1946年から行われている伝統ある映画賞「毎日映画コンクール」が2月13日にミューザ川崎シンフォニーホールで開催されました。
栄誉ある映画大賞には『蜜蜂と遠雷』が選ばれ、男優主演賞に『カツベン!』の成田凌、女優主演賞には『新聞記者』のシム・ウンギョンが選出されました。
こちらの記事では、毎日映画コンクール表彰式の一人一人の受賞者コメントをたっぷりと写真付きでプレイバックしていきたいと思います。
気になる賞の受賞者コメントにジャンプしたい場合は下の目次から飛べます。
目次
- 1.第74回 毎日映画コンクール開式のご挨拶
- 2.第74回 毎日映画コンクール表彰式
- 2.1アニメーション映画賞:『海獣の子供』渡辺歩監督
- 2.2大藤信郎賞:『ある日本の絵描き少年』川尻将由監督
- 2.3ドキュメンタリー映画賞:『えんとこの歌/寝たきり歌人・遠藤滋』伊勢真一監督&遠藤滋さん
- 2.4TSUTAYAプレミアムファン賞外国映画部門 / 外国映画ベストワン賞:『ジョーカー』トッド・フィリップス監督
- 2.5TSUTAYAプレミアムファン賞日本映画部門:『凪待ち』白石和彌監督
- 2.6スポニチグランプリ新人賞:関水渚『町田くんの世界』
- 2.7スポニチグランプリ新人賞:鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』
- 2.8撮影賞:クリストファー・ドイル『ある船頭の話』
- 2.9美術賞:磯田典宏『カツベン!』
- 2.10録音賞:藤本賢一『半世界』
- 2.11音楽賞:RADWIMPS『天気の子』
- 2.12脚本賞:阪本順治『半世界』
- 2.13監督賞:石川慶『蜜蜂と遠雷』
- 2.14特別賞:宮本まさ江
- 2.15女優助演賞:池脇千鶴『半世界』
- 2.16男優助演賞:吉澤健『凪待ち』
- 2.17田中絹代賞:風吹ジュン
- 2.18女優主演賞:シム・ウンギョン『新聞記者』
- 2.19男優主演賞:成田凌『カツベン!』
- 2.20日本映画優秀賞:『新聞記者』
- 2.21日本映画大賞:『蜜蜂と遠雷』
- 3.第74回 毎日映画コンクール表彰結果まとめ
第74回 毎日映画コンクール開式のご挨拶
毎日新聞社 朝比奈豊会長「新鋭監督の台頭、これほど嬉しいことはない」
朝比奈会長「本日は、第74回 毎日映画コンクール表彰式にお集まりいただき、誠にありがとうございます。この会場には今の日本映画界を代表する錚々たるメンバーがお集まりでございます。本日はたくさんの方がいらっしゃいますが、映画ファンの皆さま、映画人の皆さま、表彰式の最後までお楽しみいただければ幸いでございます。
昨年(2019年)の日本映画界、興行収入が2,611億円を超し、入場者の数は1億9,400万人という大変な記録づくめでございまして、『天気の子』が140億円を超え、他にも100億円超えが3本も出て、映画界が非常に活況を呈しました。海の向こうのアカデミー賞では韓国の映画が気を吐きましたけれども、昨年は日本でも素晴らしい作品が相次ぎました。
今回、日本映画大賞に選ばれました『蜜蜂と遠雷』をはじめとしまして、受賞した作品、それから受賞者のリストがお手元のプログラムに載っております。選考経過なども詳しく載っておりますので、ぜひお読みいただければと思います。
今回の選考結果を聞いて、監督を見ますと『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督、それから『新聞記者』藤井道人監督ともに新鋭ですよね。こういう若い人たちが素晴らしい映画を作ってくれた。これほど私は嬉しいことはないなと、そういう希望のようなものを持ちました。今、日本映画界の監督は新鋭からベテランまで群雄割拠になっていてこれから大いに期待できるな、と今回の顔ぶれを見てワクワクするような想いでした。
大手の映画社や独立系の映画も含めて、たくさんの映画が公開されて本当に感謝しております。ありがとうございました。」
一般社団法人日本映画製作者連盟 岡田裕介会長
岡田会長「昨年、映画界の興行収入においては新記録という非常にありがたい結果を残すことができました。それも皆さんのおかげでありますが、ここに来るまで映画界も長い間大変だった思い出がございます。なんとなく感無量でございますが、今は地殻変動が起こっていると言いますか、他メディア含めて大変な時代を迎えた中で映画界だけなぜか良かったと。いつまで続くかは分かりませんが、我々映画界一同みんなまだまだ頑張っていきたい、ますます盛り上げていきたいと思う次第であります。
そんな中、今回で74回目の毎日映画コンクールを無事に開催されて、本当に喜びも一入でございます。今回選ばれた作品を私も見させていただきましたが、この後行われる日本アカデミー賞とはずいぶん違った作品が選ばれるなぁと。『蜜蜂と遠雷』はダブって入っていますが、大きく違うなと感じています。
しかし、それも確かな映画のコンテンツとまたそれぞれのコンクールの持っている特徴が出て、それも大変良いことだと思います。何が1位で何が2位ではなく、人それぞれが好み、良い映画だと思ってもらえるような作品がありがたいと思います。
最近、私はBS/CSで昔の映画を見ることが多くなったのですが、まぁ昔の映画は金がかかって立派な映画が多かったなぁと。最近は本当に人件費が高いのかどうなっちゃったんだろう、とつくづく思っております。やっぱり我々映画人も大作と呼ばれる作品を作っていかないといけないなぁと考える今日この頃であります。
