事実が淡々と描かれていく作品。
これが単なる映画ではなく、現実に起こったことだと思い出す度にぞわぞわとした不安や恐怖を感じます。
- ゾディアックとは
- 事件に翻弄された人々
- 主要キャスト3人の熱演
それでは『ゾディアック』に関してネタバレありでレビューします。
目次
『ゾディアック』作品情報
作品名 | ゾディアック |
公開日 | 2007年6月16日 |
上映時間 | 157分 |
監督 | デビッド・フィンチャー |
脚本 | ジェームズ・バンダービルト |
出演者 | ジェイク・ギレンホール マーク・ラファロ ロバート・ダウニー・Jr アンソニー・エドワーズ ブライアン・コックス イライアス・コティーズ クロエ・セヴィニー ドナル・ローグ ジョン・キャロル・リンチ |
音楽 | デビッド・シャイア |
【ネタバレ】『ゾディアック』あらすじ・感想
This is the Zodiac speaking.
とーる
ゾディアックは偽名ですが実在した人物で、実際に殺人を犯した人間でもあります。
事件は現在も未解決で、犯人も逮捕されていません。
サスペンス系の作品ではジェフリー・ダーマーやサムの息子といった凶悪事件の犯人と名前が並ぶことも多い殺人鬼です。
ゾディアック事件がなぜ世間の注目を集めたかというと、ゾディアックが自身の犯行声明をマスコミや警察に何度も送ったからです。
とーる
ゾディアックは自分の正体を書いたという暗号文をクロニクルをはじめとした複数の新聞社に送り、暗号を載せないと大量殺人を起こすと手紙に添えました。
事件が起きた1968年から1974年というのは新聞社やマスコミに規定やルールといったものはほとんどなく、現代では考えられませんが、暗号を送られた新聞社は暗号を紙面に掲載しました。
さらにテレビ局はゾディアックと名乗る人物との電話を生放送したのです。
『ゾディアック』では描かれていませんが、ゾディアック事件後、新聞社では犯罪者の声明は掲載しないというルールができました。
結局新聞社をはじめとしたマスコミも、ゾディアックに利用されたに過ぎなかったのです。
「This is the Zodiac speaking.」から始まるゾディアックの声明文や暗号文(未だに解読されていない暗号もある)はテレビでも取り上げられ、インターネットでも様々な憶測が飛び交っています。
とーる
3人の登場人物・グレイスミス
『ゾディアック』に出てくるキャラクターたちの多くは実在する人物です。
とーる
グレイスミスはクロニクルという新聞社で、風刺漫画家として働いています。
社内の立場は下の方で、周囲の評価は良くも悪くも純真。
グレイスミスを演じているのはジェイク・ギレンホールです。
ジェイクの大きく印象的な青い目はグレイスミスの純真さを物語り、同時にひたむきな姿勢を感じさせます。
年月が経つにつれてゾディアック事件が世間の記憶から薄まっていくことを感じ、ゾディアック事件について本を書くことを決意します。
最初の事件から10年以上経ち、失われた証拠がある一方で、新たな証拠や証言も出てきました。
犯人に迫ったからなのか、ゾディアックと思われる人物からグレイスミスの自宅に無言電話がかかってくることもあります。
とーる
3人の登場人物・ト―スキー
トースキーはゾディアック事件の担当刑事です。
マスコミに情報をリークされたり行き詰った捜査にイラつちながらも、事件の捜査を続けます。
当時の連絡手段はもっぱら固定電話で、ファックスがない警察署もあり、書類のやり取りは郵送という時間のかかるものでした。
またゾディアック事件が各警察署が管轄する地域の境界で起きていたこともあり、管轄争いも起こります。
「その事件はうちの管轄じゃない」「事件はうちの管轄で起こったが被害者が住んでるのは違う地域だ」など、トースキーとその相棒は事件を追いかけるだけでも大変でした。
トースキーは新聞記者の誤解によってゾディアック事件の担当から外されます。
もうゾディアックの名前も聞きたくないトースキー。
しかしグレイスミスがゾディアック事件を調べ始めたことにより、トースキーは否応なくゾディアック事件に触れることになりました。
はじめは嫌がっていたトースキーですが、グレイスミスの熱意や集めてきた新たな情報を目にすると心に変化が訪れます。
立場上自分は情報を開示することも捜査をすることもできないグレイスミスは調査の壁に当たる度にトースキーへ相談します。
トースキーは答えとなる情報や証拠を出すことができない代わりに、グレイスミスにわかりやすいヒントを与えることで道を開いたのでした。
トースキーを演じるのはマーク・ラファロです。
とーる
3人の登場人物・エイヴリー
グレイスミスと同じクロニクル社に勤めるエイヴリーは、敏腕記者でした。
最初グレイスミスとはあまり好んで関係を築いていませんでしたが、グレイスミスが夢中になってゾディアックからの暗号を解いたり事件を追いかける姿を見るうちに、徐々にグレイスミスとゾディアックの話をするようになります。
そうやって書いたエイヴリーの記事がゾディアックを刺激したのか、エイヴリーにゾディアックから脅迫状が届きました。
とーる
エイヴリーはその後クロニクルを辞めて地方の新聞社に移りますが、喫煙や飲酒といった乱暴な生活習慣が続いたため2000年に亡くなってしまいました。
敏腕記者エイヴリーを演じるのは、ロバート・ダウニー・Jrです。
とーる
事件と人間関係
『ゾディアック』は実際の事件を淡々と描くストーリーです。
とーる
監督であるデヴィッド・フィンチャーは、『ゾディアック』の制作において何よりも事実を重視したそうです。
当時ゾディアック事件に関わった元警官がデヴィッドを実際の現場に案内した際、記憶違いで実際の現場から少し離れた場所に案内してしまったとのこと。
しかしデヴィッドは事件の情報と立地条件などを考えた結果、案内された場所ではなく、本当の犯行現場を自ら言い当てたというのです。
これには元警官も驚いたそうで、「デヴィッドはいい犯罪心理学者になれる」とも言いました。
『ゾディアック』は、被害者の体勢や木の生えている場所といった細かい事実にまでこだわって作られた作品なのです。
とーる
『ゾディアック』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
- 有名な劇場型犯罪・ゾディアック事件
- 事件に絡んだ3人の人物たち
- 実際に起こった事件と実在する人物