『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』あらすじ・感想!ドイツに実在した殺人鬼の真実に迫る【ネタバレなし】

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』あらすじ・感想!ドイツに実在した殺人鬼の真実に迫る【ネタバレなし】

出典:クランクイン!ビデオ

本作『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』は、この時代のドイツ全土を戦慄させたシリアルキラーの全容を隈なく描ききった恐怖のスリラー映画です。

ポイント
  • 日本人のほとんどはフリッツ・ホンカというドイツ人を知らない
  • ドイツの奇才監督ファティ・アキンの作品
  • 凶悪犯罪の真実に迫った作品を制作することが、事件を未然に防ぐ抑止力となります

それでは『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』をネタバレなしでレビューします。

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『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』作品情報

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

作品名 屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ
公開日 2020年2月14日
上映時間 110分
監督 ファティ・アキン
脚本 ファティ・アキン
出演者 ヨナス・ダスラー
マルガレーテ・ティーゼル
カーチャ・シュトゥット
アダム・ボウスドウコス
マルク・ホーゼマン
ローレンス・ウォルター
フィリップ・バルトゥ
音楽 F・M・アインハイト

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』あらすじ【ネタバレなし】


時は1970年代。

敗戦の跡が色濃く残る東ドイツで背筋も凍る凄惨な事件が起こります。

この日もいつもと何ら変わらないある日常の一コマ。

フリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)という孤独で冴えない中年が住むアパートの一室から火の手が上がりました。

そのたった一つの火事がその後、ドイツ全体を恐怖のどん底に陥れてしまうのです。

彼は数年間のうちに、高齢の女性4人を次々に惨殺し、遺体をバラバラにしていました。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

鈴木友哉

しかも、その切り離した体の一部を自身が住む屋根裏部屋に放置していたというのも何だか気味の悪い事実でしょう。

事件が発覚するまで、フリッツ・ホンカが住むアパートでは異臭の苦情、ウジ虫の大量発生など異常なことが頻繁に起きていたのです。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』感想【ネタバレなし】

ほとんどの日本人はフリッツ・ホンカという孤独なシリアルキラーを知らない

世界には名だたる殺人鬼が古今東西存在しています。

凄惨な出来事はどの時代にでも起きており、歴史上最も有名な事件の一つが、1888年にイギリスで起きた未解決事件「切り裂きジャック事件」で、日本でも知名度の高い連続殺人事件として有名です。

また、アメリカでも猟奇的な殺人事件が起こっています。

鈴木友哉

最も有名なのは、殺人だけでなく墓荒らしをして死体でオブジェを作っていたエド・ゲインではないでしょうか?

20世紀に起きた連続殺人事件の多くが、残虐な事件として人々記憶されています。

これらの事件は、何度も映画化されているので、人々の関心が高いことが伺えます。

そして旧東ドイツでも地元の人々を驚愕させた恐怖の殺人事件がありました。

それが、本作で取り上げられているフリッツ・ホンカという人物が起こした背筋も凍る事件です。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

本作『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』は、1970年代の東ドイツで実在した名もなき殺人鬼フリッツ・ホンカにクローズアップした猟奇連続殺人が題材の映画です。

彼はハンブルクにて、数年に渡り4人の女性を惨殺しています。

鈴木友哉

当時のドイツでは、言うことを聞かない子供に対して「ホンカが襲いに来るぞ」と大人たちが脅していたそうです。

監督のファティ・アキンも幼少期に経験したと語っています。

しかし実際の残虐な事件に対し、アルコール中毒だったホンカ本人は誰にも相手にされない孤独な人物だと言われています。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

本作は、ほとんどの日本人が知らないこの心寂しい殺人鬼の真実の姿を知ることができる貴重な作品です。

ドイツの俊英、監督ファティ・アキンが連続殺人事件の真相に迫る

フリッツ・ホンカが引き起こした連続婦女暴行殺人事件を映画として取り上げたのは、トルコ系ドイツ人のファティ・アキンです。

鈴木友哉

デビューから一貫してドラマ系作品ばかりを輩出してきた監督にとって、本作は異色作と言っていいでしょう。

フリッツ・ホンカという殺人鬼の内面と犯行の生々しさをこれでもかと目の裏に焼き付けてくるような演出が印象的です。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

物語の展開や伏線以上に、記憶に残っているのは特殊メイクや美術と言った制作サイドのこだわりです。

本作で最も注目して観るところです。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

鈴木友哉

特殊メイクを担当したスタッフの似ても似つかぬ若手俳優の顔を殺人犯フリッツ・ホンカの顔と瓜二つにした腕前にも注目です。

また、バラバラ遺体の造形や死体から流れ出る血糊の量など、美術を担当したタモ・クンツの可視化して表現できる部分への熱量が作品を観ていてよく分かります。

切断された体の一部分にまで丁寧に作り込まれた美術担当者としての技術の高さに驚かされます。

鈴木友哉

ドイツの歴史上希に見る孤独な極悪人を描いた最新作『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』は、今後隠れた名作として名前が残っていて欲しいです。

ドラマ系を得意とするファティ・アキン監督ですが、ずっと描きたかった凶悪事件の殺人鬼を見事に映像化しました。

過去の凶悪犯罪は事件の風化を事前に防ぐ抑止力に繋がる

見るに耐えない殺人事件は、今もなぜ後を絶たないのでしょうか?

日本国内でも『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』で取り上げた事件のような猟奇的殺人事件は昔から発生しており、古い事件で言えば、1936年に起きた阿部定事件が有名です。

阿部定

出典:Wikipedia

意中の男性からの愛情を独占したくて、男の局部をハサミで切り取った女性の事件です。

他にも、西口彰連続強盗殺人事件、津山30人殺人事件、永山則夫連続射殺事件、大阪愛犬家連続殺人事件、大牟田4人殺害事件など、今も昔も凄惨な出来事は頻繁に発生しています。

ここで取り上げた事件は、『JOHNEN 定の愛』『復讐するは我にあり』『八つ墓村』『裸足の十九才』『冷たい熱帯魚』『全員死刑』など多くが映画化されています。

さてドイツ国内には他にもシリアルキラーがいる中で、ファティ・アキンは、なぜフリッツ・ホンカという連続殺人鬼を作品の題材として選んだのか?

鈴木友哉

それは、フリッツ・ホンカが監督自身にとって幼少期から最も身近で、どこにでもいる普通の男だと思ったからでしょう。
『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』

(C)2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathe Films S.A.S./Warner Bros. Entertainment GmbH

国内国外関係なく、凶悪犯罪は数多く発生していて、どの国にも、どの年代にもサイコパスはある一定数存在すると考えてもおかしくないです。

国籍問わず、自国で起きた凶悪犯罪をテーマにした作品を作りたいという映画監督は多いです。

鈴木友哉

その凄惨で、残酷で、複雑な事件を映像化することで、事件の風化を食い止める抑止力になってくれることを願うばかりです。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』まとめ


以上、ここまで『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • フリッツ・ホンカという寂寥感漂う連続殺人鬼の素顔を知るいい題材です
  • ドイツを代表する監督ファティ・アキンが描きたかった殺人犯
  • 触れてはいけない凶悪事件を映像として白日のもとに晒す目的は、忘れられていく事件の真実を風化させないためでもあります

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