最後に皆さんにお願いがありますが、最近は「映画」ってなんだろうと思ったときにぐちゃぐちゃになってきちゃったと思うのですが、やっぱり映画は「映画館で流れているものを映画」としたい。配信やテレビなど同じ映像ですが、やはり映画館で最初に流れているものを「映画」とどうか皆さんで共通の定義として持っていただきたいと考えています。ありがとうございました。」
川崎市長 福田紀彦さん「川崎市は映画・映像の街」
福田市長「第74回 毎日映画コンクール表彰式、今年も川崎で開催できますことを心から御礼申し上げます。川崎市は4つのシネマ、映像施設、そしてなんと言っても今村昌平さんが創られた日本映画大学が川崎市内にあり、映画・映像関係の人材が本当に揃っている素晴らしい場所であります。
その人材や施設などを有機的につなげて映像を作り上げるということに取り組んできてもう12年になりますけれども、この間に朝比奈会長もおっしゃっていただいたように11回に渡って毎日映画コンクールを川崎で開催できましたことは、私どもの映像の街としての取り組みにとって本当に大きなことでしたし、素晴らしい映画人を川崎の地にお迎えできて、本当に光栄なことだと思っております。
これからも映像の出発点として、人材育成や映画・映像を作り出す人たちをしっかりとバックアップしていきたいと思います。ぜひ、これからも映画のロケ地に選んでいただいたり、映画界を代表するような作品に携わっていけたらなぁと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。受賞者の皆さま、本当におめでとうございます。」
第74回 毎日映画コンクール表彰式
アニメーション映画賞:『海獣の子供』渡辺歩監督
渡辺監督「まずは、今日ここには見えてないのですが、非常に困難なアニメのタイトルを最後まで信じて走ることに尽力された田中栄子プロデューサーに御礼を申し上げたいです。ありがとうございました、あなたの映画です。
そして、この映画に力を与えてくれた音楽の久石譲先生に心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました、あなたの映画です。
アニメーションというのは1枚1枚の絵を積み重ねて映画として仕立て上げていくのですが、小西賢一という偉大なアニメーターの力なくしてはこの映画は成り立ちませんでした。今日この会場のどこかにお見えになっているはずですので、ぜひとも拍手をいただけたらと思います。ありがとうございます、あなたの映画です。
僕は20年くらい前に『おばあちゃんの思い出』という短編でこの賞をいただきまして、その時は非常に引っ込み思案でこの場に来れなかったんですけれども、まだ若かったので「また来れる」と思っていたのですが、ここに来ることを目標にやってきましたが20年掛かってしまいました。でも、本当に嬉しいです。賞をもらえるというのは、こんなに嬉しいものなんですね。本当にありがとうございました。」
大藤信郎賞:『ある日本の絵描き少年』川尻将由監督
川尻監督「大藤信郎賞は僕の学生時代からの憧れでして、過去受賞者の岡本忠成さんや川本喜八郎監督の作品を見て、先人たちがこれだけ実験的なことをやっているんだから僕みたいな新しい世代はそういう表現に果敢に挑戦するべきだと思い、その時に思いついたのが“少年の絵柄の変遷を追っていくようなドラマ”が作れればと思いました。
思いついたは良いものの、結局作るまでにすごく時間がかかってしまいまして、そういう意味でハッパをかけてくれた友人たちや、スタッフ・キャストの皆さま本当にご協力ありがとうございました。
この場は実写映画の方たちが結構たくさんいらっしゃると思うので、この際なのでご紹介したいのですが、本作『ある日本の絵描き少年』は漫画家を描く少年が主人公なのですが、もう一人主人公がいて、それがアウトサイダー・アートをやっている絵描きさんで、そういう意味で役者さんも障がいを持った方たちに演じてもらいました。
そこでご協力いただいたのが知的障害者専門の芸能事務所アヴニールさんでして、僕も常々思っているんですけど、日常生活ではそういう方たちに普通に出くわすのに、映画を見るとなかなか出てこないことに違和感があったので、ぜひ普通の役でもいいのでアヴニールさんを使っていただけたらと思っています。本当にありがとうございました。」
ドキュメンタリー映画賞:『えんとこの歌/寝たきり歌人・遠藤滋』伊勢真一監督&遠藤滋さん
伊勢監督「24年前に『奈緒ちゃん』という映画で賞をいただいて、自主制作・自主上映でずっとやってきたのですが、『奈緒ちゃん』ができた時に自主上映をやってくれた一人が学生時代の友人である遠藤滋でした。それ以来、遠藤自身にカメラを向けることを始めたので、最終的に24年間の記録となって昨年できあがりました。
実際には2016年に起きた相模原の事件(=相模原障害者施設殺傷事件)が大変ショックで、そのことを多くの人がきちんと考えてくれたらと思いながら遠藤にカメラを向けて撮影を続けてできあがりました。
考えてみれば、50年くらい前に学生時代一緒に過ごした日々を思えば、50年かかって今回の映画ができたと言っても過言ではないかもしれません。遠藤から言えば今年72になるんですが、本当に奇跡的に命を拾って、自分の力と周りの人の力でしっかりと生き続けたということが今作の大きな感動につながっているんだと思います。
今日せっかく一緒に来ているので、遠藤からも一言と思っているのでよろしくお願いいたします。」
