『ズーランダー』は、2001年公開のベン・スティラー監督・脚本・主演の痛快おバカ・コメディ。
売れっ子スーパーモデルなのに、頭脳は相当に残念なデレク・ズーランダーが巻き込まれたのは、マレーシアの首相暗殺計画!
そんなマヌケなズーランダーを盛り立てるキャストには、オーウェン・ウィルソン、ウィル・フェレル、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・ヴォイトの実力派俳優ばかりと、どこまでも豪華な布陣です。
「とっても、とってもカッコよくてイケてるボク」と何度も口にする自信満々のズーランダーに負けず劣らず、ベテラン勢の豪快にふりきったオモシロ演技のオンパレード、おバカの細かい所にまで追求して手を抜かない、楽しい作品となっております。
・豪華なカメオ出演のオンパレード
・いさぎよすぎる薄っぺらさがツボ
・笑わずにはいられないクライマックス
それでは『ズーランダー』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『ズーランダー』あらすじ・感想
イタすぎる失態
デレク・ズーランダー(ベン・スティラー)は、最優秀モデルを3年連続受賞するスーパーモデル。
でも、今年のファッション授賞式でデリクは、大失態を演じて失意のどん底です。
それは、最優秀賞を4年連続で受賞する気でいたデリクが、今が旬の新進気鋭のモデルのハンセル(オーウェン・ウィルソン)の受賞を聞かずに、ハンセルを差し置いて壇上に上がり、受賞スピーチをはじめ、全世界にイタい姿をさらしたからです。
ファッション界でトップとしてひた走ってきたのに、そのとんでもない醜態に会場はドン引き、マスコミに「バカモデル」と酷評。
さすがのデリクもヘコみます。そんなデリクを元気づけようとモデル仲間のルーファス(アシオ・ハイスミス)、ブリント(アレクサンドル・マニング)、ミーカス(アレクサンダー・スカルスゴード)と陽気にオレンジ・モカ・フレペチーノを飲みに出かけたのに、3人はガソリンスタンドで爆死。
デリクは、友人3人の葬式でモデルを引退すると宣言したのでした。
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洗脳するための単細胞求む
傷心のデリクは、いったん故郷に帰ったものの、男くさいニュージャージー南部の炭鉱の町でなじめるはずもなく、モデルの仕事に理解のない父ラリー(ジョン・ヴォイト)からも拒否される始末。
そんな行き場を失ったデリクに声をかけたのは、デザイナーのムガトゥ(ウィル・フェレル)。
これまで一度もデリクをショーに起用したことがなかったのに、引退を聞いた途端に使いたくなったというのは、表向きの理由。
ムガトゥを始めとするファッション界に不利な政策をとるマレーシア首相の暗殺をするのに、洗脳しやすいアタマがカラッポで単細胞なデリクに白羽の矢をたてたのでした。
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暗殺計画のプログラミング
ムガトゥの裏の隠れた目的を知ることもなく、一週間後に控えたショーの準備のために行動を共にすることになったカティンカ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)につれられ、デリクが訪れたのは怪しげな超高級会員スパ。
そこでデリクは、マレーシア首相の暗殺をするのに、言葉巧みに暗示にかけられフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」を聴くと、マレーシア首相を暗殺するように無意識のプログラミングをされてしまうのでした。
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助けを求めたのはライバルのハンセル
スパに一週間もいたのに、催眠をかけられ時間の感覚がなくなっているデリクのもとを訪れた新聞記者のマチルダ。
過去にムガトゥのもとで仕事をしたモデル全員が、不審な死を遂げると知り、ムガトゥのマレーシア首相の暗殺を計画も察知。
デリクの洗脳に気づいたデリクとマチルダが、カティンカの追跡を逃れ、助けを求めたのは、ライバルのハンセル。
いがみあうデリクとハンセルでしたが、ハンセルが実はデリクのファンだったと知り、わだかまりがすっかり解けたふたり、ムガトゥの悪事を暴こうと協力をするのでした。
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キメ顔が最終兵器
暗殺計画阻止の手立てを見つけることなく迎えたムガトゥのファッション・ショーの当日。
ハンセルはムガトゥの悪事の証拠となるファイルを探し、マチルダはデリクに仕掛けられた暗殺プログラムのトリガーを探ろうと奔走します。
そしていよいよフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」が流れ、マーシャル・アーツを繰りだして首相暗殺を完遂する直前で、デリクの危機を救ったハンセル。
デリクを使った暗殺計画に失敗したムガトゥが、絶叫してマレーシア首相に放った武器を前に身を投げたデリク。
その武器をとめたのは、スーパーモデルとして開発中だった最終兵器、キメ顔の「マグナム」だったのでした。
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『ズーランダー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ズーランダー』をレビューしてきました。
・バカバカしすぎてむしろ楽しい
・実力派俳優たちのふりきれたサマが魅力
・「バカだなぁ」は監督の意図通り
いろんな意味で楽しい作品
ひときわ弾けた笑いを誘う『ズーランダー』は、「とっても、とってもカッコよくてイケてるボク」のデレク・ズーランダーのおツムの弱さが、全開のおバカ・コメディ。
『ズーランダー』が、面白いのは、ぶっ飛んだ設定というだけではありません。
ワム!の「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」やマイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」といった、1980年代のヒット曲をふんだんに使い、楽しいシーンをより楽しく盛り上げているし、有名人のカメオ出演も多く、彼らを見つけるだけでも楽しいしかけが、ほどこされております。
ドナルド・トランプ、ヴィクトリア・ベッカム、クリスチャン・スレーター、ナタリー・ポートマン、パリス・ヒルトン、ビリー・ゼインやウィノナ・ライダーと、ここに連ねただけでも、これだけいるのですから、エンド・クレジットをみるとすごい人数です。
愛すべきおバカさんたち
べン・スティラーもオーウェン・ウィルソンも、スーパーモデルというには、はなはだあやしいビジュアルなのに、そんなことは気にしないと愛すべきおバカさんたちを愉快に演じきっています。
視聴者が自然と「バカだなぁ」と物語を追いながら口にしてしまうのは、むしろ監督のベン・スティラーの狙い通り、まんまと術中にはまったということ。
2001年公開の劇場映画ですが、その古さをいっさい感じさせない「どこまでもマヌケな男」デリク・ズーランダーのふりきれ感に、むしろ安心を覚えてしまうから不思議です。
それだけに『ズーランダー』が、ベン・スティラーのカルト・コメディの位置づけにあると、文句なしにうなずける作品です。
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是非、ご覧ください。