『イエスタデイ』あらすじ・ネタバレ感想!もしもビートルズがこの世に存在しなかったら?

映画『イエスタデイ』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『イエスタデイ』公式ページ

映画『イエスタデイ』は、もしもこの世にビートルズがいなかったら?という斬新な切り口で物語が構築された作品です。

仮定の世界で繰り広げられる無名ミュージシャンの活躍を中心にして、ビートルズが過去にリリースした名曲が作品に彩りを添えまています。

作中に使用されるビートルズの曲は有名な楽曲ばかりで構成されており、『イエスタデイ』を観るだけでビートルズのスタンダード・ナンバーを網羅することができます。

従来のファンだけでなく若い世代をも虜にさせてしまうヒットナンバーにビートルズのファンになること間違いなしな傑作です。

ポイント
  • なぜタイトルが『イエスタデイ』なのかに着目しています
  • ビートルズの楽曲は聞き惚れてしまうほどクオリティが高い
  • 多次元宇宙論を物語に組み込んだリチャード・カーティスの脚本は秀逸で、ダニー・ボイルのスピード感ある映像は衰え知らずです

それではさっそく映画『イエスタデイ』をネタバレありでレビューしたいと思います。

『イエスタデイ』作品情報

作品名 イエスタデイ
公開日 2019年10月11日
上映時間 116分
監督 ダニー・ボイル
脚本 リチャード・カーティス
出演者 ヒメーシュ・パテル
リリー・ジェームズ
ケイト・マッキノン
エド・シーラン
音楽 ダニエル・ペンバートン

『イエスタデイ』あらすじ


イギリスの海辺の町に暮らすシンガー・ソングライターのジャック(ヒメーシュ・パテル)は、幼なじみで親友のエリー(リリー・ジェームズ)に支えられてきたが全く売れず、夢を諦めようとしていた。

ある日ジャックは、停電が原因で交通事故に遭遇。

昏睡状態から目覚めると、この世には「ザ・ビートルズ」がいないことになっていた。
出典:シネマトゥデイ

【ネタバレ】『イエスタデイ』感想レビュー

本作のタイトルを『イエスタデイ』にしたのはなぜか?

まずは、作品のタイトル『イエスタデイ』について少し掘り下げていきたいと思います。

ビートルズが制作した楽曲は数多く存在し、どれも珠玉の名曲ばかりです。

数字で可視化するなら、公式に発表されている楽曲だけでも200以上ある中、脚本家のリチャード・カーティスはなぜ『イエスタデイ』を映画名に選んだのでしょうか?

有名だから、もっともヒットしたから、誰もが必ず耳にしたことがある曲だからと一言で片付けてしまうことも簡単なことです。

ただ、果たしてこれだけが本当の理由でしょうか?

少し、シンプルすぎると感じてしまいませんか?

たとえば、もうひとつ有名なナンバー『ヘルプ!』を作品タイトルにしてもよかったですし、他にも『愛こそはすべて』をチョイスしてもどちらの題名も作品世界に違和感はありません。

もし題名を前者にするなら、停電後の世界でビートルズがいなくなった中、彼らの楽曲をなんとか思い出そうとして四苦八苦する主人公ジャックを表現できます。

また後者では、富や名声を捨てて、真実の愛に目覚める彼自身を表したタイトルにしても良かったのではないでしょうか?

そうすれば、よりもっと作品に対する想像が膨らんだかもしれません。

本作のストーリー設定は、世界中で起きた12秒間の停電の後に、主人公のジャック以外は誰一人としてビートルズを知らない世界が存在しているという奇妙な出来事です。

昨日までは普通の世界だったのに、数秒のブラックアウトがジャックの人生を大幅に方向転換させています。

物語では、昨日より今日、今日より明日と、彼の暮らしは劇的に変貌を遂げていきます。

前日までのジャックはもういなくて、一日一日過ぎるごとにミュージシャンとして大きく成長する彼を見ることができます。

本作のタイトル『イエスタデイ』は、物語の中心の部分でもある主人公ジャックの激変する人生を表現しています。

停電が起きるまでは夢も希望も何もなく、苦渋を味わう毎日を送っていたジャック。

昨日と今日で、ガラッと人生の方向が変わってしまう過程をビートルズのヒットナンバー『イエスタデイ』で形容しているのです。

単なる有名な楽曲のタイトルだからという理由で付けている訳ではないでしょう。

映画の題名ひとつにしても、深い意味があると思いませんか?