遠藤滋さん「この映画には私の短歌が上手に使われていて、それが映像とよく合っています。その意味で私も映画作りに参加しているような気分にさせられてしまいます。しかし、私の短歌がどこまで届いているか、そして受け止められているかについては歌を読んだ者としてはやはり気になります。それが短歌の良いところなのでしょう。」
伊勢監督「毎月10種類以上の短歌を同人雑誌に投稿しているんですけれども、これからできあがった映画をなんとか一人でも多くの人に届けたいと思っています。自主上映を中心に色々なところで見ていただき、遠藤と介護者たちがどういう思いで今の時間を生きているかということを多くの人に見てもらうことに意味があると思うので、ぜひ力になってください。ありがとうございました。」
TSUTAYAプレミアムファン賞外国映画部門 / 外国映画ベストワン賞:『ジョーカー』トッド・フィリップス監督
本作については、配給会社ワーナー・ブラザース・ジャパンの土合氏が代表してコメントされました。
土合朋宏「今回はこのような素晴らしい賞を2つもいただきまして、本当にありがとうございます。監督のトッド・フィリップス、主演のホアキン・フェニックスならびに全てのスタッフを代表いたしまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。恒例ではありますが、トッド・フィリップスからのメッセージを代読させていただきたいと思います。
ホアキン・フェニックス、スタジオ、フィルムメーカー、そして映画をご覧くださった方々をはじめ、本作を応援してくださった皆さまに心から感謝申し上げます。
トッド・フィリップス監督も日本人のように心遣いがあり、尚且つ丁寧語・謙譲語もできるということで、だいぶ日本語が上達されているのではないかと思います。
この間、アカデミー賞の発表がございまして、トッド・フィリップス監督のスピーチはなかったんですが、主演のホアキン・フェニックスが主演男優賞を獲りました。ここにいらっしゃる方はもうご存知かと思いますが、その中でホアキン・フェニックスが「貧困や性別、人種、そういったもので差別や搾取はされるべきではない。自分はかつて非常に悪い人間だったけど、再起のチャンスをいただいてそれでここまで来れた。再起のチャンスをくれたことに感謝している」とおっしゃっていました。
まさに『ジョーカー』はそういった映画です。主人公は非常に貧しくて、差別されていた人間がある失敗を行い、その失敗に再起のチャンスが与えられず、どんどん社会から疎外されていく。そういう物語でございます。そういった意味でホアキン・フェニックスはまさに自分が伝えたい気持ちをこの作品に乗せて役を演じきったのではないかなと思います。
『ジョーカー』は映画館でだいたい340万人くらいの方に見ていただくことができました。そして、TSUTAYAさんではだいたい80万人くらいの方が見ていただけるのではないかと推計しています。もしも、この映画が数年前に公開されていたら、たぶんこれほどたくさんの方に見ていただけなかったのではないかと思っています。それほどこの映画は今の時代の空気を捕まえ、見てくださるお客様の気持ちを捉え、本当に幸せな作品だったと思います。
我々ワーナー・ブラザースは、今後も皆さまの気持ちに寄り添い、感動を与えるような作品を1本でも多くお届けしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。」
TSUTAYAプレミアムファン賞日本映画部門:『凪待ち』白石和彌監督
白石監督「TSUTAYAプレミアム映画ファン賞ということで、ファンの方々に入れていただいた賞なので本当に嬉しいです。『凪待ち』は香取慎吾さんと一緒に石巻で震災を背景にした人間ドラマなんですけど、香取さんがいなければここに来ることはできなかったと思います。
香取さんも主演男優賞でノミネートはされいたんですけど、残念ながらこの場には来れなかったのですが、またいつか香取さんと一緒に映画を作ってこの場に来ることを次の目標に頑張っていきたいと思います。
『凪待ち』はオリジナル作品なんですが、キノフィルムズさんが「とにかくオリジナルで映画を作ってほしい」と最初のオーダーがあってチャレンジできた映画です。キノフィルズの皆さん、この映画を作るにあたって支えてくれたスタッフ・キャスト、全ての人に感謝します。そして、この映画を応援してくれた皆さんにも心から感謝します。
またこの場に戻って来れるよう、僕自身も精進しますので引き続き応援よろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。」
スポニチグランプリ新人賞:関水渚『町田くんの世界』
関水渚「まず、このような素敵な賞をいただけてこの場にいられることをとても嬉しく思っています。本当にありがとうございます。
『町田くんの世界』は私が初めて出演させていただいた映画です。この映画がなければお芝居の素晴らしさや楽しさを知ることはできませんでした。全てはこの映画で私を選んでいただいた石井監督と、今日ここに来てくださっている北島プロデューサーのおかげです。本当にありがとうございます。」
これからもたくさんの映画に出会えるように私も精進していきます。ありがとうございました。」
−−初の主演をオーディションで勝ち取りましたが、撮影の時に悩んだことや大変だったことはありますか?
関水渚「何かひとつに決められなくて、お芝居を初めて本格的にやらせていただいて何も分からなかったので全てに悩んだんですけど、石井監督に撮影前からリハーサルをしていただいて、そこで一つ一つ解決していったという感じです。」
−−共演の細田佳央太くんも初主演でしたが、色々と相談されたりはしましたか?
