「週刊少年サンデー」で連載中のコトヤマによる同名作品をアニメ化した『よふかしのうた』。
ミドリに頼まれ、彼女の勤務先のメイド喫茶でバイトをすることになったナズナ。
コウは客としてナズナの動向を見守っていましたが、とある盗撮事件の犯人探しをすることになり……。
早速、アニメ『よふかしのうた』第10話をレビューしていきたいと思います。
目次
【ネタバレあり】アニメ『よふかしのうた』第9話のあらすじと振り返り
恋愛感情を持って迫ってくる男たちに嫌気が差していたセリは、偶然見かけたコウに声を掛けようとして、ナズナから蹴りを入れられます。
眷属にするつもりもない人間と仲良くするナズナを咎めていたはずのセリが、何故コウに話しかけようとしたのか……そう問われたセリは目を伏せました。
コウに殺意を向けたことがあるセリを警戒していたナズナでしたが、去っていくセリを追いかけるコウを止めることまではしません。
コウは、セリには何か話したいことがあったのではないかと思い、彼女に悩みがあるなら聞こうと思ったのです。
そんなコウをカラオケに誘ったセリは、恋愛感情を向けてくる人間を相手にすることが面倒になってきたと明かします。
やがて個室の扉を叩く音がして、眼鏡をかけた男がガラス越しに覗いてきていることに気付き、怯えるコウ。
どうやらセリに想いを寄せ、感情を拗らせてしまった一人――通称・ダル男のようでした。
セリが部屋の中から挨拶だけすると、扉を叩く音は止んだものの、相変わらずガラス越しに覗いました。
「面倒になったら殺す」と宣言していたセリがその言葉を実行しようとしたので、止めに入ったコウとの間で口論になります。
それに気付いたダル男は部屋に入ってきてしまい、コウは彼の命を助けるために二人で逃げ出しました。
二人きりになってみると、ダル男はさっきまで抱いていた印象よりもだいぶまともに見えます。
コウは、ダル男が最初のうちは純粋にセリと会うことを楽しんでいたことや、だんだん離れている時間が長く感じるようになり、ストーカー化していったことを知りました。
やがて追いついてきたセリは、ダル男に自分が吸血鬼であることを明かし、その命を狙います。
すると、頭上からコウに呼び出されたナズナが降りてきて、セリの上に乗って取り押さえました。
半ば拘束状態にされたセリに、「なんで今回に限って殺そうなんて思ったの? ……お前にとってこの眼鏡くんは何なんだ?」と問いかけるナズナ。
実は、ダル男――通称・あっくんは、セリにとって唯一友達と呼べる人間でした。
セリはあっくんとの友人関係を心地良く思っていましたが、あっくんがセリに恋愛感情を抱いてしまった以上、友達ではいられません。
二人の関係をなかったことにしようとするセリは、吸血鬼のナズナと人間のコウの友人関係は特殊なものだと説明したうえで、自分たちは会うのをやめたほうがいいと語りました。
しかし、「友達やめたくないよ」と泣き出してしまったセリを見て、あっくんは自分を眷属にしてくれと頼みます。
吸血鬼になってでも、セリから離れないと決めたのです。
セリとあっくんの姿を見て、コウが「ずるい」と思ったことは、ナズナにはバレていました。
【ネタバレあり】アニメ『よふかしのうた』第10話あらすじ・感想
臨時メイド
メイド喫茶で働くミドリは、欠員を補充するために吸血鬼仲間に声を掛けようか悩んでいましたが、人気争いになったら嫌だな……という思いから躊躇っていました。
そこへ偶然ナズナとコウが通りかかり、モテない系のナズナが適任だとして声を掛けられます。
ナズナがバイトをすることにしたので、一緒にいたコウは客として彼女の動向を見守ることに。
ミドリは人気ナンバー1らしく、男性客とのやり取りを目にしたコウは、静かに衝撃を受けます。
コウはミドリのバイト仲間であるアリサ(大西沙織)に接客してもらったのですが、メイドとしての振る舞いに「凄い」としか言えず、知らない世界にまたもや衝撃を受けていました。
アリサはコウがミドリの知り合いだと知ったうえで、ミドリが働き始める前は自分がナンバー1だったことや、ミドリの飾らないスタイルが羨ましいということを話してくれました。
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しかし、コウはミドリが吸血鬼だという事実を知っているからか、ミドリとアリサの振る舞いにそこまで大きな違いを感じませんでした。
盗撮画像
閉店後、ロッカー室で「仕事終わりの一杯」を楽しむナズナに、ミドリは写真を撮ろうと誘います。
自撮り写真はSNSに投稿するためのもので、店のためになるのだと言っていました。
