ねお
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、映画館がかつてない危機に晒された2020年。
緊急事態宣言が解除された直後の6月、営業再開とともに私も積極的に映画館へ足を運びましたが、改めて「映画館で映画を観る」体験の素晴らしさを実感しました。
もちろん家で映画を観る時間が増えたという方も多いと思いますが、そんな2020年に日本で公開された作品の中で特に良かった5作品をランキング形式で発表していきたいと思います。
目次
2020年公開映画ランキングベスト5
第5位『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』
- 「若草物語」を現代風にリメイク
- 若手女優陣の素晴らしい演技アンサンブルに涙。
これまで幾度となく映像化されてきたベストセラー小説「若草物語」を、監督・脚本にグレタ・カーウィグ、主演にシアーシャ・ローナンなど豪華な顔ぶれで新たに描いた作品です。
4姉妹それぞれが自分らしく生きる道を目指して手を取り合い、ぶつかりあい、成長していく普遍性のある物語に現代の感覚がより強く投影されてアップデートしました。
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恋愛における姉妹それぞれの選択にも今を生きる私たちに通じる価値観が表れています。
何より個人的には、本作で4度目のアカデミー賞女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンの素晴らしい演技力が印象に残りました。
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第4位『スウィング・キッズ』
- 『サニー 永遠の仲間たち』で注目を集めたカン・ヒョンチョル監督が手掛けたダンスムービー
- 熱のこもったダンスシーンに感動!
朝鮮戦争時代、国連管理下にあった「巨済捕虜収容所」を舞台に、収容所1番のトラブルメーカーである朝鮮人民軍捕虜、米軍下士官、生き別れた妻を捜している民間人、栄養失調の中国人民義勇軍捕虜、4カ国語を話せる無認可の通訳という国籍も年齢も異なるタップダンスチームの奮闘を描いた作品です。
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メインキャストはK-POPアイドルグループ「EXO」のD.O.とブロードウェイ屈指のタップダンサーのジャレッド・グライムス。
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戦争の痛ましい現実、自由を求めて爆発する感情がひしひしと伝わってくる熱のこもったダンスシーンに心を打たれました。
中盤でD.O.がデヴィッド・ボウイ「Modern Love」をBGMに駆け踊るシーンはフランス映画『汚れた血』の名シーンをオマージュした秀逸な演出ですが、そういった細やかなセンスも含めて近年の韓国産エンタメ作品が持つエネルギーの強さを改めて感じました。
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第3位『オン・ザ・ロック』
- ソフィア・コッポラ監督の最新作
- 現代版のジェンダーに対する問題提起
夫の不倫疑惑を確かめるべくニューヨークを駆け巡る父娘を軽快なタッチで描いたソフィア・コッポラ監督の最新作です。
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没入感が心地良いコメディ映画としての側面、愛憎入り混じる娘ローラの視点で父娘のジェンダー観のズレを描き旧来の価値観の否定を提示する側面、これらの要素がソフィア・コッポラのセンスが光るバランス感覚で楽しめる秀作でした。
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- Netflix / 見放題 / 無料期間なし
第2位『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』
- 「Z世代」の価値観を捉えた衝撃作
- アリス・ウー監督の16年ぶり2作目の長編映画
5月にNetflixで配信が開始された新時代の青春映画。
Netflixオリジナル作品ですが「2020年に日本で公開された作品」の1つであり、「Z世代」(1990年代後半~2000年生まれ)の価値観を捉えた内容も配信限定というコロナ禍らしい方式も含めて、2020年を象徴する注目すべき一作としてランキングに入れました。
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「孤独に生きてきた少女が恋を知って成長する」という青春ものとしての定番はそのままで、人種や性的指向に縛られることのない未来への希望を提示していく最新型の青春映画です。
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本作が16年ぶり2作目の長編映画となったアリス・ウー監督は前作『素顔の私を見つめて…』でもレズビアンのアジア系アメリカ人を描き、当時その新規性が高く評価されました。
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- Netflix / 見放題 / 無料期間なし
第1位『2分の1の魔法』
- 『リメンバー・ミー』以来となるディズニー・ピクサーの完全新作です。
- ファンタジーな世界観とは正反対のメッセージ性に感動
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2013年の『モンスターズ・ユニバーシティ』で監督を務めたダン・スキャンロン2本目の監督作品で、2017年の『リメンバー・ミー』以来となるシリーズものではないディズニー・ピクサーの完全新作です。
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かつて世界を満たしていた魔法は科学技術の発展とともに衰退、何をやってもうまくいかず自分に自信が持てないエルフの少年イアンと魔法オタクで陽気な兄バーリーが繰り広げるファンタジーアドベンチャー映画。
自分が生まれる前に亡くなった父と会うことを夢見るイアンは、16歳の誕生日に母に託されていた父の「魔法の杖」と、死者を1日だけ蘇らせる呪文のメモを贈られますが、魔法に失敗して父の“下半身だけ”が蘇ってしまいます。
父を完全に蘇らせるためには魔法を補助するアイテム「不死鳥の石」を見つけて24時間以内にもう一度魔法をかけるしかありません。こうして「不死鳥の石」を探す2人の冒険が始まります。
以上が物語の導入となりますが、この映画には私が映画に求めるすべての要素が含まれていました。
心がときめくファンタジーな世界観と魔法バトル、多様な家族や愛のあり方の提示、予測不可能な怒涛の終盤、心温まるラスト、完璧としか言いようがない傑作です。
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魅力的なコンテンツが簡単に手に入る時代、1つのことに打ち込んで、練習して習得する機会が減っているように感じます。
“習得したとしても敵わない相手がいれば自分の限界を知るだけで終わるかもしれない、それでも「習得した」という経験自体が何より素晴らしい”
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決して懐古主義ではなく、私たちが生きる現代社会で失われつつある「魔法」について考えさせられる非常に完成度の高い作品です。
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2020年公開映画ランキングベスト5まとめ
- 『2分の1の魔法』→現代を生きる私たちへの「魔法」に満ちたディズニー・ピクサー最新作
- 『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』→人種もジェンダーも超えていく2020年の象徴ともいうべき最新型の青春映画
- 『オン・ザ・ロック』→ソフィア・コッポラ監督のセンスが光るニューヨークを舞台にしたコメディ映画
- 『スウィング・キッズ』→圧巻のタップダンスの応酬が心を打つエネルギッシュな韓国産エンタメ作品
- 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』→シアーシャ・ローナンの抜群の演技力と新たな視点で描かれた「若草物語」
ねお
2021年も素晴らしい作品に会える1年だと良いですね!
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