関水渚「お互いにとても緊張して、距離感も掴めず、撮影中ほとんど喋ってないんですよね…。隣にいたんですけど、全然相談とかもできずでした。」
−−今後も『コンフィデンスマンJP』など出演作が目白押しですが、目標にしている女優さんや今度の展開はどうでしょう?
関水渚「私が芸能界に入ったきっかけは石原さとみさんに憧れてなんです。これからは『町田くんの世界』がきっかけでお芝居の虜になったので、色んな映画に出られるように、息の長い女優さんになりたいです。」
−−ずばり、女優の魅力ってなんですか?
関水渚「ひとつに決められないんですけど、自分と違う別の人格に出会えて、色んな人の人生を覗けるような…うまく言葉にできないんですけど、本当に生きる活力のような…お芝居がないと私はもう生きていけないんですよね。」
−−プロデューサー、今の見事な答えでしたよね?
北島プロデューサー「見事な答えかはちょっと分からないんですけど、最初に出会った時に比べてこれだけ大勢の前で堂々と喋っていてすごいなと思います。」
−−彼女を抜擢したのはどういったところが決め手だったのでしょう?
北島プロデューサー「実際にオーディションに来たときは号泣からスタートだったんです。1回目入ってきたときは泣いちゃって芝居ができなくて、でもチャンスがないともったいないから泣き止んだらおいでと伝えて2回目来て、2回目も泣いていたんですね。ただ最後の最後に1,000人の中でも全く違うお芝居を持ってきて、そのインパクトがあまりにも大きくて選びましたね。」
−−楽しみですね!がんばってくださいね!
関水渚「がんばります!ありがとうございます。」
スポニチグランプリ新人賞:鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』
鈴鹿央士「この度は本当に素晴らしい賞をいただけて光栄に思っています。正直に言うと、僕は何を喋るか事前に考えずにここに来ているので思ったことを言わせていただきます。
『蜜蜂と遠雷』でお世話になった石川監督やプロデューサーさん、宣伝部の方とお会いして、改めて映画ひとつ作るのに大人の人たちが真剣に向き合って、良い作品を作るんだっていう想いで毎日過ごしているのが、本当に僕からしたらかっこよくて、そういう大人になっていきたいと感じている今日この頃です。はい…。」
−−監督、今の央士くんのコメントを伺いながらどんな感想ですか?
石川監督「えーっと、ほとんど聞こえなくてですね。もうちょっと声を張って、お願いします。」
−−広瀬すずちゃんが出てる作品のエキストラで「あ、彼いい!」って言ったことから始まったんですよね?
鈴鹿央士「そうですね。僕が通ってた高校に撮影に来られるということで、僕は「芸能人を見にいく」って行ったことがきっかけです。」
−−初めて広瀬すずを見たときの印象はどうでした?
鈴鹿央士「こんなに顔が整ってて、顔が小さくて、あぁ本当にこんな人がいるんだなぁと思って、なんか宇宙人みたいな感じでしたね。」
−−そしたら逆にスカウトされて、それまで芸能人になろうと考えたことはありましたか?
鈴鹿央士「ないです。岡山の田舎に住んでいたので、関係ない世界だろうと思っていました。」
−−『蜜蜂と遠雷』のピアノの映像が素晴らしくて、実際の演奏シーンの当てブリは見事でしたけど監督どうでしたか?
石川監督「央士くんは一番ピアノを触ったことない初心者だったと思うんですけど、現場ではかなり弾けるくらいまでやってもらったので、すごく良かったと思います。」
−−これからどういう俳優さんになっていきたいですか?
鈴鹿央士「上り坂も下り坂も、どんな壁もかかってこいやっていう感じで…」
−−では、最後に「かかってこいやー」とやっておきましょうか!
鈴鹿央士「え?え?…よしっ。かかってこいやー!」
−−ありがとうございました!頑張ってください!
