…。
マルコヤマモト
ホロコーストを背景にした作品ですが、こんなにも悲しくて呆気に取られる作品は初めてでした。
同時にナチス・ドイツが行ってきた非人道的行為や、それらは忘れたり繰り返されてはならないと、改めて考えさせられます。
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第7位『レクイエム・フォー・ドリーム』
- 『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督によるドラッグ・ムービー
- ドラッグを使用した人の衝撃的な末路と恐怖を視覚的に表現
- 2009年の「落ち込む映画ランキング」で1位を獲得
2001年公開の『レクイエム・フォー・ドリーム』は、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督による、衝撃のドラッグ・ムービー。
マルコヤマモト
テレビを見るのが大好きな中年未亡人のサラは、自分の大好きなテレビ番組への出演が決まったことでダイエットを開始。
サラの息子でドラッグ漬けのハリーは、恋人とのささやかな夢を抱えるためにドラッグの密売に手を染めてしまいます。
やがてダイエットに成功したサラはダイエット薬の中毒になり、商売がうまくいかなくなったハリーは、恋人のマリオンとともにドラッグの常用者になってくのです…。
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ハリー役のジャレッド・レト、サラ役のエレン・バースティンの体当たりの演技もリアルで見逃せません。
マルコヤマモト
第6位『誰も知らない』
- 『万引き家族』の是枝裕和監督による実話ベースのドラマ映画
- 12歳の長男役を演じた柳楽優弥が、2004年の第57回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞
- 両親の失踪により幼い弟妹の面倒を見る長男の姿を通して社会の闇を描く
2004年公開の『誰も知らない』は、『万引き家族』の是枝裕和監督による実話ベースのヒューマンドラマ。
マルコヤマモト
都内の2DKのアパートで母親とともに暮らす4人兄妹。
しかし兄妹の父親は皆別人物で、彼らは学校にも通ったことはなく、長男の明以外はその存在すら大家にも知られていませんでした。
ある日母親が僅かな生活費を残して失踪したため、明は幼い弟妹たちを守ろうと決意するのですが…。
マルコヤマモト
親と死別してしまった清太と節子とは違い、明以外は存在すら知られていない、知られてはいけない子供たちなのです。
マルコヤマモト
次から次へと子供たちを襲う不幸だけでなく、彼らを支える女子中学生は援助交際をしているなど、目を背けたくなるような社会の闇がバンバン盛り込まれており、胸が痛くなります。
マルコヤマモト
実際の事件は映画よりもっと凄惨ですが、しっかり脚色されていることできちんと向き合うことができる作品に仕上がっています。
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第5位『セブン』
- 『ファイト・クラブ』『ゴーン・ガール』のデヴィッド・フィンチャー監督によるサスペンス
- 七つの大罪をモチーフにした連続殺人事件に新米刑事とベテラン刑事のコンビが挑む
- 犯人の計画に巻き込まれてしまうラストが切ない
1996年公開の『セブン』は、『ファイト・クラブ』『ゴーン・ガール』を手がけたデヴィッド・フィンチャー監督による重厚なサスペンス。
マルコヤマモト
定年間近の刑事・サマセットと新米刑事ミルズは連続殺人事件を担当することになり、捜査の途中で一連の事件がキリスト教の「七つの大罪」をモチーフにしていることに気がつきます。
やがて事件の犯人に目星をつけたサマセットとミルズは、犯人であるジョンの部屋に突入しますがジョンは直前で逃亡。
計画を変更したジョンは、ミルズ刑事を自分の事件に巻き込むことを考えるのです。
マルコヤマモト
もはやどのジャンルでも評価の高い、デヴィッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットがタッグを組んだ名作サスペンスです。
「七つの大罪」をモチーフにした連続殺人事件も1つ1つがかなりグロテスクで見ごたえがあるのですが、やはり1番の見どころは、犯人・ジョンがどのように「七つの大罪」を完成させるか。
ラストは祈るような気持ちで見ていましたが、見ている側も案の定裏切りに遭うために、かなり強烈なインパクトが残る作品です。
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第4位『ジョニーは戦場へ行った』
- 第一次世界大戦時に実在したイギリス人将校をモデルにした反戦映画
- 1971年の第24回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ、国際映画批評家連盟賞を受賞
- 戦争のたびに絶版を繰り返した、ダルトン・トランボ監督原作小説の映画化
マルコヤマモト
原作小説は第二次世界大戦中の1939年に発行されましたが、強すぎる反戦メッセージのために1945年に絶版。
その後復刊するも朝鮮戦争やベトナム戦争など、戦争のたびに絶版と復刊を繰り返し、ダルトン・トランボ監督自身も逮捕され、その後映画界から事実上追放されていたというエピソードがあります。
マルコヤマモト
第一次世界大戦に出征したジョーは異国の戦場で敵の砲撃を受け、目・耳・鼻・口を失い、運び込まれた病院で機能していない両手両足を切断されてしまいます。
意識だけが残っているジョーは皮膚感覚だけで全てを感知しようとし、定期的に鎮静剤を投与されては現在と過去の意識の間を彷徨います。
全てを失い真っ暗闇の現在のジョーをモノクロ映像で、過去の回想をカラー映像で描く演出が見事です。
マルコヤマモト
かろうじて頭を動かせるジョーは、モールス信号を通じて人々に訴えかけるようになります。
そうして最後には「殺してくれ…」と。
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死にたいのに死ねないという最悪な状況、こんな状態なのになんで自分は生き残ってしまったんだろうと、後悔するのではないでしょうか…。
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第3位『冷たい熱帯魚』
