2024年公開の映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。
人気児童小説の実写化で、天海祐希さん演じる謎の店主・紅子が印象的な作品です。
不思議な駄菓子が願いを叶えてくれる。
しかし、使い方を間違えると大変なことに。
楽して手に入れた幸せは、本当の幸せなのか。
・敵対する天海祐希と上白石萌音の演技
・「幸せになるかどうかは自分次第」というメッセージ
それでは『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』をネタバレありでレビューします。
目次
『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』作品情報

(C)2024 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会
公開:2024年12月13日
監督:中田秀夫
脚本:吉田玲子
出演:天海祐希、上白石萌音
上映時間:103分
原作:廣嶋玲子「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(イラスト:jyajya)(偕成社)
原作は2013年5月から刊行され、現在では全世界累計発行部数1100万部を突破しています。
【ネタバレ】『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』あらすじ
幸運なお客様、ようこそ銭天堂へ
2024年1月、わかば南小学校の水野雄太(番家天嵩)は勉強が大の苦手。テストの点数が悪く、母に怒られて塾に行かされます。
しかし塾に行く気にはなれず、町をぶらつく雄太。
黒猫を追いかけて路地裏を進んでみると、そこには「銭天堂」という駄菓子屋がありました。
店主の紅子(天海祐希)が「本日の幸運なお客様」と雄太を迎えます。
雄太の「テストで良い点を取りたい」という願いに、紅子は「ヤマ缶詰」を差し出しました。
「ヤマ缶詰」には、食べるとテストに出る問題が赤く浮かび上がって見える効果があります。
おかげで雄太は、すらすらとテストを解けるように。
新米教師の小太郎と、悩める後輩・相田
3か月後。
等々力小太郎(大橋和也)が、母と妹・まどか(平澤宏々路)と以前住んでいた町に戻ってきます。
そこに大学の後輩・相田陽子(井原六花)から連絡が。
相田は大手出版社のファッション雑誌編集部で働いていますが、おしゃれに疎く、SNSでの発信にプレッシャーを感じていました。
小太郎も「母校の小学校で5年生の担任になり、プレッシャーがある」と告白します。
翌日、小太郎は担当クラスで緊張しながら自己紹介。
生徒と交流する中で、「銭天堂」という不思議な駄菓子屋の都市伝説が流行っていることを知ります。
おしゃれになりたい願いが生んだ悲劇
相田も黒猫に導かれて銭天堂へ。
「もう少しおしゃれになれたら」という願いに、紅子は「おしゃれサブレ」を勧めます。
最初は順調で、自分に似合う服が金色に光って見えるようになり、SNSの反応も良くなりました。
しかし周りの成功を見て焦った相田は、もう1枚サブレを食べます。しかし、光っている洋服やバッグは高価で買えませんでした。
再び銭天堂を探す相田の前に現れたのは「たたりめ堂」。
「おしゃれでセンスのいい人間になりたい。でもそれにはお金がかかる」
そう訴える相田に、店主・よどみ(上白石萌音)は「強欲アンコ」を渡しました。