鈴鹿央士「ありがとうございました。」
撮影賞:クリストファー・ドイル『ある船頭の話』
ドクリストファー・ドイル「ありがとうございます。日本にも大変素晴らしい撮影カメラマンがたくさんいる中で、私のような外国人に賞をくださり感謝いたします。撮影中は私だけが外国人でしたが、自分ひとりが部外者と感じることは一度もなく、同じホテルに泊まり、同じお弁当を食べ、ラーメンを食べて、ひとりの仲間として撮影を終えることができました。
驚いたのはスーパースターでハンサムな日本の俳優であるオダギリジョーさんが、今回は裏方に回り映画を撮られるということに本当にビックリしました。オダギリさんはロケーションであったり、クルーであったり、皆さんに素晴らしいスペースを与えて、このような素晴らしい映画になりました。
オダギリさんから、今回は50年代・60年代のクラシックジャパニーズフィルムを撮りたいということで、カメラを固定することが多かったのですが、私はどちらかと言うとカメラを持って走り回ることで有名なカメラマンなので、今回の撮影は新鮮でした。
撮影中にオダギリさんが「もっと引きで!引きで!」と言い、私はあまり引きで撮ったことがないので、引いていくと役者さんがあまり見えないというカットになりました。ですので、皆さんこの映画を見るときは携帯電話では見ないでください。
改めてオダギリさん、新潟の皆さんに御礼を言いたいです。暑い炎天下の撮影では冷酒を飲み、冬の寒い撮影では温かいお酒を飲んでこの映画ができまいした。ありがとうございました。」
美術賞:磯田典宏『カツベン!』
磯田典宏「幼い頃、祖母が私を背負いながら映画館に毎日通っていました。毎日通うというこは、毎日同じ映画を見るということなのですが、それが私の原点になっています。
この度は歴史ある賞に『カツベン!』の美術を評価していただいてありがとうございました。『カツベン!』は、大正時代と活弁士をどのように魅せるかという点で、築100年の芝居小屋に活弁士の声が響き渡るというこだわりがありました。
『カツベン!』の関係者の皆さま全てに感謝します。ありがとうございました。」
録音賞:藤本賢一『半世界』
藤本賢一「30年前、映画学校卒業間際の頃に先輩録音技師に連れられて、東京テレビセンターにオーロラショーを見に行ったんですが、その作品が阪本監督のデビュー作『どついたるねん』という映画でした。
僕はその映画を見て大ファンになり、その後ラッキーなことに『BOXER JOE』『ビリケン』で助手として付けることになり、映画監督というのはこういう人のことを言うんだなと現場で体験させてもらえました。そして、いつかこの監督とメインで作品を作りたいと願い続けて、『半世界』で実現できたのですが、阪本監督から電話で「お前空いてるか?」と言われた時には今日の喜び以上の喜びがあった記憶があります。
やっぱり憧れた監督だったので、意気込みに意気込み、『半世界』の中のキーとなる備長炭の音をスタジオで色々な音を出しながら作ったのですが、監督から「あの音なに?」「いる?」と聞かれ、「えー…やめますか?」「やりたい?」「いや、いいです」と言って引いたことがこの受賞に繋がったと思います。また勉強して次も呼んでもらえるように頑張ります。ありがとうございました。」
音楽賞:RADWIMPS『天気の子』
桑原彰「本日はこのような歴史のある賞をいただき誠にありがとうございます。新海監督を含め、たくさんのスタッフに支えられていただけた賞だと思っております。またいつかこの舞台に戻ってこられるよう頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。」
武田祐介「映画『天気の子』とともに歩んで出来上がった音楽が本当に多くの方に受け入れられて、名誉ある賞をいただいたことは大変光栄に思います。この映画に携わってくれた皆さんに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。」
野田洋次郎「この度は音楽賞、本当にありがとうございます。『天気の子』が公開される2年前から冒険が始まっていて、新海さん、川村元気さん、そして全スタッフで2年間走り抜いて作った作品です。見ていただいた方、そして応援してくださった方、本当にありがとうございました。
そして、毎日映画コンクールは4年前に新人賞もいただいた、とてもとても思い出深い映画コンクールで、また音楽賞という形で呼んでいただいてとても光栄に思っています。また戻ってこられるよう精進して、表現を頑張っていきたいと思います。これからもRADWIMPSをよろしくお願いいたします。」
−−2015年は演技者として新人賞でしたが、今回は音楽賞。どちらが嬉しいですか?
野田洋次郎「それ聞きますか?(笑)でも、新人賞のときは『トイレのピエタ』という作品で俳優として呼んでいただいて「まさか」という感じだったんですけど、今回の音楽賞は18年間RADWIMPSでやってきた本職なので、こっちでまた呼んでいただけたのはすごく感慨深いです。ありがとうございました。」
脚本賞:阪本順治『半世界』
阪本監督「私ごとなのですが、毎日映画コンクールはたぶん20年に呼んでいただいて、3年前に母が亡くなって遺品整理をしていた時にタンスの中からリボンが見つかったんですね。そのリボンに「来賓 毎日映画コンクール」と書いてありまして、20年前に僕は母を招待していたんです。
受賞の知らせを聞いた時に、タンスにずっと仕舞ってあったリボンのことを思い出し、またこのエピソードを『半世界』の脚本に書いていまして、長谷川博己くんがタンスを開けると柔道の準優勝の時のリボンをお母さまがタンスに仕舞っていたという。あの描写は毎日映画コンクールさんのリボンがきっかけで脚本に含みました。そういう意味でも感慨深いです。
『半世界』は同級生3人の話ではありますけど、稲垣吾郎くんと池脇千鶴さんの夫婦っていうものが地方都市でどれくらい長く外に出ずに過ごしてきたように見えるかも本作の大事なところではあったのですが、初日を迎えて、演技を見て「あぁ、これは成功したな」と思いました。今回、池脇さんと一緒に受賞できて良かったです。本当にありがとうございました。」
監督賞:石川慶『蜜蜂と遠雷』
石川監督「ありがとうございます。監督賞…すごくいい響きです。監督は普段はよく意味がわからないとか、話が長いとか、予算がかかりすぎるとか、すごく非難を浴びることが多い仕事なんですけれども、こうやってたまに褒めていただけると本当に嬉しいです。
毎日映画コンクール歴代の受賞者の方々の名前を見ていて、本当に素晴らしい方々の後に自分の名前も載せていただけるということで、その名に恥じないような映画をこれからも作っていきたいなと思っております。本日はありがとうございました。」
特別賞:宮本まさ江
宮本まさ江「衣装の宮本まさ江です。本日はこのような賞をいただきありがとうございます。
私は最初、日活撮影所の中に入っている衣装会社に入りまして、6年ほど経って映画『夢二』という作品をやったんですけれども、その時に荒戸源次郎さんというプロデューサーから「フリーになった方がいいぞ」と言われ、その翌年にフリーになり、若松孝二監督の『寝盗られ宗介』や阪本順治監督の『王手』、中原俊監督の『12人の優しい日本人』という割と個性のある作品をやらせていただいて、とても勉強させていただきました。
今ここに立てているのは、あの世に逝かれた監督や役者さん、色々なスタッフに私は支えられていると思っています。また現在ご一緒させていただいている監督や役者さんもまだまだたくさん作品をやれたらと思っています。本日はありがとうございました。」
女優助演賞:池脇千鶴『半世界』
池脇千鶴「この度は女優助演賞をくださいまして、本当にありがとうございます。私は毎日映画コンクールでは20年以上前に新人賞をいただいて、6年前にも助演賞をいただきまして、その時こうやってまた同じところに呼んでもらえて賞をいただけるというのが奇跡に近いことと言ったような気がするんですが、また奇跡が起きたみたいでとても嬉しいですし、とても重みがありますし、まだまだ頑張りたいなと励みになります。
そして、今こうして特別な場所に呼んでいただいて、先ほどのまさ江さんは『大阪物語』の時からご一緒させていただいたり、白石監督も一緒にお仕事させてもらったり、色々な人と再会できて、私はまだまだ38歳で負けてられないし、自分にやれることをこれからも一生懸命やっていきたいと思います。
『半世界』は大好きな作品です。出番こそそんなに無かったですけど、こうやって選んでいただいてとても嬉しいです。この間も別の賞でトロフィーをいただいたんですけど、そろそろ実家の床が抜けないか心配です。今日は本当にありがとうございました。」
−−思春期の男の子って難しいと思うのですが、母親としての距離感や役作りは意識されましたか?
