ボーイズラブ(通称:BL)の世界をみんなで思いっきり楽しめる上映イベント「BL FES!! 2020」(ビーエルフェス2020)では、一穂ミチ原作・竹美家ららイラストの『イエスかノーか半分か』(新書館ディアプラス文庫刊)そして紅蓮ナオミ原作『まるだせ金太狼』(ジュネット刊)、2本のアニメ作品を同時上映いたします。
12月13日(日)にはBL界有数のアワードである「このBLがやばい!」(JIVE刊)2021年度版の発表会も予定しています。
イベントのチェアマンには『ズートピア』ニック・ワイルド役や『FINALFANTASYVII』セフィロス役など人気作品に多数参加、洋画の吹き替えなどでも精力的に活動を行う声優の森川智之氏が就任。
BL作品にも数多く出演し、圧倒的なキャリアで「BL界の帝王」の異名も持つ森川氏が、プロジェクト全体の総合プロデュースを務めます!
この度、本作の公開を記念し、『イエスかノーか半分か』にて国江田計役を演じた阿部敦さんと、都築潮役を演じた川原慶久さんのクロスインタビューとアフレコのレポート写真が到着!
お二人が思う本作の見どころやキャラクターについて、ボーイズラブ(BL)作品の魅力などをお話いただきました。
『イエスかノーか半分か』国江田計役:阿部敦&都築潮役:川原慶久クロスインタビュー
−−BL作品の魅力をどのようなところに感じていますか?
川原慶久(以下、川原) 「BLと一言で言っても、SFであったりファンタジーであったり、様々なタイプの物語を含んでいるジャンルなので、幅広く、そして掘り下げれば掘り下げるだけ深くなる面白さがあるなと思います。」
阿部敦(以下、阿部)「演じていて感じるのは、好きな人のことを考えたり大事にするというシンプルなことがすごく透明度が高く目に映るなということ。いろいろ変わってきてはいるけれど、同性同士の恋愛は異性同士の恋愛に比べるとやはりまだ高いハードルがあるように思うので、どんな状況でも相手を愛するという覚悟や意思に胸をうたれるのが特色かなと感じます。」
川原「今は同性同士が愛し合うことに、葛藤を感じる場面も少なくないように思います。そういう状況であるからこそ、BLというジャンルが成立している。同性同士が愛し合うことが特別に思われないような世の中になったら、BL はただの恋愛の話になっていくのかもしれませんね。」
−−チェアマンの森川さんが「BLからたくさんのものを学んだ」とコメントしています。お二人がBLから学んだことを教えてください。
阿部「お芝居のすべてが詰まっていると思います。今回演じた計もそうだったのですが、言っていることとやっていること、思っていることと口に出すことが違う。かと思えばストレートに“好きだ!”という感情をその人に向ける。台本を読んでいると、葛藤のような複雑な感情だけではなく、あったらより豊かに生きられるであろう感性がたくさん詰まっていると気づかされます。だから、BL作品のアフレコの日は「気合を入れて行かなきゃ」という気持ちになります。アフレコ終了後は、いつも疲労感があるのですが、やっているときはとにかく楽しくて“今、芝居している!”という高揚感もあります。お芝居で求められることも多く、やりがいを感じます。力を抜いて生きることも必要だけど、日々一生懸命生きていくべきなのかなと思ったりもします。」
川原「芝居をするときは、誰もが役に向き合い、感情の動きを深く掘り下げて行く事になります。BL作品でメインを演じるときなどは、特に物語の中心となる2人の会話が多くなるため、美しい感情から醜い感情、矛盾する感情、ストレートな感情と、自然と様々な感情と長時間向き合う事になりますね。相手の感情を受け止め、自分の感情を投げ返す。独りよがりにならず、互いの芝居、気持ちの動きに向き合っていく事も大切です。ドラマCDではアニメーションのように画の助けはありませんので、走る、動く、キスをするなど、一つ一つの動きの肉体的な側面や、なぜそう動くのかという“気持ちの側面”もイメージしていないと、演じるのが難しく感じます。本当に芝居において大事な要素がBL作品には詰まっていて、多くの事を学べると改めて気づかされますね。」
阿部「アニメのアフレコでは、気を抜くと画に合わせるだけの作業になってしまうことがあるんです。我々声優が陥りがちな罠と言えるかもしれません。でも、声優の仕事は自分のセリフをしゃべる以上に、相手のセリフを聞かないと成立しません。相手の言ったことを受け取って、それに対して返す。この繰り返しなんですよね。“しゃべる仕事でしょ”と思われがちですが、じつはそれ以上に、相手のセリフを聞く仕事でもあるんです。それをフルでやらないと成立しないのがBL作品の特徴のひとつかもしれません。」
−−今度は、キャラクターについて伺います。お互いのキャラクターの好きなところと、キライというか「直して!」と思うところはありますか?