(C)2024 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会
「代金は後払い。あんたを妬む悪意が代金になる」
「強欲アンコ」を食べた相田は、派手な格好で会社に行くように。
後日、小太郎と待ち合わせていたカフェで、相田は「まだ足りないんです」「みんなほしい!」と叫び出しました。
周りの人のバッグやアクセサリーを奪おうとしますが失敗し、外に飛び出します。
追いついた小太郎に、相田は泣きながら訴えます。
「欲しい物が次々と手に入るのに、心は満たされない」
その瞬間、相田は黒い煙に包まれ、よどみにより別次元へ。
そこでよどみは、相田から出た悪意(黒い煙)を玉として回収していきました。
2つの駄菓子屋の対決
相田から回収した悪意の玉を手に、「大したことないな」とガッカリした様子のよどみ。
そこに紅子が現れ「うちのお客さんに余計なことしないで」と抗議します。
よどみの目的は、人の悪意を集めること。
駄菓子で幸運を掴んだが、図に乗って不幸になってしまったときに生まれる不幸虫。それを悪意と混ぜてお菓子にするのです。
お客の集め方がまどろっこしいことをよどみから指摘された紅子は答えます。
「人の生き様を見るため」
「欲によって手に入れたもので幸せになれるかはその人次第」
よどみは「あんたの客をみんな奪ってやる」と宣言しました。
虹色水あめが照らす心
小太郎の妹・まどかは、美大を目指して予備校に通っています。
しかし友人の百合子(伊礼姫奈)は褒められるのに、自分は「もっと頑張ろうか」という評価。
ある日、銭天堂に導かれたまどか。
「百合子を見返したい気持ちに苦しめられている」
そう語るまどかに渡されたのは「虹色水あめ」。
予備校で百合子が「要はセンスなのよ」とまどかを馬鹿にします。
まどかから悪意の黒い煙が出ますが、ふと「虹色水あめ」をカバンから取り出し食べ始めました。
すると悪意の黒い煙が消えていきます。
まどかが願ったのは「心がきれいになるようなもの」だったのです。
百合子が「水あめ、すっごくきれい」と微笑んだ瞬間、まどかと百合子は黒い煙に覆われ、別次元に飛ばされます。
そこで待ち構えていたのは、よどみ。
実は百合子も、たたりめ堂で「デッサン汁粉」を手に入れていたのです。これは周りの才能を吸い取る恐ろしいお菓子。
よどみは「百合子は友だちなんかじゃない」とまどかをそそのかし、悪意を回収しようとします。
しかし、量が少なかったため、代わりに百合子から「後悔」をもらうことに。
煙の中へ、妹を救うために
まどかの自室で銭天堂のタグを見つけた小太郎は予備校に向かいます。
しかしそこにあったのは、黒い煙の塊だけ。
そのとき紅子が現れ「妹はその中にいる」と告げます。
小太郎は煙の中へ。
そして紅子はまどかに伝えます。
「お客様が本当に望んだとき、虹色に染まり、人の心を綺麗にする」
まどかが百合子に水あめを食べさせると、百合子の悪意は消えていきました。
それに怒ったよどみは、悪意の玉で銭天堂を破壊しようとします。
勝ちを確信したよどみが大きく口を開けて笑った瞬間、紅子は銭天堂の商品「瞬間冷糖」を大量に投げ込みました。
よどみは凍りつき、銭天堂の冷凍庫へ運ばれていきました。
幸せになるかどうかは、お客様次第
紅子は小太郎に「ずいぶんとご無沙汰でござんすね」と微笑みます。
小太郎ははっきりと思い出しました。
小学生の頃、いじめを見ても注意できなかった小太郎は、銭天堂で「堂々ドーナツ」を買ったこと。
そして、その効果は3年で消え、食べたことも忘れていたこと。
紅子は言います。
「3年経っても堂々とした大人になり、先生になられたんですね」
「幸せになるかどうかはお客様次第」
駄菓子はきっかけに過ぎない。その後どう生きるかは、自分次第。
ある日、相田は自分の企画が通ったことを小太郎に報告します。
小太郎は「辛かったり悩んだりしたら、今度は俺を頼ってほしい」「君が好きだ」と告白しました。
まどかと百合子は「2人で展覧会をしよう」と誓います。
雄太は自ら勉強に取り組むようになりました。
「次はどこに行くんざんしょね」と紅子は微笑みます。
銭天堂には今日もまた、新しいお客様が訪れるのでした。
【ネタバレ】『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』感想

(C)2024 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会
欲望と向き合う勇気を描いた物語
「強欲アンコ」で欲しいものが次々と手に入った相田。
しかし心は満たされず、むしろ苦しくなっていくばかり。
「デッサン汁粉」で周りから才能を奪い取った百合子は後悔に苦しむことに。
一方で雄太は、地道に努力する大切さを学びます。
まどかは「心を綺麗にしたい」と願い、悪意から解放されました。
楽な道を選んだ先に待っていたのは不幸。
でも駄菓子をきっかけに本当の成長を遂げた者もいました。
しぃぷ
駄菓子は魔法じゃなく、きっかけに過ぎない。
欲望とどう付き合い、生きるかは自分次第なんだと改めて感じました。
天海祐希と上白石萌音の対照的な演技
天海祐希さん演じる紅子は、優しくてどこか不思議な雰囲気。
人を裁かず見守り、しかし必要なときは助けに来てくれます。
対照的に上白石萌音さん演じるよどみは、「楽しいから」と笑いながら悪意を集める不気味な存在。
しぃぷ
善と悪というより、人間の光と闇を表しているように感じました。
また上白石さんは、明るく前向きな役の印象が強かったので、最初見たときはとても驚きました。
現代社会への鋭いメッセージ
相田は他人からの評価にとらわれ自信をなくし、たたりめ堂の駄菓子を食べました。
しかし「欲しい物が次々と手に入るのに、心は満たされない」と苦悩します。
まどかは友人の百合子をみて、「百合子を見返したい気持ちに苦しめられている」と訴えます。
しぃぷ
自分と比べて落ち込んだり、焦ったり。
相田の苦しみは、現代人の心の闇そのものだと感じました。
だからこそ、まどかが「心がきれいになるようなもの」を願ったとき、ハッとさせられました。
小太郎が相田に「俺を頼ってほしい」と伝えるシーンからも、1人で抱え込まず、誰かに頼る勇気も大切だと考えさせられました。
『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
・天海祐希と上白石萌音の対照的な演技
・現代社会の悩みに寄り添う、鋭いメッセージ
しぃぷ
銭天堂の駄菓子のように、この映画もあなたの心に優しく寄り添ってくれるはずです。
心が少し疲れたときに、背中を押してほしいときに、おすすめの映画です。