池脇千鶴「小さい子供を持つ役っていうのはいくつかあったんですけど、15歳の思春期の息子を持つ役はさすがに初めてだったので「できるかなぁ〜」と思ってたんですけど、現場では監督に「もっとどっしりゆっくり喋っていいよ」と演出していただきました。」
−−不良が来る時なんかは本当に「頭にきたー」という雰囲気の演技が出てましたよね?
池脇千鶴「もう本当に腹立たしくて、私は息子と近い場所にいますから、旦那と違って内情がよくわかっているので、あの子たちにチャーハンを振る舞うのが腹立たしくてしょうがなかったですね。」
−−監督、やっぱりそのあたりは見事に演じ切ってましたし、息子が反発した時にお肉をゴミ袋にバーンと入れるところなんてなかなかの迫力でしたよね?
阪本監督「音を立てながらやってほしいというね、やっぱり当て付けという意味がありますから。池脇さんはすごい得意ですよ。」
−−監督も現場ではずいぶん関西弁でおやりになったんですか?
池脇千鶴「そうですね。監督も大阪の人ですし、私も大阪なのでなんか引きずられて大阪弁で喋ることは多いですよね?さっきもですけど。」
阪本監督「いや、僕はあまり現場では大阪弁使わないですよ。」
−−本当ですか?
阪本監督「いや、引っ張られちゃうでしょ。台本は一応標準語で書いてあるのに。だから頑張って標準語で喋っちゃってます。」
−−阪本監督は海外のモノなども多かったと思うんですけど、今作は日本のしかも炭焼き職人という題材ですね。これはどういった意図でしたか?
阪本監督「確かに海外のモノを海外のスタッフとやることが多くて、それもすごく楽しかったんですけど、ちょっと落ち着いた後に田舎に帰って地方都市で撮りたいっていう時に第一次産業の中でも炭焼きっていうのは無いなと思って。何年か前から調べてはいたので、それを稲垣吾郎くんにやってもらうっていうのは意表をついたみたいですが、僕の中ではうまく重なったかなと思います。」
−−池脇さんは天才的な女優さんとも言われてますが、監督から見て池脇さんには今後どういう女優さんになっていただきたいですか?
阪本監督「30代後半になってくると母とか妻とか多くなりますが、そういう役が来ても皆さん生活の匂いがしないというか、池脇さんはその匂いがするんです。演技ではなく、一人の人としてその設定を受け入れてくれると期待をして、その通りやってもらいました。」
−−2人とも本当におめでとうございました。
池脇千鶴「ありがとうございました。」
男優助演賞:吉澤健『凪待ち』
吉澤健「この度、多くのスタッフ・キャスト皆さまのおかげをもちまして男優助演賞を受賞しました。誠に光栄に存じます。まずはこのことを『凪待ち』に関わったすべての人にお伝えしたいと思います。そして、これが被災地の漁業に従事されている方々、また私と同じ団塊の世代の方々の背中を少しでも押すことになればと思っています。簡単ですが、受賞の言葉とさせていただければと思います。どうもありがとうございました。」
−−僕、宮城県の気仙沼なので石巻とは隣りなんですよね。映画を見て吉澤さんも宮城の方かと思ったら違うんですね?
吉澤健「えぇ、違います。」
−−今はすごくオシャレに喋られてますけど、映画の中では訛ってましたよ?
吉澤健「方言は完璧に近いくらいまでやりました。方言指導の方には本当感謝しています。」
−−現在73歳ですけれども、役者人生を振り返っていかがですか?
吉澤健「やってて良かったですね。」
−−じゃあ今日の受賞はまた格別ですか?
吉澤健「そうですね。さっきも言ったけどこういう年齢での受賞は感慨深いものがあります。」
−−監督、今回吉澤さんを起用されたのはどういうところからでしょうか?
