「週刊少年サンデー」で連載中のコトヤマによる同名作品をアニメ化した『よふかしのうた』。
10年間、血を吸わなかった吸血鬼を殺した餡子。
「君は吸血鬼を何も知らない」と言われたコウは、悩み始めます。
真昼からは「吸血鬼になって何がしたいんだ?」と問われ、悩みは深まるばかりで……。
早速、アニメ『よふかしのうた』第12話をレビューしていきたいと思います。
目次
【ネタバレあり】アニメ『よふかしのうた』第11話のあらすじと振り返り
ナズナに促され、添い寝屋の客引きをしていたコウは、歩道橋で煙草を吸っていた女性に声を掛けます。
彼女――鶯餡子は私立探偵をしており、主に不倫の調査や人探しをしているそうです。
餡子から探し人の写真を見せられたコウは、思わず固まってしまいます。
そこに映っていたのは、セリの友人で、先日吸血鬼になった秋山だったからです。
後日、アキラとともに真昼から呼び出されたコウは、夜の学校に連れてこられます。
真昼は三人で思い出作りをしたいと話し、学校の七不思議を検証しようと言い出しました。
夜の校内を巡る中、コウたちが通う中学の教師が10年ほど前に失踪し、未だ見つかっていないという事件の話題が出ます。
この未解決事件は、夜中になると失踪した教師が教室に現れるという都市伝説にもなっているそうです。
ついでに調べてみようと噂の教室へ向かうと、そこには男性の姿がありました。
「どうして生徒が」などと呟いている怪しげな男性は、「やっぱり女がいいなあ」と舌なめずりをすると、アキラに襲い掛かります。
男性の異常な身体能力はナズナたち吸血鬼を彷彿とさせるもので、コウはどこか信じられずに立ち尽くしてしまいました。
どうにか男性をアキラから引き離すと、その場に餡子が現れます。
別件の調査をしていたらしい餡子は、男性を呼び寄せると自身の首筋を差し出しました。
そうして血を吸わせるとコウたちに声を掛け、「吸血鬼って知ってるかい?」と問いかけます。
男性は10年前に失踪したこの学校の教師でしたが、ある女性を吸血鬼だと知らず好きになってしまい、自分も吸血鬼になってしまったようでした。
以来、男性は吸血衝動に抗って一度も血を吸わずに生きてきたらしく、餡子はそんな彼を慰めながら何かを握らせます。
餡子が男性に渡したのはシルバーリングで、それを認めた瞬間に男性は悶え苦しみ始めました。
気付けば朝日が昇る時間になっており、窓から日の光が差し込んできます。
男性は朝日に照らされて灰になって消滅し、「人間のまま」死んでいったのです。
コウは、何もせずとも今日あたりには死んでいたかもしれないという男性をわざわざ殺した餡子を咎めます。
すると、餡子はコウの胸ぐらを掴んで言いました。
「君は吸血鬼を何も知らない……君のくだらない夢を叶えさせるつもりはない」
餡子はアキラと真昼にも名刺を渡し、現状に納得がいかなければ自分のところに来るよう告げました。
【ネタバレあり】アニメ『よふかしのうた』第12話あらすじ・感想
理性
10年もの間、人間の血を吸わなかった吸血鬼と遭遇し、彼が殺される現場に居合わせたコウは、悩んでいました。
吸血鬼を殺すことができる餡子から言われた「君は吸血鬼を何も知らない」という言葉が、重く突き刺さります。
コウは、ナズナに会わなくてはいけないと思い、彼女の自宅へ向かいました。
待ち受けていたナズナは、かなり空腹だったのか興奮状態にあり、コウが許すと首元に飛びついてきます。
「あとちょっとで理性ぶっ飛ぶとこだった」
それはナズナにとっては何でもない、いつもの軽口でしたが、今のコウにはおそろしい一言でした。
餡子に殺された吸血鬼のことがフラッシュバックし、思わずナズナを拒絶してしまいます。
ナズナはコウの身に何かあったと察し、事情を聞きました。
どこか冷静ではないコウを散歩に連れ出したナズナは、人間が吸血鬼を殺したと聞いて、何かを考えるような表情を浮かべます。
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吸血鬼になることについて不安を覚えたコウはというと、ナズナを、吸血鬼を、初めて怖いと思ったと語ります。
しかし、それは感情が高ぶっているからだと自分自身に言い聞かせるようにして、自らナズナに首筋を差し出すのでした。
日常と非日常
真昼に呼び出されたコウは、「吸血鬼になって何がしたいんだ」と問われます。