ビートルズの楽曲は後世に残る百花繚乱の名曲揃い

本作『イエスタデイ』の一番の見どころは、やはり映画全編に彩られらたビートルズが発表したヒットナンバーの存在でしょう。

誰もが一度は聞いたことがある楽曲を使用している点に好感が持てます。

従来のファンはますますビートルズを好きになれますし、初めて聞く人は彼らに興味が湧くこと必至です。

50年以上前に作られてから、今もこうして愛され続けている楽曲がたくさんあります。

本作では、そんな名曲たちを惜しみなく全面に打ち出し、演奏シーンが作中の見どころにもなっています。

特に私が観て記憶に残った場面をほんの少しだけ紹介します。

初めに取り上げる場面は、停電後ビートルズがいなくなった世界で主人公ジャックが退院祝いにもらったギターで『Yesterday』を披露する場面です。

初めて聞く演技をしないといけない役者たちの反応も素晴らしいですし、観る側も初めて聞いたような感覚にさせてくれる場面です。

次に、即興で作曲した楽曲を発表する場面での『The Long And Winding Road』は心を奪われてしまうほど美しいシーンでした。

ビートルズが残した多くの楽曲の中でも屈指の名曲をあんな形で料理してくれるダニー・ボイルの監督としての腕に脱帽しました。

続いて、終盤のライブシーン。

ジャックがブラスバンドと一緒に演奏した『All You Need Is Love』のコンサート場面が雄大でエレガントな印象を受けました。

最後に彼がギターを片手に会場に集まった子供たちと一緒に『Ob-La-Di Ob-La-Da』を大合唱するシーンはなぜかジーンと心に来る上、胸に響くものがあります。

これらの楽曲たちが長い時間をかけて愛されていることがよく分かる場面です。

半世紀以上経っても歌い継がれている名曲を使用する映画は疑う余地もなく名作です。

これからの50年後にも、残って欲しい音楽と映画です。

ダニー・ボイルとリチャード・カーティスのタッグはイギリス映画至上最高の組み合わせ

主人公ジャックを演じる役者が白人でもなく、黒人でもなく、ヒスパニックでもない、インド系の青年が抜擢されている点も本作『イエスタデイ』の魅力です。

人間の肌の色など関係なく、人種の壁も越えて、誰もがビートルズの歌を歌えるようになった時代になったわけです。

また、ストーリーの中でずっと女友達だと思っていたヒロインの女性が、驚いたことに20年あまりの間ずっとジャックのことが好きだったという片想いの設定にも人の愛の深さを感じてしまいます。

売れないミュージシャンの付き人として、友人として励ます彼女の姿が印象的です。

脚本家リチャード・カーティスの才腕が映画の完成度を左右していると言ってもいいほど台本の質が高すぎます。

特に、本作の主題にもなっている“もしもビートルズがいなかったら?”という想像の世界を作り出した点は賞賛すべきところで、見事に多次元宇宙論を作品世界に反映させている点にも注目です。

また、監督ダニー・ボイルの映像で表現したスピード感は健在で、名作『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』の流れを汲でいます。

ジャックがフェスの帰りに停電に遭遇し、バスに撥ね飛ばされるまでのシークエンスについて、ダニー・ボイルらしい映像表現が見事で注目してほしい場面です。

私は、本作『イエスタデイ』をアンサー映画としての位置付けにしたいです。

何に対する返答かというと、昨年ヒットを飛ばした『ボヘミアン・ラプソディ』そして2019年に公開された『ロケットマン』に対するリチャード・カーティスからの回答です。

近年の音楽映画の人気に対して、リチャード・カーティスが「私ならこう作る」と言わんばかりのストーリーテリングはまさにアンサームービーとして相応しいと思うのです。

『ボヘミアン・ラプソディ』のクイーン、『ロケットマン』のエルトン・ジョン、そして本作『イエスタデイ』はビートルズ。

果たして、これらレジェンドに続く作品が今後も出てくるのかも気になりますね。

私個人的には、2016年に急逝したグラムロックのパイオニア、デヴィッド・ボウイの半生を映像化した音楽伝記映画を観てみたいです。

そんなわけで、映画『イエスタデイ』を観てビートルズの世界を堪能しませんか?

『イエスタデイ』まとめ

以上、ここまで映画『イエスタデイ』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • タイトルの『イエスタデイ』に着目して観てみましょう
  • ビートルズの楽曲ほど質が高い曲はない。聞き惚れてしまうぐらいです
  • ダニー・ボイル、リチャード・カーティスは英国映画史上で最高のタッグです