白石監督「吉澤さんは僕の師匠でもある若松孝二監督の60年代・70年代作品のスター俳優で、僕が助監督で若松さんの現場に入った時も吉澤さんがいてくれて、僕にとっては紛れもないスター俳優だったので今回この映画をやる時に「ぜひ、いてほしい」という想いでお願いしました。」
−−やっぱり、撮影現場の雰囲気は吉澤さんがいるだけで変わりますか?
白石監督「やっぱり今までのキャリアもそうですし、まさに石巻の漁師のような感じにすぐに溶け込んでくださったので、本当にいるだけで心強かったです。」
−−僕も拝見して、吉澤さんは本当に石巻の漁師さんだって思っちゃいました。
吉澤健「本当ですか。ありがとうございます。そう言われるのが一番嬉しいです。いつもどんな役をやる時もなるべく本当にやってるんじゃないか?とお客様が思ってくれるような芝居をいつも頭に置いて演じてます。」
−−本当におめでとうございました。
田中絹代賞:風吹ジュン
風吹ジュン「素晴らしい賞をいただきました。本当に心から感謝申し上げます。そして、私をこの場に立たせてくださった全ての皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。
私は1974年にコマーシャルでデビューして、翌年『寺内貫太郎一家2』で起用されたことがきっかけで役者の道を目指すことになりました。そこで素晴らしい方たちの出会いがあって、それから45年も経ってしまいました。
それまでの道は決して平坦な道ではありませんでした。頭を抱えて生きて、人生3回目の0円生活、2人の子供を抱えてシングルマザーとしてスタートしたその翌年にこの毎日映画コンクールで助演女優賞を『無能の人』でいただきました。それがどれほど力になったか分かりません。
そして、本日の田中絹代賞の受賞です。本当に人生何があるかわからないと私が一番驚いたのですが、この受賞を誇りにこれからますます演技することを楽しみ、そして勇気を持って、これからも役に挑戦して参りたいと思います。
田中絹代さん、小林正樹監督、本当に大好きです。ありがとうございましたと心から言いたいと思います。これまで私を応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。それから子供たちがいたおかげで、私はここまで頑張ってこれました。そして、映画が大好きです。本日はありがとうございました。」
女優主演賞:シム・ウンギョン『新聞記者』
シム・ウンギョン「夢みたいです。緊張しております。映画『新聞記者』の藤井監督、この映画に関わっている皆さんのおかげで今ここに立っています。俳優としていつも色々悩んでいますが、もっと良い俳優になれるように謙虚に臨んでいきたいと思っています。今日は本当にありがとうございます。」
−−今回、新聞記者ということで非常にリアリティーがありました。苦労されたことはありましたか?
シム・ウンギョン「言葉の難しさがたくさん感じましたし、日本語のイントネーションや発音に気をつけながら撮影しました。」
−−新聞記者さん特有の猫背で近づきながら声をかけてメモを取る姿なんかはすごくリアルでした。
シム・ウンギョン「撮影の前に、上司役の北村有起哉さんと同僚役の岡山天音さんと一緒に新聞社を見学したので、その時に記者さんの姿とか仕事中の姿勢を見させていただいたので、それを参考にしながら吉岡エリカを演じました。」
−−藤井監督、現実に動いている政治サスペンスの監督でしたが、このあたりは現政権も含めて衝撃を与えるような作品でした。意識されましたか?
藤井監督「僕自体が最初は断った経緯もあって、最初はできるかなとすごく不安だったのですが、現場に入ったらシムさん、松坂桃李さんがリーダーシップを発揮してくださって、一緒に作り上げたので気負いはありませんでした。」
−−演出する上で力点を置いたのはどういったところですか?
藤井監督「あまり片意地を張らずに、吉岡と官僚役の杉原を人間としてヒューマンドラマとして演出することを心がけました。」
−−本当におめでとうございました。
男優主演賞:成田凌『カツベン!』
成田凌「このような賞をいただきありがとうございます。男優主演賞ということでとてもありがたいんですけれども、正直個人的な感情の喜びがなかなか湧いて来ず、お世話になった方々の顔ばかりが浮かんできています。
まずは選んでくださってありがとうございます。そして、この会場にもいらしている周防監督にもありがとうございます。そして、現場のスタッフ・宣伝部の方々ありがとうございます。何よりこの『カツベン!』という作品で僕の活弁を指導いただいた坂本頼光さんに感謝を述べたいと思います。ありがとうございます。
これから主演としてどんどん作品をやっていくのですが、今後の日本の映画界もどうなっていくか分からないですけど、自分を信じて、他の人たちを信じで、面白いものを作っていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。この場にまた帰って来れるように頑張っていきますので今後ともよろしくお願いいたします。」
−−成田さんは色々な作品で大活躍ですけれども、今回の『カツベン!』は弁士としてよく覚えたなぁと思いますがどうですか?
成田凌「クランクイン前の4ヶ月と、クランクインしてからの3ヶ月みっちりやったので覚えられます。」
−−監督、今回はオーディションで成田くんを決めたということですが、決めては何でしたか?