学校での一件後、餡子に会いに行ったらしい真昼は、吸血鬼になるということがどういうことなのか、考えてほしいとコウに言いました。
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ナズナのもとへ戻ったコウは多少情緒不安定になっていて、思わず彼女に抱きつきます。
様子がおかしいコウを心配に思ったのか、ナズナは再び外へ連れ出しました。
ナズナの希望でコウの部屋にやって来ると、夜中なのに家には誰もいません。
コウの家庭は両親が離婚している母子家庭で、同居している母親は仕事に出ているといいます。
「今日ウチ親いないんだ」というシチュエーションだと言ってはしゃぐナズナでしたが、コウの悩み、考えを真剣に聞き出しました。
吸血鬼になりたい理由を問われたコウは、今のままでも幸せだと気付いていました。
自由な夜が好きで、ナズナたち吸血鬼のことも好きで、それでも、アキラや真昼が怖い思いをするのは看過できません。
コウが「吸血鬼になんかならなくたって……」と零すと、ナズナは切なげな表情を浮かべて、コウが夜を好ましく思うのは、今の彼にとって非日常だからだと言いました。
コウにとっての日常は昼間や学校で、知らなかった夜の世界は刺激的に思えるだろう、と。
吸血鬼は退屈だと話すナズナは、コウには楽しい部分しか見せてこなかったのです。
それは、自分がそうありたかったからだと呟きます。
悩みを後押しして帰ろうとしたナズナを引き止めたコウは、彼女を押し倒すような体勢になってしまいます。
ナズナはいたずらっ子のようにコウの首筋の吸血跡を舐め、颯爽と帰っていきました。
「今決めろ」
コウは餡子に会いに行きました。
最初は軽口を叩いていた餡子ですが、コウがどこまで知っているのか尋ねたあたりから空気が変わっていきます。
人が人を不幸にするのは仕方ないとしても、吸血鬼が人を不幸にするのは解せないらしい餡子は、冗談めかしてはいるものの、コウの素性をかなり調べているようです。
そのうえで、吸血鬼になりたいというコウに問いかけます。
仮に吸血鬼になったとして、自然と人間の血を吸おうと思えるのか、それとも10年間吸血衝動に抗い続けるのか、と。
さらに、ナズナと親交を深める中で未だ恋愛に発展していないのは、「恋愛感情そのものが欠落してる」からではないかと言って、コウを動揺させます。
もし吸血鬼になれなければ、ナズナ共々吸血鬼たちに殺され、吸血鬼になれば、餡子に殺される……どちらにせよ死が待っている可能性に、コウはうろたえました。
そんなコウを、餡子は今一度追い詰めます。
「人として生きるか、吸血鬼になって私に殺されるか、今決めるんだ」
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逃走
餡子に迫られたコウは、人のまま生きることを選んだ場合、結局吸血鬼たちに殺されると言います。
しかし、餡子は吸血鬼を全員殺すから大丈夫だと言って微笑を浮かべました。
ナズナたちのことを悪い存在だと思えないコウは、この発言を聞いて餡子に賛同できないと言い切ります。
すると、餡子はスマホを取り出し、警察に電話を掛けました。
近隣住民を装って中学生が深夜徘徊をしているという情報を伝え、パトロールしてもらえるよう頼んだのです。
ここで補導されるわけにもいかないコウは、逃げるしかありませんでした。
吸血鬼を殺す方法、餡子の血がまずく、コウの血が美味しい理由……気になることは何一つ聞けないまま、パトカーのサイレンから逃げるようにして夜の街を駆けるコウ。
公園の遊具に身を潜め、ナズナに会いたいと考えながらも、彼女に迷惑はかけられないと悩みます。
その矢先、足音がしたので驚いて振り向くと、吸血鬼の一人・ハツカがいました。
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アニメ『よふかしのうた』第12話まとめ
いかがだったでしょうか。
餡子の登場からシリアスなシーンが増えた『よふかしのうた』。
警察に電話を掛けたらしい餡子ですが、スマホの画面は映ったものの番号までは見えなかったので、もしかしたら単なる脅しの可能性も……? と思ってしまいました。
さらに、最終話を目前にしてハツカが登場。
ハツカは意図的にコウのところへ来たのか、それとも偶然通りかかったのか……どちらにせよコウにとって転機になりそうです。
次回、第13話も楽しみです!