週刊少年マガジン公式アプリ「マガジンポケット」の人気ランキング首位常連で、単行本は発売即重版連発の話題作『WIND BREAKER』。
好きなものは強いヤツ、弱いヤツには興味がない――孤独な不良高校生・桜遥は、超不良校として名高い風鈴高校のてっぺんを目指して、街の”外”からやって来ます。
負けを認め、獅子頭連を受け渡そうとした兎耳山に対し「今日からオレたち、友達ってことで!」と言い放った梅宮。
フウリンも獅子頭連も、誰もが呆気に取られているうちに話を進め、料理を持ち寄って打ち上げを始める始末。
そんな、先ほどまでケンカをしていた相手同士とは思えない空気に大混乱の桜でしたが、改めて懺悔する十亀や兎耳山と拳を介さずに対話できました。
そして、一連の出来事を通して、桜の中では少しずつ”てっぺん”の在り方が変わり始めていて……。
早速、第10話「対話」をレビューしていきます。
目次
アニメ『WIND BREAKER』前回第9話あらすじと振り返り
梅宮と兎耳山のタイマンが、ついに始まりました。
兎耳山は、梅宮に勝つことでフウリンも自由も手にでき、誰よりも”楽しく”なれると信じていました。
その勢いのまま俊敏に、梅宮に間髪入れず攻撃を繰り出しますが、ダメージをまるで与えられません。
梅宮が「何も背負っていないから拳が軽い」と指摘する真意を理解できず、どんどん取り乱していく兎耳山。
梅宮渾身の一撃を喰らった彼が思い出したのは、楽しそうに笑う獅子頭連のメンバーでした。
兎耳山は、梅宮との拳の対話、十亀とのやり取りを経て、負けを認めます。
そして約束通り、梅宮に獅子頭連を受け渡そうとしますが、梅宮はそれを受け入れず、今回のケンカは「親睦会」ということにしようと提案しました。
【ネタバレあり】アニメ『WIND BREAKER』第10話あらすじ・感想
戦いのあと
負けを認め、獅子頭連を受け渡そうとした兎耳山に対し「今日からオレたち、友達ってことで!」と言い放った梅宮。
誰もが呆気に取られているうちに話を進め「打ち上げ」を始める梅宮に、桜は戸惑います。
料理を持ち寄った屋上で、ケガの手当てもそこそこに食事を囲む一同。
先ほどまでケンカしていた相手と宴会をしている状況に桜が混乱していると、十亀が「申し訳ない」と言い出し、兎耳山と並んで頭を下げました。
梅宮は、今回の件の落としどころについて、桜に結論を委ねます。
責任を感じて頭を下げる十亀の姿を見た桜は、かっこいいヤツになれ、ダサいことは二度とするなと一喝し、十亀にそう約束させました。
そんな彼らの様子を見て満足そうに食事をする梅宮に対し、兎耳山は何故いつも楽しそうなのかと問いかけます。
すると、梅宮は「メシ食うの好きなんだ」「みんなでワイワイしながら食べることが好きなんだよ」と話しました。
しかし、それは梅宮が”てっぺん”だということと、何の関係もないのだと。
兎耳山はかつての自分を思い出し、楽しさと自由と”てっぺん”であることは、決してイコールではないことに、何故気付けなかったのだろうと俯きます。
みんなが笑っていると自分も楽しかったのに……という兎耳山の思いに、梅宮は「(なくなる前に気付けて)本当に良かった」と微笑みました。
urara
”てっぺん”になった理由
どうして”てっぺん”になったのかと尋ねる兎耳山に、梅宮は「ずっと楽しくみんなでメシが食いたいから」と答えます。
みんなが幸せで笑っていてくれれば、梅宮は楽しく食事ができる……そのために自分ができることが、ボウフウリンのてっぺんになることでした。
つまり、てっぺんになりたかったわけではなく、てっぺんになってやりたいことがあっただけだと語ります。
てっぺんは一人じゃなれない、みんなが担いでくれたから、共感して協力してくれたからなれた……。
そんな梅宮の言葉は、兎耳山の質問の答えでありながらも、桜に向けられていました。
urara
ボウフウリン一行と別れたあと、兎耳山は自分のしたことは許されないことだと言いながらも、みんなが必要だと語ります。
十亀は自分にも責任があるとしたうえで、今度は向き合わなければいけない、一緒に答えを探そうと言いました。
そこで兎耳山の、かつてのような心からの笑顔を見た十亀は、静かに涙を流し「おかえり」と独り言ちます。
曇り空には晴れ間が覗き、太陽が顔を出していました。
対話記念日
ボウフウリン一行は、ことはと笹域が待つポトスに戻ってきました。
今回の件で思うところがあった桜は、真っ先に帰ろうとします。
しかし梅宮は、桜がケンカ中に対話を出来ていた「対話記念日」だと言って、桜を引き止めました。
拳という言語は原始的であるという梅宮は、そこで伝えられるものは好きや嫌いといったシンプルなものだと持論を語ります。
好きや嫌いという感情を表す言葉に、素直な桜は思わず動揺するのでした。
梅宮は、桜が今回のケンカを通して、十亀を好きになったのではないかと問いかけます。
十亀との拳の対話を経たからこそ、十亀を邪険にした兎耳山に対し、怒りの感情が生まれたのではないかと……。
桜は、だからといって「記念日」などと祝われる筋合いはないと言いますが、梅宮は自分が「嬉しい」のだと笑います。
街の外から来るヤツがいると聞いた時、物好きなヤツだ、どんなヤツなんだろうと考えていたらしい梅宮。
その外から来た物好きが「いいヤツ」だったことを桜に伝えた梅宮は、そんな桜が来てくれたから嬉しいのだと言い直しました。
受け入れること、受け入れられること
受け入れられることに慣れていない桜は、何故そんな風に接することができるのかと梅宮を問い詰めます。
一人で強くなることを目指し、ボウフウリンでてっぺんになって自分を認めたかった桜。
しかし、てっぺんになるには、一人じゃダメらしいと気付かされたのです。
楡井は、桜が自分のことをちゃんと見てくれていたと話し、俯く桜を励まします。
伝わりにくいかと戸惑う楡井に、蘇枋はフォローしつつ賛同し、梅宮が言葉を引き継ぎました。
人と向き合うこと、知りたいと思うこと……梅宮はそれが対話の条件だと語り、桜はそれを出来ていたと伝えます。
ちゃんと他人を受け入れたいと思っているように見える桜なら”てっぺん”にもなれるだろうと告げ、桜の思いを受け入れるのでした。
urara
アニメ『WIND BREAKER』第10話まとめ
いかがだったでしょうか。
獅子頭連との戦いが終結し、梅宮の思想に触れた桜たち。
真っ直ぐに想いを伝えてくれる梅宮は、桜にとっては苦手な部類の人間かもしれませんが、必要な存在でもあるようです。
言葉を尽くしてくれる”てっぺん”の梅宮の大きな背中を見て、そのポジションを目指す桜がどう成長していくのか、周囲の人々とどう接していくのか……。
今後の展開に期待が高まります。
次回、第11話も楽しみです。