周防監督「何て言ってたっけ?横に立ってたら忘れちゃった。」
周防監督「2回会ったのかな?1度目が金髪で他の映画の役柄そのままで来て、次は金髪ではない時に会って、喋りの映画だけど話し方とかよりはもう見た感じを大事にしたかったので、本当に決まってから練習してここまで仕上げてくれたのは感謝です。ここまでできるか?ってそこまで深く考えずに選んでたので、本当にラッキーです。よくやってくれたなと思いました。」
−−とにかくとても笑える映画でした。
周防監督「もしかしたら僕らは映画が日本でまだ始まった頃を何も知らないんじゃないかと。配信とかデジタルとかで映画の定義そのものが変わろうとしているので、一体どうやって映画が世界で楽しまれてたのか。日本ではどうやって楽しんでたのか。そう考えると原点である写真が動く、活動写真と言われたそのアクションをこの映画でぜひ皆さんに見て欲しかったので。」
−−成田さん、今後はどういう俳優さん、役者さんを目指していきたいでしょうか?
成田凌「また周防作品に出られるようになりたいです。」
−−イメージはありますか?こういう役をやってみたいなぁという。
成田凌「いや、もうそこは周防さんにお任せしますので。」
−−またコンビ期待していますので。おめでとうございました!
日本映画優秀賞:『新聞記者』
藤井監督「本日は、このような素晴らしい賞をいただき本当に光栄です。先ほど主演女優賞を獲られたシムさん、そして特別賞を受賞された衣装の宮本まさ江さんをはじめ、様々なスタッフ・キャストの皆さまと力を合わせて、支えてもらいながら完成しました。映画は皆さんに見ていただいて初めて映画だと思っております。これからも日本映画界に貢献できるよう精進していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
−−ぜひ河村さんにお話しを伺いたいのですが、本作はガンガン攻めてますね。この作品を作った背景は?
河村光庸さん「ご承知のようにこういう状況の中で、私も会社の代表を辞してでも作りたかったという映画です。」
−−あまりにも体制に批判的なので日本の大手女優がみんな断ったのでは?という噂がありました。そこでシムさんに白羽の矢が立ったという噂もあるのですがどうですか?
河村光庸さん「それはもう全くの嘘です。シムさんを起用したかったということです。」
−−シムさんを起用したのはどういう決め手でしたか?
河村光庸さん「幅の広い政治的な映画なので、大きな表現をしていきたいかったんです。そういった中でシムさんは物凄く努力家で、素晴らしい俳優で、私もずっと彼女が小さい頃からファンで、ぜひとも彼女を起用したいと思いました。」
−−日本語もすごく練習されたと聞きました。
河村光庸さん「本当に頭が下がるくらいです。日本の映画界と韓国映画界は物凄く差があって、考え方も全く違うところによく我慢しながら、日本映画界で頑張っていただけたなと思っています。本当に頭が下がる思いです。」
−−最後にシムさん、日本の映画と韓国の映画では現場に違いはありますか?
シム・ウンギョン「ちょっと驚いたのは韓国の現場では初日にスタッフ・キャストを紹介することなくスーッと撮影に入るので、日本の現場は初日に「吉岡エリカ役のシム・ウンギョンです」ってメンバーの紹介から始まることにビックリしました。」
日本映画大賞:『蜜蜂と遠雷』
山内章弘さん「『蜜蜂と遠雷』のプロデューサーをしました山内と申します。この度は日本映画大賞ということで大変光栄に思っております。スタッフ・キャスト一同を代表しまして、お礼申し上げます。映画化は難しい・不可能だと言われていた作品をスタッフ・キャスト一同で音楽に真剣に向き合いましょうと話しながら、みんなで挑戦してきました。その本気が形となった作品をこのように皆さまに評価していただけて、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。」
−−監督、映画化が難しいとされていた原作を撮影する上で一番意識されたのはどういった点でしたか?
石川監督「音楽ですね。音楽だけは妥協せずに本気でぶつかろうという一点です。」
−−最後は央士くんに締めてもらおうと思います。今後俳優として本気でやっていきますね?
鈴鹿央士「はい。もう人生賭けて、これからも頑張りたいと思います。」
−−おめでとうございました!
第74回 毎日映画コンクール表彰結果まとめ
- アニメーション映画賞:『海獣の子供』渡辺歩監督
- 大藤信郎賞:『ある日本の絵描き少年』川尻将由監督
- ドキュメンタリー映画賞:『えんとこの歌/寝たきり歌人・遠藤滋』伊勢真一監督&遠藤滋さん
- 外国映画ベストワン賞:『ジョーカー』トッド・フィリップス監督
- TSUTAYAプレミアムファン賞外国映画部門:『ジョーカー』トッド・フィリップス監督
- TSUTAYAプレミアムファン賞日本映画部門:『凪待ち』白石和彌監督
- スポニチグランプリ新人賞:関水渚『町田くんの世界』
- スポニチグランプリ新人賞:鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』
- 撮影賞:クリストファー・ドイル『ある船頭の話』
- 美術賞:磯田典宏『カツベン!』
- 録音賞:藤本賢一『半世界』
- 音楽賞:RADWIMPS『天気の子』
- 脚本賞:阪本順治『半世界』
- 監督賞:石川慶『蜜蜂と遠雷』
- 特別賞:宮本まさ江
- 女優助演賞:池脇千鶴『半世界』
- 男優助演賞:吉澤健『凪待ち』
- 田中絹代賞:風吹ジュン
- 女優主演賞:シム・ウンギョン『新聞記者』
- 男優主演賞:成田凌『カツベン!』
- 日本映画優秀賞:『新聞記者』
- 日本映画大賞:『蜜蜂と遠雷』
※表彰式前に行われたオープニングセレモニーの様子はこちらの記事でご参照ください!
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