阿部「嫌いなところを言い合うなんて、なんか痴話喧嘩みたいでおもしろいですね(笑)潮の好きなところは、どっしりと構えてホーム感を出しているところです。計は日々肩肘をはり、仮面をかぶって生きているキャラクターです。でもその仮面を外していい場所があるだけで、例えば仕事でいっぱいいっぱいになっても、これが終わったら安心できる場所に帰れる、そう思えるだけでずいぶん違うと思います。まあ、計の場合“その日々の戦いは本当に必要なのか?”と思ってしまう部分もありますけどね(笑)潮には嫌いなところよりも心配なところがあります。計扮するオワリに“歯を治せば?”とお金を貸しそうになったときに、“誰かの保証人になって借金背負わないで”と思いました。すぐにハンコとか押しそうだから、すごく心配です!」
川原「アハハハハ。潮にとってオワリは信頼できる人だと思ったからこそ貸そうしたんだけどね(笑)改めて、計の誠実で真面目なところが大好きです。計の暴言は、仕事に底抜けの責任感を持ち、重圧を感じながらも期待を裏切らないようにしようという思いから出てしまうものだと思っています。なので、暴言にも愛おしさを感じますね。自分の思いや、煮えたぎる気持ちをストレートにぶつけられると、それが暴言であっても、ある種の信頼の証の様にも感じます。まぁそうは言っても、トイレで思いっきり悪態をついていたシーンはちょっと激しすぎるかなと…本当にときどき心配になります(笑)だからそ、潮にはいろいろなアツい感情をぶつけられる場所で居続けてほしいと願ってしまいますね。」
−−アニメになって発見したことはありましたか?
川原「潮のアトリエも出てきたけれど、映像として計の部屋を見てみるといろいろ発見がありますね!間接照明のとてもいい雰囲気の部屋で床に座って牛丼を食べるあの姿ったら!リラックスできる部屋作りにも感心するけど、きちんと片付いた部屋から、やっぱり計は几帳面で真面目な子なんだなと感じさせられるのが凄いですよね!」
阿部「計の部屋はもうちょっと散らかっているイメージだったから、意外とちゃんとしているなって思いました。思った以上にきれいな部屋だなって。」
川原「部屋からも、計という人間の根っこの部分、生真面目な部分が見え隠れしておもしろかったです。」
−−仮面を作る計の気持ち、お二人はどう捉えていますか?
川原「もちろん、僕たちも今、仮面を被っているので分かります(笑)人には見せない顔は誰にもありますからね。」
阿部「計ほど極端ではなくても、そういう気持ちはあります。社会生活を円滑に進めるためには必要なものです(笑)」
−−計が潮の資料をみて「チッ、良い男系かよ」というシーンがおもしろかったです。お二人が思わず嫉妬しちゃうような「いい男」を教えてください!