- 鬼才・園子温が監督を務め、いくつかの実在事件をモチーフに製作したサスペンス
- 普段素朴なイメージが強いでんでんがトラウマ級の演技を披露
- グロ描写もあり刺激は強めなので鑑賞注意
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2010年公開の『冷たい熱帯魚』は、鬼才園子温監督が、埼玉愛犬家連続殺人事件をはじめとするいくつかの実在事件をモチーフにした衝撃のサスペンス。
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熱帯魚店を営む平凡な中年男性・社本が想像を絶する犯罪に巻き込まれる物語を通して、人間の狂気と極限の愛を描きます。
娘・美津子の万引きをきっかけに知り合った村田という同業者の男から、ビジネスパートナーにならないかという話を持ちかけられる社本。
しかし、村田の正体は恐ろしい連続殺人鬼だったのです…。
社本が村田の正体に気づいた時は時すでに遅し、物事は取り返しのつかない方法へ進んでいました。
人の死をなんとも思わず、共犯の妻とともに笑いながら死体の処理を淡々とする村田。
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また、実際の事件の手口を再現していることにも、この事件の「悪」を感じます。
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ラストは言わずもがな衝撃的。
親の愛ってここまで伝わらないものなんだな…と思うと虚しくなります。
また、今作も園子温監督らしい血みどろ・エロ・グロ描写多めなので、苦手な方には絶対におすすめしません。
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第2位『MOTHER マザー』
- 『日日是好日』『光』の大森立嗣監督による実際の事件をモチーフにしたヒューマンドラマ
- 長澤まさみがクソ母を熱演、息子役にはオーディションを勝ち抜いた新人俳優・奥平大兼を起用
- 最悪すぎる、登場人物誰に対しても共感できない
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2020年公開の『MOTHER マザー』は長澤まさみ主演、『日日是好日』『光』の大森立嗣監督によるヒューマンドラマ。
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男たちとゆきずりの関係を持ち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様な執着を見せ、自分への服従を強いて生きてきました。
また周平も歪んだ母親の愛に必死に応え、社会から切り離された2人の間には不思議な絆が生まれます。
しかしそんな絆がやがて17歳になった周平をある一つの事件へと向かわせてしまうのです…。
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私たちが知らないだけで、もしかしたら過酷な環境で生きている子供たちってたくさんいるのかもしれない…と思うと見過ごされてしまうSOSがあることにさらに落ち込みます。
驚くべきは「自分に責任がある」と言った周平と、「どう育てようと私の勝手」と言い放つ秋子。
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『コンフィデンスマンJP』シリーズの長澤まさみとは別人のような、『MOTHER マザー』の長澤まさみ。
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第1位『チョコレートドーナツ』
- 同性愛に対して根強い偏見が残る1970年代のアメリカであった実話を元にした映画
- 育児放棄されたダウン症の子供を養子に迎え入れたゲイカップルの物語を描く感動作品
- 社会の格差や同性愛に対する偏見や仕打ちが見ていて辛い
2014年公開の『チョコレートドーナツ』は、実話をベースにした感動作。
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カリフォルニアで歌手になるこを夢見ながらショーダンサーとして日銭を稼ぐゲイのルディは、ゲイであることを隠して生きる検事局のポールと恋に落ちます。
アパートの隣室に暮らすダウン症の少年・マルコを気にかけていたルディは、マルコの母親が薬物所持により逮捕されたことをきっかけに、法的な手続きによってマルコを引き取りポールとともに育てようと決意します。
しかし幸せな日々は束の間、ひょんなことからマルコとの関係は裁判沙汰になり3人は引き裂かれてしまうことに…。
さらにもっと不幸な事件が3人を襲います。
2人に会うために母親の元を抜け出したマルコが、行方不明になった末、遺体で発見されたのです…。
ルディはマルコのためにステージで歌い続けることを誓います。
後味が悪いけれど力強いラスト、テーマ性と作品としてのレベルが高いことから『チョコレートドーナツ』を1位にしたいと思いました。
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現代になってLGBTQの問題が取りだたされるようになりましたが、1970年代当時の時代背景を考えると、ルディとポールの状況はかなりキツかったことでしょう。
マルコだって本当はルディとポールと一緒にいた方が幸せになれたはずなのに…。
子供の幸せを考えても、薬物中毒の母親の元に戻るくらいなら「親権」なんて本当に意味がないと思います。
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胸糞映画おすすめランキングベスト40まとめ
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定番から新作まで網羅してきましたが、どれもこれも甲乙つけがたいほどに後味が悪く、考えさせられる作品が多かったです。
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しかし、このランキングに含まれている作品を全て鑑賞できたら、映画ファンとしてのランクも一段階上がったような気がしませんか?
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