そんなミドリのもとに、店内やロッカー室で撮られたらしいメイドの盗撮画像が送られてきます。
コウがそれらを拡大して見ることに対し、ドン引きのミドリと、スケベだと揶揄うナズナ。
しかし、コウは拡大したおかげか、撮られているのが全てアリサだということに気付きます。
メイドの顔がほぼ映っていないのに、制服の着方や少しだけ映り込んだ髪型でアリサだと気付いたコウを見て、ミドリは問題解決のために協力してほしいと頼みました。
コウはそれを二つ返事で了承します。
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手がかりは違和感
――翌日。
ナズナが働いている間、ロッカー室にいたコウは、盗撮画像を見ながら考え込んでいました。
そこへやって来たアリサは、犯人探しに協力しているコウに申し訳なさそうにしています。
やがて出勤するために着替えたいと言われたコウは、慌ててロッカー室を出ました。
すると、休憩のために店から出てきたナズナと偶然鉢合わせ、手がかり探しを手伝ってもらうことに。
コウはロッカー室での盗撮画像が窓から撮られたと考えていましたが、廊下からベランダへ繋がる扉には鍵がかかっていました。
しかし、建物の外からベランダに侵入するには、ナズナのような特殊な身体能力がないと難しそうです。
コウとナズナがベランダで相談していると、窓が開いて下着姿のアリサが出てきます。
お互いに驚きますが、コウたちが手がかりを探していただけだと知ったアリサは、着替えて店へ向かいました。
コウはベランダからロッカー室の中を撮ってみて、アングル的に撮影位置としては間違いないと確信しますが、何かがおかしいと感じるようになります。
ナズナは人が映っていないからじゃないかと言って室内に入り、コウのカメラに向かってポーズを撮りました。
その時撮った写真にはあまりにも映りが悪いナズナがいて、二人は驚きます。
そこでコウは、盗撮画像が良く撮れすぎていることに違和感を覚え、一つの推理に行き着きました。
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名推理と承認欲求
――再び閉店後のロッカー室。
コウは犯人がわかったかもしれないとミドリに伝えますが、誰かが近付いてきた足音がして、ナズナにとある指示を出します。
そして、慌てて身を隠したコウとミドリは、何故か同じロッカーに入ってしまいました。
狭いロッカーの中で密着した状態に頬を赤らめるコウと、揶揄う方向に走るミドリ。
その一方で、近付いてきた足音がアリサだと知ったナズナは、閉店後の締め作業をアリサに任せてロッカー室から出ていきます。
コウとミドリがロッカーに隠れているなんて知る由もないアリサは着替えを始め、下着姿になったところで窓を開けました。
すると、ベランダにはナズナがいて、アリサが驚いたところにコウとミドリが現れます。
アリサは窓の縁に自撮り棒を固定して、自身の着替えシーンを撮影しようとしていたのです。
コウが盗撮画像を見て感じた違和感は、盗撮にありがちなパンチラなどの肝心な場面が映っていなかったこと、あまりにも上手に撮れていることでした。
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さらに、写真に盗撮対象以外の人物が映っていなかったことで、閉店後に撮られた可能性が高いと踏んでいたのです。
アリサは人気ナンバー1から降格してしまったことで、承認欲求を満たすために盗撮を自演し、自分もまだ人気があるのだと見せしめようとしていました。
ミドリがその承認欲求を「病気」だと評したので、コウは言いすぎだと止めに入ろうとしましたが、その心配は必要ありませんでした。
ミドリは自分も含め承認欲求を間違った形で発散してしまう異常な人はよくいると言います。
メイド喫茶こそ、チヤホヤされたい一般人と、その一般人をチヤホヤしたい人が集まる異常な場所だと語りました。
人間みんな病気だから上手く付き合っていくしかないと、何でもないように話すミドリに、アリサは救われたような気持ちになるのでした。
アニメ『よふかしのうた』第10話まとめ
いかがだったでしょうか。
承認欲求モンスターのお話でしたが、お互いの異常さを認め合うようなミドリの発言に、アリサと同じく救われた人も多かったのではないでしょうか。
”正常な歪み”は誰しも持っているもの。
コウがまた一つ、夜遊びを通して人間の深さを知った回でしたね。
ラストの自撮り写真のカットも、とても可愛かったです!
次回、第11話も楽しみですね。