阿部「先日Twitterで見た画像なのですが。アメリカのボディビルダーの方で、筋肉隆々でタトゥーもいっぱい入っていて、タンクトップで決めポーズで写っていたのですが、ちょこんとリスを抱えていたんです。」
川原「え?まさかのギャップ萌え系?」
阿部「子猫に餌を与えている写真もあって。それはいい男だなと思いました。ファニーな感じでかわいいなって。カッコよさというよりは、ギャップ感。隙があるというか、人当たりの良さみたいなのを感じると、一緒に飲みに行きたいな、話したいなって思いますよね。そういう人をいい男だなって思っちゃいます。」
川原「身近なところでいうと、それこそ、森川(森川智之)さんは本当にいい男です。」
阿部「ほんとそう。ほんとに。」
川原「自分たちより上の世代の先輩方の背中を見て育ってきたわけですよ。今、自分が先輩方に初めて会ったときの年齢に到達しているにもかかわらず、その背中を超えられているかと思うと…」
阿部「ほんとだよね。」
川原「常に一歩先にいらして、大きな背中を見せ続けられていることは、本当にかっこいいと思います。具体的な名前を挙げたらキリがないけれど、あらゆる先輩たちが歩んでいる道そのものが、かっこいいなって思わされます。なので、目指したくなる背中というのが、かっこいい男の条件ですね。」
阿部「まさにその通りですね。」
−−同時上映『まるだせ金太狼』のビジュアルを見た感想を、ぜひ。
阿部「同時上映ですよね。まったく真逆の作品になると思うので、両方観たら、ギャップで風邪をひくと思います。ここまで違うと、いろいろな楽しみ方ができると思います。金太狼役は森川さん?そりゃおもしろいに決まってるでしょ。」
川原「ずるいね〜。」
阿部「確かにずるい。で、相手役は壮馬(斉藤壮馬)くんなのか。大変だな壮馬くん(笑)」
川原「『まるだせ金太狼』の上映後に『イエスかノーか半分か』が流れるんですよね?この順番での上映には、恐怖しかありません(笑)」
阿部「すっごい濃い目のソース味の後に、出汁系がくる感じというのかな。“味する?”みたいにならないか心配です。でも、順番が逆でも同じか…。」
川原 「“まるだせ”を“ちょい出し”くらいにしてもらえないですかね(笑)」
阿部「アハハハハ(笑)」
−−公開を楽しみに待つファンの方にメッセージをお願いします!
阿部「職業ものではありますが、誰しもが共感できる悩み、葛藤がたくさん散りばめられている作品です。難しい状況に直面したときに、安心できるものがあることの強さを感じられます。心温まるエピソードがたくさんあるので、いろいろな方に楽しんでいただきたいです。同時上映とのギャップで風邪をひく心配もありますが(笑)、ほっこりしていただけたらと思います。」
川原「目まぐるしく変化する計の表情をぜひお楽しみください。セリフの裏で彼らがどんな表情をしていたのか、ドラマCDでは見られなかった部分を堪能いただければと。しかし、『まるだせ金太狼』『イエスかノーか半分か』。同時上映のタイトルをつなげて言うと、金太狼が丸出しにすることへのイエスなのか、ノーなのか、半分なのか…と感じてしまいますね(笑)冗談はさておき、この素敵な2作品でBLの世界を存分に楽しんでいただければうれしいです!」
『イエスかノーか半分か』作品情報
原作:一穂ミチ(新書館ディアプラス文庫刊)
イラスト:竹美家らら
出演:国江田計役 阿部敦/都築潮役 川原慶久/皆川竜起役 江口拓也/設楽宗介役 佐藤拓也/麻生圭一役 森川智之
監督・脚本:たかたまさひろ
キャラクターデザイン:大和田彩乃
アニメーション制作:レスプリ
美術監督:戸杉奈津子 宮本里香
色彩設計:のぼりはるこ
撮影監督:横枕洸一
音楽:長谷川智樹
音響監督:阿部信行
BL FES!!特設サイト:https://blfes.com
公式Twitter:@bl_fes
あらすじ
人気若手アナウンサーの国江田計は極端に裏表の激しい性格。王子と称される完璧な外面とはうらはらに「愚民め」が心の口癖の強烈すぎるもうひとつの顔を持っていました。
そんなある日、取材で知り合った映像作家の都築潮と再会するが、幸い都築はくたびれたジャージにマスクの男があのアナウンサーの国江田計とは気づきません。
とっさに「オワリ」と名乗った計は、行きがかり上怪我をした都築の仕事をしばらく手伝うことに…。
いやいやながらはじまった協力関係だったが、計は唯一自分を偽らずにいられる潮との空間を好ましく感じ始めます。
一方で潮は取材で顔を合わせるアナウンサー・国江田計の立ち振る舞いに惹かれ…物語は計・オワリ・潮の奇妙な三角関係へと発展していき…。
『イエスかノーか半分か』は2020年12月11日(金)新宿バルト9他全国にて2週間限定公開!
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